2011-12-30 二次SS書いてそんな本がないか教えてもらおうその1
あずにゃんのにゃんにゃんをにゃんにゃんしたいよう!
二次SS書いてそんな本がないか教えてもらおうその2
こっちは映画版けいおんのあずにゃんがぺろぺろされているべき欲求の元に書いている上に超歯抜けです。ちょっとちはやさんその歯が抜けてるとこが重要なんじゃないんですか! バカ! はいはいそのうち書くかもしんない。えろちゅうい。エロ書いたっけ? まだ書いてないんじゃなかったっけ? まあ注意。こんなの俺のあずにゃんじゃない! 唯はこんなこといわない! 注意。
以下略
中野梓は、雲の上に居た。
地球の自転と同じ方向に向かって飛ぶこのジャンボジェットは、今きっと、ロシアのはるか上空を飛んでいる。梓はその洋上で目を覚ましたのを、正面の航行案内画面で知る。
あと数時間もすれば日本だ。一週間と離れていなかったはずなのに、とても長い旅だったような気がする。
機内は耳が痛くなるような空気の音が、上から落ちてくるよう、殆どの明かりは消えていて、偶に、低くトイレ使用中のランプがついたり消えたりしている。ライブの時とは違う、静かな轟音に満ちている。その中ですうすうと、微かな息づかいが近くから聞こえてくる。
梓が右を見ると、唯先輩が寝ている。愉快なアイマスクが半分ずれて、たいへんおかしなことになっている。梓はそれをみて溜息をひとつ付いた。くる時とは逆の配置に梓は座っていた。ロンドンに行く時の唯は頑なに窓側を主張した。その甲斐あってか、雲の上の綺麗な景色を見ることが出来たと教えてくれた。
ーーあずにゃんにも、見せたかったよぉ。 すごかったんだよー!
だから、帰りは逆の並びになった。窓を僅かに開けると、それだけで光が漏れてくる。その一条が唯の眠りの妨げにならない角度まで、少しずつ梓は窓を開けて行く。二重になった窓の下の方には、ちいさな氷の結晶がいくつも張り付いていて、その先には翼が見える。きっと、この外はものすごく寒いのが想像できた。その先に、きれいな赤い空があった。
ーーでね、あずにゃん。日本に帰ったらどのくらい時間が戻ってるの?
「戻りませんよ・・」
唯先輩は無邪気に、外国に行くことで生じる昼夜の誤差と時間旅行をまだ混乱させていた。誰の説明も積み重ねるほどに、唯の誤解と未知への期待も積み重なっていき、律先輩が笑いすぎてフライトアテンダントにたしなめられたところで、飛行機は離陸し、ほどなく全員が眠りについたのだ。
日付変更線を過ぎれば、昨日は、今日に。今日は、明日になる。ただ、そんなものは人が勝手に決めた目安でしかないと、梓は知っている。どれだけ飛行機に乗っていたって、時間を巻き戻したり、未来に行ったりすることはできないのだ。ロンドンと日本の往復では、日付変更線をまたぐことはないのだけれどーー。
半分だけ空いた窓からぼーっと外を見ながら、梓はそんなことを考えている。
「あーずにゃん」
「わ」
頬に熱を感じた。振り返るまでもなく、唯先輩のものだった。
「もー、なんですかっ、離れてください」
「あーずにゃん、きれいだねえ。くる時見て感動しちゃった。行きはあずにゃん、寝てるんだもん」
唯は席を立った。梓は大人しく離れた唯に
「あれ、どこか行くんですか?」
唯は軽く首をかしげて。
「おトイレ。あずにゃんも一緒に行く?」
「い、いきませんっ!」
銀色の先の深い穴に、容赦なく流れて行くやたらと青い水を見ながら梓は手を拭いていた。
この銀色を見ていると、奥歯の更に奥がすーっと冷たくなるような、泣きそうな気分になる。
席に戻ると、唯と梓の席の間にあった肘掛はまた上がっていた。上げておかないと、唯先輩はすぐに梓のテリトリーに侵入してきてしまう。そしてあろうことか、梓がトイレに行っているほんの少しの間に、唯は妙なアイマスクを装着しなおしたあげく、両方の席の七割以上を支配して寝てしまっていた。
「さっき起きたばっかりじゃないですか、もう・・」
僅かに空いた三割の隙間にちょこんと体を滑りこませる。体躯のちいさな梓にとって、不可能な隙間ではない。けれど、窮屈である事に変わりはない。行きもそうしたように唯の体躯を上げて追いやろうとする。そこでふと気づく。行きと違って、押しやった先には壁がないから、唯先輩のことだから通路に落ちてしまうかもしれない。ロンドンのホテルで、唯先輩のおなかに肘を入れてしまった事を思い出して、そのあと、布団に包まって寝た時の事を思い出して、押しやろうとしていた腕の力がどんどんと抜けて行く。への字口のまま唯の頭を支えて、ちゃんと座り直すと、自分の膝の上に唯の頭を乗せた。
