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はてブでこんな意見が人気だったんで、書店員として思ったことを書いてみます。
こんなことをしたら、一瞬でその店は潰れるのではないでしょうか。都会の大型書店ならアリとか書いてる方もおられるようですが、完全にナシだと思います。大体、このアイデアに賛同されている方は、本屋という商売のビジネスモデルをご存じないのでしょう。本屋は集客してなんぼの商売なのです。
最近の書店の悩みは、客数減に歯止めがかからないことでしょう。そのため、売上が下がり続けた書店の閉店が相次いでいます。立ち読み目的のみの客だけが減る、というそういう都合のよいことがおきればよいのですが、そんなことはないのですよ。買い上げ客数は、来店客数に比例しているため、来店客数が減ると買い上げ客数も減って、売上も下がるんです。大体その書店の駐車場が有料になってるだけでも、来店客数が減って売上は10%以上減ってしまうのです。無料駐車券がもらえてもですよ。書店で入場料をとったら、売上は確実に激減するだろうと思います。そしてそれは大抵の書店の場合、入場料収入では補填できないレベルの致命傷になるのではないでしょうか。
そもそも入場を有料化した書店は、過去にも存在していました。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20060316bk0b.htm
しかしこの店は店主の希望もあって1年で閉店しています。一概に比較できる事例とは言えないかもしれませんが、私の中では、あくまでこの企画は趣味の世界の話であって、ビジネスで成功する話ではないのだという認識は変わりません。
書店のユーザーは多様でして、多様であるが故に、商売が成り立っている面が強いのです。逆に言うと、ある一部特定の客層のみで成り立つ書店は、利益率が低い現在の日本では作ることができない、とも言えるわけです。いや作ろうと思ったら作れるけど、大赤字ですぐ潰れるんです。ギリギリ成り立つのは、強いてあげればとらのあなみたいな都心のコミック専門店か、売上の70%が雑貨というヴィレッジヴァンガードぐらい。
一度仕入れたらその後の商品投資が少なくてすむ図書館だとかコミック喫茶だとか、書斎貸しますというような商売なら、まだ何とか成り立つのですが、そうなったらそれはもう書店ではないですし。
でもまあ、新横浜ラーメン博物館の書店版みたいな、付加価値をつけた書店テーマパークをつくれば、全国で一箇所くらいはひょっとしたらいけるかもしれませんね。あ、もちろんそれは観覧車をつくるとか、そういう方向性ではないことは確かだと思いますが。
個人的に、今の日本では間違いなく失敗するビジネスモデルだと思いますが、将来的に日本の書店の利益率が改善されたら、このような、お客様をセレクトする店舗も出来ていくと思います。そうなるといいなぁと本気で思いますし、いつの日かそれを実現するために、日々働きますよ私は。