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2014-03-31

またまたおバカな映画!「チームバチスタFINAL ケルベウスの肖像」

観ようかどうしようかさんざん迷ったのだが、観てよかった。これも抜群に面白かった。

題名チームバチスタFINAL ケルベウスの肖像
原作海堂尊
監督星野和成
出演■国際Aiセンター/仲村トオル(白鳥圭輔、厚生労働省)、生瀬勝久(東堂文昭、マサチューセッツ医科大学教授)、他

■東城大学医学部付属病院・特別愁訴外来/伊藤淳史(田口公平、医師)、名取裕子(藤原真琴、看護師)、利重剛(三船大介、事務長)、渡辺金之助(バカリズム、副作用を疑う患者)、他

■東城大学医学部付属病院・救命救急センター/西島秀俊(速水晃一、部長/ジェネラル・ルージュ)、松坂桃李(滝沢秀樹、研修医)、木下隆行(佐藤伸一、副部長)、戸次重幸(長谷川崇、救命医)、加藤あい(和泉遥、救命医)、他

■その他/桐谷美玲(別宮葉子、医療ライター)、中村靖日(玉村誠、刑事)、栗山千明(桜宮すみれ、地方病院「碧翠院」院長の次女)、中村育二(南雲忠義、「極北青藍院」院長)、二階堂智(榊陽一、生き残りの被害者)、国広富之(室田芳郎、市長)、中丸新将(船橋直樹、白鳥の上司)、有森也実(船橋律子、直樹の妻)、品川徹(根本、ケルトミン薬害の被害者)、大沼百合子(西園美枝子、別宮葉子の母)、他

公式サイト映画『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』2014.3.29 ROADSHOW
制作日本(2014年3月29日公開)
時間126分
劇場TOHOシネマズ 川崎

内容紹介

海堂尊の小説バチスタシリーズは、2008年および2009年に、竹内結子・阿部寛主演で映画化されたが、本作はそれとは別。関西テレビが制作し、シーズン4まで続いた人気ドラマの映画化である。劇場版はシリーズ初にしてファイナル。ちなみに東宝の映画は二作とも中村義洋(「白ゆき姫殺人事件」の)が監督らしい。奇妙な偶然。

雑感

予習なしで観ることに躊躇があったのだが、迷った時は観ようと決意。結果は観て良かった。桜宮すみれの登場は、過去にいろいろあったぽいがそれはわからん。加藤あいの和泉遥は、割と大きく名前が出ている割に映画ではろくにセリフもなかったが、テレビ版の主要人物で顔見せに登場したといったところだろう。

仲村トオルは、1986年に「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌」を観て以来だから約30年ぶりの再会になるが、こんな役者になっていたとは。とにかく彼の芸は観ていて飽きない。この白鳥圭輔というキャラに出会えただけで、この作品は観て良かったと思った。

タイトルにおバカと書いたのは、もちろん褒めているのである。恨みに思った人を個人的に殺すのならわからなくはないが、確実に殺すために大きな病院の入院患者をすべて人質に取り、他の人が巻き添えになっても構わないと考えるのは正気の沙汰ではない。また、病院が危機状態で一人でも医師の手がほしい時に、田口医師が探偵の真似事をして犯人探しに奔走するのもおかしな話である。しかし、こうした現実離れした話運びはファンタジーなればこそで、本作の瑕疵にはならない。

話が輻輳していて先が読めなかったため、十分サスペンスフルであったし、9人の医薬関係者を殺した犯人と白鳥の対峙のシーンは見応えがあった。

予習をしていなかったのは残念だったが、面白い作品に出合えてよかった。これから復習してみるか……

余談

コンピュータウイルスを出しておけばなんでもできると言わんばかりの描写は、いつものことながら唖然とする。一応コンピュータの素人ではない人間として、あれはあくまでファンタジーの中の出来事であることを述べておく。現実社会では……

  • 病院の医療用システムが外部ネットワークに接続されているなんて、そんなアホな。セキュリティ上、絶対にネットワークは分ける。クローズドなネットワークに外から侵入することはできず、中に入れるのならウイルスなんて手間のかかるものをばらまく必要はなく直接操作すればいい。
  • いくらウイルスでも、プロジェクタで写された画面を乱れさせるなんて、ムリ。あれはコンピュータ自体がウイルスにやられたということなのか? でもなんで東堂のノートPCがウイルスに感染するの?
  • ウイルスは最終的にはシステムをリブートすれば消せる。ウイルスは危機を誤作動させることはできるが、機器そのものに損傷を与えることはできない。だからMRI「リヴァイアサン」が壊れたからAiセンターも頓挫し藤堂が大学へ戻る……という成り行きが全く理解できない。
  • ウイルスを作るにも高度なプログラミングの知識がいる。犯人が自分で作れるとは思えないが、共犯がいた様子もない。誰が作ったの?

マイレージがたまった!

「チームバチスタFINAL ケルベウスの肖像」でマイレージが6,005となり、6,000を超えた。これで一ヶ月は無料で観られる!