「・・うっ、重い・・」
重さと熱、髪の毛の摩擦。ジェットエンジンの音が遠い。「そういうんじゃないです!」と発したつい先日の梓の唇から、吐息が漏れる。見透かされているような目で、唯がじっと梓を見ている。こんな静けさとともに見つめられていた事などないのに。ジェットエンジンの音よりも、自分の心臓の音で、耳が痛くなる。はやく、ゆいせんぱい、はやく、しゃべってください、なんか、なんでもいいからーー。
唯は珍しく真面目そうな目でじっと、じっと梓を見ていた。その実、唯は「あずにゃんの歌詞どうしようかな」とずっと考えているさなかで、梓の顔を観察していたわけではなく、その焦点はあらぬところで結像している。だが、そんなことはつゆも知らず梓は
「あずにゃんのこと、もっとよく知りたいな〜」
「ちょっ、そ、そういうことは本当に好きな相手に言ってください!」
「ええ〜。私あずにゃんのこと本当に好きだよ〜」
それ、違う好きです。と梓は躊躇う。それでは、本当の好きではないみたいだ。本当の好きってなんだ。きっと唯先輩は、先輩方みんなと同じように、梓のことを好いてくれているのだ。「そういうんじゃないです」と叫んだ自分の声が響く。
「わ、あずにゃん」
「えっ?」
「悲しいの? ごめんね」
唯の左人差し指がすっと伸びてきて、ギターをひいていると思えないくらい綺麗すぎる指をーーこれは、練習していないだけじゃなくて、きっと無駄な力を全くいれずにやっているからなのだろうけどーー見せつけながら伸ばしてきて、梓の頬に触れた、離れていく指に水滴が乗っている。
「あれ・・?」
「泣かないで、あずにゃん」
「あずにゃんの心臓の音、憂のより早いね」
「えっ」
先輩、憂にもこんなことしてるんですか? とは聞けなかった。こんなこと。とはなんだ。唯先輩のスキンシップはどこまでが普通なのか。これが普通、なのだとしたら、のぼせている梓のほうが恥ずかしいことになってしまう。
「あずにゃんの心臓はどこにあるのかな・・?」
「え・・ぎゃっ」
下着がずらされた。止まらないと悟った梓は瞬時に回りを見渡す。澪先輩達が座る前の席は静かだ。他の客からは死角だ。フライトアテンダントも、この時間はそれほど回ってこない。梓は咄嗟に左手に落ちている毛布を唯の頭から被せた。
「わっ・・もうなにするのあずにゃん」
「こっちのセリフですっ!」
「え〜、あずにゃんの心臓探してただけだよ。あずにゃんのこと、いまちゃんと知りたいんだ」
「ええ?」
何を言っているのかわからない。沈黙は唯を止めるにはあまりにも弱かった。毛布をかぶったままの唯は、そのまま梓を座席に押し倒して、胸をまさぐる。
「や、やだぁ」
「見られるの恥ずかしいんでしょ、あずにゃん」
「あたりまえですっ!」
「これなら、わからないから大丈夫だよ」
「わかりますよっ・・んぅ!」
「ほうーあずにゃんはここが弱いのだねえ〜」
「先輩、本当怒りますよ!?」
「おーい静かにしろー飛行機だぞー他の人いるぞー」
「ヒッ!」
毛布から梓だけが顔を出して恐怖の声をあげる。唯先輩以外の声が聞こえた。前座席から律先輩が糸目で顔を乗り出していた。大丈夫、じゃれているようにしか見えないと自分に言い聞かせる。
「律っちゃーん? 今ねえ、あずにゃんのね〜あ痛っ!」
「ちょっと先輩黙りましょう! 飛行機ですから!」
毛布の上から唯の頭を小突く。今余計なことを言われて律先輩に乗ってこられてもコトだし、なにより毛布が動けば、かなりはしたないことになっている梓の上半身があらわになってしまうのだ。断じてそうはさせたくなかった。
「お前ら元気だなあ。みんな寝てるから静かにしろよー」
「は、はい」
律は特に追及してくるでも、乗ってくるでもなく自分の座席に帰って行った。梓は胸を撫で下ろした。
「あずにゃんひどい〜」
「唯せんぱいがわるいんですっ! ほら、静かにしましょう。しずかに」
「はぁい」
「私はねえ、あずにゃんがどんなときにドキドキするのか、知りたいんだよ」
「ーーいつも、ドキドキさせられっぱなしですよ」
