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2014-08-24

ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行上映 舞台挨拶他メモ 18:45 ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行上映 舞台挨拶他メモを含むブックマーク ガンダム Gのレコンギスタ 特別先行上映 舞台挨拶他メモのブックマークコメント

行ってきたのでメモ。

8/24 新宿ピカデリー第1回舞台挨拶(上映後)

富野 活字媒体では告知した通りです。結果的に、僕の様な年代が作るとこういう様になります。アナクロな感じの画像作りになります。という事で、いかがでしたでしょうか。

石井 皆さんおはようございます。ベルリ・ゼナムをやらせて頂いております、石井マークです。本日はご来場頂き、ありがとうございました。

嶋村 アイーダ役をやらせて頂いてます、嶋村侑です。皆さん今日はありがとうございます。宜しくお願いします。

佐藤 ルイン・リー役の佐藤拓也です。ご来場ありがとうございます。宜しくお願いします。

松澤(千晶) 監督、あらためて15年ぶりで新作を皆様にお届け出来た今の気持ち、率直な感想等を聞かせて頂いても宜しいですか?

富野 外交辞令的に言えば、ありがたい事だと思ってます。現実問題としては、てめーらぶっ殺すぞ! っていうくらい、今のアニメ制作状況というのが悪くなってるという事を知りまして、愕然としています。10年現場にいなかったんですが、もう少し良い形で進化していると思ったら、そうではなかった。そういう不慣れな部分が画面的に出ている、っていうので本当に申し訳なく思っています。

松澤 申し訳なく、とおっしゃいましたが、テーマ局だったり、お手洗いのシーンだったり、かなり拘りが今回ありましたよね?

富野 年をとると色々拘ることがあるんですよ。そういうサンプルです。

松澤 年を重ねるごとに、ですね。特にお気に入りというか拘った点はお手洗いとか、色々ありますか?

富野 一番あるのはお手洗いの問題です。ただこれ本当には30年来課題としてはずーっと頭にあったんだけども、画にする事、つまり画像にする事、劇に摺り込む事が本当に出来なかったんですが、本当に60過ぎてから病院に通う様な事が多くなって、若い時におっくうがって手をつけなかったもの、手を付けてみようという風に思うようになりました。なぜモビルスーツっていう宇宙で乗る乗り物というものに、迂闊に乗ってしまうと、地上だったら簡単に外に出られるんだけども、外に出られないだろ、という事になると、トイレの問題というのは最重要問題だっていう風にして、本当に浮上する事が出来たんで、真面目に取り上げてみたら、3本観て分かる通りの様な扱い方になります。ああいうものがなければ、あんなもの乗ってられないよね、っていう事で、実を言うと戦闘兵器としての性能は関係ないんです。人間が乗り物に乗った時にああいう施設がなかったら、とてもじゃないけども半日も乗ってられないっていう。つまりこれ以後、ああいう施設のないSF的なメカっていうのは全部ウソだってこと(会場笑)。

松澤 妙にリアリティのあるお話でしたけど、ガンダムという作品に出演されて、キャストの皆さんはどうでしたか?

石井 第一次オーディションの時に、監督に宛ててビデオレターで言ったんですけども、一番最初に思ったのが、オーディションを受けられただけでも、物凄くうれしかったので、その作品に関わるセリフをオーディションの中で言えるから、それは最初は物凄くうれしかった。だけども、そうしたら自分がまさかベルリをやらせて頂けることになるとは思わなくて、本当にとてもうれしい気持ちと不安とかもあったんですけど、精一杯、やらせていただいています。

嶋村 私はガンダムっていう事に関しては、あまり意識が実はなくて。こういう場を頂く事で、「ああガンダムなんだな」と思うんですけども、やっぱり富野監督と一緒にお仕事をさせてもらうっていう事の緊張感とワクワク感と、そういうものを感じています。

佐藤 30数年、たくさんの方に支持して頂いているガンダムという作品に携わさせて頂くという機会をこういった形で得られた事は、非常に光栄ですし、またアニメーションの中でお芝居をするという仕事に就いたからには、是が非でもやりたかったという一念で、今こうしてこの場に立たせて頂いている事が非常にただただ嬉しく光栄に感じています。

松澤 こうして役を演じられている皆さんなnですけども、AR時にエピソードだったり、富野さんのアドバイスがあったりしましたか?

富野 僕に方からは、お三方に関しては全く注文はありません。

松澤 そうなんですか?

富野 注文付ける様な人はめんどくさいから選ばない事にしてます(会場笑)。

松澤 オーディションでも、決まる前から佐藤さんに決めていたっていうエピソードが昨日ありましたね。

富野 特に現場の仕事っていうのは、所謂教育機関ではない訳で。もう教育する時間がないから、結局ある意味嫌な言い方なんですけども、便利な人を選ばせて頂くとか。あとスケジュールが、全然入っている人を選ばないとか……。

松澤 もっと良い話して下さいよ(笑)。

石井 もしかして僕ですかね。スケジュールに関しては。

富野 いやー、他の人もいっぱい、いっぱい。ありますので、そういうのを寄せ集めてくると20人くらいあっという間になくなってしまう。

松澤 監督からこんなアドバイスがあったっていう話を昨日お伺いしたんですけども。

富野 した覚えない。

松澤 キャストの皆さんどうでしょう。

富野 勝手にどうぞ。要するにね、僕覚えてないの(笑)。

石井 そうだったんですか。僕一番最初に、緊張とかあって、もちろん僕の実力不足もあるんですけども、「腹から声出せ!」って言われて。

松澤 どうです監督?

富野 覚えてません。おわかりでしょう?だってもうアルツハイマー病に……。

石井 いやいやいや(笑)。

松澤 この作品作られてから逆に元気になったイメージがあるんですけども。富野監督って。そういうのないでしょうか。こうやって舞台挨拶で皆さんの前に出てこられて。

富野 だから、それに関してはこんな年でも元気にさせてもらえる、この場を頂けたっていう意味ではそうなんですけども、この三人から元気を貰ったっていう覚えはほとんどありません(会場笑)。

嶋村 私たちが貰ってます。

佐藤 逆に僕は監督に負けてらんねぇなというのが正直なところで。

石井 そうですね、はい。

松澤 ここまで3話までご覧いただいたんですけども、今後の展開についてお伺いしたくって。そのあたりは、どういうものを描いていくんでしょう、富野監督。

富野 最近になって気がついた事で、シナリオを全部書いておきながら、本人が全く気がついていなかったっていう話がありまして。なんだこれはロードピクチャーなんだっていう事です。この意味がわかんない人は調べて下さい。こんなにまで行って帰ってくる話なのかっていう事で、自分でもびっくりしています。何故それに気が付かなかったのかというと、基本的なテーマがあって、地球から行って帰ってくる話をやってみたら、行く先が物凄く遠かったんで、それだけで26本全部かかってしまった、っていう事で驚いています。今、ルイン役で佐藤君を紹介しましたけども、実を言うとルイン役ではありません。

