"オレに事務所は必要ねえ"『リンカーン弁護士』


 マシュー・マコノヒー主演作。


 ロサンゼルスで刑事事件を手掛けるミッキー・ハラー弁護士。決まったオフィスを持たず、リンカーンを仕事場に街中を駆け回る。ある時、娼婦への暴行の容疑で逮捕された資産家の息子、ルイスの弁護をすることになったミッキー。だが、資料を集める中、ふと彼は、かつて手掛けた事件との類似に気づく……。


 マコノヒーの弁護士と言えばグリシャム原作の『評決のとき』なわけだが、あれから幾星霜。当時の線の細さは今やなく、酸いも甘いも噛み分けるタフな弁護士に成長しました。
 オフィスは持たず、リンカーンの後部座席で仕事する、というスタイル。ダーティな臭いのする依頼も引き受けるが、司法制度の矛盾を感じつつも時に堅い職業倫理をものぞかせる。


 いや〜、ひさびさの法廷物で、堪能したね。弁護士の守秘義務を逆手に取られ、実際に犯行を犯している被告を無罪にしなければならない、というトリッキーな展開。それが主人公のかつての依頼人に冤罪を負わせた過去までも暴いてしまい、アイデンティティを揺さぶる。八方塞がりの展開の中で、被告人を野放しにすることなく、それでも裁判には勝たなくてはならない、というシチュエーション作りが面白い。そんな中で、法を超えた手段を用いてくる依頼人に対し、ストライクゾーンすれすれの手段で対抗する、ぎりぎりのバランス感覚を大いに楽しんだよ。


 メインキャラかと思っていた人がお亡くなりになったりして、シリーズ化と聞いてたのにこんな展開になるのか、と驚いたが、また次作も観たくなる作品。原作はマイケル・コナリーだが、こちらも面白そう!

評決のとき [DVD]

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リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)

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リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)

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真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫)

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真鍮の評決 リンカーン弁護士 (下) (講談社文庫)

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