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chabo72の日記 Twitter

2018-01-08

希望のかなた

| 18:48

新年2作目の鑑賞はうってかわってアキ・カウリスマキ

こちらはもう冒頭から映像の美しさにやられっぱなし。何気ない日常が、ほんとうに何気ない1カット1カットが「絵画」になってしまうカウリスマキのマジック。構図。色彩。光量。全てが完璧。美しい!!

内容としてもとてもカウリスマキらしいというか、平凡な市民生活を追いながら、そのなかにある社会的な課題、いまのヨーロッパでもっともシリアスな話題である「移民」を巡る社会の歪みを見事に切り取ってみせる。しかもあくまでもミニマルで、コミカルな語り口のなかで。例えばケン・ローチのような、真正面から「社会派」然としたシリアスな作風もそれはそれで悪くない(ほくば嫌いじゃない)けど、カウリスマキの語り口はなんというか、より深遠だ。

filmarksには「カウリスマキずるい」みたいな調子で書いてて、それはそれでもちろん本音なんだけど、やっぱり映画を観て率直に考えたことは、果たして日本社会は「移民」をどのように受け止める社会になるのだろうということ。ミクシイ時代にはいわゆるオフ会的なもので日本の難民政策の勉強をしたこともあったけど、良く知られているとおり日本の難民受け入れ基準は極端に厳しく、結果として(とても残念な意思決定の結果だけど)難民移民との軋轢はヨーロッパほどにはシリアスになっていない、ようにも見える(という言説もある)。しかし水面下ではすでに外国人排斥の感情は広がりつつあると見るべきだろう。ネットだけでなく街頭にまで溢れはじめたヘイトスピーチ。それについてなかば同情的というか、そういう気持ちになるのも仕方ない、、、と思っている人がいることを実感せざるをえない空気。そしてそうした排斥を後押ししているかのような政府の発言。政策。そう遠くない将来、この国でもよりフィジカルに、移民難民を攻撃する集団は現れてしまうのかもしれない(そう、入江監督が「ビジランテ」で描いたように)。

私たちがそうした「他者」を排斥したがる社会に直面したとき、そうした感情が支配的な社会に直面したとき、果たして私たちは、あの老人のように、冴えないレストランの店員たちのように、ボー・ディドリー・モデルをかき鳴らすギタリストのように、そしてあのトラック運転手のように、小さな親切、小さな善意を積み重ねることができるだろうか。

カウリスマキはあくまでも優しく、そして厳しく、私たちに問うている。

D

キングスマン:コールデン・サークル

| 18:23

2018年映画初め。ほんとは今年の抱負とか、そういうエントリーも書こうかと思ってたんだけどめんどくさいから省略。今年も映画!映画!!(あとは体型維持頑張ります)。

で、年初早々景気良く、キングスマンの第2作から。相変わらずの冒頭からのカッ飛んだアクション。例のミンチマシーンとか、悪趣味全開で大変よろしい。のですがスタイリッシュさという意味では前作のほうが上だったかなあ。やっぱりコリン・ファースのアクションが前半にあるのは映画として大きかったかも。最初からエグジーだと「派手さ」のほうが立ちすぎて、良くも悪くも「少年アニメ」っぽくなりすぎちゃった気がする。まあもともとカメラワークもアニメっぽいし、明らかに作風としてそうしてるんだから、そこに文句言うのも変なんだけどね。。。どちらが好きかといえば、どこからどうみてもバカ映画なのに無駄にスタイリッシュだった前作のほうが好きだったかなと。

ただこちらも相変わらず、スーツはめっちゃかっこいいよね。前作でもそうだったけど、このシリーズみてると無性にオーダーでスーツをつくってみたくなる。本家007トム・フォードもいいけどさ、大人は一度はオーダーメードだよなあ。つくってみたいなあ。。

D

2017-12-31

2017年の振り返り

| 09:17

今年も最終日になりました。今年もよく働いた1年でした。ざざっと振り返ると、、


1月は太田市美術館・図書館のプレオープン。4月のグランドオープンに向けてワークショップをやったり、平田晃久展、開館記念展、開館記念パフォーマンスの準備をやったり。選書作業を追い込んだり。合間をぬって技能五輪国際大会誘致に向けた基本構想を書く。


2月、平田晃久展本番。1月に引き続き太田の開館準備が佳境に入っており、太田にはたぶん10日以上いた。プラス年度末らしく書き物仕事。愛知県の基本構想はとても好評。次年度からスタートする三井アウトレットモール「@BAY」の準備作業も本格化。NDCグラフィックスさんとの初仕事。こちらは今年一番難航した仕事で、ロゴが決まるまでは胃が痛かった。


