ツレがうつになりまして。


漫画家の晴子(宮崎あおい)は、サラリーマンの夫ツレ(堺雅人)との結婚生活の5年目を迎えていた。

しかしある日、超几帳面だったツレが「死にたい」などと言い出す。そこで病院での診察してもらうと、”うつ病”だと診断される。

ちょっとしたことでコロコロ感情が変化するツレにふりまわされつつも、晴子はツレを見守り、病気を夫婦で共に向き合っていく…


観賞日

2011年10月11日




【78点】







原作は、うつ病の夫との生活をユーモアたっぷりに描いたベストセラーのコミックエッセイ。

そのとてつもなくデフォルメされたイラストからは、今作に宮崎あおい堺雅人が抜擢されたとはとても思えない(笑)







タイプとしては、『毎日かあさん』や『ダーリンは外国人』と同じもので、原作のエピソードの端々に盛り込みつつ、あるひとつの結論のようなところへ持っていくタイプの映画だ。

このタイプの映画は、基本的にそこまで物語に波があるわけではない。

つまり人々の繋がり・日々の生活が主体となり、最も重要な要素はキャストだと考えられる。













その点において、この映画はとてつもなく恵まれている。

なんといっても主演キャスト、宮崎あおい堺雅人が圧倒的な存在感だ。

宮崎あおいは、『神様のカルテ』では聖母のような女性を演じていた。今回も、うつ病の夫を抱える妻ということで、そういった役割なのかと思ったが違う。



ツレの行動にいらいらしたり、けっこう怠けものだったり、意外と傷つく一言を言ったり…

より人間味あふれる人物として描かれる。
だからこそ説得力があるし、リアルな晴子に感情移入しやすくなる。



「ガンバらないぞ!」という決意は、怠けものな面もあるがマイペースにツレを支えようとする晴子を象徴していて、観ているこちらにも「肩肘張らずにガンバらない時があっていいんだよ」と語りかけてくるようだ。




















そして、ツレを演じた堺雅人もすごい演技だ。


グイグイこちらを物語に引き込んでいく演技は、さすがとしか言いようがない。
大河の『新撰組!』や『ジェネラルルージュの凱旋』での厳格でクールなイメージとは違うが、うつ病という難しい役どころを見事演じきった。




不安定でいつ爆発するかわからない空気感があらわれているし、観ている側をいらいらさせるわけでもなく、感情移入出来るような不安定さのラインで止めているは見事。

感情移入させれすぎて危うく泣きそうになったほど。

















影の主役は、そんな二人を見守るペットのイグアナ・イグだったりする。

どんな時でも二人の側にいて、おとなしい。
人形なのでは?と疑いたくなるが、実際のイグアナ。


物語の中でアクセント的な存在として、場面転換やカメラワークの面でも役立ってくれる。
またマスコット的な存在でもあり、観ている私たちをも癒してくれる。

この映画を観ると、イグアナがカワイク見えるかも(笑)

















テンポの悪さがたまにキズ。
途中で途中で区切れが中途半端な部分があり、観ていてうーんと感じる時も確かにあった。


だが、うつ病というものが「心の風邪」といわれるほど身近であり、それを理解し支えたりする存在が必要なことをしみじみと思い知らされた。



晴子とツレの関係はまさに理想の関係。
その夫婦の姿からは様々なことを教えてくれる。

誰でも安心して観れる、暖かい作品に仕上がった。





↓予告編はコチラ↓
http://www.youtube.com/watch?v=CKw7QFw2ZzM