粉末 IC チップを用いた流体測定

2006-05-14のネタ続き

会社の中では全く食いつきがなかったので、ここで公開します。
# くだらないネタだけど、一応は特許取得防止。

日立製作所がこれまでの0.4mm角のRFID「ミューチップ」をさらに小型化して、0.05mm角、厚さ厚さ5μmという非接触型「粉末ICチップ」を発表しました。
http://www.elisnet.or.jp//common/pdf_download.cfm?down_path=D%3A%5Celisnet%5Cnews%5Cpdf%5C10863%5Chitachi070213%2D2%2Epdf&down_file_name=hitachi070213%2D2%2Epdf&pdf_number=1&select_news_id=10863


そこで、私がこれまで考えていたRFIDの利用方法のアイデアについて、実現性が高くなってきたように思われますので、とりあえずここで披露してみたいと思います。

==
RFIDを流体の中に浮遊させて、流体の速度測定用トレーサーとすることができます。

1つ1つのRFIDが固有のIDを持っていて、個体識別可能なことから、PIV(Particle Image Velocimetry)と同程度の高粒子密度で、PTV(PartcleTracking Velocimetry)を行うことができます。この方法によって、乱流の速度分布の動的変化を、これまでになく詳細に測定することが可能となります。

0.4mm角程度の大きさの場合、適用流体としては水が考えられましたが、水中では電波がほとんど透過しないために、この測定手法は実現不可能でした。しかし0.05mm角の粉末ICチップが実用化されることになれば、測定対象流体として空気を用いることが十分できるでしょう。

粉末ICチップの性能はミューチップと同等とのことなので、読み取り可能距離はおよそ30cm〜45cmだろうと推定されます。この大きさを代表長さとする乱流空気を測定する場合、流速は約10cm/s程度以上です。ミューチップのID読み取り時間は約20ms程度なので、この読み取り時間の間に流体が移動する距離は2mm程度で、これが空間分解能の一つの限界となるはずです。

乱流の測定では、代表長さの100分の1程度の空間分解能が求められ、代表長さが30cmであれば、3mm程度の分解能が必要となりますが、上記の限界はこれを上回っており、現時点で既にこの手法が空気の乱流測定に適用できる可能性を示しているものといえます。

また一方、本測定原理は、高分子の射出成型についての流動測定にも応用が考えられますが、μチップの耐熱動作温度が70℃程度のようなので、適用可能な射出成型プラスチックというのは(実用のものではないような)特殊なものに現時点では限られてしまいます。

以上のような方法で、RFIDを用いて流体の動的な速度分布測定が可能だと考えられます。

# なお、このアイデアはおそらくまだ誰も思いついてないのではないかと私は勝手に思っていますが、特段特許公報等調べたわけでもありませんし、その方面の最近の研究状況を知ってるわけでもないので、確証はありません。

追記:軽く調べたところ2004年以前に横河電機株式会社が特許取得していたようでした。