過去記事

役者さんの演技力が見事!「白ゆき姫殺人事件」

面白かった。こういう映画が観たかった。

題名白ゆき姫殺人事件
原作湊かなえ
監督中村義洋
出演■TV局関連/綾野剛(赤星雄治、映像制作会社「TAG」ディレクター)、染谷将太(長谷川、映像制作会社「TAG」編集マン)、生瀬勝久(ワイドショー「カベミミッ!」司会者)、朝倉あき(ワイドショー「カベミミッ!」女子アナ)、他

■日の出化粧品/菜々緒(三木典子、被害者)、井上真央(城野美姫、容疑者)、蓮佛美沙子(狩野里沙子、赤星雄治の元カノ)、小野恵令奈(満島栄美/みっちゃん)、宮地真緒(間山、退職予定)、金子ノブアキ(篠山聡史、係長)、草野イニ(同僚、駅に向かう城野を目撃)、他

■被害者の関係者/ダンカン(城野光三郎、父)、秋野暢子(城野皐月、母)、谷村美月(前谷みのり、大学時代の友人)、野村佑香(島田彩、高校時代の同級生/江藤の呪いの話をする)、川面千晶(尾崎真知子、高校時代の同級生)、大東駿介(江藤慎吾、中学時代の同級生)、貫地谷しほり(谷村夕子、小学校時代の同級生)、山下容莉枝(八塚絹子、地元住民)、他

■その他/TSUKEMEN(芹沢ブラザーズ)、他

公式サイト映画『白ゆき姫殺人事件』オフィシャルサイト 2014年3月29日公開!
制作日本(2014年3月29日公開)
時間126分
劇場TOHOシネマズ 川崎

内容紹介

若い女性がメッタ刺しにされた上、火をつけられて殺されるという事件が発生。被害者は三木典子。人気化粧品会社・日の出化粧品のOLで、誰もが羨む美人だった。同じ職場に勤める元カノ・狩野里沙子から事件の概要を聞いた赤星雄治は、事件の直前から行方不明になっている同僚の城野美姫に疑いを抱き、彼女の関係者の証言を集める――

雑感

こういうバカな話が観たかった。いやバカというのは失礼なのかな。褒め言葉のつもりだけど……

普通に考えたら、こんな理由で人を殺すなんてあり得ないでしょ。その後の行動もあり得ない。また、犯人があの人なら遺留品などから警察はあっさり犯人を特定できたはずで、一週間経っても手掛かりなしはあり得ない。架空のドラマだからこそこういうことが成り立つわけで、その「あり得なさ」がエンターテイメントなんだと思うし、それを一言で表現するうまい言葉が思いつかなくて、「バカ」と言ってみたのだが。

「かつてない重層的なサスペンス」等のアオリがついているが、同じ事件なのに証言する人によって中身が全然違う、じゃあ事実はなんだったの? というのは芥川龍之介の「藪の内」以来の定番で、ありふれた手法だ。そこにバラエティとツイッターを登場させて、「視聴率稼ぎのためにセンセーショナルに話を振る」ことと「事実無根の話が事実であるかのように拡散されていく」ことを絡めたのは現代的でうまいと思うけど、それだけの話。

ミステリーとしてもいささか平凡で、僕は割と早いうちから犯人が誰だかわかった。これといったひねりはないから、ミステリーをちょっと見慣れている人にとってはそう難しくはなかったと思う。

じゃあ何が魅力的なのか? といえば、これはもう役者さんたちの演技に尽きる。

ひとつひとつのエピソードが、いろいろな人の証言の中で繰り返し再現されるのだが、同じようなシーンなんだけど微妙にセリフの中身や、ニュアンスが異なる。その「異なり具合」がきちんと演じ分けられないと面白さが半減してしまうところだが、よくもまあ美形でありながら演技派役者を揃えたものだと思う。

特に感心したのは菜々緒で、みんなが憧れる美人風、人のものはなんでもほしがる底意地の悪い風、要領の悪いドジっ子風など、いろいろな「顔」を見事に演じ分けていた。ファッションモデルで映画はこれが初出演。その割に……といっては失礼なんだろうが、実に芸達者なところを見せてくれた。

井上真央、谷村美月、貫地谷しほりらの安定した演技力は今さら触れるまでもないので省くとして、もう一人(いや一組)感心したのが野村佑香と川面千晶だ。彼女らの演じる島田彩と尾崎真知子は、たまたま連絡がついたからということなんだろうが、城野のことをよく知っているわけでもないのにしゃしゃり出てきて、特に島田は自分が直接見たわけでもなんでもない噂話を得意になって語るなど、イヤな奴なんだがいかにもよくいそうな人で、しかもいかにも「こういう風に喋るよね」というように本当に自然な感じで喋っていて、一瞬だけの役だけど、いい仕事をしていたなと思う。

綾野剛のいかにも軽薄な感じとか、染谷将太の腹の中はいろいろありそうだけど口に出さない陰険な感じとか、それぞれがいい味を出していた。こういう積み重ねがあって広がりのあるドラマが成立したのだと思う。

配役

  • 菜々緒の役者デビューは「主に泣いてます」の紺野泉役。なるほど、誰から見ても美人と言われる美人役が得意なわけだ。背が高く目鼻立ちがはっきりしているから、美人ぽく見えるのは事実だろう。
  • 誰もが美人と認める三木典子に対し、地味で不美人な城野美姫を演じたのは井上真央。しかし井上真央といえば、世の中のすべての女性の中で、個人的にはベスト3には確実に入ると確信する美人だ。それがまあ、実に地味でブスい女になっているから不思議だ。

公式サイト

先日「神様のカルテ2」の公式サイトはよくできていると書いたが、この公式サイトはその上を行く。芹沢ブラザーズも入れて全22人のキャストを、顔写真つきで紹介し、役柄や相関関係、主要な人物は証言の内容まで記載してくれているのだ。だから野村佑香と川面千晶の名前を知ることもできたのだが。

このぐらいのことは普通にやってほしいと思うけど、現実は極めて珍しい。ここに最大限の賛辞を送っておく。惜しむらくは、城野美姫の小学生時代、中学生時代を演じた子役の名前も記載してくれると、もっとよかったけど。