佐藤 え、そうなんですか(すっとぼけ)。

富野 ガンダムのワンパターンをパクりまして。マスクをしてます(会場爆笑)。

松澤 一生懸命言わないように展開していたんですけども。

佐藤 なんの事だか僕にはさっぱり……初耳ですね(すっとぼけ)。

富野 こういう話はしちゃいけないだろうと関係者から言われてるんですけども、言っちゃいます(会場笑)。

石井 小形さん今顔ああーって。昨日マスクの話をしてて。ずーっと打ち合わせの段階から「佐藤さん反応しないでくださいね。マスクって言うんで」。

佐藤 あさっての方向見てましたからね。

富野 劇中の人物も、まさに今言った様な環境なんです。知っているんだけども、私は騙されていようね、っていう様なキャラクターが出てきたりしてって文脈が決まってますんで。今までのこの手の作品とキャラクターの匂いが違います、という事は、ベルリみたいなのとかアイーダみたいなの……アイーダって初めから泣いているんですよ? バカでしょ、っていう。そういうキャラクターの作り方をしてみたのは、アニメ界への年寄りからの嫌がらせ。

松澤 1話から3話についてお伺いしたいんですけども、キャストの皆さん演じられていかがでしたか。

石井 昨日の舞台挨拶から言っているんですけども、2話の初めてベルリが人を殺してしまうというか、そういうシーンがあるんですけども、ああいう機械に乗っていく上で、戦っていく。どうしても誰かを守るためにとか、何かをするために人を殺してしまう。特にベルリなんて高校生なのにいきなり戦争に出て、人を殺してしまう。どういう気持ちなんだろうなっていうのは収録してから物凄く考えて、例えば殺したってことに自分は気付いているのか気付いていないのかとかその上で責められるシーンとかどういう気持ちなのかとか。物凄く拘ったと思います。

松澤 監督ずっと目を瞑ってますけど……。今マスクって単語も出てきちゃいましたけど、佐藤さんの方はいかがでしょう?

佐藤 ロボットものというか、戦闘シーンのある作品なんですけど、僕個人としては日常の風景だと思うんですね。何度も引き合いに出されてしまってアレなんですけども、トイレの話ですとか、学生が学生として生活しているというか、その世界・町に生きている人たちの風景、戦闘という非日常ではなくて、普通に息をしてものを食べ寝ているという、その風景を、しっかり僕らが息をしてちゃんと生きられているかどうか、っていうのが僕自身はこの作品においてはすごく気にしているところではあります。

松澤 そういった意味ではすごくリアリティある作品ですよね。

佐藤 生活感がこの作品はよく表現というか感じられるのだなと思ったりもするんですけども。

松澤 一方嶋村さんはどうでしょう? アイーダは異質な存在だと思うんですけども。

嶋村 ああー、海賊でしたよね。「姫様」と呼ばれてしまうので……そういえば海賊だったなと今ちょっと思いました。すいません。

松澤 演じていくと意識が変わっていきますよね。

嶋村 はい。アイーダは私の中でどんどんイメージが変わっていってる段階なので、たぶんこれからもしばらくはそういう感じだと思います。

松澤 監督にお伺いしたいんですけども、そういった感じで、監督イメージで作られた感じでキャラクターって作られたんですか?

富野 ひとつの形にはめるという事はしている様でしていませんね。今ここで皆さん方が話をしている要素を生みだしていってキャラクターがどういう風に動いていくかなんて事に関して言うと、予定はありませんでした。実際にシナリオはあるんだけれども、コンテから演出する段階でも、キャラクターは結局変わっていきます。そういう意味では、皆さん方が言った通り、日常的な反応みたいなものを作り込む様にしていって、この種のアニメなんだけども、その部分は見落としてもらっては困るな、こういうところが面白いんだよ、という事が分かる様にしたいと思ってるし、そういう作り方がしたいと思ってるんですが、いかんせん今の子供たちの持っている目線が、そういう目線があるんだろうか。もうこういうタイトルを見た瞬間に避けてる部分が多いんじゃないんだろうか、っていう懸念があります。ですから、そういう部分は「いや、ちょっとそうじゃないんだよ」ってとこで、日常感をとても大事にしたいと思っていますので、そういう事を皆様方もお子たちに伝えて頂けるとありがたいなという風に思います。

松澤 子供に向けて、っていうイメージ強いですよね。これから先といいいますか、意気込みなどを最後に一言ずつキャストの皆様頂いても宜しいでしょうか。

石井 こうして3話上映されたんですけど、まだまだ収録も続くので、きっとベルリも話が進むごとに成長していくと思うので、ベルリの成長と共に僕も皆様に付いていける様に成長したいなと思っています。これから「Gのレコンギスタ」10月から始まりますので、是非応援を宜しくお願い致します。

嶋村 やはりこの作品をこうやって皆さんにお届け出来る、こんな機会が自分にやってくるとは思わなかったので、すごく光栄に思っております。この恩を全部アイーダに返して、皆さんにお伝え出来れば良いなと思っております。宜しくお願いします。

佐藤 26話という中のお話なのですが、最後のその時までベルリ石井君を中心として精一杯、一生懸命生きていきたいと思いますので、皆さんのですね、ご声援宜しくお願い致します。ありがとうございました。

松澤 最後に監督、宜しくお願いします。

富野 この場を借りてお話した通りです。基本的にアニメというのは子供の手から離れてしまった。我々にその責任があると思っていますので、もう一度子供戻りをしたい、子供たちに返していきたい。一部の作品以外は子供に戻ってないという悔しさがありますので、こういう様なところを突破口にして、まだまだこれからアニメでやる事があるんじゃないのかと思ってますので、そういうのを「Gのレコンギスタ」をベースにして考えさせて頂きたいと思います。何よりも後続部隊を育てたいと思っていますので、ご支援今後とも宜しくどうぞお願い致します。

8/24 新宿ピカデリー第2回舞台挨拶(上映後・プレス向け)

富野 今日はご来場頂きまして、ありがとうございます。既に一部のところで告知されている通りです。ガンダムを使って脱ガンダムをしながら、なおかつ、大人ものになってしまったアニメを、なんとか子供戻りをさせたい、という様な事で考えたのがこの企画です。今言ったような趣旨に出来上がっているかどうかっての本当に本当に分かりませんが、ご覧頂いた上で皆さん方のご理解を頂きたいと同時に、次の世代の子達に、こういう作品があるんだよ、という事をご紹介頂けたらありがたいと思います。本当に今日はご来場頂きましてありがとうございます。

