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ヘッドハンターの独白 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-12-31 再チャレンジ このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

かなり前のことですが、セールスマネージャー候補者Aさんを、ある世界的に著名な企業B社に推薦したことがありました。B社は非常にユニークな企業で、同業種からの転職者を一切採用しません。また、セールススマネージャー候補であるにもかかわらず、セールス経験もマネジメント経験もほぼ問わないのです。明らかに、候補者のヒトとしてのポテンシャルを最重視する採用方針であり、しかも長年にわたってそれが見事に機能してきたという歴史を持っています。

さて、その候補者Aさんなのですが、人物面や知性の面で自信を持って推せるのは勿論、独特のオーラがある女性で、B社の価値観や社風とも非常にフィット感が高いと見ていました。しかも、ご本人の入社意欲も非常に高く、B社で是非活躍したいという熱意に溢れ、どこからどう見ても同社で活躍する未来像しか浮かばないような気がしていました。

そんなAさんですが、結果がどうなったかと言えば、一次選考で引っ掛かり、あっけなくお見送りとなってしまいました。ちなみに、B社の一次選考は適性検査のみであり、面接は実施していませんでした。つまり、B社は一度たりとも具体的な接触の機会を持つことなく、Aさんに対してその門戸を閉ざしてしまったのです。

この世界で予測が外れるのは日常茶飯事であり、いちいち気にしていたら到底身が持ちません。しかしながら、Aさんの場合には、こちらにも大いに勝算があった、と言うよりは確実に内定を取れるだろうと踏んでいました。(こちらとしても、そこまでの自信が持てるのは、非常に稀なことです。)しかも、彼女が挑戦したのは、人物ポテンシャル重視のB社。それだけに、面接で人物面をしっかり吟味してもらうことなく、その全段階の適性検査であっけなくお見送りという結果には、普段のケースとは比べ物にならないほど脱力させられた、と言うのが実際のところでした。

ただ、ここまでのところでも、この世界ではありがちと言えばありがちな話です。では、何故敢えてこの話を採り上げているかですが、実は、このエピソードが本当に面白くなるのは、後日談の方だからです。

B社で残念な結果となった三ヶ月後、Aさんは、自己応募にて受けたC社から見事セールスマネージャー候補としてのオファーを得て、入社をすることになりました。そのC社ですが、実はB社が買収してグループ傘下に収めた会社でした。しかも、事業内容自体はB社と全く同一である上、セールスマネージャーとしての職務内容もほぼ同一でした。そのため、お互いに活発な人事交流を行なっており、形式上はC社に入社したものの、実質的にはB社に入社したのと変わらなかったことになるわけです。

そこから、「伝説」がスタートしました。

AさんはC社で、水を得た魚のような活躍を示しました。数多い同期入社者の中で圧倒的なパフォーマンスを発揮し、C社の最短昇進記録などを次々に塗り替える活躍を見せていきました。無論、その活躍ぶりは、B社に伝わらないはずがありません。何と、最終的にB社は、採用プロセスそのものを根底から見直すこととなってしまいました。具体的には、適性検査で足切りすることをやめ、面接は必ず実施することとなったのです。

結果だけ見れば、私は実質的にはB社(グループ)に対しAさんという最優秀候補者無償で紹介したばかりか、間接的に同社の採用プロセス改善に寄与までしたというわけです。ただ、念のため付言しておきますが、私にはB社を責めるような気持ちは一切ありません。むしろ、不完全なプロセスを迅速に見直し改善策を採った点でB社を賞賛したい、というのが素直な気持ちです。

このように、本人が意図するしないにかかわらず、転職において再チャレンジがなされ、成功するということは意外に一般的なものとなっています。それどころか、障害なく一度で入社する人たちよりも、むしろ再チャレンジした人の方が目覚しい活躍をしているような成功事例も、数えきれないくらい挙げることが出来るほどです。

ちなみに、私が知っている最高の成功事例は、再チャレンジどころか、再々チャレンジで入社した男性候補者、D氏のそれです。即ち、全く同じ企業から二度までもお断りを受けたにもかかわらず、諦めずに挑戦を続け、三度目で初めて転職に成功したのです。(勿論、誰もが何度でも挑戦すべきということではありません。D氏の場合は、それだけの実力も熱意もありながら、たまたま面接官との相性が悪いなどの不運が続いたことが首尾よくいかなかった理由であったがために、私としても諦めず三度目の挑戦をすることを薦めたような次第です。)

D氏ですが、どこにでも転職出来ればよかったわけではないことは、言うまでもありません。その企業のみに絞って一途に挑戦を続け、二年越しでついにその志を遂げることになったのです。

こうした再(々)チャレンジ組が活躍できる理由ですが、ある意味、当然であると思っています。と言うのは、それだけその企業に惹かれているだけに、熱意や意気込みの点で決して他の社員に負けることはないからです。更に言えば、入り口のところで苦労をしている分、並大抵のことではダメだという意識が強まっていることも大きいかもしれません。

日本という社会の仕組み自体、色々な意味で再チャレンジを許し難いというところがあるのは、周知の事実です。しかし、少なくともジュニア層の転職マーケットに限っては、再チャレンジが難しいというのは、誤った認識であると言って間違いありません。それだけの資質のある方には諦めず挑戦し続けてもらいたいですし、個人的にも、日々の活動の中で、それを応援し続けていきたいと考えています。

2011-12-31 逆境の意義 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

日本が戦後最大の試練に見舞われた一年が、終わろうとしています。年末のテレビ番組では、改めて巨大な津波の映像が繰り返し流されていますが、何度見ても痛ましい思いが込み上げてきます。

そんな映像の中には、全く慌てている様子もない方々、更には警報にもかかわらず敢えて海の方向に近づき、津波の犠牲となった方々も登場します。東北沿岸は、歴史的にも度々甚大な津波の被害に遭ってきたわけで、「津波てんでんこ」をはじめ、その厄災を逃れる術が伝承されてきた地域です。従って、初めてそうした映像を見た当時は、そうした方々の行動が信じられない思いで一杯になったものです。

しかし、いま改めて冷静に考えてみると、それも十分に理解できる気がしています。何故なら、自分自身のことを振り返ってみても、古くからの知恵として、あるいは諸先輩方からのアドバイスとして「頭では分かっていた」ことながら、いざ現実になると実践出来なかったことが山ほどあったからです。それを思えば、今回の津波で「これまで警報が出た時も大丈夫だったから今回も心配ないだろう」と考えてしまったのも、ある意味、無理のないことと思います。

さて、これもやはり先日見たばかりなのですが、セラピードッグについて紹介するテレビ番組がありました。セラピードッグとは、簡単に言えば、「人間の治療に役立つ犬」のことで、触れ合いや交流を通じ、病気・ケガ・精神的痛手等を受けた人々の不安を減らしつつ、心と体を癒す働きをします。当然ながら、セラピードッグとして育成されるのは、温厚で優しく誠実かつ従順と、最高の資質を持つ犬ばかりです。

実は、そんなセラピードッグの中には、飼い主に虐待されたり見捨てられて殺処分寸前という経験を持つ犬が少なくないそうです。そうした過酷過ぎる経験を経たからこそ、人の痛みを理解し、人に寄り添うことが出来るのだという解説を聞いて、心から納得した次第です。何故なら、セラピストをはじめ、カウンセラーコンサルタントといった職種に就く人々の中で本当に優れているのは、何らかの大きな失敗や挫折を経験している人であると常々感じているからです。更に言えば、そうした対人スキルが全てといった職種に限らず、およそ全てのビジネスマンについても、それなりの修羅場をくぐり抜けた経験の有無が、その人の正に「底力」に大きく影響しているように感じます。

非常に残念なことが、一つあります。上記のような経験を経て成長した人は、他の人々に対して、文字通り「教師」としての資格を持つし、またその義務を積極的に果たすべきとも思うのですが、現実的には必ずしも上手く機能するとは限らないということです。

これまたつい最近読了したばかりの本なのですが、ウォーレン・バフェットの赤裸々な伝記「スノーボール」を読めば、投資とビジネスの世界における最高峰とも言うべき存在であるバフェットですら、意外に周囲は「学んでいない」ということが一目瞭然です。実際、バフェットの近親者には自殺者が少なくなかったのであり、(バフェットにより救われましたが)投資で壊滅的打撃を受けた者までいたのです。

このように、周囲にどれほど優れた先達がいようと、あるいは父祖伝来の金言が遺されていようとも、やはり人は実際に痛い思いをしない限り、真の意味で教訓を学ぶことは出来ないもののようです。(同様に、キャリアアドバイザー候補者に対してどんなに正しいアドバイスをしたところで、それを納得して聞き入れるかどうかは、あくまでもその方次第です。)

ところで、企業の採用慣習の中で私が最も違和感を感じるのは、総じて候補者の挫折体験をネガティブにとらえがちである、ということです。そもそも日本の社会自体が失敗や敗者に対して極めて冷酷であり、それを引きずっている部分も多いかとは思いますが、それにしても候補者の無謬性に拘り過ぎているきらいがあります。

