デジタル業界のカリスマ、ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジズ)の謎の失踪から20年経ったある日、息子のサムは父からのメッセージを突如受け取る。
父の消息を追って迷いこんだそこは、美しく危険なコンピューターの世界だった…。
観賞日
2010年12月29日
【73点】
今年は『アバター』に始まり、『トロン:レガシー』で終わりました。
つまり、3Dで始まり、3Dで終わったわけです。
結果として、どちらも映画の次世代を感じさせるものでした。
今作は『アバター』と同様に次世代型3Dカメラを使用している。
だから『アバター』と同様に自然な3Dが出来上がっていて、クオリティは付け焼刃の映画のそれとは大きく異なっていた。
しかし、映画序盤は現実世界が舞台ということでほとんど2Dで作られている。
3Dメガネの付け後心地があまり好きでない方には苦痛の時間だろうが、それはしょうがない。
なぜなら現実世界をほとんど2Dで表現することで、その後のコンピューター世界の3Dをより強調しているからだ。いや、全く上手い手法。
実際、3D世界に入った時の本作の変わりようはすさまじい。
(まあ『アバター』とあまり変わりは無いんだけれども(笑))
『トロン:レガシー』のコンピューター世界の様相は、
一言で言うと「サイバー」。
もう少し詳しく言うと、ロックマンEXEの電脳世界にひじょーに似ている。
上映中そればっかり感じていたり(笑)
無機質で、ムダのないフォルムの建築物。
光の線が美しく輝く建築物と、乗り物、そして人物(プログラム)のウェットスーツ。
完璧に世界観が構築されている。
そう、ストーリーに突っ込みどころが多いにもかかわらず、この世界観だけには文句をつけられない。
なかなか突っ込めないのに一役買っているのは、ダフト・パンクによるBGMだ。
エレクトロのトップアーティストユニットである彼らの音楽は今回の映画のコンセプトに完全に一致した。
実際に映画の企画段階から彼らは参加していたので、音楽と映画のシンクロ度が飛躍的に向上したのだろう。時にはBGMかサウンドエフェクト(音響)かわからなくなるほど映画と一体になっていた。
この映画は以上に挙げたカッコ良さが全てだろう。
それ以外には何も要らないほど洗練されているのだから。
ストーリー面に触れると、
まず普通。
予測を裏切られるような展開も無く、こんな感じだよね。
っていう感じで終わる。
そこにスパイスがあったらもっともっと良い映画になったはずなのに。
次に、
説明不足過ぎる点が目立つ。
はっきりいってSFものやパソコン・コンピュータに対して弱いとちんぷんかんぷんな部分が出てくるだろう。
このジャンルが好きな自分でも、「あれ?」と考えて、「あーそうか」と自己解決しなければならない場面があったくらいだ。
何でこんなに説明を省いたのか。疑問です。
まあテンポを考えると丁度良いのかもしれないが…
だが、さすがはディズニーのファミリー向けアクション映画。
そんなことは無視してもカッコいいビジュアルのみで満足できる。
ゲーム世代なら絶対楽しめるアトラクションに仕上げられている。
しかも、スタイリッシュなバトルレースのようなものを展開するが
ゲーム内容が陣取りゲームであったりするので、
テレビゲーム(ゲーセン)が生まれてから間もないの頃を楽しんだおじさんたちにも、懐かしさを感じさせること間違いなしだ。
つまり、親子二世代に渡って楽しませる「仕掛け」を用意している。
やはりディズニーはこれだから恐ろしい。
何はともあれ、
考え無くても単純に楽しめる今作は正月映画に最適なのではなかろうか。
映画館じゃなきゃ楽しめない映画だろうし。