石井 皆さんおはようございます。本日はご来場頂き、まことにありがとうございます。ベルリ・ゼナムをやらせて頂いております石井マークです。宜しくお願いします。

嶋村 皆さんようこそお越し下さいました。ありがとうございます。アイーダ役をやらせて頂いております、嶋村侑です。宜しくお願い致します。

佐藤 皆さん本日はご来場ありがとうございます。ルイン・リー役です、佐藤拓也です。宜しくお願いします。

松澤 昨日無事初日を終えまして、いろんな方にもう観て頂いたと思うんですけど、あらためて、今の気持ちをまずキャストの皆様からうかがっても宜しいでしょうか。

石井 本当に昨日から思っている事なんですけども、他の劇場もたくさんあると思うんですけども、たくさんの方がこうして観に来て頂けるのが、すごい事だなぁって。そういう事を感じながら、これから今後どうやってベルリを頑張んなきゃいけないのかなと、すごく考えさせられました(笑)。

嶋村 私も石井さんと同じ様な気持ちでいます(笑)。昨日今日と、この作品に対する期待を感じる、この二日間なので……頑張ろうと思います(笑)。

佐藤 やはり富野監督の十数年ぶりのTVシリーズという事で、今日ご来場頂いた皆さんだけではなく、たくさんの皆さんの期待というものを、昨日今日と感じていますし、ご期待に応えられる様に、頑張らなくっちゃいけないなとあらためて感じている今日です。

松澤 十数年ぶりの作品と仰られていましたが、監督はどうでしょう? あらためて新作を皆様にお届け出来た気持ち、そして今回の舞台が新しい世代になりましたよね、その辺りお伺いしても宜しいですか?

富野 基本的に、こういう風に制作が出来たという事に関して言えば、今までファンの方がいらしたから出来た、そういう意味では本当にありがたいと思います。と同時に、35年間のガンダムの歴史の中で、アニメというものが段々、大人のものになってきてしまったということは、逆に自分が孫を持つようになった時に、こういう状態が本当に良いのだろうか、という事をやっぱり考える様になりました。それは60という年齢を迎えた時です。で、それ以後、こういう様な作り方もあるのではないか、という、こういう様なものを本当に考えてまして。ようやくこういう形にする事が出来ました。ただ、そういう時に自分一人の考えでは絶対に新しいものは作れない、っていう事も実感しておりましたので。例えば宇宙エレベーターというものは、僕にとっては本当に許すことが出来ない存在なのですが、そういうものを触る事によって、教えてもらえるものがあるのではないか、という風に思いました。そして事実、そういう宇宙エレベーターを開発している様な方々とお話する様にさせて頂いて、やっぱりそういうものもヒントになりましたので、今回「Gのレコンギスタ」の冒頭の舞台が宇宙エレベーターを使う事が出来ましたし、そこから生まれる世界観というもので、尚且つガンダムワールド的な進化をさせるのではない、という作り方もあるのではないかという事が、もう一つ宿題として設定しました。そういうものを僕の場合にはこういう形でまとめますよ、そして新しい世代に向けてこういう様なアニメもあるんだよ、という事をやはり知らしめたいと思いましたので、こういう作り方にしました。問題なのは、これが正しいかどうかというのは、本当に、なまじキャリアがあるために間違いを犯しているだろうとも思っています。それで、その部分を是正させもらうためには、皆さん方の意見を今後聞かせて頂きたいし、そして何よりもです。今一番ターゲットにしている10歳〜17、8歳までの子供たちの世代が、どういう風に観てくれるのか。逆にこういうものもあるんだよ、と知らしめる事によって、次の突破口を開いていきたい。つまり10年後にはまた次の新しいものを作っていきたい、というぐらいの気持ちを持っていないと、ものを作る人間としての資格がないんじゃないのかという自覚もありまして、「Gのレコンギスタ」を作らせて頂いておりますし、現に、今日までかなりドタバタしたスタジオワークですが、ともかくこういう形でする事が出来たという意味では、まだまだ東京のアニメーション制作事情は決してまだどん底までは陥っていないという事まで確認しましたので、次の10年20年に向かって作って来てる気概でいます。問題なのは、その時に僕がいないっていう事です。が、その為の後続部隊を……。

松澤 まだいないとは決まってはいないかもしれない……。

富野 90過ぎまで仕事をさせるな(会場笑)! ……という事です(笑)。

松澤 監督、特に今回はテーマ曲の作詞もされてましたよね?

富野 職権乱用でやらせて頂いておりまして、ただそれだけの事です。そういう意味では、やっぱりキャリアはありがたいな、という風に思ってまして、今言った年齢までの年金がほしいので、是非その辺についてはご協力頂きたい(会場苦笑)。

松澤 ちょっと照れ屋なんですね、監督。上映前になりますが、作品に関して、キャストの方に伺いたいんですけど、これから観る方へ注目してほしいところですとか、頑張ったなというところがあればお願いします。

石井 僕はですね、本当に今回レギュラーでアニメをやる事が初めてなので、それだけの気持ちと気合を入れて1話に臨んだので、やっぱり1話の出だし、ベルリ出てくるんですけど、そこからどうやって、ベルリがこういう人だよって伝えられるかなと思ってやったところなので。後はやっぱり2話の後半、ちょっとあるシーンがあるんですけども、そこですね、はい。

松澤 そこは嶋村さんも?

嶋村 はい、2話のあるシーンのセリフを、オーディションの時に読ませて頂いて、それから自分の中で、あーでもないこーでもないっていう、ずっと溜めてきたものをやっと吐き出せたシーンなので、流れの中で観て頂いて、何か感じて頂けたらと思います。

佐藤 見どころという意味では、石井さんと嶋村さんが言ってくれたので、僕、今回これから皆さんが観て頂くフィルムを見せて頂いた時に、僕らが子供の頃観ていたアニメってこうだったよな、って感じるところがあって。夕方5時6時に学校が終わって遊んで帰って走って観に帰ったアニメってこんな感じだったのかな、って、どこか懐かしさを感じる事もあったんですね。それで今、もしかしたら夕方アニメがやっていたなんて知らない若い人たちにも、こういうにぎやかなアニメがあるんだ、愉快なアニメがあるんだ、という風に感じて頂ければ関わらせて頂いている者としては嬉しく思います。