若い人事担当であればいざ知らず、ある程度ベテランの人事担当であれば、挫折体験を乗り越えた人の真価に気付いてもらいたいです。と言うより、そもそも企業には、そうした評価が出来るような人こそを人事担当にしてもらいたいものです。

事業の失敗も、転職の失敗も、あるいは私生活での失敗も、長い人生においては付き物です。そうした失敗や挫折にはもっと肝要であるべきですし、それにとどまらず、逆境を逆に「(将来の成功につながるであろう)貴重な経験」ととらえることが出来るようになれば、日本企業も日本社会も良い意味で更に成熟し、一段上のステージに上れるはずです。そして、大変な逆境を経た後で、2012年が誰にとっても飛躍の年となることを、心から祈りたいと思います。

参考書籍

セラピードッグ(動物介在療法)の世界 (大木トオル著、日本経済新聞出版社刊)

・スノーボール ウォーレン・バフェット伝(上・下) (アリス・シュローダー著、日本経済新聞出版社刊)

2010-12-31 「よい人材」とは このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

以前、このブログを頻繁に更新していた頃は、しばしばTwitterへの誘いを受けることがありました。しかし、生来の天邪鬼であるが故、リアルタイムのつぶやきが当たり前になればなるほど、逆に私の情報発信意欲はどんどん萎んでいきました。その結果、ブログが日記どころか「年記」と化してしまった今では、誘ってもムダとご理解いただけたのでしょう。そうした誘いも皆無になったわけですが、だからと言って決してTwitterを嫌っているわけでも無視しているわけでもありません。注目している人のTwitter上の発言は常にチェックしていますし、テレビ・新聞等のマスメディアに消費する時間が大幅に減っている一方、ネット上で情報を収集する時間は年々増えるばかり、という実感があります。ネットが玉石混交の世界であることは言うまでもありませんが、しっかり情報の選別が出来る人にとっては、本当に有益な情報をタダ同然にでくらでも手に入れられる今は、本当に素晴らしい時代であると思います。

さて、一年前には「いまの時代に合った絶対的な成功法則」などあるわけがない、という身も蓋もない話について書きました。今回お伝えしたいことも、身も蓋もないという意味では、昨年と全く同様のものです。少々長めの引用になりますが、まずは、山口浩氏(駒澤大学准教授)の著書の中の一節をご紹介することにします。

 ある企業について、「いい企業だ」とか「よくない」とか評価することがよくある。これってけっこう危険だと思う。ちょっと強めの表現だが、書いてみる。「いい企業」なんてものがあると思うのはまちがいではないか、と。

 たとえば今評判が下がっている企業を考えてみる。いちいち挙げないが、ちょっとニュースをみればいくらでも見つかるだろう。ポイントは、それらの企業の多くが、かつて「すぐれた企業」としてあちこちでもてはやされた企業であるということだ。

 こういう企業は、かつてはよかったものが、おごりがあったりまずいことをやったりして経営が悪化した、ととらえられがちだ。もちろんそういうケースもあるのだろうが、必ずしもそういう場合ばかりではないと思う。

 強みはやがて弱みとなる。なぜか。環境が変化するからだ。サーベルタイガーがそうだったように、ある環境下に過剰に適応してしまうと、次の環境への対応能力は下がる。成功の記憶やそこから生まれた自信、目の前にあるより確実な利益機会を確保しようとする行動の結果だ。クリステンセンの言ういわゆる「イノベーションのジレンマ」も似たような理由から起きる。

 こうした理由による経営の悪化は、多くの場合、完全に回避することはできない。どんな企業でも、成功があれば利益の回収に努めるのが当たり前だし、そのために経営資源が割かれれば、新たな変化への対応は遅れがちになる。新たな変化への対応は、しばしば過去の成功の果実の一部を享受せずに放棄することが要求される。

 ということであれば、成功の後に苦しみの時期があることは、企業にとってむしろ当然なのだろう。たとえよい企業にとってもだ。いやそもそも、「よい企業」などというものはないのではないか。あるのは「よい状態にある企業」だ。

最後の太字部分ですが、好むと好まざるとにかかわらず、エージェント業に長く携わっていれば同意せざるを得ないことと言えます。実際、特にここ数年は、転職後すぐ、退職せざるをえないようなケースを多く見聞きしてきました。もっと極端なケースでは、入社前の段階(しかしながら所属企業からは退職の手続きを取った後)で話が破談となることも幾つか見聞きしました。上場企業であればいざ知らず、未上場企業の場合は、事前に情報を取るといっても限りがあるわけで、「(よい状態から)悪い状態に移りつつある企業」の見極めは決して容易ではありません。

勿論、上記のことは、企業のみではなく、候補者側にも当てはまることと言えます。分かりやすい例としては、ある技術の第一人者がいたとして、その技術が陳腐化してしまえば、途端にその技術者自体の市場価値も暴落するということが挙げられます。あるいは、たとえばプロフェッショナル的な経営者の場合であっても、新しい会社に移ってうまく行かなくなるということも、決して珍しくはないはずです。また、そうであればこそ、現在たとえどんなに成功していたとしても決して慢心すべきではないし、ましてや安易に「成功本」を出すような浮かれた真似をすべきではない、ということになるでしょう。

実際のところ、永遠に高い市場価値を保てるような人間はいません。その意味では、「よい人材」も存在せず、ただ「よい状態にある人材」のみが存在するということも出来そうです。勿論、これは極論であって、「相対的によい人材」がいることは言うまでもありません。ただ、どんなによい人材、優秀な人材であっても、適切な企業(案件)がなければその価値を発揮できない、あるいは評価されないのであり、結局のところ、転職の成否を分ける最大の要因はタイミングということになるわけです。

実は今日、久しぶりにある地方都市に行ってみたのですが、かつての繁華街がいわゆるシャッター通りに完全に変化してしまったことに気付き、一抹の寂しさを覚えました。想像ではありますが、かつての店主たちの多くは決して座して死を待ったわけではなく、他の場所に活路を求めるなり、あるいは会社勤めを始めるなどして、それぞれに生き残りを図ったのでしょう。ポイントとしては、「よい人材」なり「よい店」でなくなり始めたのを自覚したのであれば、そうであり続けられるように路線変更していくべきということであり、逆にそれを常にタイムリーに行うことが出来れば、人は長きにわたって「よい人材」であり続けられるのでしょう。

私の知り合いの中でも最も目端が利く国際的なヘッドハンターは、十年以上も前にドバイに進出して成功し、早くもリーマン・ショック前にはドバイに見切りをつけ、今度は中央アジアの某国へと拠点を移しました。巨大なマーケットではあるものの既に激戦区となっている中国などは敢えて無視し、「手付かずの有望マーケット」を目指した彼の先見の明には、感嘆せざるを得ません。結果的に大正解と言うべき彼の動きですが、さすがにここまで思い切った行動は、決して誰にでも真似が出来るものではありません。とは言え、全てのビジネスマンは、彼の先見の明、そして突出した行動力から学ぶべきところが必ずあると信じています。

参考書籍

リスクの正体!(山口浩著、バジリコ刊)

T.IT.I 2011/01/03 21:26 あけましておめでとうございます。
かつて大阪勤務時代に品川のホテルで転職の相談をさせていただいて、転職しない方を薦められた者です。
ご忠告もあり、現在もその会社でお世話になっております。
その後も当ブロクはちょくちょく拝見していたのですが、更新がなく心配しておりましたが、
ようやく更新され、ホッとしております。
今年も色々とブログから啓発を受けたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

chaitianchaitian 2011/01/03 22:30 あけましておめでとうございます。
2008年夏にお会いして以来かと思いますが、お久しぶりです。現在も、あの企業にてお元気でご活躍とのことで、何よりです。
さて、全く更新しなかった間も、たまに見に来ていただいていたそうで、ありがとうございます。一度さぼり癖がつくと、なかなか元のペースに戻すというわけにもいきませんが、様々な方から更新の催促をされることもあり、もし余裕があれば、一年に一度とは言わず、更新していこうかと考えています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

ばれったばれった 2011/01/05 23:51 はじめまして
経済に関するブログで久しぶりに納得する内容でしたので、コメントをさせていただきました。とにかく、環境にどのように対応し、どのように新しい流れをつかんでいくか、常にぎりぎりの戦いだと考えています。公共分野のR&Dが本業の私でさえそうなのですから、よりマーケットメカニズムが厳格に作用している分野では、いかほどかと思いますが、なかなかそういう意見を見かけないのが不思議でした。10年前にドバイ→中国を見向きもせず→カザフスタン?の話も納得です。私も中国では結構仕事をしていますが、市場経済系ではなく、中国に日本の社会主義システムを移植する仕事をしています。中国は今社会主義を最も必要としているようで。
また充実のお話をぜひ聞かせてください。

chaitianchaitian 2011/01/06 12:59 はじめまして。コメント、ありがとうございます。
おっしゃる通り、今やあらゆるビジネスの現場は、正にギリギリの戦いを強いられていると実感しています。一時的に成功しているノウハウやビジネスモデルもあっと言う間に陳腐化していくため、「この企業に入社すれば安泰ですね」などとは、決して言えません。ビジネスをする場所についても同様で、中国とて中長期的には必ず現在の日本のような閉塞状況になるはずです。であれば、「まだ手付かずの国」だったり、あるいは逆に「既に誰もが諦めて、気付いたら競争相手がいなくなっている国」などを、何れは攻める必要があるのでしょう。
兎にも角にも、変化への対応を怠れば、即、死が待っているほど厳しい世の中になっていると感じます。また、そんな時代にあって、読者の目を現実から逸らさせてしまう安易な「成功本」の類は、危険極まりない存在であると思います。