今も、だ。理屈とかはわからない。そういうんじゃないと、自分はノーマルだと思っていた。唯も、そういうつもりがあるわけではなくて、梓が考えすぎなのだと言わんばかりの狼藉をはたらいてくる。さっきからずっと胸のーー乳首の周りをリップを塗るときみたいな動きで撫で回しているのだ。弦を抑えるときと同じような。
「だいじょうぶ、いつもギー太にしてるみたいにするから!」
「わけわかりませんっ」
唯の声は低く抑えられていた。その抑えられた声が、梓の理性を麻痺させてくる。今はお互いに毛布を首から下に被っている。寝ているかのように見えるだろう。でも唯の目は爛々と輝いていて、じりじりとその体は日付変更線を超えてくる。あまつさえその手と指は無遠慮に梓の肌の上をまさぐっているのだ。毛布にかくされてはいるが、梓は上着をたくし上げられて両の胸を丸出しにされていた。唯が片方の胸を「おー」とか言いながらまさぐると、おろそかになったもう片方に毛布がこすれて、未知の感覚を梓に呼び起こさせていた。
「もうやめましょうよ・・」
唯の暴挙を制止しようとする声も、手に添えられた手も力のないものになってしまっていた。まだ梓の理性は「嵐が過ぎ去るのを待っている」のだと言い聞かせているところだった。
「・・ねえ、あずにゃん」
「なんです?」
あ、よかった。と梓は上気した頬で安堵を見せた。この聴き方はアレだ。飽きたのだ。あんまり楽しくないね。と続くはずだ。新しい話題をここでフれば、方向転換ができるだろうと考えた。
果たして、唯は梓のささやかな丘を撫で回すのには、飽きていた。
「ぱんつぬいで」
「バカですか?」
英語ばかりの所にいたから、本当に頭がどうかしたのではないかと心配になった。
「本気だよ!」
「なおさらバカじゃないですか!」
「さっきトイレ行ったばかりなの、気にしないから! 私もだし」
「ーーうぁ、ふぁ、あっ」
「あずにゃん?」
梓は自分を蹂躙している腕に、しがみついた。
「あっ」
その腕に押し付けるように腰が動いていた。自覚はなかったけれど、自分がどこかに持っていかれるような気がして、唯の腕に自分の両手を巻きつけて、かき消えそうな、痺れるような声を漏らした。
「ーーふぁっ」
波は止まらなかった。唯先輩がなぞった心臓の音のぶんだけくりかえすように、ゆっくりと、本当に時間旅行でもしているみたいに、心臓の音が梓の自我をかき消す波となってやってくる。その度に、押し出された理性が声になる。きっと、この声は大したボリュームではないはずだけど、自分以外が真空になってしまったような錯覚の中では、自分がここではしたない声を出しているのを主張してるみたいになった。それを自覚してしまうと、さらに大きな波が訪れてしまう。
「ーーぁ、ッ! んぐッ?」
「あずにゃん、いいよ」
「トイレ、いっといてよかったねえ、あずにゃん。あ痛ッ! ん〜、ひどいよ」
「唯先輩、話しかけないでください」
「そんなぁ〜。あ、あずにゃん、私の穿く?」
「ーーがるるる」
「あずにゃんがドウブツになっちゃったよ・・」
「もう寝てください、まだ三時間ぐらいありますから!」
あずにゃんは雲の上にいた。
パンツの替え、預けたトランクの中だなあって考えていた。
閉められた窓の外では光る翼が追いかけていく
なかなか沈まない太陽を
暁美ほむらはまつろわない
もうコミケやってるじゃないですか……。
恐縮ですが、これからぼくの考えたまどかマギカの時間はあったけどやるきと目標が足りなくて、ぜんぜんまとまってないやつをこの下に載せますので、そんな感じの本があったら買ってきてくれませんかね。うん、自分でも探します。でもこういう本は三日目にはないんじゃないでしょうか。これ探すんだったら今日行かなきゃいけなかったんじゃないでしょうか、っていうかこういうのはオンリーイベントなんじゃないでしょうか。良いんだよ俺は年内にこれをとりあえずできたところまでアップするって決めてたのォ――――! 今年はまだ終わっちゃいねえ! 弱音を吐くな! 気合いを入れろ! 歯を食いしばれ! おまえのほむらちゃんへの想いはその程度なのほむか――――ッ! さりげなく語尾にほむとかいれてんじゃねえよ気色わるいな! 素でほむほむ言ってる人たちとは相容れないんだよ! やめろ敵をふやすんじゃないおのれの狭量が世界に知らしめられるだけだぞ! 知ったことかァ――――!