雑感(ネタバレあり)

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2014-03-30

官兵衛は誰の家臣なのだ……/「軍師官兵衛」第13話「小寺はまだか」

公式サイト

粗筋

羽柴秀吉が播磨へやってきた。官兵衛は姫路城を秀吉に献上することにした。喜んだ秀吉は官兵衛を義兄弟とし、誓紙を渡す。感激した官兵衛は秀吉のために仕えることを誓う。

播磨では姫路に入城した秀吉に、地侍が続々と挨拶にくる(そうするように官兵衛が取り計らった)。しかし、肝心の小寺政職だけがこない。挨拶を促す官兵衛に政職は臍を曲げ、「秀吉は百姓上がりで小寺とは身分が違う。儂は織田と同盟を結ぶ約束はしたが秀吉の下につくといった覚えはない。挨拶なら向こうが御着にくればよかろう」と取り合わない……

雑感

竹中半兵衛の強い叱咤によってようやく秀吉と小寺政職の会見を実現させた官兵衛だが、とにかくいいところがない。中間管理職特有の苦悩には同情する面もあるが、自身の態度にも大きな原因がある。

官兵衛は秀吉のために働くことを誓うが、彼はあくまで小寺の家臣だ。小寺が織田と同盟を結んだから、その家臣同士、親しくお付き合いをしているわけであって、秀吉のために働くことが彼の目的であってはならないはず。もちろん織田と小寺の力関係を考えれば、決裂はあり得ず、なんとか信長に(そして信長の名代である秀吉に)取り入ろうと必死な気持ちはわかるが、小寺政職に断わりもなく勝手に義兄弟になるなど、許されないのではないか。

秀吉にとっては政職なんて眼中にないのだと思うが、秀吉が官兵衛に義兄弟となることを持ちかけた時に、「自分としてはこの上なく光栄だが、まずは小寺の殿に相談をしてみないと」と話すべきだっただろうし、官兵衛がそう言ったからといって秀吉が気を悪くすることはなかっただろう。これは裏切りと見られてもおかしくない行為であり、その意味で櫛橋左京進ら家臣団の心配は当たっているのである。

それにしても半兵衛と官兵衛の差よ。二人が二十も年が離れているのであれば、経験の違いと考えることもできようが、わずか二歳しか違わない。病気が進行中で、長生きはできないかも知れないと考えている半兵衛は誰かにあとを託したいのだろうが、その相手が官兵衛では不安で仕方ないだろう。

2014-03-29

オスカー助演男優ノミネート俳優が貧困生活を送っているらしい

キャプテン・フィリップス」で俳優デビューしたムセ役のバーカッド・アブディは、新人らしからぬ演技で強烈な存在感を放っていた。本人も本格的に役者になるべく仕事も辞めて職探しをしていたらしいのだが、「キャプテン・フィリップス」の撮影が終わって約二年経つのに、役者としての仕事には全くありつけていないようなのだ。そのため貯金も底をつき、極貧生活を送っているらしい。

「キャプテン・フィリップス」のヒットとオスカーへのノミネートで、テレビ出演や新聞・雑誌のインタビューなどの仕事にはありつけないのだろうか。一件は小口でも、数をこなせば相当な収入になるような気がするが。

受賞はならなかったとはいえ、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのだ。出演依頼がくるといいが。

過去記事

リンク

2014-03-28

気分が滅入る時

今月は年度末ということもあり、仕事そのものも忙しいのだが、いろいろと気疲れすることが多い。気分転換に映画でも、と思ったのだが、観たいと思っている映画はたくさんあるのだけど、さりとて、今日の気分で観たい映画というのがなくて困る。「大統領執事の涙」「オール・イズ・ロスト」「17歳」「ワンチャンス」……どれも面白そうではあるのだが、今の気分で観たら耐えられそうもない。

こういう時はスカっとアクションものでも観たい。たとえば「アメイジング・スパイダーマン」なんかがまさに最適だ。あと一ヶ月待たないといけないけど。

または心の底から笑えるもの。最近の日本映画だと「ジャッジ!」とか「清須会議」とかね。もう観られないけど。

時間的には一本見る余裕はあったが、結局何も見ないで帰宅した。

2014-03-27

便乗値上げではないのか?

消費税の改訂を受けて、映画の鑑賞料金も変わるのはやむを得ないが、1日のファーストデイ1,000円が、4月から1,100円になるらしい。これ以外の各種割引も同様で、たとえば夫婦50割は2,000円から2,200円になるらしいのだ。

消費税は3%増えるだけなのに、10%も上がるのか!? まあ、通常の料金は変わらないようなので、致し方ないか……という気もするが、どうも納得いかない。そもそも100円単位にする必要があるのか。1,000円のものは1,030円に、1,800円のものは1,850円にすればいいのではないか、と思うのだが。

一番悪いのは、消費税率を上げた人だが。

2014-03-26

実話に基づく戦争の話「ローン・サバイバー」

題名ローン・サバイバー(Lone Survivor)
原作マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還」
監督ピーター・バーグ
出演マーク・ウォールバーグ(マーカス・ラトレル)、テイラー・キッチュ(マイケル・マーフィ)、ベン・フォスター(マシュー・アクセルソン)、エミール・ハーシュ(ダニー・ディーツ)、他
公式サイト『ローン・サバイバー』大ヒット上映中
制作USA(2014年3月21日日本公開)
時間121分
劇場新宿ミラノ1

