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    北米発のアニメ・マンガニュースを紹介するブログです。


OTAKU UNITE!
実はマンガ専門の出版エージェントをやってます。


自分のクライアントさんのマンガだけでなく
色々な海外マンガを紹介していきたいです。



『メガトーキョー』(講談社BOX刊)
海外マンガの翻訳もしています。


海外マンガ事情についても調べています。
情報歓迎です!



米アニメファンを描いたドキュメンタリー映画 『OTAKU UNITE!』の字幕も担当しました。
監督からこのブログへの独占メッセージ。

2006-02-03

アメリカで2次創作物に未来はあるか?

ファンによる2次創作物は日本でも色々物議をかもしてきたが、アメリカでも、アニメ・マンガファンの増加に伴い同様の問題が起きつつあるようだ。

毎年夏にアメリカボルチモアで開催されている大手アニメコンベンションOTAKONが、次回から新たに2次創作物を禁止する、という噂がたったことで、アニメファンの間で議論が巻き起こった。

この噂は米大手アニメニュースサイトANNが、"Otakon Enforces Copyright at Artists' Alley"(1月28日)の記事で伝えたものだが、後に同サイトがすぐに"Addendum: Otakon Fanart Policy"で「まだこの方針は確定でない」と訂正文を掲載するなど、真偽がハッキリせず、余計議論に拍車がかかっていた。(アニメアニメ!さんが「米OTAKONから締め出される 版権物同人活動(1/29)」で、この記事を取り上げている。)

ついに昨日OTAKONがその噂について正式に否定、2次創作物に関して全面的に禁止することはないと発表した。

「アーティスト・アレイに関する噂について」(OTAKON公式サイトより要約)

OTAKONは、2次創作物を全面的に禁止することを検討したこともなければ、禁止を実施する予定も無い。

ただ規則は厳しくする。OTAKONのアーティスト・アレイで販売を許可されるものに関しては、法律専門家の検討が終わり次第、具体的でより明確なガイドを発表する予定である。参加者(アーティスト、コン出席者の両方)の多くにとって不満の無い内容になるはずだ。

このような規則の変化は“公正使用”*1を拡大解釈しようとする者や、個人的な利益のために版権物を悪用しようとする者によって起こされる問題を明らかにするものであり、アーティストや版権物の権利者の利益を守るだけでなく、健康的なファン活動を奨励するOTAKONの権利を守ることになる。

もともとアメリカアニメコンベンションは、日本のコミケなどと違い、ゲストの講演、企業のパネル・ディスカッション、出版社や販売店のブースがメインで、ファンやプロによるオリジナル作品及び2次創作物販売は会場の「アーティスト・アレイ」と呼ばれる限られた場所で行われている。しかし、近年のアニメ・マンガのファンによる2次創作物人気で、その「アーティスト・アレイ」は年々規模を大きくしている、ということだ。

アニメアニメ!さんは上の記事で、

 日本とアメリカヨーロッパなどのアニメ・マンガイベントの最も大きな違いは、日本は同人誌即売が中心なのに対して、欧米はゲスト講演やコスプレショーなどが中心なことである。実際に、日本ほどマンガ同人誌の活動が活発な国はないであろう。

 この理由は不明だが、そのひとつに海外ではアニメやマンガのキャラクターの権利保有者が、同人誌活動に対して日本より厳しい姿勢を持っていることにあるのでないかとの指摘もある。

 作品の生まれた日本で同人誌活動による作品・キャラクターが、ほとんど黙認されている一方で、海外でそれらが禁止されるという状況は興味深い。そして、いわゆる版権物の同人誌なしでも海外の同人活動が活発になるのか、それとも、日本の同人誌イベントの盛況は日本だけの特異な存在で終わるのかも気になるところだ。

と、見解を述べられている。確かにアメリカ著作権侵害に関する考え方には、日本の比ではない厳しさがあると思う。学校教育の場でも作文、論文の書き方と同時に著作権の問題が取り上げられ、大学にいたっては「同じ6〜7単語の連なりが出てきたら盗作とみなす」とし、実際に停学・退学になる生徒や、職を追われる学者が後を絶たないらしい。