以下本文(文脈が繋がってないところは、飽きてます)(というか、そもそもプロット未満の代物ですのであまり)(SSってそういうものじゃないの?)(ちがうとおもうよ)(さりげに人生初SSといえるのではないでしょうか)(まじで)
夜が落ちてくる。
少女は、目の前の景色を見てそう感じた。何度もこの街に降りかかる終わりの景色。
思い描いた正義を少女に相応しい形にしてまとい、立ち向かう後ろ姿を動かない身体で見つめていた。
終末はやがて決した。束の間の勝利。悪意と害意の塊にたったひとりで立ち向かい、今、少女の横に倒れこんだ。
「暁美さん、だよね?」
暁美ほむらは言葉を失った。
そして声もなく泣いていた。
「暁美さん、さっき、あたしを助けてくれようとしたでしょう? ううん、さっきだけじゃない。今まで何度も、何度も、本当に危ないところを助けてくれたのは……あなたでしょう?」
ほむらは声を出せなかった。肺に穴が空いていた。空気が漏れて行く、苦しかった。今回もまたダメだった。まどかは、まどかはこんなにも一生懸命頑張って、いままさに内側から魔女に食い破られようとしているはずなのに、それでも、この時間では一度しかまみえたはずの無い暁美ほむらを心遣っている。
暁美ほむらには、やり遂げねばならない役目がある。
限られた時間の中で、反則に近いこの魔法を操って、幸せを勝ち取らねばならない。
それが、反則を与えられた自分のーー最初に救われた、暁美ほむらの役目なのだ。
「ごめんなさい」
「よかった……まだ、大丈夫? 暁美さん」
だめよ、まどか。
手を伸ばす、触れたい。だって、ほむらは今回、まだまどかに指一本触れていないのだ。今回は干渉しないことを選んだ。だけど、それは失敗だった。
そう、まどか以外の誰も残らなかった。最後の日を前にして、あるものは魔女になり、あるものは魔女になる前に心中を選び、あるものはその魔女に殺された、酸鼻極まる最低な終わりだった。だが、この結果にほむらは安堵していた。そして認識を新たにしていた。やはり、まどかを救えるのは自分しかいないのだと。
ぐるぐると確定した闇が、まどかの内側に火をともしているのがわかる。ほむらの傷を気遣うその目は虚ろを見ている。グリーフシードが染まりきるまえに、残して置いた最後の力を振り絞って、暁美ほむらは魔法を解き放つ。
リセット。
繰り返す度に詰んでいることを思い知らされる苦痛のゲーム。時間を遡行しながら少女は歯を食いしばる。次は、次こそは。
自分の時間を保持したまま、世界を裏返すこのカードで、何ができるのか考える。
その反則しかできない自分に、
自分にしか。
意識が飛ぶ。
なぞりすぎて擦り切れそうな時間の流れが、大きな口を開けて、ほむらを飲み込もうとしている。脈々と波打ち流れていくこの暗黒の粒子が群れなす渦を逆回しにほむらは泳ぐーーいや、逆回しに流されていく。その間に引っかかるものがあるのを何度めかの遡行でようやくほむらは気づいた。ピンク色のリボンが閃いては消えていく。このリボンはまどかだとほむらは直感していた。それが消えていくのにいい気持ちはしなかったけれど、よくよく目をーー目のような感覚を研ぎ澄ましてみると、それは鎖だった。紫色の鎖。あまりにも頑丈そうで無骨で残酷なそれは、ほむら自身の全身から生えて、この時間の大渦に沈んでいく。その果てになにがあるのかーー。ほむらはその先を想像したくなかった。
だけど、想像したくなくとも、記憶が流れ込んでくる。
それは、ほむらの想いにほかならなかった。ある一人に向けられた純情の数々だ。それが、あったはずなのに失われた現象となってほむらの中に巣食い、枝を伸ばし、ありえたはずの時空に向けて怨嗟の鎖を伸ばしているのだ。ほむらは叫んだ。だが、魂だけが巻き戻るこの概念のごとき奔流の中で声など響くはずもなければ、よしんば響いたところでなにか起こるはずもない。むろん、涙すら流れない。どうしようとも、気づいてしまったが最後とばかりに、ほむらの中にそれは流れ込んで、ほむらを波浪のごとく浸食したのちに、またあるべき時空に向かって縛鎖となって走り出すのだ。その先には、絶対に、まどかがいるのだ。
そして、見えてしまった。ほむらは、すべてを、まどかがこの果てに、ほむらの行く果てに、絡みついて膨らんだこの無限の鎖が、あらゆる可能性から、魔力を搾り取って、すべてのまどかに恭しく供えているのをーー。
「〜〜〜〜!」
声はでない。
まどかは死ぬか、魔女になるしかなかった。どの可能性も、今俯瞰してしまったすべてありうる未来に、まどかとほむらが笑っている未来はなかった。靄のかかった未来もいくばくかはあったが、触れるたびに、まどかも、ほむらも、無惨に斃れ、もう、その世界はなかったかのように、砂嵐が訪れる。
やめてくれ。
やめてくれ。
どうして、どうしてあの子を苦しめるの。
どうして、
どうして、
誰が。
誰が!