内容紹介

2005年6月、アフガニスタン紛争におけるタリバン指導者暗殺作戦中に起きた、ネイビー・シールズ(アメリカの誇る精鋭特殊部隊で「キャプテン・フィリップス」でも登場した)史上最大の悲劇といわれる「レッド・ウィング作戦」を実写映画化したもの。また実話物語。

アフガニスタン山中で、4人のDEALs隊員が極秘任務中に羊飼いに遭遇してしまう。彼を見逃せばタリバンに連絡されて致命傷を負う可能性がある。しかし民間人である彼を殺せば世界中から批判を浴びる。迷った末に解放したが、その後4人は200人を超える武装タリバンに襲われることになる……

雑感

気が滅入る話だった。200対4という絶体絶命の窮地からマーカス・ラトレルが生還できたのはなぜか、それは……と美談仕立てにしたいようだったが、相手がタリバンであれば殺してもなんとも思わないというのもおかしな話だし、そもそもアフガニスタンの内乱にアメリカが介入するのもいろいろと疑問がある。

そこいら辺の話をすっ飛ばしておいて、奇跡の生還だの、現地の人の友情がどうとそこだけ持ち上げても、感情移入はしにくい。SEALsがアフガンへ行かなければこんな悲劇は起きなかったわけだし、彼らに巻き込まれて死んだ現地の人はいい迷惑である。

切り立った崖から何度も転がり落ちるシーンなどはすごいと思ったが、全体としてはとにかく気が滅入る作品だった。

Academy Award

第86回アカデミー賞で音響編集賞、録音賞にノミネート。

今日の英語

  1. Are you up?(起きてる?)
  2. You copy.(応答せよ)

劇場

ミラノ1は以前は何度かきたことがあり、広くてすごい印象が残っている。大作映画は、できれば広い劇場で、超大画面で、大勢の観客とともに観たい。今回はたまたま条件が折り合ったので久しぶりに利用した――が、他の映画館をいろいろ知ってしまった今となっては、それほど大きなスクリーンとは思わなかったし、設備が古いのも気になった。恐らく今後利用することはないのではないか。

2014-03-25

前作よりパワーアップ!「神様のカルテ2」

予告編を見て、これは観に行くべきだと判断したが、期待に違わぬ内容だった。前作と比較してはるかに優れた作品になっている。

題名神様のカルテ2
原作夏川草介
監督深川栄洋
出演■前作から/櫻井翔(栗原一止、内科医)、宮崎あおい(栗原榛名、山岳写真家)、要潤(砂山次郎、外科医)、吉瀬美智子(外村静枝、救急外来看護師長)、池脇千鶴(東西直美、主任看護師)、朝倉あき(水無陽子、看護師)、柄本明(貫田誠太郎、消化器内科部長)、西岡徳馬(高山秀一郎、信濃医大教授)、原田泰造(男爵)、他

■初登場/藤原竜也(進藤辰也、血液内科医)、市毛良枝(貫田千代、誠太郎の妻)、吹石一恵(進藤千夏、辰也の妻)、濱田岳(屋久杉、御嶽荘の住人)、矢島健一(本庄病院の事務長)、鈴木瑞穂(本庄病院の院長)、佐藤二朗(糖尿病患者)、他

公式サイト映画『神様のカルテ2』公式サイト
制作日本(2014年3月21日公開)
時間116分
劇場TOHOシネマズ 川崎

雑感

前作は、何気なく観てみたけれど、さして感心はしなかった。まあ何本も観ていればそういうこともあるさ、という程度だった。しかし、たとえ結果的にそうした感想しか持てないとしても、それでも観ておくことは意味がある。今回はそのことを強く感じた。

もし前作を観ていなければ、本作はまず間違いなく観ていないはずで、その結果、この作品を見逃すことになっただろう。前作を観ていたからこそ、本作に出会えたわけである。

前作に比べて何がよかったかというと、これはもう櫻井クンに尽きる。前作とは比較にならないほど、本作ではピシリと芯の通った、カッコいい役になっている。役者として成長したのか、それとも前作で僕が気に入らないと思った演技も意図的なものだったのか? わからない。でも、少なくとも栗原一止クンは医者として成長している。

それから脚本もよかった。前作では本庄病院での出来事と御嶽荘での出来事の両方が描かれ、仕事と家と両方の出来事が栗原一止を成長させていくと言いたかったのかも知れないが、焦点がぼけていた。今回と比較するとよくわかる。今回は御嶽荘の描写は少なく抑えられ、病院の中のことに焦点が当たるので、話がスッキリしている。

前回これといった見せ場のなかった吉瀬美智子は、今回は存在感を発揮。そんなわけでいい映画だと思ったのである。

しかし貫田先生のあの設定は反則だなあ。泣かされたよ。

公式サイト

「公式サイトは誰のため?」(2014/03/22)では映画の公式サイトはどれもこれも情報が足りない、特に「キャスト」情報は……と文句を言ったが、その意味では本作の公式サイトはかなり親切であることは触れておこう。13人の紹介があるが、まず13人というのはかなり多い(強いて言えば、矢島健一、鈴木瑞穂、佐藤二朗の紹介もあると良かったが)。*1全員が写真つきの紹介というのは珍しい。さらに、役者の経歴だけではなく、役名の説明もある。

ストーリーも比較的ていねいだ。さすがに進藤辰也の「事情」についての説明はないが、それは映画を観てくれということだろう。

他のサイトもここを大いに見習い、この程度の情報を載せるのは当たり前であるようにしてほしい。

神様のカルテ2 (小学館文庫)

神様のカルテ2 (小学館文庫)

過去記事

*1:キャスト欄の人数は、「LIFE!」は7人、「ラヴレース」は8人、「グランド・ピアノ 狙われた黒鍵」は3人、「愛の渦」は12人、「偉大なるしゅららぼん」は15人、「銀の匙」は9人。

2014-03-24

もう少しでマイレージがたまる!

