クロッシング

ニューヨーク、ブルックリンにある団地地帯。ここはギャングによる麻薬取引や違法行為が多発するエリアだ。
そんな中、警官が市民から強盗殺人するという事件が起き、警官の信頼が揺らぐ。信頼を回復するために警察はイメージアップとして取り締まりを強化するのだが…


今までたいした成果もあげず、定年退職目前のエディ(リチャードギア)、病気の妻のために家を引っ越そうとしているが、子供が5人いて生活が苦しくお金を工面出来ないサル(イーサンホーク)、潜入捜査官として麻薬組織に長年居るために、妻に離婚を告げられ昇進も出来ずにいるタンゴ(ドンチードル)。

苦悩する3人、やがて3人の男たちの運命が交錯していく…


観賞日

2010年11月5日  

【80点】


一応、脱北もののクロッシングではなくて、アメリカ映画のクロッシングです。





警官が主人公となるこの映画を観ていて脳裏によぎったのは『アメリカンギャングスター』。

あの映画も警官と麻薬を扱うギャングの視点から描く、丁寧な映画だった。

今作はより深く人間の業に触れていて、極めて生々しい。
「正義」というものは殆ど描かれていないかのようなレベル。

だからこそ後半に効いてくる部分がある。








「より善か、より悪か」という冒頭の台詞がこの映画全体を暗示する。



今作は、救いがないようなバックボーンを抱えた3人のそれぞれのストーリーが描かれる。そこで彼らは自分の現実と正義、信念の狭間で苦しみ続ける。




そしてクライマックスには彼らが殆ど同じ場所で自分自信の選択をし、結末と向き合うことになる。
クライマックスの緊張感は手に汗握る。

3つの視点が入れ替わりながら物語が展開していく様はなかなか楽しかった。


そして結末は、現実の孤独さと残酷さに向かう。






リチャードギア、ドンチードル、イーサンホークといった実力派俳優陣が人間の孤独を圧倒的に演技していて、鳥肌がたった。ヤバい。

ウェズリー・スナイプスなど脇を固めている俳優陣も非常にシリアスな様相に仕上がっていた。









洋題がBlooklyn's Finestなのに対して、邦題がクロッシング

ラストに運命が交錯するからクロッシング

まあいいんですけどね… やはり同年公開の映画と被ってしまったのは痛いかも。





それにしてもファックが何回出てきたことか。

お前らはサンジかと突っ込みたくなるような心境でしたが、
そうえば『アメリカンギャングスター』とかでもファックをやたらといってた気がしないでもない。

下町の口語的にはよく使うんだろうか…










あと音楽がバイオハザードアウトブレイクのメインテーマみたいなスーパー重い感じで、観ていて中々疲れた。しんどいです。


ただでさえ重い映画なのに、音楽がさらに煽ること。煽ること。

ダークナイト』、『さまよう刃』あたりの雰囲気にも近いかも。




社会派というか人間性をえぐる映画が好きな方にはお勧めです。

こういった物語は好きですが、観た後がなかなかしんどいのが困りモノですね…