2009-12-31 ゲームのルールが変わった このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

まだ私がこの業界に入って日が浅かった頃、ある大先輩にアドバイスされたことがあります。それは、「(ヘッドハンターとして成功するには)誰もが知っている超一流企業にとってベストエージェントとなること」というものでした。この言葉こそ、その後ずっと、私がこのビジネスに携わる上での金科玉条としてきたものであり、その大先輩には感謝してもしきれないくらいです。

無論、超一流企業がエージェント一社のみと付き合うということはありません。非常に多くのエージェントと競合することになるのですが、実際に結果を出していくことで信頼を獲得し、他のエージェントには決して依頼しない秘匿案件を、その企業から独占的に得るようになることは決しては不可能ではありません。

誰もが知っている超一流企業をメインクライアントにする利点ですが、端的に言えば、「最高に効率がよい」ということになります。まず、いきなり見ず知らずの候補者ヘッドハンティングしたとしても、「そんな素晴らしい企業であれば・・・」ということで、少なくとも話は聞いてもらえます。しかも、知名度の低い企業と違い、一から説明する必要もありません。結果的に企業にご紹介出来る確率も大きくなりますし、内定後ご家族から入社を反対されるリスクも最小限に抑えられます。要するに、圧倒的に効率がよいと同時に、ローリスクハイリターンでもあるのです。

さて、この超一流企業に専念する戦略ですが、実はリーマンショック以降、目に見えて機能しなくなってきました。理由は単純です。誰もが知っているような超一流企業の多くは、世界的大企業でもあるため、それらの企業は皆、リーマンショック後はリストラに専心し、採用意欲はほぼゼロにまで低下してしまったからです。勿論、求人が完全にゼロになったわけではありませんが、それら企業から稀に出てくる求人はどれもピンポイント的な難易度の非常に高いものであり、サーチの観点から言えば、決して効率的なものではなかったと言えます。

時代を超える原理・原則といったものは、確かに存在します。しかし、一方でその時代に合った成功法則というものも勿論あるわけで、時代が変われば、かつての成功法則も通用しなくなる時が必ず訪れます。

少し話が逸れますが、私が心の底から嫌悪しているものの一つに、自分の成功体験をまるでいつの時代にも、そして誰にでも通用する成功法則のように喧伝する“成功者”があります。何故嫌悪の対象となるかと言えば、大きく二つの理由が挙げられます。

_召棒簑佚な成功法則が存在するとしても、それは世に広まった瞬間に成功法則ではなくなってしまうこと(一例を挙げれば、仮に当たり馬券を正確に予測出来る人がいたとして、その予測が公にされたなら、誰もがその馬券を買ってしまって結局妙味がなくなってしまうということ)

既に成功法則たりえないものになったことを自覚しつつ成功法則を“売っている”のだとすれば、それは詐欺的な行為以外の何物でもないこと

詰まるところ、ベストセラーとなるようなビジネス書の中に「いまの時代に合った絶対的な成功法則」などあるわけがないのです。しかし、そのような「あるはずのないものをあるとして売り出しているような“愛のない駄本”」が、現実的には書店の店頭に満ち溢れています。そうした光景を目の当たりにするのは、何とも嫌な気分にさせられるものです。

以前、誰かがお手軽な成功本の著者に騙されることを「はしか」にかかるようなもの、と喩えているのを見たことがあります。正に言い得て妙です。二十代の免疫のないビジネスマンが「はしか」に罹るのはある程度仕方のないことではありますが、三十代以降のビジネスマンには、そうしたものに罹患しないだけの情報リテラシーを身に付ける必要があるでしょう。(そうでないと、厳しい現実世界をとても乗り切れないはずです。)

ところで、こういう偽物の情報が氾濫することのデメリットは、そうした情報を真に受けた読者が無駄な金を使ったり、遠回りな人生を送らされることだけに限りません。善意かつ良質な情報発信者の側に与える悪影響も決して少なくないと思っています。いくら良質な情報を発信したとしても、所詮受け入れられ評価されることはないだろう、と言った無力感を抱きかねないからです。また、現にそうして情報発信をストップしてしまった例も、これまで少なからず見てきました。

思わず余談が長くなってしまいました。話を元に戻すと、「誰もが知っている超一流企業にとってベストエージェントとなること」は、もはやヘッドハンティングにおける絶対的な成功法則であるとは思っていません。また、そうであるからこそ、自身の過去の戦略として公開することを厭わなくなったというわけです。

それでは、暫定的ながら現時点での比較的よい戦略は何か、私見を述べたいと思います。・・・と言えば、先述の“成功者”と同じ愚を犯すことになるのではと危惧されるかもしれませんが、ご安心下さい。ある意味当然のことであって、それこそが本来的なエージェントの価値だと誰もが同意出来るようなものですので。

勿体ぶらずに結論を述べれば、「誰も知らない案件を知っていること」です。まあ当たり前と言えば当たり前です。ヘッドハンターから声がけがあったとして、想定されているのが候補者にとって既知の案件であったとすれば、一体誰が会おうと思うでしょうか? 時間の無駄以外の何物でもないでしょう。

無論、こんな時代ですから、誰も知らない魅力的な案件の開拓は、決して容易ではありません。しかし、それなくしてヘッドハンター自体の価値もないのだとすれば、その困難な道を進むほかないでしょう。また、完全なる買い手市場となった現在の転職マーケットにおいては、優秀な候補者との出会いのチャンスはいくらでもあると言って過言ではありません。その方法論はともかく、案件開拓さえ出来る能力があれば、厳しいながらもエージェントとしてやっていくことは十分可能だと確信しています。

実際問題として、エージェントの中で、2008年から2009年にかけての厳しいマーケット状況において退場を余儀なくされてきたのは、案件開拓力のない人々だったように感じています。その中には、ベテランも少なくなかったのですが、客観的に見ていると、最後まで「優秀な候補者に会っていさえすれば何とかなる」との幻想に縛られていたケースが多かったようです。(確かに、2007年くらいまでの買い手市場にあっては、優秀な候補者さえいれば、いくらでも決定していましたし、そのような恵まれた状況での成功体験を持っていればいるほど、逆に変化に乗り遅れるという傾向が強かったようです。)

ところで、2009年にお会いした方に一番よく聞かれた質問のひとつは、「いつになったら(転職マーケットの状況が元に)戻りますか?」というものでした。それに対する回答ですが、感覚的にも、また合理的な推論としても、2007年のような状況に戻る気配は、今のところ全く感じられません。

転職マーケットにおいては、この一年余りの間に、様々な変化が起こりましたが、既に述べた「売り手市場から買い手市場への変化」に伴なって、たとえば紹介手数料の低下、選考期間の長期化、等々も顕在化してきました。特に紹介手数料の低下という変化は重大で、一気に成熟した転職マーケットを持つ欧米並みにまで進んでしまった感があります。恐らくは、仮にどんなに景気が回復したとしても手数料が戻ることはないでしょうし、その面での人材紹介業のうまみはかなり薄れたとも言えそうです。

ただ、2008年が「急悪化の年」だったとすれば、2009年は完全なる「底ばいの年」であったと総括出来そうです。ある意味、2009年は安定していた年だったのであり、それぞれの人にとって戦略変更のための時間は十分にあり、状況打開のための手を打つ余地もいくらでもあったわけです。

肝心の2010年ですが、恐らく当面はまだまだ底ばいが続くことになるのでしょう。しかし、各種の経済統計などから見ても、2008年のような一段の急悪化の可能性は少なそうです。とすれば、決して難しい舵取りを迫られるわけではなく、2009年と同様に、底ばいを前提として手を打てばよいということになるのでしょう。

何れにせよ、ゲームのルールは、既にすっかり変わってしまいました。もし、いまだに変化に十分に対応出来ていないのであれば、旧来と同じやり方を一日も早く捨て去る勇気こそが、2010年を生き残る鍵になると思います。

