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2009-10-08 勝手に本屋ミシュラン#65

chakichaki2009-10-08

[]未来書店名取エアリ店 未来屋書店名取エアリ店 - 本屋のほんね を含むブックマーク 未来屋書店名取エアリ店 - 本屋のほんね のブックマークコメント

仙台空港の近くにあります巨大イオンモール内の未来屋書店です。久々に「この店はいい店だなぁ」と素直に感心いたしました。未来屋と言えば金太郎飴書店の代名詞としてよくも悪くも知られていますが、金太郎飴と言ってもこの名取エアリ店のレベルは相当なもので、ここまで到達できている店舗が逆にどれだけあることかと思える完成度の高さを誇っています。数ある未来屋書店の中でも、おそらくトップクラスの売上をはじきだしているのではないでしょうか。ということで、私がこの店で感心したポイントをいくつか紹介していこうと思います。

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その1。MDの提案レベル

今、売れている中村佑介画集を置くだけでなく、「夜は短し」など表紙で使用されているタイトルを集めてジャケ買い誘発を促すフェア。やれば面白い売場が出来るだろうと思っている全国の本屋さんはいっぱいいるでしょうが、実際にやっちゃうのが素晴らしい。こういうフェアは見ているだけで楽しくなってしまいますね。ビジュアルプレゼンテーションが上手です。

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その2。壁面の使い方

未来屋書店の多くは天井高の高いイオン内にあるため、これまでの店舗では壁面棚の上部のデザインが単なるのっぺりした壁だったり、無意味に高く棚を設置したりと非常に苦労されていたようなのですが、この店のデザイン処理はすばらしかった。文芸書の上棚に全集が並んでいるかと思えば、旅行書の上部には大きな古地図がデザインされ、児童書上部は「どうぞのいす」や「からすのパンやさん」などの巨大絵本を展示してそのジャンルごとの売場世界観をうまく演出しているだけでなく、売場全体的にもぐるりと統一したボーダーをまわすことで高級感を生み出すことに成功しています。ボーダー上にはデザイン的にも洗練された非常にわかりやすいジャンルサインが設置されていて機能的な目配りも忘れていません。さらには主動線の突き当たり部に、MIRAIYAのロゴ入りの飾り棚が設置し、壁面のデザインにメリハリをつけることで、空間的にも変化に富んだ楽しい店を作ることに成功しています。

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その3。すべての柱に販促モニター

主動線に面しているすべての柱に、モニターがついていました。モニター台数は10台以上あって、そのすべてで「さまよう刃」や「沈まぬ太陽」や「ペネロペ」などのPVが流れ、ポップと商品がしっかりと提案展開されていました。見事でした。

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その4。キーワード付仕切板

ビジネスやコンピュータ、理工、人文書など、専門知識が必要な棚の仕切板にキーワード表が載っていて、スタッフが分類を間違えないように工夫されていました。これ、ウチにも欲しいです…。

広いお店でしたが、何周まわっても疲れない楽しい店でした。こんなによく出来た店ばかりなのだったら、日本中の書店が金太郎飴でも私は全然平気かもしれません。

総合評価85点。

KS_1906KS_1906 2009/10/09 01:33 行ってみたいと思いました。ありがとうございます。

通りすがり通りすがり 2009/10/09 05:13 有川浩さんの「植物図鑑」の表紙イラストは、中村佑介さんではなくカスヤ ナガトさんなのですが、いいんでしょうか……

chakichakichakichaki 2009/10/09 09:58 >通りすがりさん
それはマズイですね…。だとすると店員さんが勘違いされているのかもしれません。

残念残念 2013/03/15 22:57 vbaQmn
小太りの髪が肩まである店員の対応がとても不愉快だった。買いたいと思った本も買う気にならず。
未来屋にガッカリした。もう二度と行かない

2009-07-26 勝手に本屋ミシュラン#64

chakichaki2009-07-26

[]新星堂書店ララスクエア宇都宮新星堂書店ララスクエア宇都宮店 - 本屋のほんね を含むブックマーク 新星堂書店ララスクエア宇都宮店 - 本屋のほんね のブックマークコメント

久々に書店巡りをしてきました。最近感じるのは、首都圏都心店舗よりも地方の店舗のほうがレベルの高い売場をつくっているということで、今回は宇都宮市内を5店舗ほどまわったのですが、やはりなかなか面白い店が多い。

ということで、本日はJR宇都宮駅前にあります新星堂書店ララスクエア宇都宮店です。新星堂といえば、タワレコと並ぶ日本CDショップ大手として有名ですが、実は書店もやっていたりします。中でも宇都宮店は、売場面積が500坪クラスの旗艦店ということでCDショップがやっている書店はどんな店になるのか前から見たいと思っていたのでした。

さて、仙台駅前を30%ぐらいに圧縮した感じのJR宇都宮駅西口をでますと、徒歩2分程度のところにヨドバシカメラのビルがででんと建っておりまして、そちらの5Fが新星堂となっております。

