はてな村民必読書『13歳からの論理ノート』
昨日立ち読みしてそのままご購入。
- 作者: 小野田博一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/09/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 12人 クリック: 88回
- この商品を含むブログ (37件) を見る
”30分で読めて、一生あなたの役に立つ本”
だそうです。絵がかわいい。けどこれ絶対大人用に作っただろとか思う。
はじめに
本書は「『論理的』の意味を完全に理解しよう」という目的の本です。
「この発言は論理的?」「この記述は論理的?」(そしてそれ以前の問題として、発言や記述の基になっている思考について)「この考え方は論理的?」などのような具合に、日常的に、とくに私たち自身の思考の中でよく使われるこの「論理的」という概念は、実はほとんどの大人には正しく理解されていません。「漠然とわかっているつもりであるものの、全然わかっていない人」がほとんどです(さもなければ「論理的にムチャクチャ」な発言・記述がこれほど多く世にあふれているはずがありませんから)。(強調と着色は原文に近づけました)
あいたたた・・。
ブロゴスフィアってたまにばお互い議論のルールさえ知ってれば速攻終わるはずの議論とかがお互いの議論スキルが違うためにすごいすれ違いまくったりぐだぐだになったり時間の無駄だったりしますもんね。こういうの一度みんなで確認するのも有益かと思った。
ていうか少なくとも私。
目次をがんばって打つよ。
論理?
- 1)論理
- 2)論理的
- 3)論理的か否かを判定する絶対的な基準はない
- 4)論理的か否かを判定する際の「怖い落とし穴」
- 5)前提
- 6)推論
- 7)演繹と機能
- 8)論理思考
- 9)argument(議論)
- 10)「論理」があることを示すためには、「論理の標識」が必要
- 11)「論理」があっても、論理を示す必要のない場合もある
- 12)演繹の練習
- 13)知識の点から考えずに、論理のみを考える練習
- 14)難問3題と類題2つ
- 15)欠けているものは何?
Chapter1
ふむふむ。
論理的であるために
- 16)当然のこと
- 17)省略されているものに注意
- 18)実生活での論理の欠陥
- 19)argument(議論)の間違い
- 20)ギャップがないと思えるくらいのギャップ
- 21)論理のキズ・欠陥(logical flaws)
- 22)もっともらしさ
- 23)一般化のもっともらしさ
- 24)類推のもっともらしさ
- 35)一般的傾向の、特定の例への当てはめ
- 26)エキスパートの意見による推論
- 27)argument(議論)には「理由」の部分が必要
- 28)「明らかだ」ではダメ
- 29)疑問をもつ心を大切に
- 30)理由を落とす習慣に注意
- 31)意見
- 32)反論
- 33)レトリックを使わないこと
- 34)反論では、相手を黙らせようとしてはならない
- 35)「へ理屈だ」
- 36)一旦認めたうえで「しかし」−−−これはダメ
- 37)「常識」で考えようとしてはいけない
- 38)反論の練習
Chapter2
あうう。
論理的な文章を書こう
- 39)「論文」(何かを論じている文章)
- 40)作文・小論文の「見かけの構成」(文章形式)
- 41)「論理構造がしっかりしている文章」についての説明
- 42)自分の感情に言及しないこと
- 43)「私」を使わないこと
- 44)具体的なものを加工
- 45)読みやすく、わかりやすく
- 46)正確な表現を使おう
- 47)論理構造と関係のないことを書いてはいけない
- 48)逆の側に任せるべきことは、そちらに任せよ
- 49)言外の意で表現しようとしてはいけない
- 50)概要案内や概論を先に
- 51)結論のありかた
- 52)ギャップをより少なく
- 53)文学性に関した注意点
- 54)論ずる際は、レトリックを使わないこと
- 55)「感情に作用するのを意図した語」を使ってはいけない
Chapter3
・・やっぱこれ(本の題名)確実に大人への当て付けだろ(笑)。
本文は、このトピック全てに”あるある”な痛い例が挙げられ、
それらがいかに痛いかが解説されております(笑)。
どれを取っても面白い。
もちろんこんなの全部守ったらブログなんて書けないんだけどさ(笑)、
論理的に見せかけてる(確信犯)だけならまだしも本人まで論理的だと信じてるエントリも多発してる昨今、
みんなでこういうことを一度確認しておくことは、
不要な炎上を防止するために素晴らしい効果があるかと。
ほら、自分ではやらかさないにしても(と私も含めみんな思ってるはず)、
逆に引っかからないようにするためにもさ、一度目を通す価値あり。
どうしようかな引用。どれもすごく面白いんだけど、一つだけ、、。
33)レトリックを使わないこと
レトリック(rhetoric=修辞法)とは、真意がAでありながらBと述べてAの意を伝えるさまざまな方法のことを指します。レトリックを使うと、とくに文章の場合、論理性がいちじるしく損なわれますから、レトリックを使わないようにしましょう。論理的な表現の鉄則は「Aが真意のときは、Aと述べること」です。
例を挙げましょう。
【例】
R氏「そのような馬鹿げた意見は聞いたこともない」
この発言の真意は「それは馬鹿げた意見だ」です。聞いたことがあるかないかは重要な点ではなく、たとえば誰かがR氏に対して「わたしは聞いたことがありますよ」と言ったなら、R氏は「私が言っているのは、そんなことではない」と言うでしょう。つまり、R氏の発言は聞いたことがあるか否かは重要な点でないにもかかわらず、聞いたことがあるか否かを述べている大ボケ発言なのです。
また、R氏の発言に暗示されている論理は「そのような意見は聞いたことがない。だから間違っている」で、この論理は正しくありません。「その意見は間違っている。なぜなら※※」と述べるのが、正しい論じ方(意見の述べ方)です。
【例】
それを作るのにどれほどお金がかかるかにはふれません。
「ふれません」と言っているが、ふれている。これは矛盾。
【例】
私達は※※をすべきではないだろうか。
これは質問しているのではなく「※※すべき」の意。「※※すべき」と主張する意図でありながら、形のうえでは主張の形を避けるのは、反論を避けるため(反論を受けたら、そのときに「私は問いかけたのであって主張はしていません」といえる逃げ道を用意している)。フェアではない述べ方です。ちなみに、英語圏の小論文で、この形で結論を書くと、減点対象となります(結論がないがゆえに)。
p.82-83
すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません。
(Amazonのなか見!検索を許可されてる本なので、調子にのってちょっと引用長目にさせていただきました。。)
そういえば私は高校の時男友達の弁が立つようなのによく言いくるめられていて、それが悔しくて詭弁論理学とかいうの読んでみたり大学で哲学科みたいなところに行ってみたりしたんだけど、でも正にこの本みたいなのを期待して「論理学」という名前の授業に出たらば、もっと簡素化されててっていうか記号ばっかり&なぜかゲーデルの不完全性定理の証明延々で私超涙目という暗い過去があるのでした。今度こそこの本で言いくるめられないような人になるんだい。
ただ、論理学の先生(教授)のしゃべり方はほんとに簡潔で、この本にあるような地雷は一つも踏んでなかったな。きれいで分かりやすかった。未だにその人のしゃべり方を基本に偉い人の頭の良し悪しを判断してる気がする(ちなみにその人が未だ頂点)。ああなれるかって言ったら・・・orz..
と、とにかく。お薦めです。