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    北米発のアニメ・マンガニュースを紹介するブログです。


OTAKU UNITE!
実はマンガ専門の出版エージェントをやってます。


自分のクライアントさんのマンガだけでなく
色々な海外マンガを紹介していきたいです。



『メガトーキョー』(講談社BOX刊)
海外マンガの翻訳もしています。


海外マンガ事情についても調べています。
情報歓迎です!



米アニメファンを描いたドキュメンタリー映画 『OTAKU UNITE!』の字幕も担当しました。
監督からこのブログへの独占メッセージ。

2006-12-30

今年も1年お世話になりました。

1年、あっと言う間でしたね。

このブログを読んでくださった皆さま方、本当にありがとうございました。

年末年始もはりきって仕事であります。コミケには仕事がらみで明日、ちょっとだけ行くかもしれません。

年末の更新はコレで終わりです。来年はできれば4日からブログを更新したいと思っています。

今年もお世話になりました。来年も宜しくお願い致します。

皆さま、良いお年をお迎えください。

ceena

2006-12-29

MSNの今年度のTV番組回顧記事で、「2006年度のベストアニメ」。

MSN Entertainmentが「2006年度の記憶に残るTV番組(2006 year in TV Unforgettable Moments)」という記事で、2006年度のTV番組を振り返っているが、その中で1本だけ日本アニメが取り上げられている。

そのアニメは『サムライ7』。付けられたコメントは「2006年度のベスト新作アニメ」だった。

2006年度のDVD売上などはこれから数字が出てくると思うが、『サムライ7』は北米アニメファンの評判も良く、DVDの売上もかなり良かった作品。黒澤明監督の超有名作品が原作ということもあり、アニメファンでなくとも楽しめる作品だったかもしれない。

SAMURAI 7 第1巻 (初回限定版) [DVD]

SAMURAI 7 第1巻 (初回限定版) [DVD]

2006-12-28

アメリカ11月・コミックス専門店での月間売上トップ50。

Comic Book Resourcesの12月19日の記事”TOP SALES CHARTS FOR ACTUAL SALES IN NOVEMBER, 2006”より。

今月の上位にはリストの常連さんの名前が多く上がっている。一般書店でもよく売れている『鋼の錬金術師』『ネギま!』はコミックス専門店でもよく売れているし、『デスノート』はどんどん順位を上げてきたし、小池・小島コンビの作品やBLは相変わらず専門店で強い。『トライガン』は、カトゥーンネットワークで繰り返し放送されたアニメ人気のおかげで、人気が継続中。

Trigun Maximum Volume 10: Wolfwood (Trigun Maximum (Graphic Novels))

Trigun Maximum Volume 10: Wolfwood (Trigun Maximum (Graphic Novels))

<11月のトップ50>

(カッコ内の数字はグラフィック・ノベル部門ベスト100圏内の順位)

Trinity Blood Volume 1

01(14)鋼の錬金術師 10巻

02(16)デスノート 8巻

03(22)魔法先生ネギま! 12巻

04(25)トライガンMAXIMUM 10巻

05(26)半蔵の門 3巻

06(27)鋼鉄のガールフレンド 3巻

07(28)ツバサ 11巻Ranma 1/2, Vol. 36

08(30)トリニティ・ブラッド 1巻

09(31)らんま1/2 36巻

10(34)DEARS 8巻

11(53)舞HiME 1巻

12(66)SAMURAI DEEPER KYO 20巻

13(72)黒の騎士 2巻

14(76)J BOY(BLアンソロジーKissing

15(78)KISSING

16(79)あぁっ女神さまっ 3巻

17(81)天野喜孝画集 1巻

18(82)げんしけん 7巻

19(83)学園ヘヴン

20(84)ローズヒップゼロ1巻

21(85)PRIESTRose Hip Zero 1*1 15巻

22(86)頭文字D 24巻

23(87)ふしぎ遊戯玄武開伝〜 5巻

24(88)ラブモード

25(90)プリンセス・プリンセス 1巻

26(95)ゲットバッカーズ 16巻

27(98)水滸伝III 11巻

註:

上のリストは、アメリカのダイアモンドという取次ぎの資料を集計したコミックス専門店の「11月の月間マンガ売上ベスト50」。これには大手一般書店、ネット書店スーパーマーケット図書館への売上は含まれていない。マンガの全売上中、専門店の売上が占める割合はほぼ15%ぐらいらしい。

ブログ関連エントリー:「アメリカ10月・コミックス専門店での月間売上トップ50」

*1:『PRIEST』→韓国産マンガ。

2006-12-25

アマゾンの選ぶ2006年ベストDVD100に日本のアニメDVDが1本、ランクイン。

アマゾンの編集者たちによって選ばれた「アマゾンの選ぶ、2006年に北米で発売されたベストDVD100」が発表された。これは売上のベスト100ではなく、アマゾンの複数の編集たちが喧々諤々たる議論を重ねた結果決めたものだとか。

この「2006年ベストDVD100」リストに唯一入った日本アニメ鋼の錬金術師シャンバラを征く者。順位は85位

ちなみに同リストの1位は『ウォーク・ザ・ライン』、2位『ヒストリー・オブ・バイオレンス』、3位『LOST:セカンドシーズン』で、6位には黒澤明の『七人の侍』のコレクターズパックが入っている。

鋼の錬金術師シャンバラを征く者DVD北米ポップカルチャー専門サイトNewsramaでも、「長編アニメーションDVDカテゴリーで2006年のベストDVDに選ばれている。同じくNewsramaでは日本のアニメ『岩窟王』TVアニメーションシリーズDVD部門でベストDVDに選ばれた。

「ベストTVアニメーションシリーズ(大人向け)」と「ベストTVアニメーションシリーズ(家族向け)」部門で選ばれたのはそれぞれ、アメリカアニメーションブーンドックス』と『The Avater: The Last Airbender』。両方とも日本アニメに強く影響受けたと言われる作品だ。

アマゾンの選ぶ2006年ベストDVDで85位。『鋼の錬金術師シャンバラを征く者』。

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版) [DVD]

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 (通常版) [DVD]

アマゾンの選ぶ2006年ベストDVD3位。『LOSTセカンドシーズン』アドベンチャー系ゲームが好きなら必ずはまる?わたしははまりました。

↓NewsramaでベストTVアニメシリーズ(大人向け)に選ばれた『ブーンドックス』の原作日本語翻訳版。めちゃくちゃこのアニメDVD欲しいんですけど、日本語版は出ないかなぁ?

