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OTAKU UNITE!
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米アニメファンを描いたドキュメンタリー映画 『OTAKU UNITE!』の字幕も担当しました。
監督からこのブログへの独占メッセージ。

2007-01-13

PEACH-PIT氏の『DearS』を巡って、アメリカ図書館でプライバシー保護問題。

アメリカミネアポリスの地方紙The Pioneer PressのTwinCities.com記事で、日本のマンガの性的描写を問題視した母親とそのマンガを14歳の息子に貸し出した図書館のことが話題になっている。

とは言え、誤解が無いように初めに書いておくと、この記事が主に話題にしているのは、日本のマンガの性的描写に対する糾弾というようなものではなく、図書館のプライバシー保護とレイティング問題。

記事によると、少年の母親は息子の部屋で『ローゼンメイデン』などで知られるPEATCH-PIT氏の『DearS』を見つけ、その性的描写を問題視し、自分の息子が借りたものかどうかを確認しようと図書館に電話をした。しかし図書館はプライバシー保護を理由に回答を拒否。そこで母親は新聞社に連絡。新聞社が図書館と連絡を取り、母親自身のIDカード、そして息子である少年の図書館カードの両方があればその本がその図書館カードで貸し出されたかどうかを、IDカードを提示した本人には図書館から明らかにできることがわかった。

結果『DearS』は図書館からその少年に貸し出されたものであることがわかり、母親もそれを聞いて一応満足したものの、図書館で貸し出す本にレイティングを付けるべきだと主張。それに対して図書館は知的自由を保障する権利を主張してその主張を拒否した。

以上が記事の簡単な要約だ。

フリーライターで、自分も母親であるブリジッドさんが書いていたように「母親はなんで息子に“この本、図書館から借りてきた?”って直接聞かないかな?」という疑問はさておき、米コミックス専門誌『Comics Journal』のブログで述べられているように「このままアメリカでマンガの人気があがっていけば、こういう母親からの不満を聞く回数は増えていくだろう」というのは、容易に想像がつくこと。

日本での多くの図書館と異なり、アメリカでは図書館に置かれるマンガはかなりの数にのぼる。流通の関係で図書館に対して売られたマンガの数字が表に出ることはなかなかないものの、図書館は子供たちにとってマンガに触れる場所でもあるのだ。

かつてこのブログでも「米ロスアンジェルス郊外の図書館からマンガ研究本が「わいせつ」として撤去」などを取り上げたが、図書館におかれたマンガの問題は、今後もなくなることはないだろう。

ところでこちらのサウス・フロリダの地方紙のサイトの記事では図書館員の人たちが子供たちに、図書館には本以外にも色々あることを知ってもらうために、アニメのコンベンションのようなものを図書館で開いたことを知らせている。コスプレをした子供たちを含むアニメファンが千人以上が集まって、DVDを一緒に観賞したりゲームをしたり、予想を超えての大盛況で、来年も行われることになりそうだという。

↓英語版『Dears』1巻。

Dears 1

Dears 1

HIDEHIDE 2007/01/14 01:58 アメリカの図書館は、なぜ娯楽漫画を購入して置くのでしょうか?購入しなければ、問題解決するはずなのに。そうしないのは、図書館にとって漫画が子供を寄せ集める道具として利用しており、出版社も図書館の購入が売り上げ確保に手っ取り早い手段として売り込んでおり、子供も無料で漫画が読めるから嬉しいのかもしれません。
しかし、日本の漫画黎明期にこのようなシステムが出来上がって入れば漫画は少量しか売れず、漫画産業の発展は無かったでしょう。TOKYOPOPがアメリカ人のマンガ家を発掘して売り出してもこのシステムがある限り、親やPTAから介入され続けて骨抜きとなり、しかも子供たちは漫画を購入せず、アメリカ独自の漫画市場の大きな発展は絶望的に思えます。