日本でコミケなどの2次創作物発売の場の存在が、業界全体の発展に繋がっているのは間違いないことを考えると、アメリカの2次創作物に関する扱いがこれからどうなっていくかは本当に興味深いところ。

↓『マンガと著作権パロディと引用と同人誌と−』は、コミケ主催者米沢嘉博村上知彦夏目房之介いしかわじゅん竹熊健太郎とりみき高河ゆんらの参加した「マンガと著作権に関するシンポジウム」をまとめた本。2001年出版と少し古いが、とりあえずマンガと著作権の問題点を理解する第一歩として、わかり易いのでお勧めだ。

マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)

マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)

↓こちらはちょっと違って、PCユーザーのための実際的な著作権解説本。

ちなみに「2次創作物」という“ファンの創作するもの”の総称に対応する英語は今のところないようだ。「fan fiction」→「ファン・フィクション」、「fan art」→「ファン・アート」と、小説と絵がそれぞれ別の名前で呼ばれている。

追記:3月8日にこの記事の続報「アメリカで2次創作物に未来はあるか?続報」があります。

*1:訳者注:無許可で著作権のある著作物を使用しても、批判、報道、教育、研究などのためであるとき、著作権侵害とならないとする法理論(アルク英辞朗"fair use"より。)

tadashitadashi 2006/02/03 17:05 OTAKONのコメントをどう解釈すればいいのか悩んでいたので助かりました。
コメントは「当初のアーティストアレイでの2次創作物の販売は認めないが、発表については検討中」から、「2次創作物の発表は認めるが、アーティストアレイでの販売については法的なガイドラインを作る」に変わったと解釈しました。
しかし、これって言い方を変えただけでほとんど同じことを言っているような気がします。
アメリカ人はどう思っているのでしょうか?

ceenaceena 2006/02/03 18:16 tadashiさん、サイトからたくさん引用してしまって、すいません!

>言い方を変えただけでほとんど同じことを言っているような気がします。
そうですよね。

ANNの第1報「アーティスト・アレイでの2次創作物の販売は認めないが、展示については検討中」から、第2報「この件ではまだ何も決定事項ではない」となり、今回の公式発表では「全面的には禁止しないが、これから法的なことも含めて最終ガイドラインを発表する」という流れになっているので、“全面的に禁止しない”がミソな気がします。つまり結局「その場での展示は許可するが、配布、特に販売によって利益を得る行為は許可しない方針」という感じになるんじゃないでしょうか?予想ですけれど。

ただANNの掲示板ではOTAKONのスタッフも登場して色々議論されています。当初はOTAKONスタッフを一方的に責める意見も多かったようですが、「2次創作物」はグレーゾーン(または真っ黒)という意見も多く出始めたようです。権利を保有する会社によっては“見て見ぬふり”をしてくれていたなど、会社によっても対応が違うことがスタッフから報告されていたりしています。

saisai 2006/02/03 18:57 アメリカでは日本には少ない二次創作物としてAMVが盛んですが、これもこの先どうなるか、注目ですね。こっちはダイレクトにアメリカの創作者の権利を侵害しているともいえますし。

お茶妖精お茶妖精 2006/02/03 19:16 この問題はどんどん発展するでしょうね。チャールズ・シュルツ氏(スヌーピーの作者)の半生を綴った「スヌーピーと生きる」という本で得た知識ですが、たとえ幼稚園の展示物でも全て警告文を送ってやめさせないと法的にまずいことになるそうです。裁判大国でファン活動がどうなるのか、すごく興味があります。まあ、向こうから見れば日本のコミケの方がかなり異常なんでしょうけど(笑)

もたもた 2006/02/03 20:54 最近は海外のオタク系サイトで”dojinshi”や”dojin”という単語をよく見かけますね。
Wikipediaにも10ヶ国語で載っていたりして。
二次創作の同人誌は”fanzine”と呼ぶのかと思っていましたが。

ceenaceena 2006/02/04 00:06 saiさん。
確かにMVの問題もありますね。昔ほど堂々と売買はされていないようですけど、ネット上にはかなりアップされていますし。同じような問題としてファンサブの問題もあります。ただ今回に限って言えばOTAKONは「ファンによる2次創作はファン活動の一環」として認めた上で、主に「2次創作物の売買で利益を得る行為」が問題であるという立場をとっているようです。(←ANN掲示板や、公式発表を読んだ範囲の私の理解ですが。)

お茶妖精さん。
>たとえ幼稚園の展示物でも全て警告文を送ってやめさせないと
>法的にまずいことになるそうです。
はぁ〜、スゴイですね。

もたさん。
>二次創作の同人誌は”fanzine”と呼ぶのかと思っていましたが。
”fanzine”でも通じると思いますよ。ただアニメ・マンガファンの間では”dojinshi”の方が通りが良いと思いますけれど。

2929 2006/02/04 03:26 米の教えってフリーダムじゃないんですか?