松澤 やはり子供に向けてという気持ちが強いですよね、監督? この作品は。

富野 もちろんそうです。もちろんそうですし。実際こういう形で作る事をさせてもらって本当に思っていますのは、アナクロ的な作りかもしれないんだけども、実を言うと子供目線で分かってもらう様に作るというのはどういう事かというのは、本当に改めて感じさせられています。つまり自分の思考回路だけでは、とか自分の好みだけでは絶対に作らせてもらえないんだ。その面倒さがあるお蔭で、逆に言うと自分自身が子供目線に降りたとは言いません、降りられるとも思っていませんが、少なくとも、……なんて言うんですかね……作り慣れた手技を見せる事ではなくて、自分自身ももう一度元気にさせてもらえる、その為に子供たちを見る、おじいちゃんの立場で言えば孫の顔を見る、孫達が喜んでもらえる、というのはこういう事なのか、という配慮をするという事をあらためて思い知らされた。そういう配慮する心を持てる様になってきた時に、自分自身もひょっとしたらあと1年、あと2年、長生きができるかもしれないという、そういう力ももらえている。という事は、作品を作るというのは自分の好みだけで作るのではなくて、それぞれの世代の立ち位置というものを意識して、やっぱり年寄りが伝えられるものがあるのではないか。あるのではないかだけでも、それを伝えるためには孫たち、それからその次の、次の孫たちの顔を思い浮かべるというのはとても大事な事なのではないかな、という事をあらためて教えられました。そういう風に感じていきますと、実を言うと、今の大人たちというのは、テメーたち、自分の世代の事しか考えてない、自分の死ぬまでの事しか考えてない。だからこういう風に、100年先に対して無責任な発言が平気で出来るんだという大人たちの社会になってしまったとつくづく感じるので、そういう大人に対して、たまにはこんなものも観てみたら、っていう風な、逆説的な意味で大人に向けてとても痛い作品になっているかもしれないという事を最近あらためて感じました。

松澤 愛みたいなのを感じましたが、キャストの皆さんは同じ現場で収録されていて、こういった熱いアドバイスであったり印象的なものはありますか? 結構作り上げていく上で大変な事もあったと思うんですが。

石井 まぁ、第1話から僕は……(笑)。色々とご指導受けまして。

松澤 大丈夫ですよ、遠慮なく。

石井 初めてやらせていただくので、本当にどうしたら良いのか分からなくて、少し臆してた部分があって。それで声が出なくなる訳じゃないですか。もちろん技術面な事も。そしたら監督から「腹から声出せ!」って言われて。「ヒィ〜ッ」ってなって(笑)。だけど、技術面とか経験に関して、どうあがいてもこれからやっていかなきゃいけないし、本当に頑張らなきゃいけないところだけども、立ち向かう事は出来るかな、と思って。だからそういう事があったとしても、飽きる事なく体当たりで監督に付いていけたらなと思っていつも収録させていただいてます。

松澤 実際体当たりされました?

富野 僕ですか? 現場にの事は一切覚えておりません(会場笑)。

松澤 いつも新鮮な気持ちで臨んでますものね。

富野 (笑)、はい、そういう言い方がありますね。

嶋村 大変な事はたくさんあるんですけども(笑)、富野さんはいつも終わってからって言うか、最後にヒントというかアドバイスというか、そっと示して下さります。それこそ言葉じゃなくて、肩をポンと叩くとかですね。

松澤 一方佐藤さんはもともとガンダムファンと。

佐藤 そうですね、子供の頃から拝見しておりますけども、収録現場・スタジオの様子としては、比較的若いんですね、平均年齢が。若いんですけど、小さくまとまってしまうのが悔しくも僕たち世代なのかと日々感じてしまうのですが、だからこそ現場でも、監督とてもエネルギッシュな方なので、そこに負けちゃいらねぇなというのが、正直なところだと思います。

松澤 今後の展開に対する意気込みをうかがっても宜しいですか。

富野 基本的な事を言いますと、自分自身が26話分のシナリオを書いておきながら、この作品がどういう作品かというのを気がついたのは、スタジオワークに入ってそうですね、3ヶ月ぐらい前にようやく気づいて、なんだこれはロードピクチャーだったんだ、つまりどういう事かと言うと、旅立ちの出発があって、目的地があって、それで尚且つ目的地からまた帰ってくる、行って帰ってくる、っていうもの凄いスピードでやっている話だったっていう構造が判ってびっくりしてます。物語を作っている上では実を言うとそういう意識は全くなくて、ベルリとアイーダの物語という単純なところで収めていくのと、それから宇宙世紀以後の収拾をどういう風につけていくか、っていうある意味で設定話に陥っている部分がすごくありました。そういう景色を作ることにだけに一生懸命になっていたシナリオの時代があって。実際にはアイーダとベルリが動き始めた時に、今言った様な視点を手に入れる事が出来て、映画として一番原理的な方法を採っているんだという事が分かってきた。分かった事が実は地獄の始まりで、こんなにまでキャラクターが出てきて、こんなにまで俗に言うやられメカが出てきて、こんなにまでガンダム系のモビルスーツまで出てきて、ふざけんじゃねぇよ! っていう状況に陥って、そこに持ってきてスタッフの数が足らなくって、今パンク寸前だ、というとこに行くのは、そりゃそうだろ、っていうくらい、ある意味酷い作り方になりつつあります。が、頑張るぞ! っていう(笑)。ので、将来の展望はまだ見えてません。

(マスコミ向けフォトセッション)

松澤 このテーマ曲(Gの閃光)良いですねー。耳に残りますよね。 

嶋村 ずーっと二人で歌ってましたね。

佐藤 ずっと口ずさんでた。

石井 Gのレコンギスタ〜。

佐藤 ああー!

松澤 皆さんから最後に一言ずつ頂きたいと思います。

佐藤 早く観たいと思うので、手短に。すごく元気のたくさん詰まったにぎやかな作品ですので、最後まで楽しんで下さい。ありがとうございました(早口)。

嶋村 このおっきなスクリーンと、この大きなスピーカーで、「Gのレコンギスタ」を楽しんで下さい。ありがとうございました。

石井 登場人物一人ひとりがとても面白いキャラクターなので、そういうところも注目して貰って、あと日常的な風景とかもたくさんあるので、そういうところも見つけてもらって、最後まで楽しんでいただければ、嬉しいなと思います。ありがとうございます。

富野 年寄り仕事にはしていないつもりですが、本人が思ってるだけかもしれません。そういう問題を見つけましたら、お教え頂きたい。その事が次の活力になると思ってます。ともかく、とりあえずの3話分、まとめて上映させて頂きますので、ご覧いただきたいと思います。どうも、今日は本当にご来場いただきまして、ありがとうございます(脱帽して礼)。

亜阿子さんもいらしてたもよう。

全部ではなく編集版。

公開直前富野メッセージ

あのさぁ! Gのレコンギスタっていうタイトル知ってるよね。知らない?! 知らなければ知らないで良いの。明日から劇場公開するの。劇場公開するから、知らなけれりゃ見においで。知ってても見においで。全部見ちゃったって奴も見においで。面白いから。

富野ビデオメッセージ(上映前ver)

おはようございます。「Gのレコンギスタ」の総監督富野由悠季です。脚本も、コンテ演出もやらせてもらっております。この様な事も出来るのも、今日ここにいらして頂いた皆さん方のおかげです。本当にありがとうございます。

