イラクで働く米国人運転手、ポール・コンロイが目を覚ますと、そこは土の中に埋められた木の棺の中だった。
そこにあったライターや充電切れ間近の見知らぬ携帯電話を使い、ポールは思い出せる番号を押す。家族、政府、会社…。脱出の可能性を探るが、箱の中の酸素には限界がある。やがて1本の電話がかかってくる。相手の目的は…?
観賞日
2010年11月17日
【78点】
今作の特徴はなんといっても棺に閉じ込められているシチュエーション。
いわゆるSAWなどに代表される、シチュエーションスリラーもの。
なんとシーンが棺の中しかないというある意味徹底した映画になっている。(声のみで出演する人は多数)
現代はburied(埋められた状態)
とにかく劇場は真っ暗で棺も暗いので、閉塞感はマックス。
とにかく切迫した映画。閉所恐怖症の人はむりでしょう。
まぁ閉塞感を感じた時点で、その演出は完全に成功してるわけですが…(映画館じゃなきゃ成り立たなくないか?とも思ったが)
映画館を生かした映画であることは間違いなし。
さらにスゴいのは主人公がライターや携帯の明かりを消すと、ホントに真っ暗になり、主人公の呼吸などしか聞こえない点。そりゃあ狭い棺の中でずっとライターを点けてる訳にもいかないし。(空気がどんどん無くなってくから)
多分上映時間94分で合計7分くらいは真っ暗になっているのでは。
しかし、ガソゴソ動いたり、ドンドン棺を叩いてみたりする音が真っ暗なのでより際立つ。というか何にも見えないので音に集中せざるを得ない。
うーん上手い手法。
照明?そんな非現実的なものはありません。
ここまで聞くと、ただの1アイディア映画じゃねーか、と思う方もいるでしょう。
でもこの映画はそれだけで終わらない。
主人公はいわゆる派遣会社のトラック運転手なわけですが、
会社の理不尽な態度があったり、
政府の色々なところに助けを求めても電話でたらい回しにされたり。
電話という利器がありながらも翻弄されてしまう。自分はいつまで息が続くかわからないのに、外はそんな自分の状況とは無関係に動いている。
単にスリラー映画じゃなくて、いわゆる社会問題やらも内包しているわけで。
それらの問題は、特にクライマックス近辺で一気に「くる」。
クライマックスでは様々な要素がなだれ込むことで、クライマックスらしさを出していて非常にテンポもよかった。
ワンシーンの映画ということで、飽きるのではという心配もあったが、序盤以外は全くそんなこともなく。
取り敢えず色々な事が起こります。
ホントに色々。
観る前は正直パニクってるだけだろと高を括ってましたが…
いやはやスゴいアイディア量。
外や電話越しの音を上手く使っていたのも印象的。
それしても生身の役者が1人とは…
とんでもなく省エネ映画(笑)
因みに主役は、地味な事に定評のあるスカーレット・ヨハンソンの夫、ライアン・レイノルズ。まさしく迫真の演技。
とにかく必死さが伝わってきた。
そしてこの映画、ラストが…
ある程度予想はしたが、まさかあの伏線を最後に使うとはという驚き。
間違なく観終わってしばらく喋る気にならない映画です(笑)