横濱kabitan横濱kabitan 2006/02/04 04:05  日本人と同人、共同制作したり完全オリジナル作品で「日米おたく、お国自慢(自国の文化を紹介し合う)マンガ」なんかあったら是非買いたいですね。そういうのありますか?

こるちこるち 2006/02/04 08:25 うーん、好きなマンガやアニメのキャラを描くのって楽しいですもんねぇ。著作権も大事だけど、ファンの活動と海賊版とは別物と考えるって無理なんですかね。とはいえ、いまだコミケに行ったことがないんですが…行ってみたい…けどちょっとコワイみたいな。

紀伊国屋紀伊国屋 2006/02/04 09:30  もし現在のように版権が厳格に守られ2次使用が禁止された場合、シェークスピアは生まれただろうか?
 シェークスピアは一人の人間が創作するには無理なほどの多くの作品を残している。そられは舞台を多く回ったシェークスピアが他人の優れた作品を取り入れたりして書き留めたものをアレンジして生まれたことが記録からでもわかってい
る。
 もし完全なる独創性のみを価値のあるものとして、2次使用やアレンジが認められないことになった場合、我々は第2第3の未来のシェークスピアたちの才能をつぶしてしまうことになるのではないか?
 模倣やアレンジ、2次使用が優れた作品を生む可能性を持つのに、否定した場合の損失は思う以上に大きいのではないか。

スカポン太スカポン太 2006/02/05 06:24 コンベンションとフリーマーケットの違いですね。
otakon主催側の気持ちはわかる気がします。さすがに企業を目の前にして2次創作ものを「販売」してよ〜とは言えないでしょう。
ファン活動抑制とはおそらく論点が違うつもりだったと思います。
自分が見ているかぎりfanzineとdojinshiは違うニュアンスで使われていますね。
dojinshiはむしろfancomic。「誌」にこだわらないで、ファンが描いた2次創作マンガすべてをそう呼んでいます。webにはそれこそたくさんありますね。
日米合作同人誌といえば、
http://216.105.63.117/index.asp?PageAction=VIEWPROD&ProdID=4
こんなのもありますね。
最近はネットのおかげで国を超えた絵師さん同士の交流も多くなってきているので、もっと増えるでしょう。

ceenaceena 2006/02/05 23:27 29さん。
アメリカは知財に関しては厳しい国だと思いますし、「Freedom is not free.」ですからね。(←ちょっと違うか…)

横濱kabitanさん。
↑上でスカポン太さんが、日米合作dojinshiを紹介してくださってます。

こるちさん。
>いまだコミケに行ったことがないんですが…
>行ってみたい…けどちょっとコワイみたいな。
何事も経験ですから(笑)

紀伊国屋さん。
2次創作とクリエイティビティ、そして創作者の権利の問題は単純に善悪や、是か非かで割り切れる問題ではありませんね。

スカポン太さん。
>コンベンションとフリーマーケットの違いですね。
そうですね。日本のコミケなどの即売会と、SFのファンドムなどで長い歴史を持つコンベンションはそもそも成り立ちや目的も違う感じですし。

>自分が見ているかぎりfanzineとdojinshiは違うニュアンスで
>使われていますね。
なるほど。勉強になります。

>米合作同人誌
面白いですねー。是非読んでみたい。

横濱kabitan横濱kabitan 2006/02/07 04:59  私、手塚アニメ「火の鳥2772」ファンサイトを開設してロシアの人とそれなりにお付き合いして貰っていてその人のサイトに手塚プロの公式サイトに載った私の(「2772」に出てくる女性ロボット)オルガを書いた絵を掲載してもらって居ます。