3月、太田に14日ぐらいいた(笑)。誕生日は太田で祝ってもらった。あとはスタジオタウン小山の東京フォーラムとエクスカーション、LED NEXT STAGEへのブース出展くずはモール高橋匡太さんによるライトアップの制作、文化庁スポーツ庁観光庁が合同開催したシンポジウムモデレーターなどなど。べらぼうに忙しい年度末。


4月。ついに太田美術館・図書館がグランドオープン。遠田誠さんが演出した開館記念パフォーマンス「オオタドン」は素晴らしい出来だった。開館記念展もとても良い仕上がりになったと思う。個人的に一番力を入れていた図書館の選書を褒められる機会が多く、ほっと胸をなでおろす。息つく間もなく年度またぎで準備してきた横浜市緑区の「森のサーカス」、三井アウトレット「@BAY」の本番準備。月末にはベイスターズのイベントにミラーボーラーさんの作品を出展某国際事業のコンペに参加。


5月。本番が被ってしまった「森のサーカス」と「@BAY」。初日が雨で「森のサーカス」を順延、幸か不幸かふたつの本番の監理ができてしまったが、今年はダブルブッキングに悩まされた年でもあった。月末には「@BAY」の第2回。木村崇人さんの日光写真のワークショップと、So+Baのアレックス、森のサーカスでも美術を担当したレカによるハンコづくり。制作の藤村さん大車輪の活躍。某国際事業はコンペには勝ったものの、どうにもしっくりこない。


6月。太田の開館記念展の図録を入稿できたのがこの頃だったかな。図録に寄稿した文章は自分的にはとても気に入っている。これぐらいの時期からは毎年、秋の繁忙期に向けた準備作業が本格化する。横浜緑区泉区のスマートイルミネーション、八王子フードフェスティバルなどなど。特にスマートイルミネーション横浜の協賛獲得に向けて動きまくる。


7月。太田、8月初頭にあける第2弾の企画展「本と美術の展覧会」最終準備。私は全体の構成のみでキュレーションはまかせていたが、こちらもとても良い展覧会になったと思う。どうにもしっくりこない某国際事業は降りることを決意。20年以上のキャリアのなかで自分から仕事をやめたのはたぶん初めて。


8月。「@BAY」では夏休み企画として「ひかりの縁日」を開催。中山晴奈さん率いるファーメントさんとのお仕事。6月ごろから打診されていた立川の某プロジェクトについて本格的な相談を受ける。


9月。繁忙期突入。16日〜18日、八王子フードフェスティバル。29・30日、スマートイルミネーションみどり。中山緑新栄会のみなさまと一緒につくった「幻影ウェディング」。個人的にはここの仕事はとても好き。立川のプロジェクトでは、もし私にやらせてもらえるなら、、のコンセプトとプランを提案。とても喜ばれた(と思う^^)。


10月。アブダビ出張。はじめての中東、なにかと印象深かった。スマートイルミネーション横浜の最終準備。立川のプロジェクトでアートディレクターを勤めることがほぼ決定。


11月1日〜5日、スマートイルミネーション横浜。2日には国際シンポジウム。5日にはアワードの審査および表彰式。3日、4日は「@BAY」も同時進行。9日、台湾文化センターが主催する台日連携シンポジウムに登壇。後日、毎日新聞に大きな再録記事が載る。11・12日には再びの「@BAY」。立川のプロジェクト本格始動。


12月2日。スマートイルミネーションいずみ。中旬には太田で来年開催するシドニーオペラハウスとの共同事業「Join The Dots」のリハーサル。月末に道後でひかりの実。


というわけで今年は前半は太田メイン、後半は各種本番+立川メインで動き回った。なかでも太田市美術館・図書館は3年かけて準備した仕事。思い入れ強く、これが(少なくとも現状では)成功していることはとても嬉しく思っている。あとは技能五輪の基本構想について、高い評価をいただけたことが嬉しかった。今も尊敬してやまない師匠福井昌平さんの仕事を少しだけ受け継げた気がしたからだ。


来年からはおそらく立川の仕事がメインになるだろう。これもとても大きな、そしてやりがいのある仕事で、その成否で今後の自分の人生が決まるとさえ思う。大きなチャンスを与えてくださったことに感謝しつつ、自分がもつ経験、センスの全てを妥協なく投入したい。


あとは先輩の紹介で、来年度、横浜商科大学で1単位分の授業を受け持つことになった。これまでゲスト講師とかシンポジウムパネリストモデレーターはいくつもやってきたけど、15回の講義を受け持つのははじめて。年明けにはシラバスもつくらなかればならない。


というわけで仕事に関しては今年も順調な一年だったかと思う。これもひとえに、いつも目をかけてくれている諸先輩、自分の仕事を理解し支えてくれる後輩たち、そして頼りにしてくださる仕事仲間、クライアントのみなさまのおかげ。来年も期待に応えられるよう、そして仕事を通じて少しでも社会の役に、誰かの役に立てるように、頑張ろう。