ブーンドックス

ブーンドックス

2006-12-23

USA Today発表12月第2週目・一般書籍売上トップ150リスト:日本のマンガ2作品、ランクイン。

一般書店で売られた全ての本(マンガを含む)を対象にしたベストセラーリストである、USA Today発表の「一般書籍売上トップ150リスト」

そのリストの「12月第2週目(12月11日−17日)」に、日本のマンガが2作品ランクインした。一つはフルーツバスケット』最新刊15巻108位で、もう一つは先週と同じくナルト』最新刊12巻。初登場時は147位、第2週目だった先週は67位と順調に順位を上げていたが、今週は133位

ナルト』は一つ前の11巻がこのベストセラーリストでのマンガの最高順位記録・21位をうちたてていただけに、もう少し伸びると思っていたが意外にあっさり落ちてしまった。この分だと来週にはランク外か。

ちなみにこのリストで『ナルト』11巻の21位の記録に続く高い順位は『フルーツバスケット』14巻の24位。連続ランクイン記録は『ナルト』10巻の持つ10週連続。次点は『ナルト』11巻の9週連続だ。

↓英語版『フルーツバスケット』最新刊15巻。

Fruits Basket Volume 15

Fruits Basket Volume 15

↓英語版『ナルト』最新刊12巻。

Naruto, Vol. 12

Naruto, Vol. 12

ブログ関連エントリー:「USA Today発表12月第1週目・一般書籍売上トップ150リスト:『ナルト』最新刊、順位を上げる」

2006-12-22

本の専門誌PublishersWeeklyによる「2006年度北米で発売されたベスト10マンガ」。

本の専門誌PublishersWeekly「2006年度ベスト10マンガ」の発表があった。記事内には特に明記されていないが、これは2006年の売上トップ10ではなく、同紙でマンガコーナーを担当するカイ-ミン・チャ氏による「2006年に北米で発売されたマンガの中のベストマンガのトップ10」ということのようだ。

英語圏のプロ・アマを含めたマンガ批評家や出版社のブログ界隈では、このベスト10に賛否両論が渦巻いている(←最近こういうこと何度も書いてる気が。でもまぁ事実だから仕方ないか。)でもベスト10というのはそう言うもの。どの人が選んだベスト10でも、自分のベスト10と一致したり、全員の賛同は得られるなんて事はない。「自分と意見が違っても、ベスト10を見て新しいマンガに出会うってのはいいよね」というコラムニストブリジッドさんに賛成して、ベスト10という年末年始の風物詩を楽しもう。

それではPublishersWeekly紙の今年のベストマンガとその解説の要約をどうぞ。

10位『Blood Alone』(高野真之

この吸血鬼少女とその保護者の青年の物語で、新興出版社であるInfinity Studioesは金脈を掘り当てた。レイアウトや絵へのこの作者の独創的な取り組みは、多くの読者にとって新鮮。

Blood Alone 1

Blood Alone 1

9位『Boys of Summer』(チャック・オースティン原作・大塚弘樹画)

アメリカ的な良さを持ったマンガ。大学生のバド・ウォーターストンは女の子好きの野球好き。原作のオースティンは、お色気あり感動ありの脚本でマウンドに上がり(←訳者註:この作品は野球マンガです)、絵を担当する大塚はパンティショットを出し惜しみすることなく、ちょっと刺激的でオシャレなマンガに仕上げている。

Boys of Summer Volume 1

Boys of Summer Volume 1

8位『裁かれし者』(本間アキラ)

BLきれいごとを描くマンガばかりではない。『裁かれし者』は新人刑事と汚職政治家の、とりつかれたかのような強い愛の物語。凶暴ではないが、暗い愛の物語が発売されたことで、成人向けBLマンガのストーリーの可能性が更に開かれた。

The Judged

The Judged

7位『デスノート』(大場つぐみ原作・小畑健画)

1巻が発売されたのは2005年だが、それ以来『デスノート』は北米でもファンを増やし続けており、2巻と3巻は増刷になった。実写映画が日本で公開、香港の映画祭でも上映されている。現在では、イタリアドイツフランスなどヨーロッパの国々が映画獲得に動いている。

Death Note, Vol. 1

Death Note, Vol. 1

6位『プロジェクトX:日清カップヌードル編』(生田正脚本・木村直巳画)

プロジェクトX』シリーズは日本でのビジネスの様子を描いたビジネスマンガだ。ビジネスマンガと言っても、普通のマンガと同様の情熱で描かれている。『カップヌードル編』は、まさにカップヌードルのように手で持てるマンガというメディアで、歴史とビジネスについて読者に教えてくれる。

Project X - Nissin Cup Noodle

Project X - Nissin Cup Noodle

5位『エアギア』(大暮維人

大暮維人のようにアクションは描くことは他の誰にもできない。身体的エネルギーと流れるような肉体の動きが迫ってくるようなその描写力。読者に東京の郊外の町で飛びまわっている感覚を味あわせてくれる。

Air Gear 2

Air Gear 2

4位『EDEN』(遠藤浩輝

重いストーリーと、軽い専門用語。世紀末後を描いたマンガ『EDEN』はわたしたちの中にあるギーク的なものに訴える。遠藤は小池一夫の教えを忘れずにいるという。それは「キャラクター、キャラクター、キャラクター」だ。その結果『EDEN』は重層的な物語と複雑なキャラクターを持つ、深く味わいのあるマンガとなった。

Eden: It's an Endless World! Volume 1

Eden: It's an Endless World! Volume 1

3位『Punch!』(高田りえ)

少女マンガを読む楽しみを味あわせてくれる作品。親の決めた婚約者から逃れるために偽装の彼氏を連れてくる主人公。でも3人の関係は主人公の思惑通りにいかず、男2人のライバル心はどんどん増していく。

Punch!, Vol. 1

Punch!, Vol. 1

2位『バジリスク甲賀忍法帖〜』(山田風太郎原作・せがわまさき画)

シェイクスピアが『ロミオとジュリエット』を日本の封建時代に設定し、『Xメン』のミュータントのような力を持った忍者の家どうしの物語にしたら、『バジリスク』になったと思わせるような作品。原作本(Del Rey社から発売)とアニメも2006年のヒット作となった。

Basilisk 1: The Kouga Ninja Scrolls

Basilisk 1: The Kouga Ninja Scrolls

1位『The Building Opposite』(ヴァニダ)

2006年に発売された典型的な“ヌーベルマンガ”。若いカップル、年老いたカップル、シングル・マザーとその子供など、1つのアパートに住む住人たちを並行して描いた作品。日常の一こまを切り取ったタイプというよりも、感情を抑制したストーリー重視の物語だ。ユーモア、語られることのない悲劇、純真さを抱える日常を美しく描いている。

The Building Opposite

The Building Opposite

英語圏のマンガブログ界隈でのこのリストへの議論の中心は、1位の『The Building Opposite』。実はこの作品、まだ北米では発売されておらず、フランスでのみ発売された本だという*1アメリカで発売されていないマンガが「北米で発売されたベストマンガのリスト」に入っていることに対する不満は表明されているものの、このマンガに対して英語圏のマンガブロガーたちは興味しんしん。発売するなら今?

