2013年12月15日のツイート

”好きな映画はなに?”『ザ・コール』


 ハル・ベリー主演のサスペンス!


 LA緊急通報司令室のオペレーター・ジョーダンは、ある夜、家に不法侵入されているという少女からの通報を受ける。的確に指示し、危機を切り抜けたかに見えたが、ジョーダンはコールバックによって少女を謎の男の手に渡してしまった……。やがて発見される少女の死体。ジョーダンは恋人の警官のすすめで引退し、教官になることを選ぶ。だが、半年後、指導の現場に再び助けを求める少女の通報が……。


 自分のミスによって通報者を死なせてしまったオペレーターが、半引退状態で教官をやっていたところ、再び同じような助けを求める通報が……ということで、ざっくり言うと、プロフェッショナルのトラウマもの。あの時は失敗したが今度は助ける!と決意することで、対象のみならず、自分をも救わんとする、というお話である。その基本的な骨子プラス、電話オペレーターという現場に直接関わることができない職業ならではの、マニュアルに基づいた会話術と状況判断能力のみで勝負するというトリッキーな設定が加わる。


 人質になるアビゲイル・ブレスリンからの断片的な情報を元に、適切な助言を送れるかという素人では無理筋のテクニックを見せるハル・ベリーの格好良さと、正体不明の誘拐犯の不気味さが白眉。


 プロフェッショナリズムがテーマかと思いきや、微妙にズレていくところも面白い。いかにもデキる管理職然とした女性上司が語るプロ意識には、「オペレーターは電話の向こうには踏み込むな」ということが含まれている。「感情移入するな」「プライベートに触れるな」というマニュアルがあり、オペレートが終わって電話が切られた後は、もうその結果はわからない、ということが語られる。
 冒頭の、ミスで通報者を窮地に陥らせ、殺害という結果が報道されることで主人公に伝わってしまう、ということがそもそも異例なのだが、このプロ意識に則るならば、それすらも「忘れろ」「帰って寝ろ」「次は気をつけろ」ということで片付けられる。
 同種の通報があり、教官に収まっていた主人公は自らオペレーションを買って出て、積極的に通報者とコミュニケートし、タブーなはずのプライベートにも踏み込んで行く。ここからすでにズレは生じているのだが、どうしても救いたいというモチベーションを達成するためには、「プロ」として「お仕事」をしているだけでは踏み込めない領域があり、その領分をはみ出すかはみ出さないかということが、隠し味のように物語の中に潜まされている。
 まあ実際のところ、通信室を飛び出して現場に飛び出していかないと、映画としてのクライマックスが盛り上がらないということもあるのだろうが(笑)、落ちのつけ方も完全にオペレーターの領分をはみ出していて、まるで西部劇のような「手向け」になっているところでは、ちょっと唖然としてしまったね。お仕事絶対主義よりは、よほど好みではあるが。


 アビゲイル・ブレスリン、いよいよ子役からも脱皮で、メイクもちゃんとして綺麗になったなあ、と思ってたら、パンチ食らわされて顔が腫れたシーンではちょっと変顔のアビちゃんに戻っていたので、ちょっとほっとしましたね。ダコタんもそうだが、子役上がりの子って背も高くなくていわゆるモデル体型をしてないので、自然な感じがいいですね。


 小品かと思ったら、意外にもスパイスが効いているサスペンスで、拾い物。

ソードフィッシュ [Blu-ray]

ソードフィッシュ [Blu-ray]

マシニスト [DVD]

マシニスト [DVD]