よっしぃ〜よっしぃ〜 2010/01/04 22:43 あけましておめでとうございます。
転職マーケットの専門ではないのであくまで個人的な意見ですが、今回の内容には大変共感しました。特に「仮にどんなに景気が回復したとしても手数料が戻ることはないでしょうし、その面での人材紹介業のうまみはかなり薄れたとも言えそうです。」部分にです。
パンの価格や企業の福利厚生と非常に似ていると思います。「小麦の価格上昇に伴うパンの定価の値上げは小麦価格が低下しても値上げされることはないこと」や「一度なくなった企業の福利厚生が復活ことはないこと(あっても非常に稀)」という意味で。
こんな世の中で、転職マーケットで勝てるクライアントは、企業のピンポイントの要求にピッタリと応えられる専門家だけかもしれませんね。ある意味、エグゼクティブサーチの方は多種多様な専門性を持つクライアントをどれだけ多く知っているかがポイントとなるのかもしれませんし、クライアントとなる私にとって2010年を生き残る鍵は「どれだけ深い専門性を持てるか」もしくは「どれだけ多様な分野での専門家になれるか」かもしれません。
いずれにせよ、今年もchaitianのblogからマーケットのニーズについての情報収集をさせていただき、いつの時代でも生き残れる力を養い続けたいと思います。(来月には父になるので守るものも増えますし)
ということで勝手に長文のコメントして、且つ、自己解決っぽくなってしまい申し訳ございません。。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

chaitianchaitian 2010/01/04 23:46 あけましておめでとうございます。新年最初のコメント、ありがとうございます。

転職マーケットに限らず、およそマーケットというのは、ジャングルさながらの
厳しい生存競争の舞台であると、私の目には映ります。人はつい楽観的に「いつ
か元の楽園に戻るさ」などと考えがちですが、天変地異が収まったと思ったのも
束の間、気が付けば周りは猛獣だらけ(笑)なんてこともあったりして、全く油
断が出来ません。

あと、念のためのツッコミですが、よっしぃ〜さんの立場は、「クライアント
(企業)」ではなく「キャンディデート(候補者)」ですよね。勿論、よっしぃ〜
さんは、非常に競争力ある(生き残れる)キャンディデートだと思っています。

それでは、こちらこそ、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

atmarktvatmarktv 2010/01/06 22:48 明けましておめでとうございま〜す
…って遅すぎ?!

「成功体験を捨てる」
今をときめく柳井さんもよく言ってますよ…。
昨日もユニクロから
”「民族大移動」 年内に数百人を海外勤務に、本部は全員経験”
とディープインパクトなニュースが登場してびっくり(汗)。
これはますます他企業との差が開くなあ…なんて。

さてわたしは転職して4カ月過ぎましたが
「残業は美徳!非効率&非合理バンザイ!」
みたいなアホばかり(失礼)の職場に早くも発狂しそうです…。

それではまた。

chaitianchaitian 2010/01/07 00:44 明けましておめでとうございます。
atmarktvさんの会社の内情については、よく知らなかったのですが、実はそんな
社風の会社だったんですね。安易に対応策まではアドバイスしかねますが、何れ
にしても、(出来る限りですが)ご自身のペースを貫くようにされて下さい。

2009-10-13 「凡事徹底」と「先見の明」 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

昨夜、TV東京系列で放送している「カンブリア宮殿」という番組を見ました。

完全就職保証制度をうたい、少子化時代をものともせず躍進し続けていることで有名なモード学園の特集だったからですが、その内容は期待を大きく上回るものでした。教育関係者は勿論のこと、経営者、一般の会社員、就職を控えている学生、これから進学先を検討している生徒やその保護者等々、あらゆる層の方にとって非常に有益なものだったと感じます。

さて、この未曾有の就職難の時代にあって、一体どうすれば、完全就職保証などということが可能になるのでしょうか? 簡潔に言えば、モード学園の卒業生は徹底したスパルタ教育により、企業が必要とするスキルの面で、他の大学や専門学校で学んだ学生を遥かに凌駕するだけのものを身に付けているからです。

実際、その出席規定は三回の遅刻で一回欠席扱いという大変に厳しいもので、学生にはとにかく下記二点を徹底することが求められています。

ー業に参加すること

課題を提出すること

言ってみれば、たったこれだけのことです。しかしながら、その課題は、質・量ともに決して半端なものではありません。(睡眠時間をかなり削ってまで課題に取り組む学生は少なくないようです。)従って、この当たり前の二つさえ出来ていれば、自ずと企業が求めるだけの即戦力スキルは身に付けられるし、結果として、こんなご時世であっても就職が可能になる、というわけです。

現実問題として、実業界とは、それはそれは厳しいものです。そんな実業界に受け入れられる、ましてやこのご時世で受け入れられるためには、生半可なことではどうにもなりません。その意味で、モード学園がここまで徹底して「企業が必要とする人材」の養成に注力する意義は十分に理解出来ます。と同時に、レジャーランド化した大学や専門学校では、とてもモード学園に太刀打ちすることなど出来ないでしょう。

私は仕事柄多くの社会人とお会いしていますが、モード学園の学生に比べて実力を出し切っていないとしか思えない人の割合は、残念ながら、相当高いように思えてなりません。それでも何とかなってしまった時代が、過去には確かにありました。しかし、今目の前に現れている現実の世界は、「それではどうにもならないもの」と言わざるを得ません。死に物狂いでやることは、生き残りのための最低必要条件となりつつあるのです。

ところで、死に物狂いで当たり前のことを当たり前にやっていさえすれば、少なくとも生き残りは保証されるのでしょうか? 大変残念ながら、イエスと言い切ることは出来ません。実は、もう一点条件があって、「時流に合っていること」がどうしても必要だからです。

実際、モード学園の歴史を振り返れば、正に「モード」という名が表す通り、時流に乗った経営がなされてきました。と言うのも、便宜上これまで「モード学園」という言葉で統一してきたものの、実は学校法人モード学園は、ファッションだけではなく、コンピュータ(IT)および医療専門学校も、早くからスタートさせているからです。具体的には、医療への進出(大阪医専設置)は2000年でしたし、コンピュータ分野への進出(コンピュータ総合学園HAL大阪校設置)については、既に四半世紀も前の1984年のことでした。その後の日本の産業の興亡を思い起こせば、こうしたモード学園の英断は、正に「先見の明」以外の何者でもなかったと言えるのではないでしょうか?

結局のところ、モード学園の圧倒的な成功の秘訣は二点。「凡事徹底」と「先見の明」とに集約されると、個人的には分析しています。また、これら二点ですが、企業だけではなく、個人の場合にも共通するものだと考えています。両方ともなしに成功することは余程の幸運に恵まれる以外あり得ないのは自明ですが、あったとしても惜しいかな、どちらか一方しかない方が殆どです。そして、そうであるが故に、企業も個人も、成功が長続きすることは稀なのではないでしょうか?

そもそも「凡事徹底」していると、日々の仕事の中に埋没してしまってなかなか大局観を持てないということがあるようです。一方、「先見の明」については、日々ビジネスチャンスばかりを狙っている、悪く言えば山師タイプの場合は、(恐らくは馬鹿馬鹿しくて)なかなか当たり前のことを当たり前にやり抜くことが出来ないものだと思います。

結局のところ、それら二つはある意味相反するものであり、またそれ故にこそ、両方を兼ね備えている企業なり人なりは発展する、ということにもなるのでしょう。

余談ですが、番組を見終わって、大変に印象に残った点がもう一点ありました。番組の最後、「編集後記」としてメインインタビュアーの村上龍氏も述べていたことですが、モード学園の谷まさる学長の“奇跡のような若々しさ”です。

その背景には、「先見の明」と「凡事徹底」とで、ご自身が率いるモード学園をここまで成長させた上で、いまだに経営と教育の最前線で大活躍していらっしゃることがあるのでしょう。そして、それを支える根本の部分として、谷学長の中に圧倒的な利他精神があることが大きいと感じました。

実際、「何のために働いているのか?」との問いに、「世の中の若者のため。一人一人が一人前になっていくのがうれしい。」と谷学長は答えておられましたが、それなら永遠に働くモチベーションが失われることはないでしょうし、これからもその奇跡のような若々しさが保たれるはずです。

「働くこと」の根本的な意味を教えられたという意味でも、本当に有意義な番組でした。もし見逃した方がいれば、必ずチェックすることを、心からお奨めしたいと思います。(10月15日21時からBSジャパンで再放送の予定。)

2009-10-04 キャリアプランの崩壊 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

先日、長いお付き合いをさせていただいているお二人の元候補者の方々と会食する機会がありました。それぞれA社とB社に所属しておられるのですが、両社ともに、この年末にかけて更なる大規模なリストラを断行するのだそうです。

A社とB社ですが、どちらも誰もが知っている世界的大企業という共通点があります。また、リーマンショック後、いち早くリストラに踏み切り、これまでにも断続的にリストラを続けてきたという点も同じです。それだけに、私としても、「ここに来てなお、両社はリストラし続けるのか!」と思わされましたし、今回の大不況の底の深さに改めて戦慄を覚えました。

超有名企業ということでA社とB社のことを採り上げたわけですが、言うまでもなく、その他大多数の企業の事情も大きくは変わりません。ほんの一部の好調な業界を除けば、今のところ採用意欲が盛り上がる気配は全く見られません。それどころか、まだまだ人員削減し足りない状況にあるというのが、実情なのです。

