天知茂の時代劇

　うーむ。いかん。
　連続ドラマの初回を録り逃すというのは、実にモチベーションが下がるものである。途中の回を逃すのもさることながら、しょっぱなからつまづくのは最悪だ。
　と言うのは、時代劇専門チャンネルにて放送の天知茂・主演『闇を斬れ』の話。
　観たかった作品なので期待していたのだが、外出続きでついハードディスク整理を怠って、容量不足で録画できなかったのだ！　残念無念、切腹モノ。
　リピート放送があるので再度チャレンジの機会はあるのだが、それにしても悔しい。

　おまけに前回のブログでとんでもない勘違いをした記述をしてしまっているではないか。田沼親子が三国連太郎＆沖雅也だなんてとんでもない。沖雅也は松平定信のほうじゃないか！　田沼意次ジュニア・田沼意知は原田大二郎だった。ここに訂正します。

　ところで。
　改めて大きく評価したいのは、時代劇役者としての天知茂。
『闇を斬れ』放送に合わせてか、時専では天知茂主演の単発時代劇（フジテレビ「時代劇スペシャル」枠より）が何本も放送されているが、どれを取っても粒揃いである。
　新東宝の“色悪”俳優だった天知茂は、どちらかと言えば『非情のライセンス』や土ワイの美女シリーズといった現代劇の印象が強いが、時代劇でも相当イイ仕事をしている人だ。
　思えば新東宝時代にも『東海道四谷怪談』という代表作があり、大映でも『座頭市物語』『新選組始末記』『眠狂四郎無頼剣』など強烈な存在感を放った名作がある。時代劇畑と言ってしまうと語弊がありそうなのだが、相当こちらのジャンルも強い人だったのだ。
　そしてテレビにおいては『無宿侍』『江戸の牙』『雲霧仁左衛門』などで主役を張っている。必殺シリーズ第一作となる『必殺仕掛人』も当初は東映制作・天知茂主演という話が出ていたようだ。
　堂々たる時代劇役者の天知センセイである。

　これら作品群を観て気づくのは、どっぷり時代劇畑から出てきた人ではないにも関わらぬ殺陣の上手さだ。
　キレがあって迫力充分（顔面……もといご尊顔の迫力も手伝っている）。しかも、『無宿侍』逆手斬りや『江戸の牙』二刀流など変化球の殺陣を巧みにこなしている点も凄い。どうやって身につけたのだろうとつくづく感心させられてしまう。
　変り種でない正当の殺陣を存分に堪能したいのであれば、アチシは時代劇スペシャルの『地獄の左門十手無頼帖』（全４作）を推す。
　東映京都の達者な絡み役さんたちを相手に、天知センセイの太刀捌きが冴える冴える！
　しかも時代劇では珍しい「俺」視点のモノローグが挿入されるハードボイルドそのもの。これってほとんど時代劇版『非情のライセンス』なんじゃないか。

　さてさて『闇を斬れ』リピートで初回を録画できるのは来５月23日のことになる。それにしても天知茂・三国連太郎・沖雅也・尾上松緑・山城新伍といった超豪華キャストのこれ、全部観るってのは相当に濃密な時間を過ごすことになりそうだ。
『無宿侍』13話ですでにお腹いっぱいな身としては、少し小休止を挟みたい気も……？