アメリカで一番犯罪が多い街ボストン、チャールズタウン。「ザ・タウン」と呼ばれる
この街では、犯罪が家業のように引き継がれる。ダグ(ベン・アフレック)はこの街で優秀な銀行強盗グループのリーダーとして活動していた。だが、ある時銀行の支店長クレア(レベッカ・ホール)を人質にとり、解放した。彼女を監視するためにダグは彼女に接近を試みる。そんなことを知らないクレアは、優しく接する彼に好意を抱き、またダグも彼女と過ごすうちに新しい人生を思い描く。
だが、兄弟当然の仲のジェム(ジェレミー・レナー)はそんな事を許すはずも無く、またFBIの捜査官も後一歩のところまでダグたちを追い詰めようとしていた…
観賞日
2011年2月11日
【73点】
主演・監督・脚本の全てをこなしたベン・アフレック。
(代表作に『グッド・ウィル・ハンティング』、『ゴーン・ベイビ・ゴーン』など)
彼がつくりあげたのは、衝撃的なクライム・アクションムービーだ。
まず、冒頭で酔いしれる。
いきなり銀行強盗のシーンで始まるが、
このシーンがまさに秀逸。
彼らの華麗な犯罪行為は鳥肌モノ。
全ての準備を完璧にして、全く無駄のない矢継ぎ早な行動がこちらの思考よりも早く動いていく。
ザ・タウンが衝撃的なのは、実在の街を舞台にしているということと、まるで犯罪者の方がFBIよりも正しいことをしているかのように思えてしまうことだ。
「前者」が効果を発揮したのはおそらく国内での公開のとき。
日本にとっては、チャールズタウンは非常になじみが薄い。だが、アメリカ一の犯罪地域ということは、アメリカ国内では知名度は悪い意味で高いだろう。
つまり、そもそも今作はアメリカに捧げられた映画だ。
その点を考えて観ないと、若干肩透かしを食らうかもしれない。
だが、犯罪を家業として継がなければならない若者達の運命には衝撃を覚えざるを得ない。
そして若者達の運命を、より観客達の意識に染み込ませるためにある工夫がなされているのではないか。それがFBIの方が悪人のようにみせるという、衝撃の「後者」だ。
これは巧妙なリードによりそう思わせている。
特に主人公の心情を深く描き、ベン・アフレックがなんとも言えない表情で魅せる。これで完璧だ。
主人公は、犯罪の町で生まれたが、一般の女性に恋することで徐々にココロが街から離れていこうとする。だが、状況はそう簡単に彼を犯罪から遠ざけてはくれない。
ここに一種の悲劇性がある。
そしてそんな状況にある種の絶望を覚えるダグ(ベン・アフレック)の顔が本当に印象深い。
さらにFBIの捜査のしかたが冷酷であることもマイナスイメージを観客に引き起こさせる。
しかしいやはや、ジェレミー・レナーの演技には驚かされた。
彼が演じるジャムはかなり乱暴だが、仲間思いの熱血漢。その乱暴さは、この汚れた街で生きていくために適応した性格だといえる。
対して前回主演した『ハートロッカー』では、彼は沈着冷静・勇猛果敢な兵士だった。
全く印象が違う。
ここまで違う印象の人間を演じたことを考えると、彼が昨年の『ハートロッカー』アカデミー主演男優賞ノミネートに引き続き、再びアカデミー助演男優賞にノミネートされたのは不思議でない。
突っ込みどころが満載なのが少々残念だったが、
(恋に落ちるまでが早い、殆ど調査ずみなのに何故かなかなか捕まえられないFBIなど)
大筋で満足なクライム・アクションだった。
予告編はコチラから↓
http://www.youtube.com/watch?v=wqJc7dNc94w
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