他にも、ここ1ヶ月半ほど評論家に絶賛されている手塚治虫『きりひと讃歌』が入っていないとか、ベスト10なのに比較的話題に上ることが少なかった作品が多く入っている、などの点が指摘されているが、色々なジャンルのマンガが万遍なく入っているという点では行き届いたリストだと評価する声もある。

とりあえずわたしは、リスト上の非日本産マンガ2作品のうち『Boys of Summer』はもう持っているので、『The Building Opposite』が英語で発売されたら買ってみることにしよう。

*1:『The Building Opposite』北米未発売:1年ぐらい前から発売予定のカタログには載っていたということだ。しかし実際には発売されていないらしい。

2006-12-21

BLマンガをアメリカで最も早く売り出した出版社の一つ、DMP社のプレジデントへのインタビュー。

本の専門紙PublishersWeeklyによる、アメリカの出版社Digital Manga Publishing(DMP)プレジデントヒカル・ササハラ氏へのインタビュー記事の要約を掲載する。

『ジャンプ』USA版を発売するVIZ講談社系のマンガを主に発売するDel Reyアメリカでの現在のマンガのフォーマットを確立したTokyopop劇画も扱う老舗のDark Horseなどに比べると比較的知名度が低い出版社に思えるが、BLマンガの隆盛でアメリカのマンガ界で最近その存在感を増してきているDMP社。ササハラ氏は業界向けサイトICv2による「マンガ市場で現在最も影響力のある10人」*1の9人目に選ばれている。

DMP社はアメリカBLを最も早く発売し始めた出版社の一つであり、アメリカ市場でのそのジャンルの発展に貢献した。ササハラ氏はマンガ出版以外にも、マンガ情報と関連商品販売サイトAkadotアニメ・マンガ関連の日本ツアーを提供するPop Japan Travel、そしてマンガの描き方をネットで教えるManga Academyを運営している。

DMPは日本の会社ですか?

アメリカの会社です。わたしが1996年に創立しました。今年で10周年です。

10周年を祝う計画は何かありますか?

もし予算が許せばですが、会社の従業員20人全員を日本に連れて行くことを考えています。そのうちの何人かは日本に行ったことがないんです。彼らに日本がどんなにクレージーな国か見せたいですね。

日本でお生まれになったんですか?

わたしは日本で生まれ、日本で育ち、1973年アメリカに来ました。家族で小さなアニメのスタジオを経営していて、父が生きていた時父はよくディズニーの素晴らしさについて語っていました。そこでわたしは父にこう言いました。「アメリカに行って、ディズニーで学んでくる。そして返ってきて仕事を手伝うよ」。なのに私はアメリカに来て、そのまま家には帰らなかったんです。アメリカでは色々なことが起こっていました。60年代の日本はまだ貧しくエキサイティングな場所ではありませんでした。「アメリカに行かなくては」当時はそう思ったのです。

DMPを始めた当初、どのような会社にしようと考えていらっしゃったのでしょうか?

それはこの10年間少しも変わっていません。比較的小さいけれど、唯一無二の会社にしたいということです。フットワークが軽く、常に新しく、クレージーで、VIZやTokyopopのような大きな会社とは別のものを目指しています。それがまさに10年間やってきたことです。そしてまさにそのおかげで、ICv2から最も影響力がある10人に選んでいただけたのだと思います。収益でベストの会社、1年に一番多くの作品を出版した会社になりたいわけではありません。他の会社がやっていない多くのことをやってきたのです。

DMPは出版社という枠には収まりませんね。旅行サービスに関して話していただけますか?

テレビでたくさんのアメリカ人がアニメ・エキスポ(コンベンション)にコスプレをして参加しているのを見ました。そこでわたしはPop Japan Travelで、アメリカからアニメ、マンガ、ゲームのファンを日本に連れて行くツアーを始めたのです。東京の街を歩き、アニメ、マンガ、ゲーム関連の買物をする。普通ならファンが入れないような有名なアニメスタジオ見学もツアーに入れました。わたしの家族はまだ東京アニメスタジオを経営しているので、知り合いのスタジオがあるのです。ファンはクリエーターたちと話し、時々は夕食を一緒に食べ、サインをもらうこともできます。今年でツアーを始めて3年になりますが、毎回ツアーは完売しています。日本へのツアーを提供している出版社は他にはありません。

DMPのBL作品や他のマンガ作品についてお聞きしたいと思います。

ある程度の年になるまで、BLというジャンルがあることを知りませんでした。徳間書店の社長がわたしに「同性愛を扱ったマンガ」だと教えてくれ、最も利益の上がるジャンルだと言ったのです。日本ではこのジャンルで30年以上ビジネスが成り立っています。5年から10年も続くものには何かがあると思うし、オタク心理は世界中どこでも同じだと思います。同じジャンクフード、同じテレビ番組、同じゲーム、同じマンガが好きなんです。もし日本で人気があるなら、アメリカでも同じだと思いました。

初期のBL作品の一つ『その指だけが知っている』は瞬く間に売れて、宣伝もせずに1万2千部が出ました。「これには何かある」そう思い、その市場性のチェックもせずにBLマンガを5作品すぐさま手に入れました。そしてその全部がとても良く売れたのです。こう言った人たちもいました。「同性愛マンガで利益を得ようとすれば、ポルノの会社だと思われるぞ。」でもわたしは気にしませんでした。性的に激しすぎる表現のある作品は発売しないように気をつけていて、発売しているのは全て比較的ソフトなポルノ的表現のある作品ばかりです。

ただ3年間BLマンガを発売した後、社内で大きな議論が交わされました。そしてわたしたちは801 MediaというハードコアBLを発売する会社を立ち上げることにしました。801 Mediaの本は一般書店には並びません。オンライン書店か、コミックス専門店です。

Akadotでは業界のニュースを配信したり、関連商品の販売も行っていますね。DMPはマンガを輸入するだけでなく、日本のポップカルチャーへの文化的理解を広めようとしているように見えます。

我が社は小さく、競争力を持つためには何かユニークなことをしなければなりませんでした。『プロジェクトX』などのノンフィクションエジソンアンネ・フランクなどの偉人を扱ったマンガシリーズの出版がそうです。親の多くはマンガは子供の頭を悪くすると考えているようですが、その考えを変えていきたいと思っています。

ペンギン社のためにマンガの翻訳などを担当する契約を結んでいましたが、その契約はキャンセルされました。アメリカでのマンガの方向性にメインストリームの出版社はどのように影響を与えるとお考えですか?

ペンギン社との契約はうまく行きませんでしたが、大手出版社と契約を結ぶことでは、我が社も利益を得ることができると思います。伝統的な大手出版社の意向は確かにマンガの方向性を変えるとは思いますが、マンガをもっと大きな産業に成長させるとも思います。ペンギン社だけでなく、ランダムハウスやハーパー・コリンズなどの大手もマンガの出版に乗り出しています。マンガは一時的な産業ではありません。大手一般書店にはあんなに大きなマンガコーナーがあるんですよ。

マンガのライセンスを扱い始めた当初、わたしは勘違いをしていました。日本では大手出版社だけが良い作品を持っている。大きな出版社は従業員の人数や資本金だけを見て会社を判断する。当時我が社には10人しか従業員がいなくて、わたしはいくつかの中小の出版社に声をかけ、とても良くしていただきました。その中小の出版社は素晴らしい作品を持っていて、わたしたちと同じ立場にありました。わたし達は助け合ってビジネスを進め、とても良い相乗効果が得られたと思います。現在、中規模の出版社3、4社とお付き合いさせていただいていますが、出版する本には自分たちの会社のロゴに加えてその出版社のロゴも必ず載せています。

将来マンガ市場はどうなると思いますか?

