VS!!―正義の味方を倒すには

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

VS!!―正義の味方を倒すには (電撃文庫)

意外と少ないようで結構ある「悪の組織」視点での作品。
これもそのうちの一つ。


ところで、悪の組織視点の物語というとどういうわけか「戦闘員」に人気があるようで、この作品も戦闘員が如何に正義の味方に挑むかを主眼として置いている。
しかしながら、"戦闘員=弱い"という図式は不思議と崩れないのですね。
ラノベといえば、主人公は何かの能力、精神、魅力などで成長するも最後で何かを勝ち取る物が多いです。
そう、つまりはこの手の物語を描くと、どうしても"戦闘員=主人公=勝利”という矛盾した流れになります。
なので、前にあった作品は「ハイパー戦闘員に改造」とか「実は悪の幹部と正義の味方の間に生まれた子供」とかそういう設定をもちこんだりしないと、最後のクライマックスは敵役である正義の味方にすべてかっさわれることになる。
そんな物語の矛盾に於いて、この作品は最初から最後まで"戦闘員=弱い"を貫いた作品でした。
そんな戦闘員である戦闘員21号が如何にして正義の味方に挑むのか?
そしてその後どうなるのか?


そういった展開で魅せる作品でした。