2014年の夏というのは、アニメファンの方はご存じの通り、制作状況が大変悪い時代に陥っております。そういう中でともかく本当に3本を、この劇場の公開に合わせて作る事が出来ました。これもスタッフが集まってくれたおかげです。これも心から感謝します。何よりもガンダムシリーズという、偉大な作品の名前に押し潰されそうになる35年間を過ごした者として、次のシリーズはどうあるべきか、という事を考えて、「Gのレコンギスタ」を作りました。ともかく、とりあえずは最後まで我慢して観て頂けたらありがたく思います。では。

上記の直前メッセージと当日収録。

御禿が出席しない、新宿以外の舞台挨拶終盤で流れた。

富野ビデオメッセージ(上映後ver)

いかがだったでしょうか。えー……かなり考えたんですよ。だけど、僕がやるとこんなものです、という言い方があります。ただ少なくとも、次の世代へ繋げるためには、こういう方向性のものもあるのではないか、っていう確信もあります。で、意識してこういう風にしたという部分もあります。だからこそです。皆さん方の次の世代の子供たちに見ていただきたいし、その様な広報をして頂けると心から嬉しく思います。本当に今日はご来場頂きましてありがとうございます。

TOHOシネマ日本橋

実況twしたものを暫定的に。

  • 小形「企画は07年から。UCより先」
  • 嶋村「富野さん以上に自分で(ブースに入って)伝えてくれる監督は知らない」
  • 佐藤「すごくエキセントリックな方。野性的だけど発言は理知的」
  • 小形「1話のARで一番声が出てたのは富野さん」
  • 石井「富野さんもインタビューで仰ってるがアニメなんだけどアニメじゃない」
  • 嶋村「2話ラストのアイーダはオーディションでもやってて、家に帰っても眠れなくて、やっとスッキリした」
  • 佐藤「ルインは大人にならないでくれ、そのままでいてくれと富野さんに言われた」
  • 小形「富野さんは挿入歌を長くすれば良かったと。挿入歌はもう流れません。今後配信販売します。ベルリのラスト、RCでは普通という考え」「富野さん必殺のマスクを被った人が出ます」
  • 小形「子供向け云々は富野さんはツンデレなので許して下さい」
  • 小形「UCと違って富野さんのコンテは作ってる側の想像力を要求される。こだわりポイントはトイレ。SEには木村さんとバキューム音にこだわった。便座をつけたのは富野さんが頻尿気味で30分に一度目が覚めるから。挿入歌はG-セルフ専用の音姫」
  • EDを聞いた富野さんは「恥ずかしい」と。菅野さんはあなたに言われたくない、と
  • 石井「石井マークで良かった、と謂われる様になりたい」
  • 小形「富野さんは来たがったけど、コンテがぜんぜん終わってない。早朝から夜中まで土日なしで働いているので死んでしまうので代理です。富野さんに恩返ししたい。富野さんも最後のTVだと思っている」

日本橋第2回

御禿メッセージ映像は御禿がガンプラ等セッティングしたとのこと。後ろの対比図にMAらしきシルエット。

先行上映プログラム 富野由悠季総監督インタビュー「『G-レコ』で各世代に伝えたい想い

ガンダム』を払拭するための宇宙エレベーターという設定

――ついに『Gのレコンギスタ』がスタートしました。

第1話のダビングが終わった時に、完璧に出来たという手応えがありました。今度の『ガンダム』は間違いなく面白いです。お話は勿論なんだけど、例えば色。今回の色彩は、吉田君がメインで作っているんですけど、僕にとっては信じがたいぐらいにキンキラキンでアニメっぽいんです。だから「僕は嫌いだ」という言い方もできる。でも今回は男の子と女の子のすごくシンプルな話だから、それとしっかりマッチしていてすごく強力なので、迂闊には否定できない。モビルスーツの方も安田君のG-セルフ等に加えて形部君のデザインも加わっているから、おもちゃ箱みたいに賑やかです。すごくアニメらしい作品に仕上がっていると思います。だから今、『アナと雪の女王』より面白いと、勝手に自惚れているんだけれど、今時なかなかない「明るいアニメ」になりました。これはちょっとすごい事なんじゃないかと思ってます。

――『ターンエーガンダム』以来15年ぶりのガンダムシリーズでもありますが、シリーズを包括する様な『ターンエーガンダム』ありきの、新ガンダムだったのでしょうか。

今回もガンダムという名前は企画成立を後押しする為のものでしかありません。そういう意味では、ガンダムシリーズなんか関係ないよ、という気持ちで作ってます。『ターンエーガンダム』については、今考えると、少ししゃらくさい気持ちで作ってしまったな、という反省がありますね。どうしゃらくさいかと言うと、全部の『ガンダム』を総括しようと考えていたからです。で、総括と称して、過去の『ガンダム』を取り込んでいこうとすると何が起きるか。それは「過去の『ガンダム』の総決算」であって、「脱ガンダム」ではないんです。総括論であって次を見せるところにはいってなかった。それが今回は「脱ガンダム」をする事ができた。

――それは何故でしょう。

ひとつは、宇宙エレベーター――この作品ではキャピタル・タワーと呼んでいますが――を設定する事ができたからです。

――富野監督は2010年頃から宇宙エレベーターに関心を寄せてきましたね。

その頃から新しい『ガンダム』の準備を色々と進めていたんですが、「やっぱりこのままだと新しい『ガンダム』なんてできない」ってなったんです。それで全部を考え直す時のきっかけとして持ち出したのが、宇宙エレベーターなんです。それで月刊ガンダムエースの対談で、宇宙エレベーター協会副会長の青木義男先生にお会いしたのを皮切りに、色々勉強しました。でも、最初は宇宙エレベーターって全く許せない存在でした。

――許せなかったんですか?

