ライトノベル愛好会 ラノベの売り上げ実績2008年?

去年の5月からオリコンのランキングの動向を見ているのですが、2008年度は果たしてラノベはどのくらい売れたのか。
実際のところ公表しているとはないと思うので、オリコンのランキングに絡んだ分の作品だけ合計を出してみました。
ただし、作品ごとに計算すると大変なので、レーベル別にしてあります。
なお、データ自体は4月からありましたので、2008年4月から12月までの統計です。
その前に以下に2009年のランキングを

2009年1月12日付
2009年1月19日付
2009年1月26日付
2009年2月2日付
2009年2月9日付
2009年2月16日付

オリコンのランキングは毎週BEST30を発表してますが、約1年見てきて以下の傾向があるようです。
1.ランキングに載る売り上げ部数は10000部。
なにぶん文庫全体での売り上げなので、それなり売れないとランキングに載りません。
どうやら、30位とランキング外になる31位はたいたい「8000部〜10000部」がラインのようです。
ただし、本自体の売り上げが伸びない月もありました。
ランキングに載った最低発行部数の作品は、『BLACK BLOOD BROTHERS 9 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 黒蛇接近―』*1でした。
2.40000部超えるとBEST5に入れる可能盛大。
40000部超えるとBEST5に食い込める可能性がぐっと高くなります。
今まで40000部超えて、ランク外の作品はなく、最低でもBEST5入りです。
週間売り上げで一番多い発行部数を誇ったのは、『彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』で、週間売り上げが6万部を超えてます。
ちなみに、一週間あたりで6万部を超えた作品は、調査した中では『彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』*2だけです。
3.ラノベ作品が1位を取るのは至難の業
最新ランクで『灼眼のシャナ<18>』が栄えある1位を取りましたが、これが初めてではないのです。
ごめんなさい、当該日記にうそ書きました
調べたところ、今回のシャナ以外に3シリーズ、4作品の1位がありました。
彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる 12月第2週(約68000部)
彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく 5月2週目(約50000部)
ゼロの使い魔14 水都市の聖女 5月4週目(約50000部)
・ミロクの巡礼 グイン・サーガ (124) 12月3週目(約46000部)

以上の3シリーズ4作品が1位を取っています。
今回のシャナで4シリーズ5作品目です。
4.ラノベは初動しか売れない
よほどの人気作品でも、長期にわたって売れることはまれです。
もちろん1冊ぐらいは売れているのでしょうが、オリコンランキングに毎週入り続ける作品は、ラノベでは皆無です。
なお、比較として『西の魔女が死んだ』『容疑者Xの献身』は約20週連続ランクインで、『容疑者Xの献身』については8週連続で1位を取っています。
ラノベで最高連続ランクインした作品は『彩雲国シリーズ』*3のみで、4週間ランクインしました。
これが最高で、それ以外は1週間で消えたものも多かったです。


それでは統計結果です。
月別レーベルごとの発行部数合計

電撃が一番多いです。
まぁ、分かりきってますが・・・。
意外なのが、ハヤカワ文庫JAが2ヶ月ごとに売れてます。
これはグインサーガが、ちょうど2ヶ月ごとに刊行されている月と連動しています。
ハヤカワ文庫JAグインサーガ以外のランクインはないので、いかにグインサーガが売れているか分かります。
月別レーベルごとの売り上げ(代表レーベル)

メジャーレーベルだけにしたグラフです。
電撃以外の発行部数の少なさが目立ちます。
もう電撃の一人勝ちですね。
特に老舗の角川スニーカー文庫は目も当てられない悲惨さ・・・・・。
今回分かったのですが、電撃は『とらドラ!』『とある魔術の禁書目録』『灼眼のシャナ』『狼と香辛料』『キノの旅』が軒並み初動で4万部を超え、『乃木坂春香の秘密』『メグとセロン』が2万部超えると同時に、コンスタントに1万部超える作品*4が、これら以外に10作品程度あるのです。
これらをうまく調整してローテーションを組ませており、毎月一定の発行部数を確保しています。
電撃文庫の2008年10月が異様に発行部数が多いのは、この月に『キノの旅12』『とらドラ!9』が4万部を超え(キノは5万5千部)、『境界線上のホライゾン』が2万部を超えているためです。
これら以外に1万部を超える作品が6作品あり、この10月は電撃文庫だけで9作品がランクインする怒涛の月でした。
逆に一番絶不調だった2008年4月は、ランクイン作品はわずか2作品でした。
電撃文庫でさえこれだけばらつきがあるんですね。
人気作品で客の目を惹き、他の作品に手を出させる作戦でしょうね。
これで、電撃文庫というレーベルそのものを価値ある存在にしています。
これが電撃スタイルとでも言うのですかね。
作品レベルの引き上げと同時に、レーベルに魅力を持たせる。
そうしないと、どんないい作品でもレーベル単位で嫌われたらおしまいですから・・・。


たいして、他のレーベルは看板作家と看板作品に頼りきりの状況です。
私自身好調と思っていたMF文庫Jですが、調べてみると『ゼロの使い魔』『けんぷファー』『えむえむ!』以外入ってきてません。
富士見ファンタジアも『スレイヤーズ』『魔法戦士リウィ』『伝説の勇者の伝説』『鋼殻のレギオス』だけです。
最近『生徒会の一存』シリーズがありますが、これも4冊目の『生徒会の日常』が始めてランクインした以外は、初動での売り上げはパットしません。*5
ファミ通文庫は『バカとテストと召喚獣』『文学少女』。
角川スニーカーにいたっては『レンタルマギカ』以外はどうにも出てこない状況。
レーベルごと累計売り上げ

レーベルの発行部数を、毎月累計して行ったグラフです。
一目瞭然、電撃文庫の異常な右肩上がりです。
2位以下のレーベルに完全に差をつけています。
実際にはランクインしなかった作品や、ランク外でもちょこちょこと売れているので、各レーベルともこの2〜3倍は累計はあると思います。
しかし、電撃もすごいのですが、2位には意外にも『角川ビーンズ文庫』が入ってます。
3位はハヤカワ文庫JAという結果です。
ハヤカワ文庫JAグインサーガ一本ですが、角川ビーンズ文庫は『彩雲国物語』『マのつくシリーズ』『少年陰陽師』の3シリーズが毎回4万部を超えてます。
彩雲国物語』は10万部超えです。
レーベルごと累計売り上げ(メジャーレーベル)

電撃が100万部近く行ってるのに対して、2位の富士見ファンタジアでさえ1/5の約20万部。

角川スニーカーは10万部行ってません・・・。
余りにも電撃のすごさが伺える結果となりました。
そして、ここではあまり触れてませんが、コバルト文庫も善戦しています。
富士見ファンタジア文庫MF文庫Jといい勝負しています。
電撃がすごいという結果以上に、女性向けレーベルの検討振りが伺える、2008年のラノベ売上実績でした。


はたして2009年は一体どうなるか?
富士見ファンタジア文庫の逆襲なるか。
他の文庫が追い上げるのか?


それより電撃以外も、もっとがんばりましょう。<<

*1:2008年6月刊行で、約6900部でギリギリ30位

*2:彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』が12月第2週目に記録した約68000部

*3:調査期間中は2冊刊行されているが、2冊とも4週間連続ランクイン

*4:ラッキーチャンス!、C3(シーキューブ)、アスラクラインオオカミさんシリーズガンパレードマーチ俺の妹がこんなに可愛いわけがない、などがコンスタントに1万部を超えている

*5:生徒会の一存シリーズは、日常発刊後急速に売れ出した。今では50万部行きそうな勢い