科学技術の進歩により、人間の成長は25歳で止められ、右腕に表示される時間が寿命を表すようになった。
この世界では、通貨の代わりに時間を支払う。
ゆえに富める者は寿命が何百年もあり、貧しい者はその日を生きるのが精一杯だった。スラムゾーンに住むウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、ある出来事から数多くの時間をもらい、富裕層の住むゾーンへと入り込むことになる。そこで彼は令嬢のシルビア(アマンダ・セイフライド)と出会う。
しかしウィルは男性を殺した容疑をかけられており、時間の秩序を守る監視員たちが追跡を始めていた…
観賞日
2012年2月23日
【68点】
予告の段階から絶対観たい!と思っていた映画。
最近の傾向としてファンタジーやリアル思考が強い中、
B級っぽくない空気感で大手からきちんとした設定の強さを持つSFが出ることもなかなか久しぶりな気もする。
「ありがち」という印象を抱かせるのではなく、
「もしもこうなったら…(if)」と観ている人に考えさせられるというのもポイント。
なんといっても時間が通貨代わりの世界という設定の時点で面白い。
ホントに時は金なりの世界。
企画から実現できたというだけでこの映画はある意味成功だと思う。
だが結果として、
あまりにも設定が強すぎたせいか内容がついてこなかったようだ。
というか109分で設定の時点ですでに大風呂敷を広げてしまっている状態を収めるのは不可能なのかもしれない。
まず最初は違和感ありまくりなので注意。
どれだけこの設定だと認識していてもやっぱり自分が生きている世界との差異は埋めがたい。
だがその違和感「は」、観ているうちに慣れてくる。
リミットが迫ってくるハラハラ感もある。
しかし警備の弱さ・脆さや、最初から最後までよくわからない人物像、「タイムバトル」(笑)
などなど苦笑してしまうほどの突っ込みポイントは絶えない。
警備の弱さはなんとなく、人間が怠惰になったからなのだろうかとの想像をしてもわかるが…
SFとして致命的なのは、ドラマチックさが皆無な点。
アクションも申し訳程度に盛り込んだ感じ。
原題が『In Time』(間に合うor遅れないで)なので、そこを留意して観るといいかもしれない。
実際細かい点よりも、テーマとしては現代にも通づる貧富の差問題にあるのだろうし、
このような時間が通貨の世界でなくとも貧富の差があるゆえに生きられない事を指している。
時間をほぼ無限に所有する富める者が、行動も思考も怠惰になっていっているのはなるほどと思わされた。
現実では時間は”誰にでも”有限であるため、”今”行動し、生きようとするが、ほぼ無限に近いならばその必要はなくなる…
そして情熱を失う。
その日の寿命で精一杯のスラムの人々は成り上がる隙すらもない。文字通り時が、思考が止まってしまったかのような世界。
不老不死というのは夢として語られることがあるが、この映画はそれが実現すると人間はどうなってしまうか、
という点で示唆的だ。
アマンダ・セイフライドは、これまでの出演作での金髪ロングとは違ってボブカットで出演。
(有名な出演作は、『マンマ・ミーア!』、『親愛なるきみへ』、『ジュリエットからの手紙』など)
彼女が演じたシルビアが、一番キャラとしてはよく造形ができていたかも?
何も知らなかったお嬢様が貧富の差を目にして内心が変化していくという構図は単純ではあるけれども、
設定が特殊なだけにその変化をみていくのはなかなか面白かった。
だが他の人物の造形は…
よくわからないうちに終わってしまった。
主人公のすらもどんな人物だったかよくわからない。まるでゲームの操作キャラのようで、イマイチ心情が見えてこない。
出来事に対してその時々でレスポンスしているかのような感もある。
監視員のおっさんも(25歳には見えない(笑)掘り下げればもっと味わい深くなりそうないいキャラしていたのに、
よくわからないまま。
この映画を観るなら予告編で抱いた期待感を捨てて、無心で観るのが吉だと思います。
初期設定の魅力度の高さ=期待度の高さが、評判の悪さにつながってしまった感じ。
つまらなくはない。時間というテーマだけに主眼をおいて、他をひたすら無視すれば。
109分という短い上映時間だけに、そこにしか焦点を当てられなかったのだろう。
だがあまりにも突っ込み所が多すぎる粗さが、
厳しい。
予告編はコチラ↓
[http://www.youtube.com/watch?v=23XnGqrhQ7Y:title=
http://www.youtube.com/watch?v=23XnGqrhQ7Y]
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