市場は飽和状態で、売上は下降すると見ている人もいますが、それは間違っていると思います。日本でもアメリカでも若者の考えていることはとても似ているんです。アメリカから日本に行くのも昔よりもっと簡単です。わたしがアメリカに来た時、4年間働いてお金をためなければなりませんでしたが、今はバイトをすれば600ドルの往復チケットが買えるお金を十分に稼ぐことができます。これからもマンガ市場は広がって、成長していくでしょう。

日本の成人向けマンガを出版するIcarus Publishing社のサイモン・ジョーンズ氏が、自分のブログ(←注意!成人向けコンテンツあり!)でこのインタビューの興味深い点を3つ挙げている。

  • アメリカでのBLマンガの発売は市場の需要によって行われたのではなく、徳間書店の社長による直接の示唆が元になっていること。
  • 801 Mediaの出すハードコアBLは一般書店には置かない。オンラインか専門店でのみの販売。
  • なかなか出版部数が出ることの無いマンガ出版界で、プレジデントが『その指だけが知っている』が1万2千部売れたとハッキリ言っていること。

エロマンガを出版する立場にいるジョーンズ氏は「もしBL軍団とエロ軍団が戦争したら、エロ軍団の負けだぁ」と嘆いている。つまり男性向けエロマンガの発売部数の方が低いということらしい。

わたしも個人的にハードコアBLは一般書店に置かない選択は正しいと思うな。

↓宣伝無しで1万2千部売れた英語版『その指だけが知っている』1巻。

*1:「マンガ市場で現在最も影響力のある10人」:当ブログ「米大手出版社マンガ事業参入と、その責任者に就任した大手書店グラフィック・ノベル部門担当バイヤー」の記事の真ん中あたりにその10人のリストあり。

2006-12-20

2006年度話題独占アニメハルヒアニメ英語版サイトはニセモノか?

アニメニュースサイトANNが『涼宮ハルヒの憂鬱』の英語版サイトについて報じているが、同サイトの掲示板ではこのサイトが本物か偽物かを巡って議論が巻き起こっている。

そのサイトはこちら

と言うのも、2006年の話題を独占した感がある『ハルヒアニメだが、北米アニメファンの期待をよそになかなか北米の会社によってライセンスが獲得されたという発表が行われないからだ。ライセンス取得の発表もないまま、公式サイトの立ち上げはありえない。でも『ハルヒアニメなら、それもあるかも?

ライセンス料の高騰がその取得を遅らせている原因と推測されているが、ファンは日本で大人気アニメを早く見たいとじりじりした思いで『ハルヒ北米襲来を待っている。そのサイトには「12月22日」の日付が入っていて、どうやら22日に何やら発表がある模様。北米ファンの期待通りになるか?それともただの釣り?

涼宮ハルヒの憂鬱 1 通常版 [DVD]

涼宮ハルヒの憂鬱 1 通常版 [DVD]

2006-12-18

インドのビジネス紙が推薦する日本のマンガ。

このブログ北米からのニュースが中心だが、今日はインドのお話。

インドのビジネス紙Business Standard12月17日付の記事で、インドでの最近のマンガ人気について伝えている。

元々インドではアメリカからのコミックスも人気だったということだが、最近は「グラフィックノベル」セクションの棚の拡大が顕著で、更にその中でも日本の「マンガ」の品揃えの増加が著しい。そして、インドの本屋さんに並ぶマンガ作品には性的表現、暴力描写に関してやや保守的な傾向がある、ということだ。

Business Standard紙の上記の記事では、同紙の推薦マンガを5作品挙げている。本屋さんは保守的でもここに挙げられている作品はそれほど保守的でもないかも。インドならやっぱりこの作品!という手塚作品が期待通り推薦作品に入っているのに加えて、意外な少女マンガも。(上記リンク先の推薦作品解説の要約↓。)

  • 『アキラ』

存在するグラフィックノベルの中で最も革新的で力強い作品の一つであり、ほとんど「マンガ」というジャンルの代名詞ともなった。

最近インドで発売されるようになった『ブッダ』はインドでとても良く売れている。勿論それはそのテーマのおかげかもしれないが、他のグラフィックノベルより値段が安いことも関係しているだろう。

想像力豊かに美しく描かれた『ブッダ』はグラフィックノベルの画期的作品の一つ。そのセリフまわしや実在しないキャラクターの導入に怒る信者もいるかもしれないが、そのテーマはブッダの物語が語る偉大なメッセージにかなり忠実だ。

そのアートワークに加え、エロティシズム、暴力性において知られる本作品を、インドという市場で見ることができるのは驚きかもしれない。(子供には絶対見せないこと。)

最も人気のあるマンガ作品の一つ。アメリカでもフランク・ミラーの表紙で1987年に発売されている。

攻撃的な別人格を持った内気なティーンエイジャーの女の子の物語。若くて内向的であることに伴う葛藤を経験した人には共感できる。

↓英語版『オセロ』。

Othello 1 (Othello (Del Rey))

Othello 1 (Othello (Del Rey))

2006-12-17

今敏監督の『パプリカ』エンディングテーマが、アカデミー賞の歌曲部門ノミネート対象作品に選ばれる。

ちょっと前のニュースだけれど、参考までに。

映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の発表によると、今敏監督の『パプリカ』のエンディングテーマ『The Girl in Byakkoya - White Tiger Field』(日本題名『白虎野の娘』)が、第79回アカデミー賞のオリジナル歌曲部門でノミネート対象作品になった。

今回発表されたノミネート対象作品は全部で56。『エラゴン 遺志を継ぐ者』『007 カジノ・ロワイヤル』の主題歌の他にもアニメーション作品としては『おさるのジョージ』『カーズ』『森のリトルギャング』などの曲も対象作品に入っている。

ただしこれはノミネート対象作品に選ばれた、というだけでアカデミー賞にノミネートされたというわけではない。『パプリカ』はアカデミー賞アニメーション部門の作品賞でもノミネート候補作品に選ばれている。(当ブログ「今敏監督の『パプリカ』アカデミー賞のノミネーション候補に。」参照。)

こちらで『白虎野の娘』聞けます。

マンガに比べると、海外では若干明るい話題が減りつつあるアニメ。『パプリカ』の健闘を祈ろう。

↓『パプリカ』原作本。

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

今敏監督の『妄想代理人』。今回ノミネートされた『パプリカ』エンディングを作曲された平沢進氏による主題歌もヨカッタ。

妄想代理人(1) [DVD]

妄想代理人(1) [DVD]

2006-12-15

USA Today発表12月第1週目・一般書籍売上トップ150リスト:『ナルト』最新刊、順位を上げる。

マンガを含む、一般書店で売られた全ての本を対象にしたベストセラーリストである、USA Today発表の「一般書籍売上トップ150リスト」

そのリストの「12月第1週目(12月4日−月10日)」にランクインしたのは、先週と同じく『ナルト最新刊12巻。前回の初登場時は147位だったが、今週は67位とジャンプアップ。このベストセラーリストでのマンガの最高順位記録は21位で、その記録を達成したのは『ナルト』11巻。12巻がどこまで上がっていくか見ものだ。