「ああ」
だが、そこに閃きがあった。
まどかを救おうとするほど、世界もまどかも苦しむのなら、自分なんていなければいいのだ。しかしそれも、ただ死ぬだけではだめだ。この抑えられないまどかを助けるのだという想いを断ち切るためには、超常の力をかりなければならないだろう。
超常が本当はそこらへんにころがっているはずはない。けれど、ほむらには心当たりがある。魔法少女だ。魔法少女が魔法で自分のシリを拭くのだ。こんなにわかりやすい話はない。ただ、ほむら自身は魔法少女となってしまっている。そして、この鎖を断ち切るほどの魔力を秘めた願いのありかなんてーー。
ーーだから、まどかに頼むしかない。
どこでもない場所、ほむらが渡る時空の狭間、可能性と選択肢が落ちて行き消えていく時空のるつぼ。この無味無臭、絶対零度の牢獄に自分を閉じ込めてしまえばいい。ほむらがあそこにいる限り、まどかを縛るほむらの鎖が、まどかを魔法少女なんかにしない。ほむらの存在しない世界でなら、あるいはーー。
それは、とてもいいアイデアのようにほむらには思えた。永遠の牢獄からまどかを見守れるだなんて、考えようによってはとてもロマンチックで素敵なことのように思えた。少なくともいままでずっと続けてきた地獄よりはいい。まどかが恋をして、子を設けて、老いて、天寿を全うしたらーー。すべての可能性のまどかが幸せになるように、ここで見守っていられるのだーー。
それでも、望みは、魂をかけるに相応しいものでなければならない。ほむらの理不尽で身勝手な願いを叶えてもらうためには、本当に憎まれるほかはないだろう。
そう、嫌われるために。
憎まれるために。
願いも、祈りも、純粋な呪いに変えるために。
「ーー消えて、暁美ほむら」
そう、ただひとこと、願わせればいい。
そのためには、やさしいまどかを、あの日、自分を救ってくれたまどかを追い詰めなくてはならない。
どうして言わないの! 殺したのよ!? 呪ったの! あなたの友達も、家族も、未来も、何もかもを私は奪ったのに! なんで!
どうして、どうして憎んでくれないの……
「暁美さん、どうして、こんなひどいことするの?」
凛とした顔だった
「ねえ、暁美さん、責任を取ってくれるかな? あたし、ひとりぼっちになっちゃったんだ」
白い雪景色。誰かがそこにこしらえた雪うさぎのような白。赤い木ノ実のごとし可愛らしい瞳。悪魔も諸手を挙げてひれ伏す如き、価値観の違う場所で自分たちを石油かウラン鉱のごとき資源として見ている上位のモノたちが、囁く。
「まどか、いまこそ願いを叶えてあげられるよ。きみは魔法少女の力を手に入れる、その魂と引き換えに願いをひとつ叶えられる」
感情など、そこにはない。理解できないと嘯きながら、それを分解し、理解し、再構築し、数式のようにして、ほむらに自分の望みを言わせようとしているのだ。
「知ってるよ、暁美さんが時間をあやつる魔法少女なんでしょ。すごいよね、タイムトラベラーだなんて、あたしも、やりなおしたいこといっぱいあるよ。だから、あたし、考えたんだ。暁美さんがどうしてこんなことしちゃうのかなって、ずっとずっと考えたんだ。暁美さんにこんなことされちゃうくらい、きっと、暁美さんが知ってる他のあたしが、してしまったんだよね。きっと、魔法少女なんかにならなきゃよかったんだよね。あたしは、間違わない。あたしなら、暁美さんを救ってあげられるかもしれないって、おもうんだ」
「カゴメマドカ、きみはもはや、何でも叶えられるよ。何を願ったらいいのかわからないなら、ぼくがその答を教えてあげる。きみは、きみ自身のために、そして目の前の苦しむ魔法少女の両方を救う願いだ。さあ」
「ーーだめ! だめぇッ!」
遅い。インキュベーターは笑わない。そのはずなのに、笑顔をほむらに向ける。並行世界の自分たちへの手向けとせんばかりの、使命を達した時の満足そうな目。やられた。してやられた。
「ーー暁美ほむらを、普通の女の子に」