5Fまでエスカレーターで上りますと、左側が新星堂書店の店舗となります。かなり形のよい長方形の物件で、エスカレーター側壁面にレジがあり、主通路を「井」型にしているレイアウトです。「井」の真中下がレジ、中央に雑誌と実用書、右上がコミック児童書、左下に文芸書、左が文庫、左上と中上が専門書、とざっくり言えばそんな感じです。この「井」型は、在庫収容力・回遊性・提案力どれをとっても非常に使いやすいレイアウトで、恵比寿有隣堂など多くの書店で採用されているタイプ。周回通路を広くとって、そこに平台を集中させるのが特徴なんです。

では、まず右上の児童書から半時計まわりにまわってみましょう。

まず、児童書・コミック・ラノベについては、特に何もなし。普通の売場ではないかと思いますので、通過します。

次に専門書棚のゾーン。ここは微妙に変わっています。何が?って言うと、タイトル数があきらかに少ない気がするんですよ。ジュンク堂と同じような前平台無しのスラント什器を使っているのですが、中の陳列は正反対。ジュンク堂は棚の中までぎっしり在庫を1冊ずる詰めていますが、棚段数が5段しかなかったりする上に面陳を多用していて、下手するとスカスカに見えるか見えないかのギリギリを狙ってる感じの本棚になっておりまして、かなり在庫をしぼっていることが見て取れます。

これが、店舗の陳列方針によってわざとタイトル数を減らしているのか、在庫金額圧縮のためやむを得ずそうなってしまってるのか、ちょっと判断しづらいところですが、いずれにせよこの規模の書店でここまでやっているのは純粋に珍しい気が。

文庫棚までくるとさらにその傾向が顕著になります。

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王様文庫はじめ教養文庫は上1段残して全部面陳になってしまってました!私も一度こんな風につくってみたいとは思っていましたが、実際にやるとこうなるんですね。なるほど。

文庫については、いろいろとこだわりがあるようで、陳列も完全著者別陳列になっていました。これもこの規模の店舗では珍しいですね。

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文芸書の棚も同様に面陳ばかりになっていましたが、面陳しているタイトルとは別に、背表紙を上に向けて置いてある本が点在しており、ちょっと意味がわからなかったです。抜き取りピックアップ作業か何かの途中だったのでしょうか?

売場を一周してみてわかりましたが、文芸書・文庫の位置がエスカレーターの降り口側にあるのは、集客的に微妙ですねぇ。エスカレーターの降り口が逆になっていればよかったのですが。

それにしても面陳だらけ。この店はオリジナルで作成しているフェアの量がかなり多いですね。そして多いがゆえに、展開のレベルが非常にすばらしいものから、ただ単に面陳してるだけの手抜きのものまで結構バラバラなのはちょっと気になります。たとえば入口近くの鈴木光司トイレットペーパー小説の展開なんかは、異様なまでに力が入っているし、穂村弘の「現実入門」を仕掛け販売している手書きポップのクオリティも素晴らしくて、つい買ってしまったぐらいのいい出来映え。反面レジ前のテーブル什器に積んである雑誌とかは、積んであるだけのものあってちょっと貧弱でしたね。

あと、「最後のパレード」がまだ売っていたのには驚き。「これが最後のチャンスです」ってポップ付で売られていました。さすがにどうかと思いましたが、これも思わず買ってしまった(笑)完全に思う壺。

全体としては、まあまあいい感じ、だけどやはりボリューム感が物足りない。総合評価70点。

2008-11-09 勝手に本屋ミシュラン#63

chakichaki2008-11-09

[]ブックファースト新宿店 ブックファースト新宿店 - 本屋のほんね を含むブックマーク ブックファースト新宿店 - 本屋のほんね のブックマークコメント

ブックファーストが総力を結集したといわれるブックファースト新宿店がオープンしたので行ってみました。業界的には立地が変なところにあるからどうなのかな、という声が多かったのですが、行ってみたら新宿駅の西口から歩いてたった3分じゃないですか。渋谷にあったときよりも遥かに便利になった気がします。というか、紀伊国屋・ジュンク堂よりも全然駅に近いよ。信号待ちもしないでいいし雨に濡れないし。むしろいい立地なんじゃないんですか?