先週に続いて今週も売上トップ150に入ったマンガは『ナルト』だけだった。

↓英語版『ナルト』最新刊12巻。

Naruto, Vol. 12

Naruto, Vol. 12

ブログ関連エントリー:「USA Today発表11月第5週目・一般書籍売上トップ150リスト:『ナルト』最新刊ランクイン」

2006-12-14

ceena2006-12-14

アメリカ図書館協会のキャンペーンポスターに日本のマンガ家が選ばれる。

業界サイトICv2や、アニメ・ニュースサイトActive Animeが伝えたところによると、アメリカ図書館協会(American Literary Association)による読書推進キャンペーンのためのポスターに、日本のマンガ家・氷栗優氏が選ばれ、氷栗氏はそのポスター用に自分の作品である『カンタレラ』のキャラクターを描きおろした。

協会では以前このキャンペーン用ポスターに、スーパーマンバットマンのキャラクターを採用したことがあったが、日本のマンガ家による絵を使ったのは初めて。氷栗氏の『カンタレラ』をアメリカで発売するマンガ出版社Go!Comi!のオードリー・テイラー氏は、「マンガは新しい若い世代にとって、読み物としての選択肢のひとつ。図書館協会の読書推進キャンペーンに参加できたのは名誉であり、日本のマンガをそのキャンペーンで使えたのは素晴らしいこと」と語った。

ポスター以外にも『カンタレラ』の栞セットも作られ、アメリカ図書館協会サイト内のショップその他でポスターは14ドル、栞セットは7.5ドルで来年の1月から発売予定。

Go!Comi!は『カンタレラ』に加えて『女王様の犬』(竹内未来)や『天使じゃない!!』(しげまつ貴子)などを出版している。↓こちらは英語版『カンタレラ』。

Cantarella 1 (Cantarella (Graphic Novel))

Cantarella 1 (Cantarella (Graphic Novel))

2006-12-12

アメリカで出版されている手塚治虫作品。

Virtical社から10月に出版された『きりひと讃歌』が多くのネット上の批評家によって激賞されているおかげで、最近英語圏のマンガ関連サイトで「手塚治虫」の名前を見ることが多い。

↓英語版『きりひと讃歌』。

Ode To Kirihito

Ode To Kirihito

ただ良い批評を得ているからと言って売れ行きが良いとは限らない。コミックス専門店での2006年10月のマンガ売上トップ50の49位にランクインしたものの、『ナルト』や『フルーツバスケット』のように、アメリカの一般書店でのベストセラーリストに登場することはないし、実際のところどのくらい部数が出ているのか全くわからない(数千部〜1万部の間ぐらいかもしれない)。それでも『きりひと讃歌』が多くの濃いマンガ読みの心をとらえたのは間違いないようだ。

『きりひと讃歌』のネット上の批評を幾つかあげると、例えばComic World Newsのデビッド・ウォルシュ氏は『きりひと讃歌』は「(英語で出版された手塚マンガの中で)手塚が“マンガの神様”であることを最も良く証明している作品」とし、Toon Zoonでは「『きりひと讃歌』は必読の古典」 「マンガの最高傑作」という二つのレビューを載せている。

Vertical社はマンガに限らず日本の小説などを英語圏で紹介している出版社。以前にも手塚治虫氏の『ブッダ』を出版し、『ブッダ』も多くの批評家から絶賛された。タイム誌でコミックス欄を担当するアンドリュー・アーノルド氏も「良いコミックスを捜しているなら『ブッダ』を読むこと。傑作。」と書くなど、『ブッダ』はアメリカでの「手塚治虫文化賞」とも言える「アイズナー賞」の「ベスト海外作品賞」を2005年に受賞している。

↓英語版『ブッダ』1巻。

Buddha, Volume 1: Kapilavastu (Buddha (Paperback))

Buddha, Volume 1: Kapilavastu (Buddha (Paperback))

↓日本のポップカルチャーについての論文集。宗教的側面から『ブッダ』を論じたものあり。

英語圏で出版されている手塚作品はそう多くない。実際に現在手に入れることが可能なものとしては、Dark Horseの『鉄腕アトム』『メトロポリス』『来るべき世界』『ロストワールド』、Vizの『火の鳥』(Vizからは『ブラックジャック』も出版されたが、2巻まで出て絶版。続刊の発売予定はない)、Cadence Booksから『アドルフに告ぐ』、そしてVerticalの『ブッダ』『きりひと讃歌』がある。Verticalからは来年『アポロの歌』も出版予定。

これしか出ていないと言っても、フレデリック・ショット氏の著作『ニッポンマンガ論』などに出てくる同氏の苦労を考えれば、これでもかなり出版されたと受け止めるべきかも。他のマンガ作品と比べ手塚マンガはマンガ専門でない出版社が出版するケースが多いので、作品としては『アポロの歌』の次は『奇子』や『陽だまりの樹』あたりだろうか(←偏見かな?)。個人的には、映画も来年公開されることだし大好きな『どろろ』を出して欲しいような。

どろろ(1) (手塚治虫漫画全集)

どろろ(1) (手塚治虫漫画全集)

(追記:上に書き忘れたが『きりひと讃歌』も『ブッダ』もオリジナルの右開きではなく、左開きに変更されている。)

2006-12-09

USA Today発表11月第5週目・一般書籍売上トップ150リスト:『ナルト』最新刊ランクイン。

マンガを含む、一般書店で売られた全ての本を対象にしたベストセラーリストである、USA Today発表の「一般書籍売上トップ150リスト」。

そのリストの「11月第5週目(11月27日−12月3日)」にランクインしたのは、大人気ナルト』最新刊12巻初登場で147位だった。人気のわりに147位って意外と低い、と思いそうになるが実は『ナルト』12巻が店頭に並んだのが11月の29日。たった二日間の売上でトップ150に入ったのだから驚きだ。

今週トップ150に入ったマンガは『ナルト』だけ。

↓英語版『ナルト』最新刊。業界サイトICv2は「2006年・アメリカのマンガ業界で最も影響力のある10人」の一人に岸本斉史氏を選んでいる。

Naruto, Vol. 12

Naruto, Vol. 12

ブログ関連エントリー:「USA Today発表11月第4週目・一般書籍売上トップ150リスト:日本のマンガ1作品ランクイン」

2006-12-08

アメリカで『フルーツバスケット』マンガ、売上200万部を超える。

アメリカで『フルーツバスケット』マンガが現在店頭に並んでいる15巻をもって、売上部数が200万を超えた、とTokyopopが自社サイトで発表した

業界向けサイトICv2によるとTokyopopは幾つかの人気作品、『ラブひな』『ちょびッツ』などを出版しているが、この『フルーツバスケット』が同社最大のヒット作ということだ。ICv2が業界関係者へのインタビューや売上から作成する「年間トップ作品リスト」では、2003年に第1巻が発売されて以来『フルーツバスケット』がトップ5から落ちたことはない。