鹿目まどかが彼女なりに考え抜いた、強烈で破滅的な復讐だった。ほむらは、賭けに負けた。予期しない結末ではなかった。分の悪い賭けではあった。けれど、その願いはあまりにも、あまりにも暁美ほむらの心臓に突き刺さる。だが、痛みを噛みしめる暇なんてないのだ。
暁美ほむらは、当初の予定通り、その願いが叶う前にリセットをかける。
盾の陰に、泣き顔が見えた。
あんな泣き腫らした目の彼女を、見守っていくだなんて、本気で考えていたのか。
なんて愚かな、暁美ほむら。
時の狭間すべてがうねるように、暁美ほむらを笑っている。
魔法が、かさぶたのように剥がれ落ちていく。
「だ、だめーー確かめなきゃ・・! ちゃんと、見なきゃ!」
巻き戻る時間の奔流に、意識まで攫われた。
「ダメ・・!」
もはや、加護は失われていた。
目覚めるとほむらは魔法少女では、なくなっていた。
ほむらの手の中でグリーフシードが砂に変わっていく。
テレビを点ける。真新しい制服、メガネ。記憶。あの始まりの日に戻ったすべて。
魔女にもならず、普通の女の子に変わった。
安堵があった、これで、地獄の円環から逃れられるのだ。ほむらにとって、これが最後になるのだ。愚図なほむらが手をこまねいている間に、どんどんとまどかが、手のつけられない化け物に変貌していく様を見ずにすむのだ。
でも
まどかに溜まった魔力は放出されたわけではないだろう。最後に放たれた願いは、ほむらを元に戻すだけだったのだから。ほむらの記憶が時間の円環の中で保持されているように、まどかの魔力もまた、エントロピーの法則を超えて溜め込まれているに違いないのだ。もしかしたら、ほむらが持っていた力の分までもだ。
反則は尽きた。万策は尽きた。もう、ジョーカーは手札に存在しないのだ。
魔法少女は、自分を救ってくれたひとひとりさえも、好きな人さえも、救えないのだ。
……
ジョーカーがないなら、もう一度手に入れればいい。
いっそ、もう一度魔法少女になればいいではないか。
そうすれば、ひとつ願いをかなえさせることができる。
ダメよーー
そうだ、この時点のほむらに資格はない。魔法少女になる資格も資質もないのだ。ほむらがその資格を手に入れるのは、まどかに触れ、まどかを失いたくないと願ったーーからではないか。インキュベーターに認められなければ、魔法少女にはなれない。イレギュラーと、今までインキュベーターはほむらのことをそう呼んできた。インキュベーターの知らない魔法少女未満なのだから。からっぽの、役立たずの、魔女。
「ああ・・」
そうだ、まどかが魔法少女になった時点で、インキュベーターの目的は果たされてしまうのだ。インキュベーターは膨大なエネルギーをその時点で手に入れることが確定してしまう。今まではそれを、ほむらの魔法で妨げてきたのだ。何度でも使える、一回こっきりの魔法で。時間遡行を再選択するには、インキュベーターがまどかと契約してしまう前に手を打たなければならない。その分岐は、かなり早いタイミングで起きることをほむらは知っている。けれど、魔法を失ったほむらにとって、そのすべての選択肢を止めていくことは不可能に近い。結論として、もう、ほむらはジョーカーを手に入れることはできない。
やりなおしがきかない。
そして、ワルプルギスの夜が、降りてくる。
魔女たちが最後の茶会をはじめる。
「だめ」
それだけは防がなければならない。考えろ、考えろ暁美ほむら、時間がないのだ。あるはずだ、同じ時間軸を何度も繰り返して来たのだから、時間をいじるしか能のない自分は、人の知恵を尽くして、足りない分を硝煙の臭いで誤魔化して、ジリ貧でもどうにかここまで終末を引き伸ばして来たんじゃないか。まどかにあの顔をさせないために!
ああ……
いた。
この時点でまだ、魔法少女になっておらず、魔法少女になる資質を秘めた少女が。
さやか。
どうにも反りのあわないあの少女に、願わせればいい。ワルプルギスの撤退を? まどかの平穏を?