もたもた 2007/01/14 08:41 日本の漫画黎明期には貸本漫画というシステムがありましたよ。>HIDEさん

お茶妖精お茶妖精 2007/01/14 09:22 ローゼンメイデンならこんなことには・・・(笑)
個人的にはレイティングをした方が面倒がなくていいんじゃないかと思ってます。曖昧さの通じない国では特に。そういえば、出版社は図書館をどう思ってるんでしょう?確実に利益を奪われてますが。

HIDEHIDE 2007/01/14 10:07 >もたさん
日本は貸本漫画が主流にならなくて、発展したと思います。それに貸本システムは、すべての経済プレイヤーがリスクを負って金を出している点で、まだ競争・発展の余地があるので救いがあると思います。しかし図書館では、司書も市税で購入して痛くないは、子供も無料でタダ読みするは、出版社もリスク無しで一定の売り上げが見込めて甘えるは、アメリカのマンガ家は多くて数万部の著作権料しか望めないはで、良い事なしです。最悪の共産主義です。

さ 2007/01/14 12:35 自分も日本の図書館で漫画読んだりするけど、気に入った本は手元に置きたいから買うよ。
アメリカの子供たちも同じだと思う。大きくなったら大人買いするだろうし。

NanatuhaNanatuha 2007/01/14 13:40 一応、TOKYOPOP側では年齢レーティング表示をしてるはずですよ。DearSの1巻であれば13歳以上対象になってます。

今もそれなりにミステリ小説を読むけど、自分の場合は原点を辿れば図書館で読んだコナンドイルとかヴァンダインとかが導入口だったような気がする。あれも、今考えると子供に見せていいのか?という描写があったようななかったような気もするけれど(笑)あんまり神経質になるのもどうだろう、とは思う。

ceenaceena 2007/01/14 14:52 大変申し訳ないんですが、今ちょっと時間がないのでコメントに対するお返事は後でさせていただきます。

ただ、わたしの記事のせいで誤解を生むといけないので一つ書いておこうと思います。

レイティングに関してはNanatuhaさんがおっしゃる通りです。TOKYOPOPは、そして現在アメリカでマンガを販売するほぼ全てのマンガ出版社は、自主的に自分たちの販売する本にレイティングをつけています。この記事はその点がハッキリしていませんが、母親は図書館に対して独自のレイティングを要求したんじゃないかというのがわたしの理解です。もし本自体にレイティングがなかったら、怒りは出版社にも向かったような気もします。(ただ現在その記事が読めないので、違っているかも、です。最近自業自得の記述ミスを連発したので、かなりビクビクしております。わたしの理解が間違っていたら、優しいご指摘お願いします。)

NanatuhaNanatuha 2007/01/14 15:39 おつかれさまです。
とはいえ、国内コミックにはあんまりレーティングがついていないのになあ。こないだAmazon.comのエディターレビューで3位になっていたFun Homeを読んでたら、突然死体解剖シーンが出てきて、心の準備ができてなくてギョッとしましたよ。(話の流れで一箇所そういう部分があるだけで、猟奇的なコミックではありません。念の為)

お茶妖精お茶妖精 2007/01/14 20:23 ああ、やっぱり出版社はレイティングしてますよね。よく考えたら、してないはずがありません。それなら図書館が労力使って再びレイティングするのはちょっと・・・。

はたおはたお 2007/01/15 05:54 さ さんよ、それは甘い。
日本のアニメが今アメリカでどんなことになっているかを考えれば、そんなことはいってられなえ。http://willowick.seesaa.net/
連続記事を読めばいいが、正直これはもうまずい自体になっている