以前にも書いたが、TOHOシネマズのシネマイレージ会員になっている。主要な会員特典は次の3つ。

  1. 毎週火曜日は1300円
  2. スタンプラリー(6本観ると1本無料に)
  3. マイルが貯まる(上映時間1分=1マイル)

1は直接的なメリット。2も会員になってかなりたち、それなりの本数を観ているので、数えてないけどこれまで6〜7回くらいは無料で観ているはずである。これは大きい。それに比べるとマイルの方は急に貯まるわけでもないから、それほど気にしていなかった。が、「ロボコップ」までで累計5,763マイル貯まっていた。

マイルの使い道はいろいろあって、ポップコーンとかも買えるのだが、6,000マイル貯まると一ヶ月TOHOシネマズの映画が見放題になるフリーパスポートがもらえる。実はこれを狙っているのである。

今でも、お金がないから観たい映画を我慢するということはなくて、観たい作品が観られないほとんどの理由は時間的制約だから、無料で観られるからといって急に観る本数が増えるということはないだろう。しかし、1ヶ月にわたって映画代が節約できるなら、それはそれでたいへんにありがたい。

付記

スタンプラリーではこれまで6回、無料で観ていた。TOHOシネマズの会員サイトに記録が残っていた。スゴイ!(2014/4/7)

2014-03-23

若山耀人クンの演技に泣かされた/「軍師官兵衛」第12話「人質松寿丸」

公式サイト

出演

  • 若山耀人(松寿丸)
  • ミッキー・カーチス(松永久秀)

粗筋

松永久秀の裏切りもあり、信長は播磨の小寺、赤松、別所らに、味方するなら人質を差し出すよう要求。赤松・別所は従ったが、一粒種の斎(いつき)を可愛がる小寺政職は人質を渋る。人質を出さねば織田の軍勢が加勢に来ないのみならず、小寺家自体が敵と見做されかねない。苦境に立たされた官兵衛は、一人息子の松寿丸を人質として織田に差し出すことにした……

雑感

これまで11回を見てきて、別段何が悪いというほどのことはないが、ここが良かったというほどのものもなく、淡々と眺めてきた。言ってみれば延々と粗筋を述べられているようで、盛り上がりに欠ける点は不満に思わなくもなかったが、感動させられ過ぎても緊張感を強いられ疲れるので、こういう年があってもいいのではないかと思って見ていた。

が、今回は、今年初めて泣かされた。泣かされたのは若山耀人クンの演技だ。苦境に立たされた父、人質に反対する母の姿を見た松寿丸が、自ら人質を志願するシーンである。

この大河ドラマには、多くの実績ある、あるいは才能のある名俳優が大勢登場している。しかし、今回の若山クンは、「軍師官兵衛」に登場した、どの役者のどの演技よりも素晴らしかった。つまりはっきり言って、柴田恭兵よりも、中谷美紀よりも、岡田准一よりも上だったということだ。子役にしては、というレベルではないよ。

同時に、脚本がどうとか、演出がどうとか、いろいろ役者がその力を必ずしも発揮できない要因はあるのだろうが、役者が魂を込めて言を発すれば人の心を打つのだということを改めて実感した。若山耀人は、官兵衛の幼少期を演じて評判が良かったから長政の少年期も演じることになったと推察するが、彼の起用は大正解である。ダレたドラマを彼一人が喝を入れてくれた感じだ。

さて、内容に関する若干の疑問。織田に同盟を申し入れた時から、既に二年が経過している。いまだに人質を差し出していなかったのかよ! 同盟って口約束だけかよ! と驚くと同時に、この二年間、毛利は一体何をやっていたのだ!? 強国に挟まれた小さな国が、二年間も何事もなく暮らしていかれるほど呑気な時代だったのだろうか……

2014-03-22

公式サイトは誰のため?

やたらに動画やらなんやらと派手な作りになっていて、手間暇かけて作っていることはわかるけれど、肝心な情報が書いていない。どの映画の公式サイトを見てもそう感じる。

充実しているのは予告編である。サイトにアクセスするとたいていの場合自動で立ち上がるし、映画館で流れる予告編にテレビスポット全種類が置いてあるのは普通である。また、イントロダクションと称して派手な煽り文句や、評論家にこんなに高く評価されている、洋画の場合はアメリカで興行収入××を記録した……とかの惹き文句が並ぶ。

その一方で、キャスト紹介は情けないくらいに貧弱である。たいていの場合、主要な登場人物が数人記載されるだけ。10人以上記載されるのは稀である。ポスターなどではスペースの問題もあるから、限られた人しか名前が挙がらないのはわかる。しかしサイトの場合は、エンドロールで流れる人すべてを書けとは言わないまでも、もっと大勢の紹介があってもいいのではないか(僕は本来、エンドロールと同じ情報がサイトにあってしかるべきだと考えている。それができない理由がわからないのだが、何か制約があるのだろうか)。

紹介の仕方も、役者名と役名と併記されて、役者に関しての紹介はあっても役名の説明がないことが多い。こちらからすれば、役者の方は誰だかわかれば経歴を調べる方法はいろいろあるが、役柄の方こそ、正確な名前や、どういう役だったか、他の登場人物との関係などを説明してほしい。ここで説明してくれないと、他では調べようがないのだから。