そんな馬鹿なことがあるか、さやかが、京介の治癒以外に何を望むというのか。報われない願いを、他人への願いだからとよしんば止められたとして、さらに頼むのが他人への願いであるなんてあまりにも馬鹿げているではないか。
無理だ。
どうにかなるのなら、いままでの膨大な円環の中で、見つけ出しているに違いないのだ。ほむらは、その円環の中、偶然か神の気まぐれで、
ふとうまくいくのを待っていたのだ。それを、自分のミスで、気まぐれで放り出してしまったのだ。負けなければ、耐え続ければ、勝てる可能性がどんどん小さくなっても、いつか当たりくじを引き当てるかもしれなかったのに。
もはや、手だてはない。
手だては、ないのだ。
だって、ここにいるのは、ただの少女だ。なにもなしえなかった、魔法少女にもなれなかった少女だ。
「ーーッ!?」
ほむらの心臓が軋んだ。そんな、そんな、まさか。
病院の白い壁、消毒液とほのかなアンモニアの匂い、それよりもわずかな血の気配、ナースシューズがリノリウムを叩く音。点滴が落ちる音。子供の泣き声。過去。しんでいた日々の情景が蘇る。
「なんです……って?」
死が迫る。
ーー暁美ほむらを、普通の女の子に
ほむらが”ついさっき”聞いたあの願いが閃く、あれは、あの願いは「どこまで」有効なのか? 胸の真ん中、少し左を上から抑えながらほむらは考える。奥歯が震える。思考が、悪夢へと至りはじめる。
「……誰?」
窓辺にあいつがいた。
「やあ、はじめまして、アケミホムラ」
「どういうこと、インキュベーター」
「おや、ぼくのことを知っているんだ。不思議だね。初対面だと思ったけれど?」
「あなた、私を魔法少女にしにきたんでしょう?」
「そのつもりだったんだけどね、でも、おかしいんだ。ぼくはたしかにきみに向けられた望みを叶えたはずだったんだけれど。なぜかきみはそんなにも苦しんでいる」
「なんの、こと?」
「何故だかきみはぼくらのことを知っているみたいだ、魔法少女のこともね、その顔はまるでこれから起こることまで知っているかのようじゃないか。わけがわからないな。そんなことはあるはずがないし、ぼくが彼女の望みを叶えにきた時のきみは、いまにも刻印を浮かべてしまいそうな顔をしていたのにね」
「何を……言っているの?」
「尋ねたいのはぼくの方さ、あれから何が起こったんだい? 数日と経っていないのに。感情のないぼくでもわかるくらいにきみは成長しているみたいだ。なのに、彼女の願いはいつのまにか消え失せてしまっている。……これは、なんてことだ」
「うう……」
「アケミホムラ、どうやらきみの心臓は限界だ、肉体を持つってのはこれだからややこしいね。わかっているみたいだから説明は省くけれども、どうだい、魔法少女になってくれないかな?」
「グリーフシードに、の間違いでしょう?」
「すごいね、きみはそこまで知っているんだ……まあ、拒否するのも構わないよ」
「拒否なんてしない、でも、その前にひとつ」
「なんだい」
「ーー私を救おうとした願いが、あったの?」
「ああ、依頼主はいえないよ、これも願いのひとつだから」
ーーああ。
ほむらは痛みと荒い呼吸の中で思考を纏める。長い繰り返しの中で、こんなことはなかった。再発なのか。なぜ、今になって? ほむらの内面は、経験は、連続していた。肉体は連続していなかったはずだ。連続していれば、あの時も、あの時も、目覚めた時に四肢はボロボロで、すべては詰んでしまっていたはずだ、始まる前から。いままですべてのほむらの想いは、自分を救ってくれたまどかとの出会いは、まどかをどうしても救いたいと願いあれからずっと続くもはや懐かしき胸の痛みは。
生まれてよりずっとそばに寄り添っていた、この死へのカウントダウンがごとし不整の脈動が、ある日突然に、なくなったからこそ、叶ったものだ。
「ねえ、インキュベーター」
「なんだい」
「あなたたちは、時間を、張り巡らされた時間軸の網の目を、上から見下ろすことはできるの?」
「そんなのは不可能に決まっているじゃないか。因果律をなんだと思っているんだい」
「そうよね」
「きみの臓器は確かに治っていたはずなんだ、そうでなければ今頃死んでいるはずだったんだからね。それが証拠に、いまのきみはそんなにも苦しそうだ。さあ、望みを言えるうちに魔法少女になってよ」
「悪魔の囁きね」
「君らのいう超越的存在だったら、ぼくらはこんな面倒なことをせずとも、もっと効率的にエネルギーをあつめられただろうね」
「そう……」
ほむらの脳裏には想像したくないほど悪辣な仮定が浮かんでいた。アケミホムラにかけられた最初の魔法は、きっと、苦しむほむらを救うために願われたものなんだろう。ほむらが知らなくても、もしかしたら忘れてしまっているのかもしれない。それを忘れてしまっているのだとしたらほむらはいくらか悲しいけれど、その願いに感謝しなければならないと思う。その願いの主はもう、とっくにこいつの腹の中にいて届かないものだとしても。
しかし、ほむらはその上で想像してしまう、危惧してしまう、いままで何度やっても上手くいかなかったループの中で手に入れた猜疑心が真実の様なものにライトを向けてしまう。
ーーその願いは、本当に望まれたものなのか?