仕事柄、相変わらず、色々な方から転職市場の状況について尋ねられる機会が多くあります。リーマンショックから既に一年が経過したこともあり、「もうそろそろ・・・」との期待感からの質問だとは思うのですが、上記の如く、転職市場の状況が好転する兆しは全く見えません。それどころか、私個人の見通しとしては、「少なくとも短期的には更に一段悪化する」というものになります。

転職マーケットがこんな具合ですから、ヘッドハンティングや人材紹介の業界も景気がよかろうはずがありません。実際、直接あるいは間接に知っている人々が、今もなお、業界を去ったり、リストラに遭ったりし続けています。

本来は「転職のプロ」であるはずのヘッドハンターのうち、決して少なからぬ人々が自らの転職で行き詰まっているわけです。まさに医者の不養生ということになるのかもしれませんが、それを言えば、たとえば多くの経営コンサルタントも、自らの経営に行き詰まっているのが現状です。今は、転職のプロが転職で悩み、経営のプロが経営で悩まざるを得ないような恐ろしい時代、と見た方がよいのでしょう。

個人的にその可能性はあまり大きくないと見ていますが、景気は今後、多少上向きになるかもしれません。しかし、その場合でも、いわゆる「雇用なき回復」となる可能性が高そうで、こと転職マーケットに関する限り、V字回復は夢のまた夢と考えています。

以前であれば、ある程度の優秀層であれば、基本的には転職先として常に相当数の選択肢がありました。しかし、現状では、たとえ優秀層であっても、ある程度以上の年齢になれば、複数の選択肢があること自体が稀有なことです。また、たまたまオープンポジションが見つかったとしても、そこには瞬時に数百の候補者が集まるのが普通であり、苦労せずに転職出来るような環境では決してありません。

これまで複数の転職を経験されてこられた方からすれば、転職がこれほどまでに困難になってしまったことは、にわかには信じ難いだろうと思います。しかし、現実は現実です。「大変な時代」になったと嘆いても仕方ありません。それよりは、今までが「異様に楽な時代」だったという認識に変えた上で、現実に対応していく必要がありそうです。

さて、このような時代になってくると、キャリアプランという概念自体が無意味なものになってきたという気がしてなりません。と言うのは、キャリアプランを立てられる前提としては、多くの選択肢が存在すること(転職が容易であること)が前提だからです。選択肢がなく、目先の転職先自体を探すのも困難な時代にあっては、転職を重ねることによって長期的にステップアップしていくような計画は、机上の空論にしか成り得ません。

だからと言って、無計画になることを勧めているわけではありません。長期的には勿論のこと、日々の仕事においても計画性をもって臨むべきです。ただ、計画的に仕事をし、キャリアを積み上げてきたとしても、そのキャリアが突然、転職市場において価値を失うことになるリスクがあることは、常に意識しておくべきだと思うのです。

大切なのは、そのリスクが顕在化した際にどうするかですが、結論から言えば、変化するしかありません。ご参考まで、実例として、人材ビジネスを取り上げたいと思います。この一年の劇的な環境変化を経て、人材ビジネスで現在も生き残っている者は、基本的には、下記のうちのどちらかに分類されます。

)悗疋瀬瓠璽犬鮗けずに済んだ業界(医療系やネット系など)を専門にしていた

⊃靴靴の琉茲縫船礇譽鵐犬靴

,蝋運にも、変化せずに済んだ人たちです。細かく分ければ、「運がよかった」場合と「先見の明があった」場合とに分かれるのでしょうが、何れにしても、結果として、このような状況においてもほぼ無傷で来られたようです。

一方、△蓮環境の急変にいち早く気付き、これまでの成功体験に溺れずに変化を選択した人たちです。ちなみに、一口に新しい領域とは言っても、実は色々なケースがあります。業界を変えた者、業界はそのままながら伸びている企業をメインクライアントにした(出来た)者、更にはアジア諸国に進出するなど地域を変えた者、等々です。勿論、変化したからと言って、すぐに素晴らしい結果が出るほど甘い世界ではありません。満身創痍ながらも何とか九死に一生を得ることが出来た、というのが共通する実感であると思います。

取り敢えず生き残ることが要求される局面においては、当然ながら、キャリアプランもへったくれもありません。好むと好まざるとにかかわらず、キャリアの大幅変更を余儀なくされてしまうからです。

まして、これからの日本は、未曾有の人口減少時代に突入します。少なくとも内需の拡大は望むべくもなく、どんどん減っていく椅子取りゲームを永遠に続けざるを得ないような状況にあっては、そもそも個人として右肩上がりのキャリアプランを描くのは非常に困難になるはずです。

とにかく最優先すべきは、生き残ることです。これからの時代は、キャリアプランを立てる暇があれば、想定外の環境変化にも耐えられるような危機対応能力を磨いておいた方がよさそうです。

@ 2009/10/13 11:53 毎度、お疲れ様です〜。

世界的大企業のリストラ…IBMとかサンとか?(笑)
いやニュースでよく見るから言ってみただけですが。

医療系というのは具体的にはどういう職種でしょうか。
MRとか、看護婦さんとかですかね?
研究職の人ってあまり活発に転職しないイメージですが…。

ネット系はエグゼクティブクラスはよく知りませんが
年収500万前後ならわりにあるような感じがします。
営業でもエンジニアでも。
ヤクザな経歴でもマイナスにならず、自己申告スキルが
そのまま通ってしまうことが多いですしね。

キャリアって何なんでしょうね〜。
なんか今の時代って偏差値65を70とか80にするかのごとき
努力が求められてて、しんどいですよね…(汗)。
同じ5上げるのでも50を55に上げるんだったら
そんなに大変じゃないじゃないですか。

タイピングができただけでお金が貰えた時代と
新卒でオフィスソフトが一通り使えて当たり前な現代じゃ
キャリアアップのキツさが全然違うとか
ぼやいちゃいます。

chaitianchaitian 2009/10/13 20:06 キャリアアップのキツさの話ですが、確かに要求されるスキルレベルは上昇する一方で、どんどんキツくなっていくものです。ただ、これはキャリアアップだけに限定された話ではなく、企業間競争もそうですし、「世の常」と言ってもよさそうです。

これを避けるのは、実は簡単で、「競争のない世界」に行けばよい、ということになります。ただし、それは当然ながら大きなリスクを伴います。一からスキルを磨く必要もあるでしょうし、また「おいしい世界」と認識されれば、あっという間に競争が激化する可能性もあるからです。

よって、共産主義ならぬ世界に生きる限りは、どこまで行っても競争はつきまとうもの、との割り切りをする必要がありそうです。

さて、「世界的大企業のリストラ」については、ここで業界を特定すること自体問題がありますので、控えさせてください。今度こっそり(笑)お教えします。

医療業界の採用については、MRや看護師さんは勿論、薬事申請、QC、統計解析等々、幅広いニーズがあるようです。

2009-08-23 独立力 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

先月の中国行きでは、北京でのビジネス話がメインではあったものの、実はビジネスとは全く関係のない、別の大きな目的が一つありました。22日に起こった皆既日食の観察です。そのために、わざわざ数日前から、絶好の観測ポイントの一つである蘇州に移動して準備したのですが、当日の早朝まで太陽が出ていたものの、皆既日食の直前からどんどん天気が悪化し、結局大雨の中で皆既日食を迎えることとなりました。

当日体験出来たのは、昼間に約五分間真っ暗になったということのみ。想定外と言えば想定外だったのですが、実を言えば、あまりがっかりもしませんでした。と言うのは、今から丁度十年前の1999年8月11日に、トルコ皆既日食を観察する機会に恵まれたことがあったからです。

その夏、夏期休暇の旅行先としてイスタンブールを選んだのですが、彼の地で皆既日食が見られるということを、事前には全く知りませんでした。たまたまイスタンブールの街をぶらぶら歩いていた時に見た旅行代理店の看板に「皆既日食ツアー」とあったことから、当地で皆既日食が見られることを知り、千載一遇の機会とばかり、そのツアーに申し込みました。そして、イスタンブールから十時間ほどバスに揺られて着いた某海岸にて、現地の人々とバーベキューなど楽しみながら、快晴の天気の下、皆既日食の一部始終を観測出来たというわけです。

最善の準備を整えても結果が伴わないこともあれば、単なる幸運で結果を得られることもあるなんて、正に人生やビジネスそのものです。そして、残念ながら、この2009年という年は、殆どの方々にとっては明らかに前者の要素が濃い年と言えそうです。

さて、このところお会いする方々からは、「転職マーケットの現況と見込み」について尋ねられることが多くあります。恐らくはポジティブな回答を期待しての質問なのでしょう。しかし、あいにく、そうした期待に見合った回答は出来ずにいます。