「役者A:役名X」のように書いてあって、え、Aさん出演してたの? 気づかなかった。どの役? X……って、誰だっけ。どこで出ていた人? とあとで思うことはよくある。ここで、「役名X(主人公の姉。陰ながら主人公を見守る存在)」みたいに書いてあれば、あ、あのお姉さんがAさんだったのかあ……とわかる。写真が添えられていれば、なおよい。もしAという役者を知らなければ、それで覚えることができる。その方が役者にとっても、それは映画製作者としても、幸せなことだと思うのだが。

中には役者名しか載せていないサイトもある。最近では「ロボコップ」がそうだった。これはひどくないか。

粗筋もそうだ。「こんな事件が起きた。さて」というところで終わっていて、肝心なことは書いていない。ネタバレを恐れているのかも知れないが、それなら、ここから先はネタバレであると明記した上で別のページに情報を置くとか、方法はあるように思う。ストーリーの結末に直接関係がなくても、背景事情や設定などが作品を一度見ただけではわかりにくいことがある。そうした点について解説があるといいと思うのだが、これもめったにない。たとえば「TRICK ラストステージ」では、彼らが向かった国の名前がどこにも明かされていない。これは寂し過ぎるのではないか。

総じて、これから映画を観ようかどうしようかという層に対する宣伝がメインになっていて、映画を観た人が理解をさらに深め、余韻を反芻することを助けるものにはなっていない、ということなのだろう。宣伝は大いに結構だが、劇場で実際にその作品を観た人をもっと大事にしてほしいと思う。

2014-03-21

「サイコ」を見損なった

TOHOシネマズ六本木では3月8日から21日(つまり今日)まで「サイコ」を上映していた。これは観たかった。

一昨年に「レベッカ」「鳥」を劇場で観る機会に恵まれ、その素晴らしさに感心。古い映画だろうがいいものはいい、ということを実感し、さらに昨年ヒッチコックの伝記映画を観て以来、他はともかく「サイコ」は(劇場で)観たいと強く願っていた。その甲斐あって、2013年度の「新・午前10時の映画祭」で上映されることになり、これは観ようと楽しみにしていたのだ。

が、もろもろの事情があり、なかなか劇場へ足を運べないでいるうち時間がどんどん過ぎてしまう。

一日一回、午前10時からの上映だから、平日は行かれない。土日を逃すと見られないわけだが、さいわい最終日の21日は祝日だ。21日には行こう、と思い、20日の夜にはチケットの予約もした。この時点で7割がた席は埋まっていたから、当日直接劇場へ行ったら恐らく席はないだろう。

しかし、今朝は起きられなかった。一週間の疲れがたまっていたせいか。いったん朝目が覚めたことは覚めたのだが、どうしても起き上がることができず、結局諦めてしまった。

「サイコ」を劇場で観る機会は、僕が生きているうちには、もうないかも知れない。それを思うと残念だが、縁がなかったのかも知れない。

過去記事

2014-03-20

ぶっ飛んだ……「愛と誠」(DVD)

ポスターを見た時、清楚で「正統派美人」というべき武井咲は、まさに早乙女愛にぴったりであり、彼女以上に相応しい人はいない、と思った。武井は本物の「お嬢様」を演じられる(今となっては)数少ない貴重な女優だと思った。だから劇場で観たかったし、それを見逃したことは大きな悔いとして残っていた。

題名愛と誠
原作梶原一騎・ながやす巧
監督三池崇史
出演妻夫木聡(太賀誠)、加藤清史郎(太賀誠・幼少期)、武井咲(早乙女愛)、市村正親(早乙女将吾)、一青窈(早乙女美也子)、斎藤工(岩清水弘)、大野いと(高原由紀)、安藤サクラ(ガム子)、伊原剛志(座王権太)、前田健(先生)、余貴美子(太賀トヨ)、他
制作日本(2012年6月16日公開)
時間134分

f:id:chd:20140325154620j:image:w360:right

内容紹介(ネタバレあり)

単行本にして全16巻の内容を一本の映画にまとめている。そのため、座王与平は出てこないし、緋桜団のエピソードもばっさり省かれている。そこで、太賀誠を刺したのは、青葉学園時代にバカにされた担任教師……という設定はうまいと思った。

一方、ガム子が校舎の窓から逆さ吊りになるシーンはばっちりあるし、誠の母親が鉄道自殺を図るエピソードも残されている。高原由紀は常にツルゲーネフの「初恋」という本を手放さない。ただし、投げナイフの見せ場がなかったのは残念だった(彼女が投げナイフの腕を披露するのは誠に相対する時で、誠にけがは負わせるが、最終的に防がれている。その前に、別の人間にナイフを投げて恐怖に震えあがらせるシーンがほしかった)。

誠が愛に惹かれているエプソードもすべて省かれているため、最後に誠が愛に会いに行くのが意味不明になってしまっている。

雑感

以前、「あしたのジョー」の感想で次のように書いたことがある。

なにしろあの歴史的名作の実写映画化である。誰がどんな風に作ったところで、どこからか文句を言われるに決まっているのである。そういう難しいものに取り組んだ関係者には称賛の意を表したい。

「ガッチャマン」の時にはこう書いた。

このような大昔の名作アニメを実写化する場合、その出来栄えを評価しても仕方がないと思う。とにかく作ったという事実が大切であり、それを観ることが重要なのだ。「大昔の名作漫画・アニメの実写化」の先駆けは、自分の中では「デビルマン」で、9年前にこの映画を観た時、非常にがっかりし、制作陣に憎悪すら感じたものだが、一昨年に「あしたのジョー」「ワイルド7」を観てそう悟るようになった。