年代的な時代感覚のせいです。僕は子供の頃からロケット派として育ってきたので、ロケットのロマンを否定する様なものは許せないんですよ。でも、そのロケットが今もなお明るい未来像を示せているかというと、全くそんな事はないでしょう。ロケットは人類を月に送り込んだけど、極端な言い方をすれば進化はそこで止まってしまったんです。その理由は色々ありますが、結果としてロケットは、社会の一般的なインフラとして成立しなかった。ただ、これまでの宇宙が出てくるロボットアニメはそれを無視してきた。だからどうしても『機動戦士ガンダム』以降を引きずって、固有名詞だけ変えただけの様なロボットアニメの世界観しか打ち出せなった。

――ロケットを前提にしている限り、ありきたりの世界観から抜け出すのは難しい、という事ですね。

そうです。勿論宇宙エレベーターが、現実に実現するには、技術的な課題以上の問題もある事も、勉強していく過程で分かりました。とは言え、アニメの画面の中に宇宙エレベーターを登場させると、全然印象が変わるんです。これは面白い体験でした。

――『Gのレコンギスタ』では、鉄道の一種の様な描かれ方をしていました。それがまさに一般的なインフラになっている、という事だからです。その事が一番大事なところで、宇宙エレベーターは、ロケットとは異なる、地続き感の様なものを刺激してくれるんです。この大道具を軸に人間が動き始めるぞ、という気配があります。ただし、それを具体的な画にしていくのはかなり大変な事でした。

――何が難しかったのでしょうか。

宇宙エレベーターには、地球から衛星軌道上まで繋がっているケーブルがあります。それを画面で説得力をもって見せるのが難しかった。だから今回も、立派にできてるとは言いません。でも、すごく変わった印象の画になってるはずです。表面的には、普通の宇宙ものとそう変わっている訳ではないんです。でもそこにケーブルがあってエレベーターが通っていると、画面に独特の方向感覚が生まれるんです。この感覚は絵コンテを描いていてかなり面白いものでした。習い性で画が作れないんです。でも、だからこそ「これで『ガンダム』を払拭できる」という強い感触を得る事ができました。そして、宇宙エレベーターが出せて新しい世界観が手に入ったからこそ、ドラマについては子供達が楽しめる様な大衆的なお楽しみの方向にドンといく事ができたと思っています。

タフなキャラクターたちのストレートなロードムービー

――大衆的なお楽しみ、ですか。

本来エンターテインメントが持っていた力強さはどこにあったかをちゃんと意識しようという事です。それで今回は、そういうエンターテインメント性を意識しつつ、自分ひとりで全26話分の脚本を書いてみました。とは言え本当に迂闊なんですが、脚本を書いていた時にはまだ気が付けていなかった事があります。絵コンテが第5話、第6話ぐらいまで進み、キャスティングが出揃ってきたあたりでようやく分かったんです。「この作品は、ロードムービー、冒険ものなんだ」って。そして、主人公の男女が複数の舞台を旅していくというのは、お話の基本だよなと。という事は自分が無意識にやっていた事はやっぱり間違いではなかったんだ、と自信を持つ事ができました。

――大衆的なエンターテインメントの中には、様々なストーリーのパターンがあると思いますが、その中でも、ロードムービーを選んだのは何故でしょう。

やはり、ロードムービー、冒険ものというのは、エンターテインメントの正道だからです。ロールプレイングゲームの様に、次々と魅力的な舞台が登場する構成は、子供が飽きずに楽しめる条件のひとつでしょう。たとえばその代表的作品と言える『ONE PIECE』なんかまさにそういう構造をして人気を得ていますよね。作者の尾田栄一郎さんは、ユニークな世界を次々用意する事で子供達からの求心力を維持しつつ、そこにかなり深い要素を忍ばせたりもしています。エンターテインメントというのはそういうものであるべきだろうし、今のアニメやマンガにはそういう事を忘れてしまったものが多すぎるんではないか、という事です。

――すると今回の第3話までは、全編の中の「旅立ち編」に相当する訳ですね。

まさにその通りです。だから、今回はニュータイプ論の様なお話にはしません。絶対にしません。それは観念論で、大人の話になっちゃうんです。大人の観念の話になってそれが楽しいのか? って聞かれれば、楽しくはないだろう、と。

――G-セルフに搭乗できるのがベルリ達3人だけという設定はニュータイプとは関係ないんですか?

(笑)。ありません。あれはもっとシンプルな事です。それはTVシリーズを見れば、やがて分かります。

――キャラクターについて聞かせてください。いつも笑顔の主人公ベルリは、過去の富野作品の主人公とは違った意味で印象的です。

うーん、第4話までの感触で言うと、そう見えていれば良いのだけれど、という言い方しかできません。ただ元気ハツラツなだけではない、変な子になっているなという事は確かに言えます。しかも、ヒロインのアイーダも変なお姉さんになってきているので、そういう意味では両方ともズレているところが二人の接点になっていて、エンターテインメントとしては良いのではないかと思っています。

――今の時代に前向きな物語を語りたいという富野監督の狙いや理想がベルリに込められているのかなとも思ったのですが。

基本はそのつもりなんです。「癒やし」とか「鬱」とかそういった時代の言葉からは完全に距離のあるキャラクターにしようと、極度に意識しています。でもフィルムではどうなのか。狙い通りに見えているのか、それとも狙い以外の魅力が浮かび上がっているのか、そこはもうちょっと作ってみないと分かってこないですね。ただ、マッチョという意味ではなく、こちらの想定以上にタフなキャラクターになってきているな、という事は言えます。疲れちゃっても、明日になったら何とかなるだろうって寝てしまえるキャラクターですね。実はこれは、ベルリだけに限らないです。記憶喪失のラライヤというキャラクターを出したのもそういう部分があるんです。

――と言うのは?

例え記憶が無くても、毎日の生活の様々な出来事に反射的に反応する事さえできれば、何とかなるんじゃないのって事です。今回は、泣いて休んでいる暇はない。泣いてもいいけれど、泣いたらさっさと次へ行け、というぐらいアクティブな気分がベースにあるんです。アイーダも実はよく泣く子なんだけど、ひとしきり泣いてたらケロッしてる。そういう部分は、ちゃんと演出できました。世間を見ていると、情報過多の時代の中で、我々はそういう事ができなくなっているけど、それは問題じゃないの? と思うんです。現実に頭でなく体で反応して生きている部分を、今の子達が見て「いいな」と思ってほしいですね。それはこれまでの『ガンダム』に引きずられてきた大人にとっても、自己反省のきっかけになるはずです。

――主要女性キャラクターとしてはもう一人、ノレドがいます。第3話まで見るとノレドは、ベルリにすごくスキンシップしていきますよね。

今回は、男女がお互いを見る目線を今の時代感覚に落とさないっていう努力をものすごくしています。ノレドとベルリの距離感の描き方も、そのひとつですね。一言で言えば、男女だからっているもお互いのフェロモンを嗅ぎたいと思っている訳じゃないゾ、という事です。例えばそれでノレドがベルリに乗りかかってく。ベルリもそれは気持ち良いでしょう。でも、それが高度3000mで下に落ちない様にしがみついている時であれば、そこに相手のセクシャリティを過剰に意識する様な芝居は入らないはずなんです。それは「死を間際に命を感じる」みちあなものとも全然違って、単なるお約束でしかないんです。

――もっとナチュラルな距離感なんだと。

だから例えばこういう事が起こるんです。第2話でベルリが落っこちようとするアイーダさんをつかまえて引っ張り上げると、背中が丸出しになっちゃいます。石井マーク君は最初、そこの息をのむ芝居に、「あ、裸見ちゃった」というニュアンスを入れたんです。それは違う、と。確かに女の子の背中を見ちゃったけど、自分も落っこちそうになった直後だし、いちいちそういうところにリアクションしないでほしいと。その息は、落っこちそうになってしまった後の、気分を変えて次にいく為の息だぞ! と。こういうのは、絵コンテ・演出のチェック時にもすごく注意して描いています。