2017-12-27

否定と肯定

| 11:15

年末ぎりぎりになってかけこみで映画を観まくる(わりと例年そうかも)。昨日はギフテッドをみたときに予告編が気になったこちらの映画をシャンテにて。

2000年にイギリスで行われた裁判を再現した法廷劇。ホロコーストはなかったと主張する歴史家デイヴィット・アーヴィングは、「ホロコーストの真実」という本の執筆者で、ユダヤ人女性歴史学者であるデボラ・E・リップシュタット講演会に乗り込み、ホロコーストには明確な証拠はないと主張し、デボラの本のなかで自らが侮辱されたことに対し抗議する。そして、訴えられた側に立証責任があるという(アメリカや日本とは逆ですね)イギリスで、デボラを相手どり名誉毀損裁判を起こす。著書のなかでアーヴィングを痛烈な言葉で批判しているデボラは、その言葉が名誉毀損にあたらないこと(つまりアーヴィングホロコースト否定論が不当であること)を証明することを迫られる。

否定と肯定」という邦題からも、この裁判の焦点が「ホロコーストの有無」にあったかのように受け取れるし、公式サイトやフライヤーにもそういう風に記述されているが、厳密にいえばそれは違う。デボラの弁護団の作戦は、ホロコーストの有無ではなく、あくまでもアーヴィング否定論に十分な正当性がないことを立証すること。そのためにアーヴィング著作を徹底的に洗い、そこで展開されている主張が誤認、あるいは意図的な曲解であることをひとつひとつ証明して行く。講演会でのアーヴィング差別的発言などを取り上げ、彼が差別主義者であること、アーヴィングの主張が差別主義に基づく詭弁であり、信頼性に欠けると判断されること(つまりはデボラによるアーヴィング批判には正当性があること)を丁寧に証明して行く。

ホロコーストの有無に正面から向き合うことを、直情的で熱くなりがちなデボラに法廷で発言させることを、さらには生存者(ホロコーストを実際に目撃してきた被害者たち)に証言させることを避ける弁護団に、劇中のデボラは(そして映画をみている私たちも)いらだつわけだが、次第に弁護団の意図、危惧が明かされていく。弁護団が避けようとしたことは何か、守ろうとしたことは何か。それを理解したデボラの裁判後の会見は見事。この映画は、決して感情移入しやすい人物とはいえないデボラが裁判を通して成長する物語でもある。

映画としてもっと「面白く」することは可能だと思う。しかし過度に脚色することはこの裁判の本質的意義を「否定」することにもなりかねない。そこはさすがのBBCと言うべきか、この映画の製作者たちは、それこそイギリス司法制度にならい、その制度のなかで「仕事」をすることに徹した弁護団ならい、扇情的な議論に陥ることを避け、あくまでも冷静に、真摯に、この歴史的裁判の事実を捉えようとしたのだと思う。結果として映画のルックは地味になったかもしれないが、とても誠実な態度だと思う。

対して、日本の広告が「ホロコーストは真実か、虚構か」みたいな煽りになっているのはとても不誠実ではないだろうか。アーヴィングのような歴史修正主義者は日本でも(特に最近大量に)跋扈しているわけで、仮に日本で似たような法廷闘争が起きた時、日本の司法は、あるいはメディアは、これほど毅然とした態度で臨めるのか、不安な気持ちにもなった。

D

2017-12-24

人生フルーツ

| 14:28

アップリンクで見逃してた映画を。

とても丁寧に生きてるご夫妻を、とてもとても丁寧に撮った映画。ライフスタイル、なんて陳腐なことばに集約するのもどうかと思うけど、美味しそうな食事はもちろん、例えばご夫妻が使われている道具のひとつひとつがとても良い品で、ああ、こういうところに「生き様」って現れるんだなあと思ったりした。通常のインタビュー映像よりほんの少し引いて撮ってると思うんだけど、それがなんとも奥ゆかしくて、撮ってる人たちが本当にこのご夫妻のことを尊敬していることが伝わってきて、とても好き。

色々な意味で、今年見た映画のなかでも特別な一本になりました。

D

2017-12-22

ビジランテ

| 09:02

ひっそりとズル休みして(とここに書いた時点でひっそりじゃないんだけど笑)立川で。久しぶりに入江監督の映画みたけど、うん、真剣さがビシビシきてたと思う。好き嫌いははっきり分かれるだろうなあ。僕は「サイタマのラッパー」シリーズのような、トーンとしては明るいのになぜか読後感は切ない的な路線の方が好きだけど、これはこれで、うん。三兄弟の演技は素晴らしかったと思う。あと麻里子様のラブシーン(結構濃厚)が見れるという特典がありますね。はい。「もう、大学生じゃないんだから・・・」。萌。

D