この作品の成功の要因としてICv2は「感情豊かなドラマとユーモアのコンビネーションが男性にも女性にもアピールしたこと」を挙げている。

この200万部と言う数字は、Tokyopopでは最大の売上数であり、アメリカでのマンガ1作品の売上としては素晴らしく良いと言えると思うのだが、アメリカで一番売れている作品と言えるかと言うと、売上数に関しては公に数字が出ることが少ないのでハッキリさせるのは難しい。

VIZの作品で言うと、『ドラゴンボール』『るろうに剣心』それに『犬夜叉』はかなりの売上をあげているだろうし、現在の時点で『フルーツバスケット』の部数を超えているとは思えないが、『ナルト』もその人気を考えるとこれから更にマンガ売上を伸ばしていくと思われる。『ナルト』には及ばないが9月にアニメの放送が始まった『ブリーチ』も累計で100万部を超えている、という話もある。

Del Rey社から出ているマンガでは、先日取り上げたニューヨーク・タイムスの記事にあったようにCLAMPの『ツバサ』が100万部を超えているようだ。

いずれにせよ、少女マンガアメリカでの認知を上げ、その人気の広がりに貢献した『フルーツバスケット』の功績は大きい。日本でも単行本があと1巻を残すのみ。なんだか凄いハッピーエンドになりそうだ。

↓『フルーツバスケット』英語版。最新刊15巻。

Fruits Basket Volume 15

Fruits Basket Volume 15

2006-12-07

アメリカで『ワンピースアニメ打ち切り、『テニスの王子様』『メルMAR』放送開始。

カトゥーンネットワーク(CN)の「トゥーンナミ」(日本のアニメやアクション系カトゥーンを放送する時間帯)HPなどで確認されたところによると、『ワンピース』のアメリカでのライセンスを持つ4キッズ・エンターテイメント(4Kids Entertainment)のマーケティング・ディレクターが「『ワンピース』の吹替え版の製作を打ち切る」と語った。

4キッズ・エンターテイメントは『ワンピース』の104話まで吹替え版を製作したが、現在のところアメリカで放送されたのは78話まで。地上波FOXテレビでの今後の『ワンピース』の放送予定はなくケーブルのCNでも放送予定はないため、『ワンピース』はアメリカではもうテレビで見ることはできない。

これによって、4キッズの『ワンピースライセンス期限の2009年までは他社がライセンスを4キッズからサブ・ライセンスとして借り受けるか(←契約内容が公けにされていないのでこの点は正確にはわからない)、期限の切れた2009年以降に他社がライセンスを取得するかしない限り、『ワンピース』が再びテレビ放送されることはなくなった。

日本でアニメワンピース』は12月3日の放送で288話となり7年目に突入、劇場映画も8作目が来年公開、そしてマンガも連載9年目の大人気作。この『ワンピース』のアメリカでの事実上の失敗については、放送前の期待が大きかったタイトルだけに、ファンの間でも議論が多くなされている。

まず『ワンピース』ファンが熱く主張するのが、その「吹替え版」の声優と編集のひどさ。声が合っていない、セリフが変えられている、暴力シーン・タバコのシーンは全部カット、そのつじつまを合わせるためのストーリーの改変、等など、多くのファンがその4キッズの「吹替え版」によって作品が台無しにされたと感じているようだ。(当ブログの2005年8月9日の記事「黒人海賊?白人海賊?『ワンピース』アメリカTV放映時の改変」でその編集について一部取り上げています。)

今回の『ワンピース打ち切りを実は一番喜んだのはその『ワンピース』の熱いファンたちかもしれない。大手アニメニュースサイトANNの掲示板では、“これ以上愛する『ワンピース』が切り刻まれなくてすむ”という安堵の声が多く見られた。

更に4キッズが考えた『ワンピース』対象年齢が『ワンピース』を最も楽しむことができる年齢層より低すぎたという点も指摘されている。『ワンピース』の地上波FOXでの放送は土曜日の午前中。土曜日の朝はアメリカでは特に小さな子供向けの時間帯だ。実際にCNで『ワンピース』が夜の9時代に放送された時にはそこそこ良い視聴率を取っていたため、この指摘は的はずれではないかもしれない。(当ブログ2005年12月2日の記事「『金色のガッシュベル』『ワンピース』『ナルト』11月米ケーブルTV視聴率好調。

低年齢層をターゲットと限定してしまったため、数多くの編集が必要となり、結局作品の魅力を損なってしまった、という可能性は高い。しかしもちろん、ファンの怒りが全て4キッズに向かっているとは言え、『ワンピース』低視聴率の理由を全て4キッズの吹替え版に求めるのは間違いだろう。他にも文化的なものなど、色々な要因があるに違いない。

結局、DVDを発売するVIZ Mediaはその視聴率の低迷を受けて『ワンピース』の「ノーカット完全版」DVD発売を見送り。今回の吹替え版製作打ち切りでその「吹替え版」DVDも最後まで発売されることはない。『ナルト』がコアなファン向けの「ノーカット完全版」と一般視聴者向け「吹替え編集版」の両方のDVDが発売されたのとは対照的だ。

12月に『ワンピース』がCNから去るのとちょうど入れ違いに、今度は『テニスの王子様』と『メルMAR』がCNで放送開始される。特にスポーツものは難しいと言われるアメリカだが、スポーツと言っても『テニスの王子様』の魅力はスポーツを超えた予測不可能な展開にあったりするので、この作品がどう受け止められるか興味深いところ。かつてアメリカでは『新機動戦記ガンダムW』が“美少年キャラ”でアメリカの女性アニメファンを一気に増やしたように、日本でも女性ファンの多い『テニスの王子様』も更にアメリカで女性アニメファンを増やすのに貢献するかもしれない。

(追記:業界サイトICv2によると、『ワンピース』マンガは健闘しているらしい。ICv2の選ぶ今年のトップ15マンガ作品に入っているということだ。)

↓英語版マンガ『ワンピース』。

One Piece Vol.1: Romance Dawn (One Piece Series)

One Piece Vol.1: Romance Dawn (One Piece Series)

アニメテニスの王子様』。

2006-12-04

バットマン』『スーパーマン』のDCコミックスが10代の少女向けレーベルの立ち上げ。

マーベルコミックス(『Xメン』『スパイダーマン』など)と並びアメリカのコミックス界の2大巨頭の一つDCコミックス(『バットマン』『スーパーマン』など)が2007年から、10代の少女向けのコミックスを発売すると発表した。レーベルの名前はMinx。

マーベルは最近では日本のマンガ家を起用し、スーパーヒーローの恋愛を描いたコミックス(例えば『Marvel AI』)を出版したりしているが、DCコミックスが10代の少女向けコミックスにここまで力を入れることはかつてなかった。業界サイトICv2の記事「DCがMinxレーベル発表」によればマーケティングに250万ドルもの予算が組まれ、DCのプレジデントの発言では“過去30年年間でDCコミックス最大のプロジェクト”ということだ。