「でも、予測はできる。きみたちは複雑系と呼んでいたね。いくつものバタフライエフェクトの果ての果てを予測し、利用することはけして不可能なことじゃない。けれどね、ほむら。ぼくはおそらく時間旅行者であったきみに答え合わせをしてみたくなったよ。
ーー カゴメマドカは、ワルプルギスの夜を倒したかい?」
「なるほどね、その顔が見られれば十分だ。驚いたよ。予測は現実になりうるんだね。さて、そのうえできみはなぜか力を失っているようだ。それでも、ぼくはきみの魂の価値に見合った奇跡を起こしてあげられるよ。そんなに興奮しちゃまずいよ、魔法少女になるまえに死んでしまったら勿体無いじゃないか。さあ、資源を大切にしなきゃいけないってきみらの教科書にも書いてあるだろう? きみらだって、こんなに街に風車を建てているじゃないか。だって、きみには、きみらにはそれぞれに、なにかを犠牲にしても、叶えなければならない願いがあるんだろう。ぼくらは、それを叶えるためにやってきた善意なんだ。きみたちが、願いをかなえ、力尽きる時、ぼくらはいくばくかのリターンを頂戴する。きみらはこれを共生って呼んでいたね」
「鹿目まどかの願いを、叶えないで」
「それは、これからの願いじゃないか。それに、いま、死にゆくきみがそれを望んでも、きみはそれの達成をみることはできない。それはきみの願いを叶えないじゃないか」
「いいえ」
「最初から、私を救う願いなんてなかった。これは弱い私の生んだ妄想」
そう、魔法少女である限り。
この肉はただの器。
「ーーキュウベェ、あなたが教えてくれたことよ」
死神の如き鎌、光を吸い込む不吉な翼、それを引っ提げてあけみほむらは新しい魔法少女となる
もはや、時間を巻き戻すことはできない。
それでもかまわない。
まどかが魔法少女にさえならなければ、かまわない。
彼女がたったひとり残され、泣くことになろうとも。
この時間軸で、すべてを終わらせる。
「きみは、どうしてもぼくらに遠回りをさせたいんだろうね。でもいいのかい、ぼくは約束は守る、けれどルールを破るのが願いだからね。もし、きみよりも強い願いで、まどかの願いがよみがえってしまうことも、あるかもしれない。なんたってぼくは、きみのおかげで、彼女さえ魔女になってくれれば目的が達成されることを知ってしまったんだからね」
「妥協すべきところよ、インキュベーター」
死を思わせる暗い暗い輝きの宝石がこれからの身体なのだ。
心臓の痛みは、もう、響かない。
少しだけ、さみしい。自分に向けられた願いを、自分は無にしようとしている。
誰とも知らぬだれかと、考え抜いた平穏を望んだまどかの分、もしかしたら、孤独と信じてきた今までのほんの少しの人生にも、自分の為に願ってくれたひとがいたのではないだろうか。
もう、それを知ったところでどうなることでもないのだけれど。
「ねえ、キュウベェ」
「なんだい」
「最初に私を魔法少女にしたあなたは、こうなることを計算していたのかしら」
「可能性の問題だよ、アケミホムラ。きみは今、安堵しているかもしれないけれど、ここにいてもカゴメマドカの魔力を感じずにはいられない。そして、インキュベーターはぼくだけじゃない。ぼく以外のインキュベーターがまどかの願いを叶えるのは、決して契約に反しない」
「ーー」
誰の願いも、届かない。
「いいわ」
それならば、すべての願いを、断ち切るしかないではないか。
「ーーまどか、あなたが、世界になってしまう前に」
それこそが、この鎌が刈り取るものだ。
鎌を振り切る前に、白い獣がかき消えていく。
まるで、最初からなかったかのように。
最初からなかったものが、蘇ることもないだろう。
「さよなら」
ほむらは虚空に鎌を当てる、鎌が、願いを、想いを、呪いを可視化する。煌めきは糸に、糸は紐に、紐は縄に、縄は鎖に。その鎖はほむらにくくられ、その先はーーどこかに消えていく。確認せずともわかっていた。これは、まどかを縛る暁美ほむらが産んだ鎖だ。彼女をこの時空に閉じ込め、やがて化け物に育て上げる死に損ないの迷惑極まりない鎖なのだ。
これさえなければ、いいのだ。
こんなものなければ、よかったのだ。
力は要らなかった。
プリンにスプーンを入れる時みたいに簡単に、それは終わった。
もう、名前も思い出せない。
最初からなかったものは、よみがえることもない。
願いも、きっと。
きっと。
少女が進んでいく
時計の音を聞いて泣く