kskksk 2007/01/15 09:25 初めまして。kskと申します。
えと、この記事は、様々な問題を内包していると思います。ざっと挙げると、
レイティングの問題。著作権の問題。表現の自由。プライバシーの保護等々。
コメント欄につき、詳述は避けますが、
HIDEさんが仰ることも一理ありますが、ただ、「図書館で簡単に本が読めるせいで、本が売れない」という意見がありますが、「図書館で簡単に読書を体験できるが故に、新たな読者を獲得できる」というメリットがあるのも事実です。それを知っているからこそ、著作権保持者は図書館を仕方がないなと思いながらも、容認しているのではないでしょうか?
これは昨今のyoutube問題にも絡んでくる話。ただ宣伝の域を超えたnaruto等のアップロードは厳正に対処する必要があると思います。
以上、長文失礼しました。

kskksk 2007/01/15 09:48 >>はたおさん
リンク先を読みました。
媒体によってはリスクが高いのかもしれません。小説のような活字媒体とは異なり、昨今アニメや映画のような媒体は、容易にしかも大量にコピーを生産でき、しかも即座に世界中にばら撒くことができますからね。
「今、目の前にある危機を見過ごすわけにはいかない」と誰かが言ってましたが、効力のある何らかの現実的対処が必要なところまで来ている感じがます。

タロタロ 2007/01/15 14:39 初めまして、いつも楽しく拝見しています。
「萌えるアメリカ」ではカムイ外伝のレイプシーンが問題になって、
まるまるそのシーンがカットされたっていうエピソードが出てきますね
うちの学校の図書館には普通に置いてあったけどw
欧米はコミックは子供のものっていう意識がやはり強いから、こういう問題は避けらないでしょうね

kuku 2007/01/16 14:03 日本の性描写に関する緩さは(マンガやゲームだけでなく風俗なども)世界的に見ても異常ですからね。青少年が読むマンガに下着や時にはおっぱいポロリが普通、っていう国は他国には無い文化かと(W。以前、友人のアメリカ人をアキバに観光で連れて行ったのですが、エロゲのポスターやら同人誌に群がるオタクの光景を見て「クレイジーだ!アメリカの売春街でももっと品がいい!なぜここは年齢規制すらされていないんだ!」と驚いておりましたが。
 今回の図書館に関しても、他国の文化を紹介するなら、管理する側がきちんと中身を確認していないと「TOKYO POP」ってだけで名作もエロマンガも一概に同じ扱いを受けてしまう可能性もありますよねえ。

YaYa 2007/01/17 10:20 >HIDEさん
そもそもアメリカの漫画(いわゆるアメコミ)って、もともとプロダクション制で漫画家自身には著作権料なんて入ってこないんじゃなかったっけ?
(著作権料ほとんど出版社の物、漫画を描く人そのものは依頼されて画を描くだけで、描いた絵に対してのみ報酬を得るシステム、日本のアニメーターと同じですね。)

HIDEHIDE 2007/01/17 16:33 >Yaさん
DCやマーヴルのスーパーヒーローのアメコミのペラペラのリーフに関しては、そうです(人気アーティストの契約は違うかもしれません)。しかしTOKYOPOPが新人コンテストで発掘した日本式マンガを描くアメリカマンガ家は、Copyrightを持っており、単行本の定価の1割が印税として入るようです。しかし1冊約10ドルという高価格と図書館無料システムがあるかぎり、アメリカマンガ家が1年かけて単行本を書き上げても、たいして売れずに終わっているようです。TOKOPOPは日本の漫画出版を、低価格と雑誌連載を抜きにつまみ食いして、アメコミリーフではありえかった図書館無料システムを用意してしまった罪の方が大きいかもしれません。

ceenaceena 2007/01/19 23:29 みなさま、コメント色々ありがとうございました。これは本当に難しい問題だと思います。KsKさんが書いてくださったように、色々な問題が含まれていますよね。北米の図書館員の人向けの雑誌などではちょっと前から「マンガ」を説明する記事も時々載っているようです。図書館には表現の自由を守るという大前提がありますが、それでもこれから図書館員の人たちがマンガに対してもっと知るようになれば対応も変ってくるかもしれません。