というわけで、都庁までの殺風景な地下通路を通って、コクーンタワーにやってまいりました。この店はB1とB2の2フロアに分かれているのですが、地下通路がB1.5ぐらいの位置にあってどちらのフロアもガラス張りで中が見えるように設計されています。これ大事。

ビルの構造上、売場が変な形の7つのフロアに分断されているのですが、それを逆手にとって、この店は店舗をAからGまでの7つのゾーンにわけ、それぞれのフロアに個性を持たせることで世界観を演出しているんだそうです、というところまでは、予習して知っています。ではまずAゾーンに入ってみましょう。

Aゾーンは、雑誌+新刊+地図旅行という構成。雑誌については「東京マガジンセンター」を復活させたと宣言するだけあって、かなりの品揃え。主な雑誌のバックナンバーはもちろんのこと、リトルマガジンという棚もあって、同人雑誌も取り扱っているようです。旅行ガイド棚も、しっかりと各国の都市地図を揃え、地形図もちゃんと在庫、トラベルグッズも置いてあって及第点でした。しかしAゾーンとBゾーンが特筆すべきなのは、品揃えよりも、カオスな什器配列でしょう。棚を見ながらプラプラしていると、自分がフロアのどこにいるのか、一瞬にして迷子になってしまう恐るべき売場なのです。これはかなり慣れが必要ですね。思いもよらない通路だとか売場に出くわす構造になっていますので、何か発見できるかもしれないというワクワク感がでていて、私はこういう売場は好きです。Aゾーンの評価は90点。

次のBゾーンは、文芸とアートです。ここの棚の品揃えはすごいな。そして棚の編集精度もすばらしい。この新宿店は、各店の店長クラスの方が各ゾーンのチーフをつとめておられると聞きましたが、この棚は私には作れないハイレベルな精度。素直に感心。これはシステムでは実現できない棚だなぁ。Bゾーンは95点。

次に反対側のDゾーンに行ってみましょう。ここは文庫・新書・コミック・実用書のゾーンです。棚のレイアウトは普通。売場も普通です。文庫やコミックの棚は前平台2面で平積展開。わざとなのか偶然なのかわかりませんが、奥のサブ動線のエンド平台が主動線から見えるように途中からレイアウトがずれています。実用書のほうは、前平台なしの高いスラント什器で通路幅がほとんどの箇所で1100だったので、密度の高い売場になっています。什器の色が白で全什器に間接照明がついていて明るいので圧迫感はあまり感じませんでしたが、そうでなかったらちょっとつらい売場になっていたかもしれません。これは店舗デザイナーの勝利です。実用書は3段分が面陳列になっていて、タイトル数はジュンク堂に比べると明らかに持っていないように見えますが、面陳商品のセレクトで勝負しているといったところでしょうか。でもここは75点ぐらい。レジまわりのフェアには力がはいってるんですが、レジ周りの売場自体が、什器配列の構造上死角になってしまっているので、せっかくの作りこみが全然目立ってないという欠陥があります。

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次に行くCゾーンは、ABDとつながっていないので、いったん外に出ます。Cゾーンは児童書・語学・学参・洋書のフロアです。このCゾーン、児童書エリアがなかなか面白い。最近のブックファーストの特徴とも言える柱周りの八角形提案棚を中心に隙のない売場を作っています。特に驚くような売場ではないのですが、スタッフの愛情がとても感じられる売場でした。なにせ児童書の棚に、全スパン、什器棚の背面にその棚の雰囲気に合わせたファンシーな壁紙(包装紙?)がはられているんです。これだけで売場の雰囲気が全然違います。「スタッフによるはじめての一冊」フェアとかも本に対する愛情が感じられてとてもよかったですね。85点。

では階段をおりてB2へ。B2は主に専門書フロアです。まず理工書、コンピューター、医学看護のGゾーンですが、ここはスルーします。いや、単純に私がこのジャンルの専門知識が無くて売場のよしあしがわからないだけなのでご容赦を。お客さんも多くいらっしゃったので多分いけてる売場なんだと思います。

次にFゾーンは人文書ですが、心理学と哲学思想と歴史書のフロアでした。ここが一番人がまばらでしたね。売場も普通っぽかったかなぁ。売場の奥に事務所なのかバックヤードなのかがあるらしく、壁で仕切られておらず、棚の上ごしにスタッフさんの会話が丸聞こえだったので、ちょと注意されたほうがよろしいかもです。

最後にEゾーンはビジネス書ですが、ここは品揃え的にもレイアウト的にもちょっと微妙でした。EゾーンはちょうどAゾーンの真下にあたる場所なのですが、このゾーンは建物の柱の構造上、どうしても売場レイアウトがカオスになってしまうのが避けられないようなのです。Aゾーンは新刊と雑誌ということで、その迷宮のような売場配置もプラスに働いていたのですが、ビジネス書のように目的買い中心のジャンルになると、迷宮のような売場は明らかにマイナス。平面図で見るとそう複雑に見えない売場も、実際に本を探そうと思ったら、検索機なしではほぼ不可能と思えるほど探しにくい売場でございました。Eゾーンはギリギリ70点ぐらいかなぁ。私はここでは欲しいビジネス書は探せませんでした。

全体的に見て、目的ナシにぷらぷら見に行く分には楽しい店だと思いますが、目的買いにはちょっと向いていないように思いました。一番のライバルは、紀伊国屋の新宿南店だと思いますがどのような戦いが繰り広げられるのか、そしてかつての渋谷店がそうであったように、改装してどんどんいい店っぷりに磨きをかけていって欲しいですね。わたしの見るところ、この店は都心型大型店の中で、現時点で最高レベルのクオリティであるように思います。総合評価85点。