2008-05-30
■[漫画]井上雄彦「最後のマンガ展」に行ってきたよ!!
井上雄彦最後のマンガ展、行ってきました。
これが会場前の看板(これはひきのばしたやつ)
離れて撮ったやつ。人との比較を見るとでかいのわかりますね。
館内は当然撮影禁止なので写真はありませんがどんなだったか覚えている限り文字で説明いたします。明確なネタバレをかいたつもりはありませんが、美術館に観にいくのが決まっている方は会場で先入観抜きでじかに感じて欲しいので感想は読まないほうがいいかも。
まず入場するとすぐに2メートルはある武蔵の墨絵が。絵から熱風が吹いてきそうな迫力です。そして次からはマンガ原稿用紙サイズのバガボンドの書き下ろし生原稿が展示されています。
物語は武蔵の晩年。進路順に一枚一枚物語が進んできます。
もうこの生原が素晴らしいの。柵とかないので鼻がくっつくくらいの距離でみられるんですが、どの線も迷いがなく美しいことといったら。背景とかはアシスタントさんだと思うんですが、人物画はすべて(一部ペン?)筆で、本当に筆?と思える細かいタッチに圧倒されました。
生原を目の当たりにした私を含めた客たちの口から「うまい・・・」「すげえ」の声が漏れていました。誇張ではなく本当に。
物語の場面によっては原稿サイズから大きな和紙の墨絵、鉛筆画になったりして、墨一本線でキャラを描いたり、墨の濃淡のみでキャラの表情を細かく表現していたり*1、物語が気になってすぐ進みたいけど一枚絵としてずっと眺めていたい感じです。何度絵の前で眩暈をおこしたことか。
美術館、という空間にこだわっている演出も素晴らしかった。ライティングはもちろん、原稿用紙、絵のボードを飛び越えて壁にまで絵を描いたり、見ている人が画面の中にいるような感覚になる演出があったり、これは美術館にこなければ味わえない臨場感でした。
最後のほうは涙が出ました。いい大人が泣き顔を晒すのもなんなんで手にティッシュ握ってこっそり涙をふいていましたが、ふと他の人を見るとハンカチ握っている人とかいて、たぶん涙が出た人多数いたにちがいない。
ところで客層ですが、十代半ばから30代半ばくらいが多かった。たぶんスラダン直撃世代が大人になったのといまだに増え続けている新規のファンだと思います。それでもお年寄り、外国人の方もいました。
あと40代後半くらい?の漫画家と思える人もいました。何で漫画家とわかったかというと、息子というには大き過ぎる若者を数人連れて(顔も親子とは思えない)、漫画家さんと思しき人が絵の前で「ここはこういう風にトーンを削っている」「これはこうして描いた」など若者たちに解説。それが漫画家の目線としか思えない内容だったので念のため手を見たら案の定年代もののペンだこがありました。
漫画家さんですか?とたずねたかったんですが、鑑賞中に声をかけるのは失礼なのでしばらくくっついて講釈に聞き耳立ててました。素人では思いつかない角度からの解説で楽しかったです。漫画家の顔はよくしらないので、いつか誰だったかわかるといいなあと思います。とにかく同業者も井上雄彦には一目置いている感じでした。ひたすらいい線だ、と褒めていましたし。
あとギャル二人組みがかっこいい絵の前に来るたび「ほしーい。この絵ほしーい!!」というのはうざかったのでとおりすぎるのを待った後再び観賞しました。そしてガキ(高校生?)の集団が「いまだ、いまだ」といっていて何かと思ったらどうやらこっそり絵を撮影しようとしていた模様。スタッフに言った方がいいかな、と思いましたが実際撮影している現場を押さえたわけではないので通報はやめましたが、どうしようもないのもいますね。(やっぱ通報すればよかった・・・・)
スタッフの方の黒いTシャツもマンガ展の内容に沿った井上オリジナルで売店のTシャツよりもスタッフTの方が欲しかった。頼んでも売ってくれないだろうけど。
ただただ圧倒されて観賞後は試合終了後のボクサーのような真っ白状態。この展示数で1500円(平日一般)はお得だ!!
退場口の垂れ幕。
美術館を出た後初老の女性が一人で入場口の絵の写真を撮っていた。お年寄りなのに井上雄彦好きなのかなあ、と思って「井上雄彦お好きなんですか?」と声をかけた。明るい人で、マンガはまったく知らないが新聞などで話題なので来てみた。若い人が多くて若返れたかも、と笑っておられた。そして最後に私に「声をかけてくれてありがとう。」と言われた。
それがとても意外で、帰りの電車で心の中で反芻してしまった。私は物怖じせず人に話しかけてしまうのだが、まさかありがとうといわれるとは思わなかった。
バガボンドは武蔵が修羅の道を歩みながらもさまざまな縁、絆を得る内容だ。
あの初老の女性と私はたぶん井上雄彦のマンガ展を見に来なければ一生会うことはなかった。そしてたぶんこの先も会うことはないと思う。井上雄彦最後のマンガ展を見に来たというだけの縁。
関連付けてしまうのは大げさなのだが、人との出会いは自分にとって重要な人であってもそうでない人であっても、すべて必然なんじゃないだろうか。すべて偶然とも言っていい。
最後に、みなさんこれは美術館で見ることをオススメします。本当にすごかった。美術館側から井上雄彦にオファーしたらしいんですが、これは井上雄彦の漫画が芸術・美術としての価値があると判断したからでしょう。絵を見て井上雄彦はすでに違うステージにいるとしか思えなかった。どこにいくんだ!?イノタケ!!
漫画がアートとしてみなされ始めた今、井上雄彦はあと何年かしたら教科書載る。井上信者じゃなけど今回生の絵を見て確信しました。
でも連載の方のバガボンド、この進行状況でいつ終わるんだろうか・・。
*1:細かいまつげとかもしっかり書き込んでありました