この発表はニューヨーク・タイムスも大きく取り上げられ、英語圏のコミックス/マンガ関連サイト/ブログでも様々な議論を呼んでいる。その議論の内容*1を全部取り上げるのは不可能なので、ICv2に掲載されたDCコミックスのシニア・ヴァイス・プレジデント、カレン・バーガー氏のインタビューの要約をここに載せることにした。

レーベル立ち上げはマンガが成功したおかげであるとバーガー氏は語っているが、そのコミックスのスタイルはマンガをモデルにはしないようだ。そしてアメリカのコミックスとマンガの違いについてコマのレイアウトがあげられているのが面白い。

以下のインタビューの最初の質問で、ICv2の質問者はちょっと意地悪く突っ込んでますね。。。。

<DCコミックスのシニアヴァイスプレジデント、カレン・バーガー氏のインタビュー要約>

ICv2:最初の質問はニューヨーク・タイムスの記事の冒頭部分の引用についてです。「コミックスを読む10代の少女たちがいてもいい頃だ」のところですが、これはDCコミックスについてですか?もう既にコミックスを読む10代の少女たちはたくさんいますよね?

カレン・バーガー氏:その通りです。DCコミックスのことです。確かに10代の女の子たちはマンガを読んでいます。(ニューヨーク・タイムスから)インタビューを受けた時に強調したのは、10代の少女たちにコミックスを読んでもらうということにおいて、マンガの影響が大きかったということです。どうやらニューヨーク・タイムスにはその点が上手く伝わっていなかったようです。

もちろん、少女たちはコミックスを読んでいますし、マンガも読んでいます。その記事の引用が本当に意味しているところは、DCコミックスを少女たちに読んでもらう時が来た、そしてアメリカの出版社が出版するコミックスを読んでもう時が来た、ということです。現在のところアメリカには会社をあげて少女向けコミックスを発売しているところはないからです。教育関係では10代の少女向けの本を出版しているところもありますし、小さな出版社や自費出版でもあります。でも大手のレーベルとしてはアメリカの出版社で少女向けのコミックスを出版しているところはありません。これが言おうとしていたことでした。

それはあなたがTokyopopをどのように見ているかによると思います。Tokyopopは少女向けの本を出していると思いますが。

オリジナルのマンガ、という意味で?

Tokyopopは出版していますね。

そうですね。Tokyopopは出しています。Tokyopopの本はマンガという範疇に入ると思うので。。。。

それならば質問があります。コミックスとマンガは違うスタイルを持っていると思いますが、Minxの作品のスタイルはアメリカのコミックスに近いものになるんですか?それともマンガに近いものになるのでしょうか?

アメリカのコミックスに近いものになります。視覚的なストーリー運びやページのレイアウトに関してはマンガをモデルに使うつもりはありません。もっと直接的にアメリカのコミックスの升目状のレイアウトにするつもりです。つまり1ページにつき4から6コマがあるようなタイプです。

全てのアメリカのコミックスがマンガに影響を受けているわけではありませんが、それでも多くが影響受けています。そしてその影響には幅があります。例えば韓国アメリカ人アーティストのソニー・リューの『Re-Gifters』のスタイルにはマンガの影響が見られますが、コマのレイアウトはよりアメリカ的です。

MinxはDCでどのように運営されているのでしょうか?ニューヨーク・タイムスの記事ではシェリー・ボンド氏をMinxのエディターと言っていますが、Minxにはもっとエディターがいるんですか?

いいえ。彼女は唯一のエディターです(笑)。シェリーDCコミックスで、Vertigo*2のグループ・エディターを何年も勤めてきました。シェリーが数年前に、マンガやヤング・アダルト向け小説に代わるものとしてMinxのアイディアを考えだし、我が社のコミックス部門で新たな分野を開拓してきました。シェリーが直接私に話を持ってきて、私はシェリーと一緒に企画に目を通し、色々アドバイスを与えてこのレーベルを立ち上げるのを助けました。でも彼女がメインのエディターであることに変わりはありません。

Minxの対象年齢はいくつですか?

13歳から18歳です。

VertigoとMinxの読者をどうやって差別化するのですか?

その二つの読者はとても違います。Vertigoの読者は18歳以上です。そして圧倒的に男性です。でもVertigoを読む女性読書も増えています。『サンドマン』は女性に売れましたし、ニール・ゲイマン氏の作品はだいたいそうですね。そして『Y』『The Last Man』『Fables』など多くのVertigoの作品に女性読者がついています。男女両方の読者向けと言っていいかもしれません。でもMinxは特に10代の女性読者に向けた作品になります。Vertigoの作品をもっと若い読者を対象にしたもの、特に女の子向けにしたものということですね。男性は対象ではありません。The Sandman: Endless Nights

それではVertigoは歴史的に見て…

Vertigoはフィクションというジャンルのものでした。でも想像上のものとは言え、Minxは本質的にリアルな世界の中のリアルな少女たちについてのリアルな物語です。

それはマンガとのもう一つの違いですね。マンガはしばしば10代や高校生とファンタジーの要素を結びつけた物語です。

その通りです。ある時点でそういう作品を作り始めないとは言えませんが、今のところはその考えはありません。来年の後半に出版する予定の本の一つには未来的視点を持ったものもあります。サイバー・エンジェルのようなものが出てきますが、それは未来を舞台にしたリアルな世界です(笑)。最初のデジタル・ガールについての物語であって、超自然的な力を持った人々についての話ではなくて…

『My teacher is an alien*3みたいな?

そうです。

アメリカのコミックスのフォーマットではなく、グラフィックノベルで始める決断をしたことについて話しましょう。それをICv2では、対象読者とその読者がどこでどのように本を買うかに関係していると考えているんですが。

仰るとおりです。10代の少女たちはマンガを主に一般書店で買っています。Minxが読者として想定しているのも、既にマンガを買っていて、『Persepolis』*4などの本によってグラフィックノベルを読んだことのある少女たちです。『Persepolis』は素晴らしい本で、少女たちをグラフィックノベルに引き込んでくれました。大人向けに書かれた本ですが、多くの少女たちが読んでいるのです。ヤング・アダルト向け小説に代わるニッチ市場を開拓するにあたって、マンガと『Persepolis』の間のどこかに自分たちの市場を探しているところです。

10代の少女たちがグラフィックノベルを主に一般書店で、もちろん一般書店でだけではありませんが、購入していることを話してきました。DCのようにダイレクト・マーケット*5に影響力のある出版社が少女向けのレーベルを立ち上げるということで、コミックス専門店にも女性のお客さんが来ることを期待しますか?

そうなれば素晴らしいと思います。コミックス専門店に少女を呼び込むことはわたしたちの長年の目標でした。いくつかのVertigoの作品ではそれができたと思いますが。でも少女たちがもっとコミックス専門店に来るようになるといいですね。

DCの読者層で言うと、Vertigoの作品の中で『サンドマン』 が一番多くの女性読者を獲得していますか?

そうですね。

その割合はどのくらいですか?