確かに、「底は明らかに打った」と言えますし、統計値にもはっきりと現れている通り、求人数そのものは増えています。しかし、採用基準が下がる気配は全くなく、量的にはともかく、質的には、最悪期から殆ど変化がないと言って過言ではありません。

何故、量的には最悪期を脱したのに、質的には変化が見られないのでしょうか? 簡潔に言えば、一部の好調な業界を除いて、一方で人を減らしながら、一方で採用している企業が殆どだからです。そのような企業が、減らした社員よりも劣る人材をわざわざ採用する道理はありません。要するに、「よほど優秀であれば採用する」というスタンスであり、それ故に採用のバーは一向に下がらない、ということになります。

では、人材紹介ビジネスの動向はどうかと言えば、新規開業軒数は明らかに回復基調にあるようです。ある方から聞いた情報ですが、有料職業紹介事業(人材紹介業)の許可を新たに申請する企業の数は、リーマンショック後は明らかに低迷していたのが、ここに来てはっきりと回復傾向を描いているのだそうです。

ただし、一方で忘れてはいけないのが、新規開業軒数は増えているものの、廃業軒数は相変わらず高止まりしているという事実です。人材紹介業に携わる企業が右肩上がりで増えていくとは思えませんし、それでなくても以前に比べ、相当に人材紹介マーケットのパイが小さくなっている状況です。余程の新規性なり他社との差別化が出来ていない限り、人材紹介マーケットにおいて、新規参入企業が成功することはないと断言できます。

ここまで、想定以上に話がネガティブになってしまいました。しかし、この段階では、と言うよりこれから先しばらくは、基本的に状況が改善する見込みがない以上、「根拠のない楽観論」を展開するのは罪でしょう。そして、少なくとも当ブログをご覧いただいている方々には、老婆心ながら、現実から目を逸らさず、将来に向かって必要な備えをしていただきたいと、心から願っています。

ちなみに、先述した「一部の好調な業界」と言うのは、医療系やネット系になります。今から約半年前、下記エントリーの中で、「医療系やネット系では求人が活発」と書きましたが、その状況は今に至るも全く変わっていません。

http://d.hatena.ne.jp/chaitian/20090208

ところで、先週たまたま立て続けに、お二人の経営者と雑談がてら、じっくり腹を割ってお話しする機会がありました。お二方とも数十名規模のコンサルティングファームを経営されているのですが、よくよく話をうかがってみると、悩みが全く同じであることが印象的でした。

その悩みと言うのは、「人が育っていない」ということです。と言っても、決して社長の代役を任せられるようなスーパースターの登場を望んでいるわけではありません。中小規模のコンサルティングファームにはありがちではありますが、ビジネスディベロップメントが出来る、平たく言えば仕事を取って来られるのが、結局社長一人となっていることが問題なのです。要は、いつまで経っても社長自身が楽になれず、また、社長自身の営業力以上にビジネスが拡大していかないということです。

二社ともに、現在はビジネスが縮小傾向で、基本的にコンサルタントの採用など全く考えてはいません。しかし、「ビジネスディベロップメントが出来る人がいたら採用しますか?」との問いには、「それはもう喜んで」と、お二方とも口を揃えられました。もっと言えば、ビジネスディベロップメントが出来る人ならば、どの企業からも採用されるでしょうし、逆に独立しても平気でやっていけることでしょう。

コンサルティング業界、あるいは営業職に限定した話になりますが、「転職も独立も出来る人」と「転職も独立も出来ない人」の二つに大きく分かれるものと思っています。裏を返せば、将来的に転職せざるを得ない状況に陥った際に困らないようにするためには、実は“独立力”を身に付けるべきであり、その“独立力” とは、仕事を取ってこれる力と、ほぼ同義になります。

昔から、「銀行は晴れた日に傘を貸すが、雨の日には傘を貸さない」と言われます。その伝で行けば、「会社は独立出来る人は採用するが、独立できない人は採用しない」ということになるのでしょう。本当に、皮肉としか言い様がありませんが、これは厳然たる事実なのです。

yostanyostan 2009/09/02 22:39 「転職も独立もできない人」 まさに自分の事じゃないかと猛反しています。

転職活動を行いながら「自分でやった方が早くないか?」と最近思うようになってまいりました。
他の方も幾ばくか同じ様に感じていると思われますが。

ヘッドハンター業も大変でしょうがそういうビジネスプランを持った人間をfeeを取り、現在散々な重いをしているVC等
と引き合わせるのもおもしろいオプションなのではないでしょうか?(もうやられてたりして、、)

chaitianchaitian 2009/09/03 09:04 「転職も独立も出来る人」は、本当に少ないと思います。従って、自分の事では?
と思われる方は非常に多いと推測しますし、だからこそ、現在のマーケット状況
で転職に苦労しない人は殆どいない、ということになります。

「優良なビジネスプランを持った人」については、希少価値がありますし、VCに
限らず、探している企業は少なくありません。特に、キャッシュリッチだが今ひ
とつ株主の期待に応えられるような成長戦略が描きにくいといった企業からは、
非常に強いニーズがあるはずです。

@ 2009/09/03 12:12 > 単なる幸運

学歴なし、コネなし、スキル微妙、
転職多くて履歴書真っ黒のわたしですが
最近、ご縁あって某業界最大手の東証一部に
すんなり転職が決まってしまいました。

お世辞にも転職活動をがんばったとはいえない…
というかむしろ、こんな状況で活動するのが面倒くさくて
家で寝ていたくらいなので
やはり「運」としか言えないと思います。
周囲にもかなり驚かれました(汗)。

この時期にがんばるのは、労力対効果が低すぎて
どう考えても得策ではないので、「働かないと明日死ぬ」
とかって状況じゃないなら、休んだほうがいいと思います。
疲れてると、目の前にチャンスが来ても見逃しちゃうしね。

> 転職も独立もできない人

コンサルや営業は特殊ですよね。
サラリー(ウー)マンの9割は独立なんかできないでしょう。
会社員として有能なのと、インディペンデントとして有能なのは
ぜんぜん意味が違う。
個人で仕事を取ることが、会社の看板で仕事を取ることより
偉いとは特に思わないので、「転職も独立もできない人」は
会社員として生き残る道を模索すればいいんじゃないでしょうか。
この世から会社がなくなるなんてことはないんですし。

> ヘッドハンターがビジネスプランを持った人とVCの引き合わせ

そういうビジネスは成立しない気がするな〜。
理由は…ごにょごにょ。
そんなのより結婚斡旋のほうがよほど確度ありますよ。
デートしてる暇がないエリートと、
エリートと結婚したい女性との引き合わせ。
ヘッドハンターは個人情報をガッツリ握ってるんですから
むしろやるべし!です(笑)。

chaitianchaitian 2009/09/04 01:27 コメント、ありがとうございます。そして、ご転職の成功、おめでとうございま
す。

随分謙遜されていますが、文面から察する限り、決して「運」だけではないよう
に思えてなりません。詳しいご経歴などは分かりませんが、少なくとも「面接対
応力」等は相当なものをお持ちであると拝察します。

「コンサルや営業は特殊」というのは、その通りです。(本文でも、「コンサル
ティング業界、あるいは営業職に限定した話になりますが」と、但し書きを入れ
ています。)逆に、非コンサル(非営業)であれば、おっしゃる通り、基本的に
は「会社員として生き残る道」を模索すべきです。

「ヘッドハンターには、結婚斡旋ビジネスが可能では?」との指摘は、鋭いの一
言です。確かに、ヘッドハンターは「適齢期のエリート男性」とのコネクション
は異常に豊富ですからね。

kazchankazchan 2009/09/08 23:58 超ご無沙汰しておりすみません。
なんか同じ様な特殊業務の連鎖反応で辟易しております。

結婚斡旋業とはなるほど確かに良いアイデアかもしれませんね。
・・・という事はこれを読んでいる未婚女性はまず柴田様に遅めのお中元を贈ることから始めれば良いわけですね(笑)
でも「いや〜彼は仕事はできるけど結婚には向いてないよ」みたいなアドバイスがでたりして・・・。
ヘッドハントされるような人はある意味仕事人間が多いでしょうし。
ある意味本業の方より適切なアドバイスが出来そうですよね(笑)

chaitianchaitian 2009/09/09 13:57 「本業の方より適切なアドバイスが出来そう」というのは、おっしゃる通りです。
候補者の方とは、何度も何度もお会いした上で、性格や人生観など含め丸ごと知
り得る立場にありますからね。

余談ですが、女性のヘッドハンターが候補者の男性と結婚したという話は、何度
か耳にしたことがあります。仕事をしつつ、お婿さん選びもしていたわけで、こ
れは本当に役得だなぁ、と思います。

2009-07-21 不況が生む格差 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

7月15日から、中国に滞在しています。

中国には比較的頻繁に訪れているものの、北京に来たのはおよそ3年ぶり。その間、オリンピックが開催されたこともあり、北京首都空港は素晴らしくなり、空港から市街に直結する地下鉄も開業するなど、インフラ整備がまた一層進んだ印象を受けました。(昔ながらの胡同がすっかり少なくなったのは寂しい気がしましたが。)