どんな作品か見られただけで幸せだというべきだろう。がっかりしたと、口には出すまい。とにかく、早乙女愛は髪型も原作にそっくりだったが、お嬢様でもなんでもなかったのは残念だった。もう武井咲の顔を見たらギャグとしか思えなくなる。

今の世の中は、真面目なことを真面目に演じるのが難しい。途中でちゃんと突っ込みを入れ、ギャグにしないと、緊張に耐えられなくなるということなのだろうか。スケバングループとか、影の番長とか、そうした設定自体が今となってはギャグとしか思えないもんなあ。ギャグにするしかないよなあ。

過去記事

リンク

これは誰が作ったサイトなのだろう。手が込んでいるしよく調べてあるが、著作権表示がなく、写真もなく、文章が推敲されていないから、熱心なファン(個人)が作ったものなのだろうか。

2014-03-19

あの身体はもう少しなんとかならなかったのか「ロボコップ」

こういう映画は嫌いじゃない。楽しく観た。

題名ロボコップ(RoboCop)
原作1987年の映画のリメイク
監督ジョゼ・パジーリャ
出演ジョエル・キナマン(アレックス・マーフィー)、ゲイリー・オールドマン(デネット・ノートン、オムニコープ社ロボット博士)、マイケル・キートン(レイ・セラーズ、オムニコープ社CEO)、アビー・コーニッシュ(クララ・マーフィー、アレックスの妻)、ジャッキー・アール・ヘイリー(マドックス)、サミュエル・L・ジャクソン(パット・ノヴァク、インチキ臭いコメンテーター)、他
公式サイトロボコップ |オフィシャルサイト
制作USA(2014年3月14日日本公開)
時間117分
劇場TOHOシネマズ 川崎

内容紹介

2028年。オムニコープ社はアメリカ以外の国でロボット兵器、ロボット警官を普及させ、莫大な利益を得ていたが、アメリカでは法規制のため配備ができない状況だった。反対の主な理由は、「ロボットには心がない」こと。それならば人間の身体をロボットにすればいいのではと考えていた矢先に、アレックスが事件に巻き込まれ瀕死の重傷を負う。彼の命を救うためという名目で彼の身体を機械に改造。ロボット警官「ロボコップ」が誕生した。

雑感

こういう作品は嫌いじゃない。ロボットのアクションシーンはそれなりに面白かった(特にバイクで疾走するシーンは格好よかった)。

本作のテーマは「ロボットにされてしまった哀しみ」であるように感じた。それをいうなら、あの身体はないよな、と思った。現在でも、義手義足、あるいは人工心肺など、身体の一部を人工のものに代える方法は広まっている。こうしたものは、機能面が重要なのはいうまでもないが、それと同じくらい大事なのは、極力目立たないようにすることである。大きさや形はなるべく本物そっくりにする。服を着てしまえばわからないようにする。その方が心身の平安が得られるのは自明だ。乳癌で乳房を切除した女性が、乳房再建手術をするのも同様だろう。医学的には患部を切り取ったことで完結しても、さらに手間をかけて外見を昔に戻す必要があるわけだ。

だから、眠りから覚めて自分の新しい身体を見たアレックスが死にたくなる気持ちはよくわかる。あんなごつい身体ではなく、人間と同じ体格にしてあげることはできなかったのか。あんなに目立つ格好では敵対組織に狙われる。上から服を着られるようにした方が、任務遂行という点でも有利だったのではないか。

主題とは直接関係ないが、ロボットには心がない、心がないものに判断させていいのか、みたいなことが全編を通じて描かれるのだが、ここには違和感がある。ロボットは道具。道具は判断しない。判断するのは、その道具を使う人間である。そういう視点が欠けているのはなぜだろう。

コンピュータが進化して、一見、高度な判断をしているように見えても、そのようにプログラミングをしているのは人間なんだけどな……

日本語タイトル

「ロボコップ」という名前はずいぶん前から耳にしていたのだが、全く違うものを連想していた。日本語で「コップ」というと(copではなく)cupのことだと思うのが普通ではないか。「ロボット警官」とか、ロボコップは(スーパーマン、スパイダーマン等と同じく)固有名詞だから変えたくないというのではれば、「ロボ警官」として「警官」に「コップ」とルビを振るとか……

今日の英語

  1. I continue to stand by.(取材を続けます)
  2. You did it.(よくやった)
  3. We're running out of time.(時間がないわ)
  4. Deal.(承知した)
  5. Clear?(いいな)

公式サイト

やたらと凝った作りになっており重たいが、情報量が少な過ぎる。キャスト&スタッフに到っては俳優の名前だけで、何の役をやっているかも記されていなければ、個々の紹介もないのは寂し過ぎるのではないか。

リンク

この映画には「!」が確かにあった「LIFE!」

ラストシーンの印象度という点では、これまで観た映画の中でも一、二を争うかも知れない。

題名LIFE!(The Secret Life of Walter Mitty)
原作ジェームズ・サーバー「虹をつかむ男」/同題の映画(1950年)のリメイク
監督ベン・スティラー
出演ベン・スティラー(ウォルター・ミティ、LIFE社員)、クリステン・ウィグ(シェリル・メルホフ、ウォルターの同僚)、ショーン・ペン(ショーン・オコンネル、冒険カメラマン)、シャーリー・マクレーン(エドナ・ミティ、ウォルターの母)、キャスリン・ハーン(オデッサ・ミティ、ウォルターの妹)、アダム・スコット(テッド・ヘンドリックス、ウォルターの新しい上司)、パットン・オズワルト(トッド・マハール、出会い系サイト「eHarmony」の担当者)、他
公式サイト映画「LIFE!」オフィシャルサイト
制作USA(2014年3月19日日本公開)
時間93分
劇場TOHOシネマズ 川崎

