マイレージ、マイライフ

年間300日の出張に出るリストラ宣告人ライアンにとっては、空港が我が家であり、溜まったマイレージがステータスになっている。彼にとっては結婚など"重い"ものは背負う対象では無い。そしてそんな生き方に微塵も感じていなかった。

しかし、彼は2人の女性と出会う。彼と同じように国を飛び回る人種のアレックス。もう1人は出張を廃止する考えを持つ新人社員のナタリーだ。
2人に出会ったことで、人との繋がりを感じ出したライアンの考えにも徐々に変化が訪れていく…

観賞日4月12日

【85点】



まず、何よりも面白かった。





序盤はコメディ押しの展開が軸となり、後半は人生の意味について考えさせる…

このメリハリがハッキリしていて良かったですし、
序盤に軽い伏線があったりして、109分の上映時間いっぱいに楽しめました




まぁ展開は地味めなので大人にオススメな感じですが…




サンキュー・スモーキング」「JUNO/ジュノ」で非凡な才能を見せ付けたジェイソン・ライトマン監督。タバコ業界のロビイスト、妊娠したティーンなど一味違う主人公達を題材にしていた彼が今回取り上げたのは、リストラ請負人。

実は今回のリストラ請負人は、はじめは景気が良いから皮肉として取り上げてやろうというものだったらしいが、脚本製作が長引くと・・・ご存知リーマンショックで公開時には笑えないものになってしまった。

そこで監督は実際の失業者の声を取り入れてこの映画をよりリアルにした。
その柔軟さには脱帽です。




これでいてまだ30代前半なのだから、驚きを隠せない。
これで着実に経験を重ねていけばさらなる名作が生まれていくだろう。






そしてやはり特筆すべきはジョージクルーニーの演技…

渋い。

ルーニーの魅力がどのシーンでも滲み出ている。



あくまで効率的に荷物を詰めたり、空港のロビーや荷物検査を進むライアンの動きは面白いことうけあい。

また、徐々に自分の中で考えが変化するライアンを表情で巧みに表現していました。










以下ネタバレ

























作中には家族や恋人の支えがあったから解雇されても乗り越えたという実際の人々のインタビューがあります。
ライアンへの皮肉でしょうか。



今までライアンが持っていなかった繋がりのせいで、彼は妹の結婚式で父の代わりに花嫁の妹と一緒に歩くということが出来ませんでした。


それは今まで繋がりを軽視してきた結果。



繋がりの大切さに気付き、本当の関係をアレックスと作ろうとした彼に待っていたのは残酷な現実。





ラストシーン、空港で立ち止まることなどしない彼が、空港の各地への行き先掲示板の前で立ち止まったのは、これから人生の方向として何処に行こうかと初めて迷ったことを暗に示しているではないのでしょうか。


また、今は殆ど何も背負っていないのだから、何処にでも行けるという選択可能性を目の前にしている彼を表しているのではないでしょうか。



個人的には後者であって欲しい・・・・