幼少期からバレエ一筋だったニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)。『白鳥の湖』のプリマ・主演に抜擢され、必死に練習するが純真な白鳥と邪悪で妖艶な黒鳥を同時に演ずるこの役は、純粋にバレエに没頭してきた彼女には難しいものだった。
セクシーで奔放に踊れる新人リリーの存在もあり、追い詰められた彼女はスワンクイーンの役に飲み込まれそうになっていく…
観賞日
2011年5月11日
【83点】
これは…
圧倒的だ。ナタリーポートマンが。
「スターウォーズ」のアミダラ女王とは到底思えない。
これがアカデミー主演女優賞を受賞しなかったら何が獲るんだっていうくらい。
昔ダンスを習っていたらしいけれども、これは凄過ぎる。
バレエシーン迫力ありすぎ。
自分のようなバレエにあんまり興味ない人間がこう思うんだからよっぽどすごいってことでしょう。
バレエダンサーらしい体つきや踊りには、やはり役者魂が垣間見える。この全身全霊さからも「彼女といえばこの映画!」っていう作品になったことは間違いなしだ。
注目ポイントであるダンスシーンの迫力は彼女ら役者の力もさることながら、カメラワークの力も大きいと思う。
超接写。役者と超近い。
役者のバストアップのシーンも多く、実際のバレエの客席からは見えにくいであろうダンサーの表情や息遣いを余すところ無く映像に収めている。
役者とカメラがふたつ合わさって、この圧巻のバレエシーンが完成したのだろう。
さらに、
そこにストーリーのエッセンスが加わることでこの映画は完璧になる。
そしてストーリーは、
思ったよりもホラーテイスト。ていうか油断してるとかなりビビります。
チャイコフスキーの「白鳥の湖」がメインテーマだけに、全体として音楽もクラシック調で重々しい雰囲気が漂っている。
そして不意にドーン!!ってくるのでチキンハートな心臓には悪い。
徐々に精神的に追い詰められて狂気に飲み込まれていくニナの世界観に私達観客も巻き込まれていく。
明らかに劇中で鏡が多いのも仕掛けのひとつだろう。
合わせ鏡とかなんにも怖いシーンじゃなくても、なんだか不気味すぎますよ。
狂っていく彼女の内面が、鏡に映し出されるといわんばかりだ。
という演出が見事で、前述のホラーさが際立ってくる。
一歩間違ったらチンケな物語になりそうなギリギリで止まっている。
しかもこのストーリーが、実際の「白鳥の湖」とリンクしているのだからスゴイ。
ちなみにバレエの「白鳥の湖」の説明は、序盤でしっかり説明してくれます。
初心者でもわかりやすくて、聞いてて説明ありがとーって感じになりました(笑)
ただ、
若干痛々しいシーンが多めなのは自分としては辛かったり。
しかもその描写が妙にリアル。
腕が吹っ飛ぶとかみたいな現実からかけ離れたものなら観ていても「あー」って感じになるんですが…
自分達も生活の中でありえそうなケガとかだと「これは痛い痛いっ」って思ってしまいました(笑)
その痛々しさがこの作品の現す狂気なのだから、しょうがないんですけどね。
芸術へと没入することの優雅さと恐ろしさを圧倒的に描く今作は必見だ。
ラストシーンを観終わったときに「うぉぉぉう」って感じになること間違いなしの力強さ。
私も鑑賞後は、しばらくぼんやりしてしまいました。(笑)
予告編はコチラから↓
http://www.youtube.com/watch?v=pxchkvE2NFU
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