大奥


疫病が流行り、男と女の比が1:4になった時代。要職には女が就き、男が体を売る男女逆転の世界。


貧困にあえぐ家を救うために武士・水野(二宮和也)は大奥に上がる事を決意する。

しかし、そこにあったのは噂に聞くような贅沢を尽くした華やかな世界ではなく、俗世に戻る事を許されない、野望渦巻く不条理な世界だった。


そんな折、8代目将軍に徳川吉宗が就任し…

観賞日10月6日




【65点】





とりあえず、一言で言うとホストクラブ『大奥』。





この世界では男女逆転しているが故に権力関係も逆転している。


それゆえ男が女々しく、女が男らしく描かれる。



例えば大奥で下働きしている少年たちが噂になっていた水野に話しかけようとするシーンは、女子学生があこがれの運動部のイケメンに話しかけようとするキャピキャピ感がある。



また吉宗役の柴咲コウは、乗馬のシーンや立ち振る舞いなどひじょーに男らしくカッコいい。





今作のキモは大奥。
やはり大奥が面白い。

いびりや着物の華やかさやアッー的な要素。



特に最後の要素がかなり濃ゆい。

佐々木蔵之介玉木宏の絡みとか…




その大奥を支えているのは美術設定。

一番観ていて感心したのはそこかもしれない。

そこに一番感心したということは…





で、問題もあった。


水野(二宮)が大奥に行く前に恋中だったお信(堀北真希)との別れのシーン。


この2人のラブシーン全体に言えるのだが、やけに現代的(地上波ドラマ的?)で、荘厳な音楽と合わせると…
なんだか安っぽく見えてしまう。


というわけで大奥に舞台が移るまでの前半は観ていてキツかった。







あと二宮のキャラがよくわからなかった。


江戸っ子なのか武士的なのか、映画の進行具合でキャラがぶれた気がしないでもない。

硫黄島からの手紙』ではやるなと思わせてくれたのに、今作を観ると彼は時代劇に向いていないのでは?とも思ってしまった。






なるほどと思ったのは、吉宗の時代を起用したのが最後になってわかる点。



実際の吉宗がしたような事を柴咲の吉宗でもやっていて、だから吉宗なのかと納得。







コンセプトが非常に面白いなと思って観た今作ですが全体としてよくまとまっていた映画ではありました。

ただ、何かひとつ物足りない。

惜しい。

予想だにしない、というかそういう新鮮さがイマイチ足りなかったかもしれない。






個人的には柴咲の吉宗がどう政治を変えて行くかまできちんと最後までやって欲しかった。


女性がどう動かしていくかとか、けっこう興味があったのに。