ライトノベル『シュガーダーク 埋められた闇と少女』

えん罪により逮捕された少年ムオルは、強制労役で送り込まれた共同霊園で、自らを墓守と名乗る、美少女メリアと出逢う。
死なない怪物“ザ・ダーク”を埋める穴を掘る日々のなかムオルは彼女に惹かれていくが――。

久しぶりのスニーカー大賞作品


ハルヒ以来のスニーカー大賞作品。
流石に大賞作品だけの、その文筆、構成力、表現力は他の新人さんなんかとは一味違います。


読み終えて率直な感想ですが、荒削りながらも、その構成と世界観に魅力を感じた作風であったと思います。
一定以上のレベルを超えていると思う良作ではありますが・・・


圧倒的ともいえる文章力には驚きましたが、ひとつだけ気になったのは、この作品を読んでいく際に『あれ?この作品何処に向かうんだろう?』と思ってしまったことです。
どうも最初から真ん中くらいまでは物語の説明的(設定的な?)な部分も感じられたところはあります。
中盤から終盤手前くらいまでは、主人公が一体この状況をどう打開しようとするのか、そこに向うところになってます。
結果として『この作品はこういう方向に向うのか』と納得できる展開になり、きちんとまとめられていて、最後の最後で上手に終わらせています。
ですが、その収束部分に到達するまでの長さに対して、クライマックスがボリューム感がわずかに足りなくて、最後の最後は上手くまとめたのだが、急ぎ足だったと思える節が見られないでもない。
ここが、もう少しひねりがほしかったかな。


ただし、総じてかなりの作品であるとは思います。
ハルヒを初めて読んだとき以上の衝撃は感じられませんでしたが、かなりの高レベルの作品だと思います。
また、この作家さんの今後も期待できると思います。
次回作も楽しみにしていますが、あの終わり方でシュガーダークが続けられるとは思えないのですが?
それはどうするんだ。

総合評価:★★★★