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    北米発のアニメ・マンガニュースを紹介するブログです。


OTAKU UNITE!
実はマンガ専門の出版エージェントをやってます。


自分のクライアントさんのマンガだけでなく
色々な海外マンガを紹介していきたいです。



『メガトーキョー』(講談社BOX刊)
海外マンガの翻訳もしています。


海外マンガ事情についても調べています。
情報歓迎です!



米アニメファンを描いたドキュメンタリー映画 『OTAKU UNITE!』の字幕も担当しました。
監督からこのブログへの独占メッセージ。

2006-12-12

アメリカで出版されている手塚治虫作品。

Virtical社から10月に出版された『きりひと讃歌』が多くのネット上の批評家によって激賞されているおかげで、最近英語圏のマンガ関連サイトで「手塚治虫」の名前を見ることが多い。

↓英語版『きりひと讃歌』。

Ode To Kirihito

Ode To Kirihito

ただ良い批評を得ているからと言って売れ行きが良いとは限らない。コミックス専門店での2006年10月のマンガ売上トップ50の49位にランクインしたものの、『ナルト』や『フルーツバスケット』のように、アメリカの一般書店でのベストセラーリストに登場することはないし、実際のところどのくらい部数が出ているのか全くわからない(数千部〜1万部の間ぐらいかもしれない)。それでも『きりひと讃歌』が多くの濃いマンガ読みの心をとらえたのは間違いないようだ。

『きりひと讃歌』のネット上の批評を幾つかあげると、例えばComic World Newsのデビッド・ウォルシュ氏は『きりひと讃歌』は「(英語で出版された手塚マンガの中で)手塚が“マンガの神様”であることを最も良く証明している作品」とし、Toon Zoonでは「『きりひと讃歌』は必読の古典」 「マンガの最高傑作」という二つのレビューを載せている。

Vertical社はマンガに限らず日本の小説などを英語圏で紹介している出版社。以前にも手塚治虫氏の『ブッダ』を出版し、『ブッダ』も多くの批評家から絶賛された。タイム誌でコミックス欄を担当するアンドリュー・アーノルド氏も「良いコミックスを捜しているなら『ブッダ』を読むこと。傑作。」と書くなど、『ブッダ』はアメリカでの「手塚治虫文化賞」とも言える「アイズナー賞」の「ベスト海外作品賞」を2005年に受賞している。

↓英語版『ブッダ』1巻。

Buddha, Volume 1: Kapilavastu (Buddha (Paperback))

Buddha, Volume 1: Kapilavastu (Buddha (Paperback))

↓日本のポップカルチャーについての論文集。宗教的側面から『ブッダ』を論じたものあり。

英語圏で出版されている手塚作品はそう多くない。実際に現在手に入れることが可能なものとしては、Dark Horseの『鉄腕アトム』『メトロポリス』『来るべき世界』『ロストワールド』、Vizの『火の鳥』(Vizからは『ブラックジャック』も出版されたが、2巻まで出て絶版。続刊の発売予定はない)、Cadence Booksから『アドルフに告ぐ』、そしてVerticalの『ブッダ』『きりひと讃歌』がある。Verticalからは来年『アポロの歌』も出版予定。

これしか出ていないと言っても、フレデリック・ショット氏の著作『ニッポンマンガ論』などに出てくる同氏の苦労を考えれば、これでもかなり出版されたと受け止めるべきかも。他のマンガ作品と比べ手塚マンガはマンガ専門でない出版社が出版するケースが多いので、作品としては『アポロの歌』の次は『奇子』や『陽だまりの樹』あたりだろうか(←偏見かな?)。個人的には、映画も来年公開されることだし大好きな『どろろ』を出して欲しいような。

どろろ(1) (手塚治虫漫画全集)

どろろ(1) (手塚治虫漫画全集)

(追記:上に書き忘れたが『きりひと讃歌』も『ブッダ』もオリジナルの右開きではなく、左開きに変更されている。)

 2006/12/13 10:45 おれの罪おれの罪おれの贖罪おれの贖い
おれの六十七号室のヘレンへレン
ヘレンおれの患者いや、だいじょうぶ
わたしはだいじょうぶおれは患者
つかまえるつかまえるつかまえる
おれの患者……………


黒手塚の方が英語圏じゃ受けるんですかね?
黒手塚の方が多く出版されてるだけかもしれませんが

   2006/12/13 17:50 賛歌ではなく、讃歌ではないでしょうか

ceenaceena 2006/12/13 18:24 >「俺の罪…」
懐かしいなぁ。これを機会に読み直してみよう。

>黒手塚の方が英語圏じゃ受けるんですかね?
これは全くの個人的な考えなんですが、アメリカで手塚は『Astro Boy(鉄腕アトム』『Kimba the White Lion(ジャングル大帝)』のイメージなので、青年向けが翻訳されるようになって、驚きを持って迎えられているというのもあるのかな、と思いました。それからマンガ専門でない出版社が出版する時には、青年向けで、テーマがハッキリしたものの方が選びやすいのかも、とも思います。

>賛歌ではなく、讃歌
ご指摘ありがとうございます!訂正しておきます。

y 2006/12/14 00:31 以前に、もともと日本文学者でアニメも研究しているというアメリカ人学者と話す機会があったんですが、手塚の話題をふった時にそれこそアストロボーイくらいでマンガについてはほとんど何も知らなかったのが印象に残っています。(専門が違うとはいえ)学者でもこんなレベルなのか、と。
これを機に手塚の作品と業績をきちんと認識してもらいたいもんです。

ceenaceena 2006/12/14 01:35
>アストロボーイくらいでマンガについては
>ほとんど何も知らなかったのが印象に残っています。
アニメも研究している方なら、特に知っておいて欲しかったですね。でもアメリカのマンガファンの間では手塚治虫は、それこそ「マンガの神様」として、知らない人はいない名前です。ただ作品に触れる機会は少なかったと思うので、もっと出版されて欲しいと思います。