しかし、恐らく最も進歩したのは、人々のマナーのようです。日本から初めて訪問したような人であれば、日本に比べればまだ荒い自動車の運転などに驚かされることがあるかもしれません。とは言え、3年前に比べれば雲泥の差ですし、本当によくなったと思います。ハード面、ソフト面ともに、現在も中国が着実かつ急速に進化中であることは間違いありません。

こちらでは、既に色々な方と積極的に情報交換を重ねているのですが、その中の一人は、中国国内で人材ビジネスを手広く展開している現地企業のトップでした。その方に中国国内の人材ビジネスの概況をうかがったのですが、やはり昨秋からビジネスが低調になっていたこと、またここに来てやや回復基調にあるということで、日本とほぼ同じでした。

しかし、今後の見通しについては、かなり違います。日本よりはかなり強気との印象を受けました。それもそのはず、先日発表された最新の中国のGDPの伸び率は前年同期比7・9%であり、事前予想を上回るどころか、V字回復と言っても過言ではないからです。この国の経済には、今後も大きなチャンスがあるのは間違いなく、私自身、これからは中国関連のビジネスに携わる割合を増やすつもりでいます。

さて、話は日本に戻りますが、先日、3年来のお付き合いのある候補者の方と歓談する機会がありました。通信業界においては日本有数の豊富かつ優良な人脈を持つ40代後半のセールスの方で、現在は世界的企業で八面六臂の活躍をされている方です。

ちょっと話が途切れた瞬間、その方が独り言のようにポツリと漏らした言葉が印象的でした。「もっと(新規開拓の)電話しないとダメだ」というものだったのですが、その言葉を聞いた時、少なからぬ感動を覚えました。もっと言えば、プロの恐ろしさのようなものすら感じました。何故なら、その方は、何しろ私の知る限り最強のセールスであり、既存人脈に頼った営業活動だけでも十二分に高いパフォーマンスを出していける方だからです。敢えてたとえれば、超一流のプロ野球選手が「もっと素振りをしないとダメだ」とつぶやいたようなものです。

また、上記の方とは全く別の方で、人材ビジネスの大先輩で尊敬している方がいらっしゃるのですが、この方もやはり、似たようなことをおっしゃっておられます。具体的には、「今こそ(クライアント企業への)飛び込み営業を実践する時」というものです。そして、言葉だけではなく現実に飛び込み営業を実践し、大きな成果も出していらっしゃいます。

上記のお二方の「基本に戻れ」というお話は、本当に胸を打ちます。と言うのも、周囲の多くのビジネスマンを見ていると、「出来ない言い訳」に終始する方が少なくないからです。また、そういう方に限って、基本に立ち返ることをせず、「何か新しいこと、誰も考えていないことをやらなければ」、といった観念に縛られているようにも見受けられます。

確かに、もし画期的な打開策があるのであれば、そこに救いを求めるというのも手と言えるでしょう。しかし、そんなものが簡単に見つかるのであれば、誰も苦労などしません。

中国はともかく、日本でビジネスを行う限り、一般論としては、大きく状況が好転する可能性は薄いと言わざるを得ません。短期的には勿論のこと、恐らく、中長期的にもそうなることでしょう。

そんな中で、もし画期的な打開策などないのであれば、それはもう、基本に戻って、ひたすらに続けるほかはないはずです。

しかも、先述したお二方のように、出来る方ほど強い危機感を感じています。そして、他者が腕を拱いている間に、全く言い訳せず、また格好などつけず、ただただ地道な努力を続けておられるのです。

そのような苦行に耐えられるのは、恐らく、「苦しい時も、こうした基本をやり抜くしかないし、また、それさえやっていれば間違いない」という確信があるためだと見ています。

その結果は、どうなるか? 出来る方と出来ない方の間でますます「格差」を生じることになるのは、火を見るより明らかです。

好況は、誰にも優しく微笑むものと言えるでしょう。しかし、不況は「言い訳しない者」にのみ微笑むものだと思っています。

yostanyostan 2009/07/29 05:00 >好況は、誰にも優しく微笑むものと言えるでしょう。しかし、不況は「言い訳しない者」にのみ微笑むものだと思っています。

「言い訳しない者」に「必ずしも」微笑んでくれないのがこの不況の大きな特徴だと感じています。そうはいっても土粥を食べながらも「生き抜く」バイタリティーが無い者は論外ですが。(いつも楽しんで読ませていただいております)

chaitianchaitian 2009/07/29 13:17 いつもご覧いただき、ありがとうございます。

さて、「地道な努力を続けても必ずしも報われることはない」というのは、その通りです。ただし、それが今回の不況の大きな特徴かと言えば、必ずしもそうとは限りません。他の不況時は勿論のこと、どんな時にでも当てはまることだと思っています。

つまり、最も大切なポイントは、「(景気等の外部環境がどうであれ)一流のビジネスマンは“常に”言い訳しない」ということになります。

ただし、そのような方が極めて少数派であることは、言うまでもありません。

2009-06-15 困窮するヘッドハンター このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

現在の転職市場を見回していて気付くことの一つに、人材紹介会社自体の求人、即ち人材コンサルタント求人が増えてきたという事実があります。

ブログでも何度か指摘した通り、今回の景気悪化局面で最大の打撃を受けたのは、他ならぬ人材紹介業界だったわけですが、そんな人材紹介会社がここに来て求人を出し始めたのです。その背景としては勿論、各人材紹介会社が需要の回復を見込み始めたことがあると推測されます。

ただし、求められている年齢層はかなり低めです。ヘッドハンティングエグゼクティブサーチ)会社というより、どちらかと言えば若手人材を対象とする一般的な人材紹介会社が殆どです。

裏を返せば、エグゼクティブサーチの対象となるような層の求人需要は、まだ回復する気配が全く見えないということにもなるかと思います。同じ転職市場とは言え、こと30代後半以降の方に関する限り、まだ決して最悪期を脱していないようです。

これは本音と言うか、偽らざる肌感覚なのですが、その最悪期は決して短期のうちに終わりそうもなく、今しばらく継続しそうな気がしています。「今しばらく」とは曖昧な表現ですが、場合によっては数年に及ぶこともあると見ています。

ところで、私がしばしば受ける質問の一つに、「どうすればヘッドハンティングされるか?」というものがあります。それに対しては、随分古いものですが、下記のようなエントリーを書いたことがあります。

ヘッドハンターから声をかけられるには」

http://d.hatena.ne.jp/chaitian/20070902

その結論は、「ご自身の腕を磨くよりほかない」という、あまりに当たり前のものだったわけですが、あれから2年近く経過し、転職市場の状況も一変してしまった現在、少し補足が必要であると感じています。改訂版の結論は、下記の通りです。

「ご自身の腕を磨くよりほかない。しかしながら、それでも声をかけられるとは限らない。」

大変に悲しい結論ですが、こう言わざるを得ないのが現実です。要するに、どんなに優秀な方であっても、その方に対する「ニーズ」がない限り、転職することは不可能なのです。(逆に言えば、その方に対するニーズさえあれば、どんな方であろうと転職出来ます。)

これだけ転職市場が冷え込んでいると、企業が求める条件(年齢・スキル・経験等々)は、非常にピンポイントなものになります。そこから少しずれただけでも選考の対象外となってしまいますから、まずは対象になるだけでも大変です。更に悪いことには、空前の買い手市場ですから、それだけ絞り込んだ上であっても、その対象者は意外に大きな母集団を形成してしまいます。従って、「そもそも適合する案件がない」→「たまたま見つかった案件でも、とんでもない競争倍率となる」といった形にならざるを得なくなるわけです。

結局のところ、転職市場において“常に”引く手数多の方など、どこにもいないのです。その方の市場価値は勿論のこと、そもそもその方に対するニーズがあるかどうかも、全ては市場の需給状況次第なのです。

さて、この辺りで話を元に戻しましょう。ニーズがやや回復し始めたのは、ヘッドハンティングエグゼクティブサーチ)ではなく、一般的な(若手の)人材紹介ということですが、具体的にヘッドハンターはどの程度の打撃を受けているのでしょうか? 

正確な統計値などではなく、あくまで感覚値ではありますが、昨年秋を境に、マーケットは恐らく4分の1か5分の1くらいに縮小してしまったように思われます。換言すれば、4倍か5倍の努力をしてはじめて、以前と同じ程度の成果が出るくらいの厳しさです。(昨年秋以降全く成約がないというヘッドハンターが、私の周りにはゴロゴロいます。)

では、こんな中でも成果を出し続けているヘッドハンターは、どのような行動を取っているのでしょうか? 