才能頼みのスタッフワークが作品に緊張感を生む

――今回、メインメカのG-セルフが安田朗さん、キャラクターデザインが吉田健一さんですが、デザインはどんなキャッチボールで出来上がっていったんでしょうか。

キャッチボールは基本的にありません。

――ないんですか。

G-セルフについては、最初から安田朗に頼むしかないという事は分かっていました。彼以外に、そういうセンスを持っている人はいないので。この「彼以外にいない」というのは、吉田さんについても同じです。そういう時は、人選、スタッフィングが全てですから、後は二人からアウトプットが出てくるのを待つしかないんです。実際、今回のデザインが最終的に出揃うまで2年ぐらいかかりました。しかも安田君は、全話脚本書き上げた後になって、G-セルフがバックパックを換装するというアイデアを出してきました。これはもう脚本を修正するしかないです。特に第5話は、G-セルフという機体を世界観の中で見せるエピソードなので、絵コンテにする段階で更に変わってしまいました。吉田君の方は、中盤で登場するあるキャラクターを、かなりユニークな存在として描いてきたんです。もう、普通の立ちポーズなんかありえない様なキャラクターです。そういうキャラクターが出てきた以上、初登場の話数の絵コンテは工夫しなくてはならないし、結果としてその前の話数に先行するかたちで仕上げざるを得なかったです。

――クリエイターのアウトプットを前提に制作しているのですか。

そうです。才能を信じて待つしかない。そういう意味ではものすごく過酷な状況で、理想的なスタジオワークではないんです。でも合議制で作ったからと言って、良いものができる訳ではないですから。

――G-セルフやベルリ達キャラクターのデザインで、気に入っている部分というのがあったら教えてください。

それは、ありません。どちらも安田君が納得している、吉田君が良いと思った、という部分で採用しているんです。アーティスティックな才能から出たものですから、そこにこちらの好みを盛り込ませる様な、部分直しを受け付けないんですね。だから、二人が「これだ」と思った部分を受け入れるしかないんです。

――でも例えば、主人公のキャラクターデザインを気に入らないと、絵コンテを描く時にも、想いが込めづらかったりしませんか。

うーん、どう言えば良いですかね。実写映画でも、本当にドンピシャリの人をキャスティングできる訳ではないでしょう。この人しかいない。じゃあ、この人で脚本のキャラクターをどう撮るか、そこを演出家が工夫して作り上げていく訳です。アニメも同じです。絵で描いているからと言って、全てが演出家の思い通りになる訳じゃない。クリエイターが出してきたものを、どう取り纏めて表現していくか、という事が演出家の仕事なんです。だからベルリやアイーダについては、その根本、キャラクターの骨格は認めてます。でも好きかと言われると頷けない。でも、フィルムになったベルリやアイーダについては「これで文句あるかっ!」って世間に向かって言えるぐらい(笑)、これで良かったと思ってます。

――ベルリ役の石井マークさん、アイーダ嶋村侑さんのお芝居についてはいかがですか?

二人とも化けますよ。今回の音響監督である木村さんが、人を育てるのがうまい方であるという事を含めて、相当手触りの良い仕上がりになっていると思います。勿論さっきお話した様に、個々のお芝居については色々注文をつける事ありますよ(笑)。でも、これまでの経験からすると、「この役者さんは大丈夫」と安心した瞬間に演出家は間違うんです。ちょっと距離があって、「何やってんの!」って時々、ダメ出しするぐらいの距離感があった方が良いですね。これはキャストだけでなく、スタッフワーク全般にも言える事ですが。そういう意味では、今回は非常に緊張感感じながら仕事をさせてもらっていますね。

10歳の子供たちに世界の入り口として

――富野監督は今回、「子供に見てほしい」と強調されていますね。

そうです。10歳ぐらいの子供に見てほしい。

――どうして10歳なんですか?

10歳ぐらいを起点にした2〜3年――学年で言うと小学校高学年ぐらいですね――が、一番、世間というものが分かってきて疑問を感じる時期だからです。この時期に刷り込まれたものは、ものすごく強い。それは35年前に小学生だった人達が、未だに連邦軍だジオンだと言っている事からもよく分かっています(笑)。この後、初恋の時期が始まると、その渦中にどーんと入ってしまうんで、その手前の時期の子供に見てほしい。宇宙エレベーターを登場させたのには、そういう意味もあります。

――多感な時期の子供に未来の技術を知ってほしい、という事ですか?

それもあります。『ガンダム』でロボット工学に興味を持った人がいた様に、10年後に『Gのレコンギスタ』をきっかけにJAXAに入る人が現れてもいいと思います。あとは技術と人間の関係ですね。そこを少し意識してほしいのもあって、キャピタル・タワーを守るのは、スコード教という宗教組織にしたんです。

――技術と人間の関係ですか。

これからの時代、可能というだけで技術を野放図に解放していく訳にはいかないと思います。「出来るけれど、やらない」という知恵が求められる時代が既に来ています。でも政治論ではコントロールできないだろうし、科学者や技術屋さん自身には絶対無理。僕自身、20世紀のオールドタイプだからそれに対する正確な回答は分かりません。そこで今回は「技術を統治している未来」を描くにあたって、人類が原初の共同体の拠り所にした宗教を使わせてもらったんです。別にこれはテーマではありません。だから本編中で技術と人間の関係にドラマ的回答も出しません。でも10歳の子供が楽しみながら、何故スコード教なんだろう、と思ってくれれば良いんです。そういう子供が10年、20年後に新たな方法論を考えてくれれば良い訳ですから。

――10歳の子供にとって、ある種の「世界の入り口」として『Gのレコンギスタ』がある訳ですね。

昔、アニメとかマンガはこういうものを目指してたんだと思います。でも時代の変化と共に、そういう目標の様なものが次第に忘れられてしまった。それを『Gのレコンギスタ』でようやく取り戻せる。本来、アニメとかマンガって『Gのレコンギスタ』の様なものだったでしょう? と強く思っています。……そういう事を70歳過ぎの年寄りにやらせるなよ、と言いたい気持ちもありますが、同時にこのキャリアがないとこうは仕掛けられなかったな、という気持ちもあります。ようやく始まったベルリとアイーダの冒険物語を最後まで楽しんでもらえればと思います。

絵コンテ #01 C-398

この位置から地球を見たら画面の中でどう見えるか。カメラのレンズは広角なのか望遠なのか。ケーブルがあるだけで、これまで以上に色々考えないと宇宙空間での画面を作る事ができなくなりました。

