ドニゼッティ『愛の妙薬』

charis2013-02-03

[オペラ] ドニゼッティ愛の妙薬』 新国立劇場大ホール


(写真右は、第二幕の結婚披露宴、下は、怪しい薬売りドゥルカマーラが飛行機でやってくる、赤い服の女性二人は、媚薬売りのキャンペーンガール、そしてその下は、『トリスタンとイゾルデ』を読むアディーナと羨ましそうに見つめるネモリーノ)


2010年初演の再演、私は初見。チェーザレ・リエヴィの演出が冴えている。カラフルでスタイリッシュな舞台が夢のように美しい。この作品は、笑劇のただ中から純愛のロマンティック・コメディが立ち昇ってくる名作で、娯楽性も満点の楽しいラブコメだ。『トリスタンとイゾルデ』の本から惚れ薬(媚薬)のことを知った村一番の美人娘アディーナは、それを楽しそうに話してきかせる。アディーナに恋している村の純朴な青年ネモリーノは、アディーナを陥落させるために、あやしい薬売りからニセの惚れ薬を買って飲むが、それは安ワイン。酔っただけで、あとはドタバタの混乱。若い軍曹ベルコーレも現れて、アディーナに恋するが、結局は、ネモリーノの純愛が勝って、アディーナと結婚し、めでたしめでたしという喜劇。皆がそれぞれに滑稽だが、悪者は誰も出てこない。オペラブッファをロマンティック・コメディに昇華させたところが、この作品の魅力だろう。娘たちの合唱も、何と生き生きしていることだろう。新国立劇場の合唱団は高レベルと言われるが、今回の舞台の合唱も素晴らしかった。