シカゴ行きの列車の中で目覚めた陸軍のコルター(ジェイク・ギレンホール)。
目の前には見知らぬ女性、そして自らも見知らぬ男になっていた。
混乱するコルターに襲いかかったのは突然の大爆発。再び目を覚ました時彼は自分が軍の極秘ミッションに参加させられていることに気付く。
それは電車爆発テロで死亡した男の死の直前8分間の意識に入り込み、犯人を発見しろというミッションだった…
観賞日
2011年11月1日
【75点】
8分間のミッションを繰り返すといういわゆる"時間もの"の映画。
この手の映画はオチが命とも言えなくもない。
しかもこの映画は「映画通ほど騙される」というコピーで非常に推していたので観てみた。
…うーん、これだと騙されるというかオチがよくわからずに劇場を出てしまう人が多いのではないか。個人的にはすごくさっぱりしたけど。
もともとの設定から考えると矛盾しているような気がするのも事実。だが、その設定部分が「新たな事実」へと結びつくのならばこの結末は十分に理解できる。(実際、物語の終盤でコルター自身もそうような旨を述べている)
結果として、「騙される」という仰々しいキャッチフレーズが重荷になってしまった。正直、「シュタインズゲート」やら「仁-JIN-」やらを観ていればなんとなーくわかる気もするし。
いやむしろその辺りの"時間もの"の作品に対して理解がないと厳しい。終盤は頭をフル回転させて臨んでほしい(笑)
この映画は90分と短い時間でまとめられているためにスピード感があり、テンポがすごく良い。このテンポの良さが観終わった後の爽やかさにつながった。
まーとにかくポンポン進む。設定の複雑さに置いてかれないように注意したいところ。ぼんやり観るタイプの映画ではありません。
コルターのキャラがイマイチ薄いのはわざとなのだろう。
コルターの行動だけではあまりコルター自身の性格が伝わってはこない。(まあ常に終わる8分間の中でミッションを実行するのだからあまりモラルもへったくれもないのだろうが。)
だが、彼のキャラが薄いことでむしろ周りに目が行く。特に序盤はコルターとともに観客が様子を探っていくような空気になる。
いわゆるゲームの潜入ミッションをプレイしているような感覚だ。
むしろ彼のキャラが薄いことで最後のオチの可能性が納得いく。
こういうキャラだとこういうこともあり得るんじゃないかと。
『月に囚われた男』で有名になったダンカン・ジョーンズ監督は、こういったSF作品に人間的なドラマを入れ込むのがうまいらしい。
単純にこういう映画を設定のみでつっぱしってそのまま終わってしまうのがハリウッド映画のイメージだが、この映画はそれだけではない。
それは「最期の時をどうすごすか」という点において。
主人公の置かれた状況や、常に終焉に向かう8分間などをとことん物語の中で私たちに印象付けているので、特に終盤の部分は心を動かすという意味でとても説得力があった。
むしろ「映画通が騙される(?)」オチよりもこの人間的な部分が光っている映画だと思う。
"時間もの"の作品に触れたことのある人にはぜひ観てほしい作品だ。
http://www.youtube.com/watch?v=Q_p1rxqZ6V0
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