絵コンテ #02 C-104、105、106

知った風な戦闘にはしないぞっていうつもりで絵コンテを描きました。普通にミサイルを飛ばしているカットは2カットぐらいしかないはずです。後はお互いに蹴飛ばせよ、殴れよ、逃げろよって(笑)。基本、枚数をかける訳にはいかないと思って絵コンテを描いていますが、第4話の戦闘シーンはサンライズ第1スタジオのメカが得意な連中が集まってくれて、こんな戦闘シーンはもうないかもしれない、というぐらいのものをやってくれました。

絵コンテ #02 C-406、407、408

第1話から第3話までを通して見ると、第2話はエピソードにすごく起伏がある部分なんですが、絵コンテはかなりうまくまとめられたと思っています。今回、演出していて楽しいんですが、参加している演出家陣にもそれを感じてもらえている様です。

絵コンテ #03 C-251、261、289

メカというのはそれ単体で成立する訳ではなく、背景に技術的な世界観が見えないとダメなんです。だからG-セルフのバックパックを物語に組み込もうと思ったら、単にシナリオの一部分を差し替えるだけではダメなんです。ちゃんとそれに合った世界観がある様にしなくてはならない。それもあって第5話は最初の脚本とは大幅に内容が変わる事になったのです。

プログラムそのほか

  • アフリカ大陸はイザネルと呼ばれている
  • G-セルフのバックパック交換は脚本を全話アップ後にあきまんが提案したために脚本を修正した。本編にでるのは7つ中6つ。3つめは5話以降登場か。
  • 安田「G-セルフは最初めちゃめちゃ怒られた」「G-セルフは装甲自体がバッテリーなんじゃないか……という疑惑を持たれている」「ひざ側面のパーツは飛行するための部品」
  • 形部「以前一度だけ富野さんとお仕事をしたことがある」
  • 形部「非通知は二ヶ月くらい無視してたんですよ。ところが共通の知り合いから、形部が電話にでない、と富野さんが言ってると聞いて驚いて。今度はたまたまうちの奥さんが出たんですけど、驚いてそのまま切っちゃって……」
  • はじめたい~のGは形部氏が最初に書いたガンダム
  • モンテーロのジャベリンとビームワイヤーは富野案。当初はアイーダは赤いモンテーロに乗る予定だった
  • G-アルケインの名付けは御禿。初期名はGアーレント
  • G-アルケインにサーベルは3本。2本は肩部。頭部後方の羽根はバッテリーラジエーター。グリモアにもある。G-セルフほど先進的ではない。
  • 山根氏にオファーが来たのはキンゲ直後
  • ノレドの帽子と額はクンタラの証。他のキャラ分は外した。2話以降ネクタイを外す。

GUNDAM 35th AINIVERSARY BOOK

ほとんどが角川系の再録。新規の富野序文は以下。

35周年を迎えられたことは本当に幸せだと思っています。おそらく個人業で始めたらこういう形では35周年を迎えられなかったでしょう。そういう意味では、キャラクターグッズを中心としたビジネスがこういう形で35年間維持されてきたのは、関係各位の協力があったからできたことだと思ってます。私もまたそういう立場にいて、まさに当事者だったわけですが、世代に対してどういうメッセージを伝えていくか、この15年くらいは本気で考えるようになりました。それを具体的な形にすることができずに今日まで来てしまいましたけれども、「ガンダム Gのレコンギスタ」でようやく輪郭を見ることができました。

これはファンの皆様が、今、現在お育てになられているお子たちに見せていただきたい。お子たちに見てもらうものにしていきたい。そういうようなものが「ガンダム」のフィールドの中でつくることができるのではないか。それを示すつもりで制作に入っていますが、評価は終わってみないと出てきません。が、この齢にしてよくやったというふうにうぬぼれているところがありますので、ごく単純に期待していただいてもよいと思っています。

そうしてご覧になって、お子たちに、それからお孫さんにたちに対して「こういう物語があったんだよ」と伝えていただけるとありがたい。こういう言い方を35年目にしてできる自分も幸せだと思いますし、こういう機会をいただけたのは、ファンの皆様が支えてくださったからこそです。本当に心から感謝します。ありがとうございます。

歌詞

ハイフン・スタッカート 作詞 井荻

ズッシャー ブッシャー ミ~~ヨヨーン

ズッシャー ブッシャー ハ~~ヨヨーン

今日も良ければ 明日もいい

明日が良ければ あさってもー

ズッシャー ブッシャー ミ~~ヨヨーン

ズッシャー ブッシャー ハ~~ヨヨーン

思いふける この時に

自分の不足を 考える

まちがいだらけの 人生に

至らぬ自分を 懺悔する

このさわやかな せせらぎが

海にそそいで 荒れるなど

思うことなく ただいきむだけ

そのひと幕の 幕開けに

あなたのうなじの おくれ毛に

切なさ募って 胸かきむしる

ズッシャー ブッシャー ミ~~ヨヨーン

ズッシャー ブッシャー ハ~~ヨヨーン

自問自答 この時に

あれではダメだと 反省し

これではどうだと 覚悟して

全身全霊 やってみりゃ

見事にはずれて 恥をかく

諦められず 迷い道

いやおうもなく 季節がめぐり

あなたの瞳が 遠のいて

心が痛いと 悲鳴を上げる

ズッシャー ブッシャー ミ~~ヨヨーン

ズッシャー ブッシャー ハ~~ヨヨーン

今日も良ければ 明日もいい

明日が良ければ あさってもー

スタッフ

脚本・コンテは自明なので略。

第一話「謎のモビルスーツ

総作監:吉田健一

演出:吉田健一、居村健治

演出協力:奥村正志

メカ作監多数

第二話「G-セルフ・起動!」

演出:森邦宏

第三話「モンテーロの圧力」

演出:綿田慎也

キャラ作監:菱沼義仁

メカ作監:戸部敦夫

また、企画にT口氏、制作デスクに仲氏。

第一話、おそらく元々の演出は奥村氏だったのでは?と思わせる。また、多数のメカ作監も、元々の方が破綻したのであろうと思わせる。

コミック版第一話メモ

  • アニメ1話まで。
  • アニメのアバン以前、デレンセンがG-セルフ捕捉から始まる。そこへカーヒルが横槍
  • ベルリの筋トレシーンあり
  • ベルリとルインの登校シーンあり。アニメでデレンセンに怒られていたのはシャンクの修理で遅刻したため
  • ベルリがキャピタルガードを目指すのは、ウィルミットの助けになりたいから
  • ベルリ機の役割はアニメのトリーティー機と同じ
  • ラストの地の文「この日 ベルリ・ゼナムとアイーダ・スルガンは出会った しかしこれらはすべて レコンギスタの始まりに過ぎなかったのだ」