雑誌の本特集読み比べ

CREA (クレア) 2009年 09月号 [雑誌]

CREA (クレア) 2009年 09月号 [雑誌]

CREAの本の特集は有名人27人が推薦する本、というのと東野圭吾はじめミステリを中心に売れてる作家のインタビューと主要作品BESTを紹介するというもの。有名人と言っても芸能人ばっかりで中谷美紀とか竹内結子とか優香とか。女性誌らしくかなり甘甘な内容。一般人向。
日経おとなの OFF (オフ) 2009年 09月号 [雑誌]

日経おとなの OFF (オフ) 2009年 09月号 [雑誌]

日経おとなのOFFの特集は「人生が変わる100冊」ということで、村上春樹と「1Q84」読んでなきゃ恥ずかしいよね、という切り口でアメリカ文学太宰治、そしてなぜか高村薫を紹介する。私の人生を変えた本というインタビューに登場するのが、玉村豊男辻内智貴竹内薫。その後に出てくる読書ガイドが「おとなが泣ける本」「読んですっきする本セラピー」「おとなの絵本」「カリスマ書店員のジャンル別お薦め」といった感じ。永江さんの紹介する「文学賞の傾向と対策」はやや面白かったが、全体的に読者層の底の浅さが推し量れてしまう内容。というか、第一特集であるおとなのマナー完璧講座のほうが断然面白かった。普段本を読まない中年親父向。
日経エンタテインメント ! 2009年 09月号 [雑誌]

日経エンタテインメント ! 2009年 09月号 [雑誌]

今回の日経エンタの本の特集の目玉は、売れてる作家ランキング。文庫のトータル売れ冊数をもとに、いま日本で一番売れてる作家は誰だ、とランキングにしているというもの。実は全く同じ切り口で全く同じ企画を考えていて、企画書作成して上司にプレゼンまでしていただけに、アイデアが流出したとしか思えないこの記事のシンクロ具合には驚き。もうこの企画できなくなっちゃったじゃないか、日経エンタのばかやろう。データ自体は、文庫を作家順に陳列している店舗には、結構使えると思う。書店員向。
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 8/19号 [雑誌]

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2009年 8/19号 [雑誌]

オールタイムベスト50冊を選ぶという内容なんだけど、選んでるのが日本人じゃないということで、想像もつかないランキングに。大体、邦訳で出版されてないのが半分ぐらいあるのだ。そのあとの内容も、アメリカを代表する気鋭の作家6人(もちろん知らない)の座談会、2000年代でもっとも優れた装丁BEST7作品(どこがだ)など、日本では馴染みが無いという意味においては、こんなダメ特集でもなんだか新鮮な感じはする。洋書の知識がほぼゼロの私でも面白く読めたのは「ミレニアム」についての記事ぐらいだ。上級者向。
COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2009年 09月号 [雑誌]

COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2009年 09月号 [雑誌]

表紙には書いてないけど、実は第二特集が「「本」は生き残れるか」という出版業界の特集。10ページしかないミニ特集なので、内容は薄いけど、アメリカの出版業界が対面する苦境をレポートしてくれていてそれなりに勉強になる。アメリカでは、印税の上限を設定する代わりに、本の売り上げから得た利益の半分を支払うというモデルが登場したり、実質的にOKになってしまっている返本を不可にしようとする動き(日本と同じだ)になっているとのこと。
また、アマゾンが自社オリジナルで出版をするという記事も目を引いた。今夏「レガシー」という小説を、自社の出版サービス「アマゾンアンコール」で売り出すとのこと。アマゾンは既存の出版社はもういらないと思っているのか?という質問にジェフ・ベゾスは「わが社が単体でコンテンツを生み出す力があるかといえば、自信がありません。そもそも、そんな力を身につける必要があるのでしょうか。きちんとした出版業界というものがあるというのに」と回答している。なお、キンドル電子書籍事業は赤字だとのこと。業界人向。