東京チェーンソー東京チェーンソー 2006/12/14 11:16 ブッダはアメリカの書籍デザインの世界では知らないものがいないという
ほど有名なチップキッドが装丁して大変に美しい本になってますねー。
「どろろ」ですが、以前北米での権利はどうなっているかを某所に
たずねたところ、すでにどちらかと話が付いているようなニュアンス
の回答でした。まだ出てないのはなぜなんでしょうね??

ceenaceena 2006/12/14 18:35 >チップキッド
チップキッド氏は今、Verticalと契約しているみたいですね。写真ではなくて、『ブッダ』の実物を是非見たいものです。

>どろろ
そうなんですか!じゃぁ、これから出版される可能性が高いってことですね!出版時期を狙っているんでしょうか???

くわいっきくわいっき 2006/12/14 23:05 日本語版は三冊に出版されていたはずですが、英語版は一冊、しかしamazonの英語版を見る限りでは(単語を拾っている限りでは)300頁ほどしかないとあります。
翻訳段階で編集されたのですか?

ceenaceena 2006/12/15 20:42 あの、どの作品のことを仰っているんでしょうか?もし『きりひと賛歌』のことなら、確かに1巻で完結していますが、ページ数は800ページあります。

 くわいっき くわいっき 2006/12/16 01:52 えっそうですか。すいません、アマゾンの単語拾い読みではやはり間違えますね。
申し訳ありません。

って800ページ!! なんですかそのアフタは。
それ、って日本の漫画も含めた一冊あたりのページ数で記録打ち立てているような気も・・・
何で単冊で出したんだろう、なぞだ。

K/IK/I 2006/12/16 08:07 >黒手塚
手塚は子供向け作品であっても、基本的に「重い」と思う。まあ翻訳/編集によりますがね。

>アメリカで手塚は『Astro Boy(鉄腕アトム』『Kimba the White Lion(ジャングル大帝)』のイメージ
60年代アニメだけではなく、80年代初頭に子供だった世代にとって、『ユニコ』が強い印象に残ってるみたいなんですよね。おそらく日本ではほとんど忘れられている作品だけに、ちょっと興味深い。

>『きりひと讃歌』のネット上の批評
「ロシア文学的」って指摘、なるほどなぁと思いました。だけど検索してみたら、どうも常識に属する見解みたいですね。手塚はロシア小説の洗礼を通過儀礼のように受けた世代なのだから、当然といえば当然ですな。

NanatuhaNanatuha 2006/12/16 20:34 >くわいっきさん
もともと、アメリカの書籍には、お前ら持ち運びのことを全く考慮していないだろ、と思わず言いたくなるタウンページのような本がめずらしくなかったりするんですよ。(というか、電車をほとんど使わない生活をしている北米人は、本を外に携帯するという感覚が希薄だったりするらしいんですが)
こないだTHE BEATかどこかで見かけた話によると、今度アメコミで850ページ$125(約15000円)のコミック本が発売されるとか。もうどこからツッコめばいいのやら。
http://www.usatoday.com/life/books/news/2006-12-11-comic-collections_x.htm

目にか目にか 2006/12/17 04:19 お初にお目にかかります。

800ページの漫画ですが、
今手元にある”BONE ONE EDITION”という漫画は1344ページありますから
800ページ台ってのは向こうの人にとっては、それ程衝撃的ではないのかも知れません。
豪華版を別にすれば一冊本のよさはなんといっても安さだろうと思います。
シリーズものの全一冊本は、まとまってる分安上がりでいいですよ。
日本の洋書店でもナルニア全一冊本とか指輪物語全一冊本とか、シャーロック・ホームズ全一冊などが安く売ってます。
日本でも第三書館から結構、出ていますよね(段組を増やしすぎて読みにくいですが)。

ちなみにBONEの値段は39.95セントでした。

ceenaceena 2006/12/17 22:39
K/Iさん。

>『ユニコ』
『ユニコ』はTVシリーズは無かったような。そうすると長編3作品が何度かTV放送されて、子供達の印象に残ったということでしょうか?

Nanatuhaさん。

>本を外に携帯するという感覚が希薄だったりするらしいんですが
そうか。言われてみると、なるほどです。

目にかさん。
はじめまして。

>”BONE ONE EDITION”
ジェフ・スミス氏の『ボーン』ですね。読みたいと思いつつ読んでないです。小野耕世氏の訳で3巻まで日本でも出ていましたね。

>一冊本のよさはなんといっても安さだろうと思います。
『きりひと讃歌』も24ドルくらいしてますが、amazonなどではもっと安く買えますし、分冊するよりずっと安くなってますね。

ただ、今回の『きりひと讃歌』の批評に「2.3ポンドの傑作」という批評の題名があったんです。これはその本のぶ厚さに驚いたため批評した人がわざわざ重さを書いたのかと思ってましたけど、そうでなかったということですね??もしくは「日本のマンガの発売形態にしてはぶ厚い」ってことかな?

K/IK/I 2006/12/19 01:17 Wikipediaより
Unico may be third only to Astro Boy and Kimba the White Lion as the most popular of Tezuka’s characters in the United States, and this is largely due to the 1981 and 1983 theatrical features, which were dubbed into English and received Stateside exposure through VHS release in the mid-1980s and airings on The Disney Channel.

ファンサイトまである。
サンリオ資本によって作られたことによる偶然、でしょうね。

ceenaceena 2006/12/20 01:55 吹替えビデオとディズニーチャンネルでの放送のおかげで人気が出たんですね。なるほどー。面白いです。