神々と男たち


1990年代、アルジェリア山間部の小さな村にある修道院

イスラム教徒の村人たちにとってそこは診療所であり、修道士たちは共に働き、生活する村の一員同然の存在だった。
しかし、信頼と友愛を尊び、厳格な戒律を守って慎ましく暮らす修道士たちにも、アルジェリア内戦の余波で頻発するテロの脅威が迫る。非暴力を唱える修道院長クリスチャンは軍の保護を辞退するが、ある晩、過激派が修道院に乱入する。僧たちの間で動揺が広がる。

彼らは果たしてアルジェリアに留まるのか?彼らの選択は如何に。

実在の1996年の事件を描いた映画。



観賞日

2011年4月11日




【73点】





フランスの作品である
今作は、2010年度カンヌ映画祭グランプリ受賞作。

そしてネット上のレビューでは、数多くの作品を観ている批評家も一般の方でもひじょーーに評価の高い作品だった。














たしかに素晴らしく、静かな力強さを持つ映画だ。
しかし、人生・映画経験の少ない私には少々レベルが高すぎた映画だったかもしれない。


私の中でこの作品の評価は、様々な方々が述べた「最高」に近い評価にはならなかった。
それは展開が若干冗長的で眠くなってしまったからかも。




しかし、僧たちのアルジェリアでの生活を淡々と、しかし正確に描いた点においてはこの冗長さも必要なものだったと考えられる。















背景として、植民地アルジェリアとフランスの歴史が関わっている。

政府の人間がクリスチャンに対して「(この国の現状は)フランスの植民地政策のせいだ。フランスの搾取が原因だ」と毒づく描写がある。

この辺の、ある意味繊細な問題を扱っているところも今作の見所のひとつだ。















この映画の素晴らしさは、僧たちの賛美歌にある。


全編に渡って現れる、おっさん・おじいさんによる祈りは必見。
賛美歌の美しさは群を抜いている。



そして基本賛美歌のみがBGMとなる今作において、唯一違っていたのはラスト間近に僧達が食事するシーンでかの有名な「白鳥の湖」が流れた点。



彼らの信仰心やそこに至るまでの苦悩や想いの全てが集約される、美しいシーンです。大音量で「白鳥の湖」が流れ、それ以外の音を一切流さない描写はチカラのある描写です。淡々とした描写がここに行き着くためにあったのかと納得させられる素晴らしいクライマックスでした。




彼らの選択、信仰を取るかとらないかの選択はある意味はじめから決まっていたように思います。確かに、僧達も人間で死ぬためにアルジェリアに来たわけではないので悩むところはあるでしょうが、端々から見える村人とのつながりの強さ・信仰心を考えれば結論は決まっていたことでしょう。



困難な状況における、意志の強さに感服しました。

ううむ。凄まじい。だが、まだ私にはわからん。色々と。












予告編はコチラ!↓
http://www.youtube.com/watch?v=qCIJtH8eWg0