はっきりとした数字は手元にありません。ニール・ゲイマンのウエブサイト、サイン会、コンベンションに来たり、『サンドマン』に関するパネルに参加した観客や連絡を取った人々についての彼の話を聞いたところでは、『サンドマン』で言えばだいたい男女比は半々という感じです。

スケジュールについてお聞きしたいと思います。2007年にMinxの作品はいくつぐらい出る予定ですか?

7冊です。5月に『P.L.A.I.N. Janes』から始まって1月に1冊ずつだします。

シリーズものになるのはありますか?

2作品は2巻目が出る予定ですが、殆どが1冊で完結します。

2巻が出るのはどれですか?

まだ正式に発表していません。

2008年に出す本の予定は?

まだ決定したわけではありませんが、2007年に出すのと同じくらい出す予定にしています。7冊から8冊ぐらいです。

Minx出版に関して何か他に言いたいことはありますか?

DCにはストーリーを語るためのたくさんのライターやアーティストがいて、コミックスには成長する可能性のある市場があります。マンガのおかげで10代の少女たちがコミックスというものを読むようになりました。DCはMinxで10代の少女たちに、魅力的なストーリーを読むための場所をもう一つ提供できるようになりたいと考えています。

*1:Minxに対するブログ界隈の反応:好意的な反応も多いが、例えば「Minxから出る作品には女性アーティストによるものがほとんどない」などの否定的なものもある。

*2:訳者註:DCコミックスのVertigo:DCの中のより高い年齢層を狙ったコミックスのレーベル。映画化された『V・フォー・ヴェンデッタ』もVertigoレーベルのコミックス。

*3:訳者註:『My teacher is an alien』:児童向けSF作品のようです。

*4:訳者註:『Persepolis』イスラム革命時代のイランで、マルクス主義者の家に生まれた6歳の少女を主人公とした自伝的コミックス。

Persepolis: The Story of a Childhood (Pantheon Graphic Novels)

Persepolis: The Story of a Childhood (Pantheon Graphic Novels)

*5:訳者註:ダイレクト・マーケット:一般書店とは別のコミックス専門の流通市場。

2006-12-03

USA Today発表11月第4週目・一般書籍売上トップ150リスト:日本のマンガ1作品ランクイン。

マンガを含む、一般書店で売られた全ての本を対象にしたベストセラーリストである、USA Today発表の「一般書籍売上トップ150リスト」

そのリストの「11月第4週目(11月19日−26日)」にランクインしたのは、先週と同じく鋼の錬金術師』最新刊10巻。順位は142位で、先週の146位から微妙に順位を上げた。

今週トップ150に入ったマンガはこの『ハガレン』だけ。

↓英語版『鋼の錬金術師』10巻。

Fullmetal Alchemist, Vol. 10

Fullmetal Alchemist, Vol. 10

北米で発売される英語版『鋼の錬金術師』2007年版カレンダー。

ブログ関連エントリー:「USA Today発表11月第3週目・一般書籍売上トップ150リスト:日本のマンガがほぼ1ヶ月ぶりにランクイン」

2006-12-02

ceena2006-12-02

アメリカの大学出版部が「日本のアニメ・マンガ」をメインとする学術誌発行。

アメリカミネソタ大学の出版部「ミネソタ大学プレス」が、日本のアニメ・マンガを主に扱う学術誌『MECADEMIA(メカデミア)』の発行を始めたようだ。

『MECADEMIA(メカデミア)』のHPはこちら

そのHPの説明によると、『メカデミア』はアニメ、マンガ、そしてそのファンを扱う学際的学術誌で、そのテーマにはマンガ、アニメに始まり、ゲーム・デザイン、ファッション、グラフィックス、パッケージング、玩具、そして日本のポピュラー・カルチャーに関わる広い範囲のファンの活動も含まれる、ということだ。

第1号の目次を見る限り、日本のアニメ・マンガについて本を出したことのある、見慣れたお名前も数々見られる。例えばスーザン・ネイピア氏(『Anime: From Akira to Princess Mononoke』日本題名『現代日本のアニメ』)、アン・アリソン氏(『Permitted and Prohibitted Desires』『Millennial Monsters』)、アントニオ・レヴィ氏(『Samurai from Outerspace』)など。日本からも書き下ろしではないようだが上野俊哉氏、小谷真理氏他の論文が寄せられている。

自分は研究者でもないのでエラソウに言うのは憚られるけれど、日本のアニメ・マンガに関する論文は既に随分前から英語圏でたくさん発表されていたわけだし、アメリカでも大学が専門の学術誌出版という形で日本のアニメ・マンガ研究の中心地として積極的に動くのは歓迎すべきことだと思う。しかもミネソタ大学という評判の良い大学が中心となるのは良いことなんだろう。

個人的には、日本語で書かれた優れた研究論文も日本にはいっぱいあるので、もっと英語に翻訳されて海外の研究者の目に触れて欲しいとずっと思っていた。だから小谷氏など日本人研究者論文掲載は単純に嬉しい。『メカデミア』では論文を一般公募していたので、願わくば掲載論文のレベルを保ってどんどん発展していって欲しいなぁ。

とりあえず1年に1冊発行のようなので、定期購読してみるつもり。しかし『メカデミア』って言うネーミングはどうですか?

(わたしの別サイト「英語で読むアニメ・マンガ」では、英語で書かれたアニメ・マンガに関する論文の要約を少しだけ載せています。面白い論文がたくさんがあるのでもっと載せるつもりだったのが時間が無くて更新は停滞中。。。)

2006-12-01

こどものじかんアメリカ発売決定で、「アメリカで発売して大丈夫?」。

取り上げようか迷ったんですが、ごく簡単に。

私屋カヲル氏の『こどものじかん』がアメリカSeven Seas Entertainemnt社から発売されることが発表されたが、英語圏ブログや掲示板などで「アメリカでこのマンガを出版して大丈夫なのか?」という議論が巻き起こっている。

例えば、大手アニメニュースサイトANNの掲示板、硬派コミックス評論誌『Comics Journal』チーフエディター、ダーク・デピー氏のブログ、日本の成人向けマンガを扱うIcarus Publishing社のサイモン・ジョーンズ氏のブログ(←注意!成人向けコンテンツあり)、コミックスやマンガ等視覚文化を専門とするカルロス・サントス氏のブログなどで、様々な人が様々な立場で意見を述べている。

主に議論の対象となっているのは『こどものじかん』1巻の一つのコマだが、これが話題にのぼっているのは上記の掲示板にそのコマがアップされているから、ということだけが理由のようだ。とりあえずそのコマには絵として性的に激しい表現があるわけではない。話題になる理由は、小学生3年生のりんちゃんがお習字で勝手に一つのフレーズを書いちゃったから。そのフレーズは「○○○希望」。 (←わかる人にはわかるでしょう。たぶん。)

こどものじかん』英語版は、Seven Seas Entertainment社から2007年4月に『Nymphet』(“早熟な少女”というニュアンスのある言葉)という英語の題名で発売される。ビニールに包まれ「10代後半以上向け」のレイティングが付く予定。

↓『こどものじかん』日本語オリジナル版。

こどものじかん 1 (アクションコミックス)

こどものじかん 1 (アクションコミックス)