その答を期待した方もいるかと思いますが、私も、こんなところでその秘訣を公開してしまうほどお人よしではありません(笑)。もしご興味ある同業の方がいらっしゃれば、是非、実際にお目にかかって情報交換させていただきたいと思っています。その際は、遠慮なくメールにてご連絡下さい。

atmarktvatmarktv 2009/06/17 17:07 いつも更新楽しみにしております(^-^)

> どんなに優秀な方であっても、その方に対する「ニーズ」がない限り、
> 転職することは不可能

商売やってるとこれって痛感しますね。
どんなに優れた技術、素晴らしい商品であろうとも
「必要とされない」ものにはお金が払われない。
必要とされる、必要だと”相手に気づかせる”スキルって
かなり大事だよな〜なんて。
視野が狭いと独りよがりのスキルアップに陥りがち。

> 空前の買い手市場

優秀な人材が集まりにくいベンチャーや
中小企業にとっては絶好のチャンスですよね〜。
こんな状況でも、必ずしも嘆いている人たちばかりではない、
と思うと妙に感慨深くなってしまいます。

> こんな中でも成果を出し続けているヘッドハンターは、
> どのような行動を取っているのでしょうか? 

結局、「成果が出るまで諦めない」ってことに尽きるのかなー?
なんて思いますが。
頭の良さ、器用さ、テクニックなんかももちろん大事ですが
意外に今の時代って「愚直にやり続ける」能力が貴重な気がします。
スマートだけど根性がない、って人多いですからね。
(わたしも他人のことは言えませんが…(汗))

chaitianchaitian 2009/06/17 21:47 atmarktvさん

いつも見ていただいてありがとうございます!

コメントの一つ一つが的確で、さすがだと思いました。

特に、「優秀な人材が集まりにくいベンチャーや中小企業にとっては絶好のチャ
ンス」とは、おっしゃる通りです。実際にチャンスと見て動いている企業は、非
常に素晴らしい企業だと言えます。

また、「成果が出るまで諦めない」ですが、それは勿論あります。何もしなけれ
ば成果を望むべくもなく、やはり「愚直にやり続ける」しかないからです。ただ
し、さすがに現在のような局面においては、それだけでは十分ではありません。
「行動」の前に「現状認識」が、そして、現状を打破するための「戦略」が必要
になると思っています。

・・・と言ったところで、全然伝わらないと思うので、細かいことはいつかお目
にかかった際にでもゆっくりお話ししますね。

それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2009-05-12 ヘッドハンターの限界 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

一ヶ月前のエントリーのタイトルは「底打ちの予感」でしたが、その予感が実感へと変化してきました。統計数値に基づかない個人的な感覚ながら、既に転職市場は、明らかに当面の底を打ったと感じています。

その理由としては、二つあります。一つは、四月以降、会社都合退職の方からご相談を受けることも殆どなくなっており、これ以上「売り手」が増えるようには見えないこと。もう一つは、中途採用を再開する企業が、ここに来てやや増えてきていることが挙げられます。

おっかなびっくりといった感じでの採用再開であり、決して大量求人が出てきているわけではないものの、これ迄のような求人が減る一方といったトレンドからは、明らかに変化が生じているようです。

もっとも、だからと言って、ここからV字回復が望めるかと言えば、決してそのような気配はありません。各社は、採用には慎重の上にも慎重になっていますし、「売り手」と「買い手」の大幅なアンバランスの解消にはそれなりの時間が掛かることは確実だからです。

さて、「超買い手市場」は昨年から一貫して続いていますが、そんな中、必ずしも誰もが転職意欲を高めているわけではありません。このような状況だからこそ転職には慎重になるというのも一つの判断であり、実際に動きが鈍くなっている方も少なくないようです。

それにしても、ヘッドハンティングとは因果なビジネスだとつくづく思います。転職意思に溢れた方から相談を受けることもあるものの、主としてお会いするのは「必ずしも転職意思がない方」であり、どのような経済状況であろうと、クライアント企業が望むような方々に入社してもらわない限り、ビジネスとして成立しないからです。

今年の初めのことですが、ある企業の採用プロジェクトに傾注していて、多くの方々に声掛けをしました。しかし、かなりよい所まで話は進むものの、最終的には「現在の会社に残る」という選択をされる方が続出するということがありました。

現在の企業で活躍しそれなりの評価を受けている方々ですから、そもそも転職意思はありません。しかし、私としてはそれを十分に覆せるという確信を持っていました。と言うのは、客観的に見て危機的な経営状況にある企業に属する方々をメインターゲットとして声掛けしていったからです。(全員が全員そうだったわけではありませんが。)

結果、何名かの方々に内定が出たものの、こちらの目論見は脆くも崩れ去りました。「現在の会社に残る」という選択が傍目にも明らかに危険と見えるような方々であっても、最終的にオファーを受けないケースが続いたからです。(後日談ですが、それらの方々の中には、その後実際に会社が破綻してしまった方も含まれました。)

このようなことは、現実には決して珍しいことではありません。如何に客観的に見て有利な選択だと思えたとしても、最終的に決断するのは、あくまでも本人であり、こちらの考えを押し付けるわけにはいかないからです。

こんな英語の諺があります。

You can lead a horse to water, but you can't make him drink.

その意味は、「馬を水辺まで連れて行くことは出来るが、水を飲ませることまでは出来ない」というものです。

馬をたとえに使ってはいますが、実は人間のことを指しているのであり、その意味は、「ヒトに機会を与えることはできるが、それを活かすも殺すも本人次第」というものになります。

ある意味、ヘッドハンターの限界をズバリと指しているのではないかと思えるような諺です。しかし、それは仕方ないことですし、私としては、宿命として受け入れています。

何故なら、たとえば先述した「その後実際に会社が破綻してしまった方」の場合も、その会社の先行きが危ういことだけは分かっていましたが、100%破綻するなどとはインサイダーでない限り、誰にも分からないはずだからです。(一方で、仮にお誘いした会社に入社していたとしても、そこでその方が活躍できるという保証もまたありません。)

誰にも、正確に未来を予測することは出来ません。そうである以上、本人が納得出来る選択をする以外にないのです。

kazchankazchan 2009/05/14 23:22 こんばんは、ご無沙汰しております。

最近またまた悪い意味で忙しくなり毎日訪れていた貴ブログも時々これない状況になってます。
まだ”ing”の状態で寝不足で今日は夕方PCを打ちながら脳みそがシャットダウンしてました(笑)

しかしながら私の業務としては悪い意味ですが会社としては本ブログの内容を実感として感じる良い状況になりつつあります。
むしろリストラらしいリストラは無かったものの何故かこの時期に辞めた?人の補充をせず人員をギリギリにしているので多忙な状況でポカミスも目立ってきました。

昨日は課は違うのですが話が合う人で実は年齢も近く入社時期も結構近かった方からお茶休憩誘われて話をしていたら、一年かけて誘われて単身赴任で入社したが、実際の仕事は約束と全く違ってて面白くない、状況は悪いが転職も視野に入れてますと本音発言されてました。
私も入社のときとはちょっと違う業務が主でストレスを感じてますが、幸いこれまでの会社がもっと多忙でストレスフルだったので
なんとかやってます(良いのか悪いのか・・・)。

英語の例え文、簡単ですが非常に確信を付いていると思います。
最後の5行に集約されるように結局最後に決断をするのはその人本人で、無理やり決めさせるのではなく自発的にそれをしてもらう事が
大事だと痛感します。
人の言葉に左右されて決めればやはり何か会った時に恨み言の一つも言いたくなるでしょう。
もちろん左右されたのもその人の決断であり、逆恨みなんですが。

結果は残念だった案件かもしれませんが、最後は貴方の決めることです・・・とちゃんと自己決断を促されているわけですし、
お世話になった私の感想としては柴田様らしいなと・・・。

底打ちの予感が確信に変わってきた様子ですが、リストラさせすぎた反動で一時的に求人が戻っているような感じはしているでしょうか?
そういう時に転職をするというのは上手く波に乗れたと言えるのか、さらわれたというべきか・・・
後々どっちが多いのでしょうか、
上記の同期?の方の今後が少し心配です。

chaitianchaitian 2009/05/15 22:15 コメント、ありがとうございます。

その後、なかなか大変なご状況のようですね。これからも肉体的・精神的に高い負荷がかかる日が続くかもしれませんが、どうかお体には十分お気をつけ下さい。

ただ、慰めにも何にもならないとは思いますが、削減した人員の補充はしないというのは、実は現在、多くの企業で起こっていることです。やはりこのような経済情勢の下では、誰しもが「今まで通り」とは行かず、大なり小なり痛みを感じることになっています。どこも「今まで通り」に行かなくなっている以上、安易に転職に走るべきではないですし、その方も慎重になられた方がよいと思います。

ところで、「人の言葉に左右されたのもその人の決断であり、逆恨みに過ぎない」というのは、その通りですね。ちなみに、私が決して無理強いしないのは、逆恨みされたくないからではありません。「(その方自身のためではなく)私のために転職などしてもらいたくない」と思っているが故です。

底打ち後の状況ですが、必ずしもリストラし過ぎた反動があるという感じはありません。先述した通り、削減した人員の補充はしないという企業が殆どですから。それよりも、年度が替わって必要人員獲得の予算がついたという要素の方が大きいように思います。