内容紹介

ウォルター・ミティは雑誌「ライフ」の写真管理部に永年勤めている。独身。思いを寄せる人はいるが、告白することもできない。そんな内気な彼は、空想の中でヒーローを演じ、その世界にたびたび思いを馳せ――現実には「ぼんやり」していることが多かった。

ある日、ライフ社の事業統合に伴い、「LIFE」誌が廃刊されることになった。部内はリストラの嵐が吹き荒れる。新しい上司テッド・ヘンドリックスはウォルターもリストラ候補に挙げていた。そんな矢先に専属カメラマンのショーン・オコンネルからテッドの元に電報が届く。最終号を飾るに相応しい写真が撮れた。表紙にはぜひ25番の写真を使ってほしいと。しかしウォルターの手元には、その25番のネガだけが見つからないのだ。

大事な写真を、それも最終号の表紙を飾る写真のネガを紛失したなどということになっては大問題になる。クビは確実。いくら探しても見つからず、ショーンは携帯電話を持っていないので連絡も取れない。ついにウォルターはショーンの行方を追って旅に出る……

雑感

話の展開がダイナミック過ぎて、どのように収まりをつけるのかまるでわからず、ついていくのは大変だったし、不安にもなったが、最後はちゃんと話を落としてくれる。最後まで観てようやく安心できる。

紛失した写真を探すというミステリーでもある。そうなれば、当然、その写真はそこまでして探す価値があるものなのかという疑問が生じる。従って、それは何を写した、どんな写真なのかというミステリーでもある。それは最後に明かされるのだが、その写真は、LIME誌の最後を飾るのにこれ以上相応しいものはないと思われる者であり、すべての疑問を明解に説明するものだった。

ちなみに、実際のTIME誌最終号の表紙はなんだったのか、調べてみたが、これとは全く異なるものであった。画面に映し出される過去の表紙は実際にあったものだが、これは創作である。誰が考えたのかわからないが、この写真で行こう、というアイデアが、この映画のすべてを決めたように思われる。

ただし、気になる箇所がないでもない。ショーンがこれを表紙に使うよう提案したのはわかるし、多くの人はその考えを支持するであろうが、テッドはなぜそれを飲んだのか。「ふざけるな。表紙にもっと相応しい写真はある」と突っぱねることもできたはずだ。また、もしこの写真を受け入れるなら、ウォルターのクビは撤回しないとテッド自身の信用が失われるはずである。テッドがクビを撤回し、ウォルターが「誰がお前の下でなんか働くか」といって自分から辞めるというならテッドの顔も立つが、そのようなやりとりがあった風でもなかった。この点は疑問が残る。

今日の英語

  1. Seriously.(マジか)

リンク

2014-03-18

冒頭の10分

「らばQ」に興味深い記事が載っていた(このサイトは興味深い記事満載で、毎日読んでいるのだが、ここで言っているのは「映画的に興味深い記事」という意味である)。

真面目に考えるなら、この質問は少々おかしい。作品の冒頭というのは、これから作品世界に観客を引き込み、約2時間、興味を掻き立てるために、制作者は最大のエネルギーを注いでいるはずで、最初の10分を見なくても特に大きな問題がない、というような映画は本来ないはずなのだ。もし仮にあったとしたら、その映画は、残りの部分を見なくても、多分問題ないだろう。

その意味では、上記記事にある大部分のコメントは的を外しているといえるが、「2001年宇宙の旅」だけは笑った。敢えて引用する。

最初の10分を見なければ、むしろ映画のつじつまがもっと合う。

言い得て妙である。そして、この意味がわかるということが、何よりも嬉しい。「2001年宇宙の旅」を観ていなければ、わからないことだから。

2014-03-17

TOHOシネマズのポップコーンのCM

最近TOHOシネマズで流れるポップコーンのCMは、「2001年宇宙の旅」のオープニングのまんまパクリだ(「ポップコーンと映画の旅」という副題がついている)。

名作映画の衝撃的なオープニングを、このような形で安易に消費する姿勢には賛成できないけれど、これが「2001年宇宙の旅だ」ということがわかったのはとても嬉しい。

2014-03-16

ついに秀吉が播磨に/「軍師官兵衛」第11話「命がけの宴」

公式サイト

出演

  • 生田斗真(高山右近)
  • 陣内孝則(宇喜多直家)

粗筋

織田の水軍が毛利と激突し、敗北。その知らせを聞いて播磨は動揺、続々と毛利に寝返る地侍あり、小寺政職も「やはり毛利の方がいいのでは……」と考え始めていた。動揺を鎮めるために織田への援軍を要請した官兵衛だが、北の上杉謙信をはじめ、各地の戦闘で余裕がなく、播磨に兵を出すことができない。

播磨行を希望する秀吉は、対上杉のため北陸行を命じられたが、柴田勝家と険悪になり、兵を長浜へ引き上げてしまう。信長の命に叛いたことになるため、処罰を覚悟したが、結果はお咎めなし。晴れて播磨に兵を出し、中国討伐を進めることになった。

雑感

それなりに面白い回ではあったが、その割に盛り上がらなかった。どこが悪いということではないのだが、どこといって見所がないというか。小寺の殿を、あるいは他の人をまとめるための方策が「信長からの援軍」だけというのも知恵の足りない話だし、宇喜多直家からいいように言われて何も言い返せなかったのも面白くない。見せ場らしい見せ場といえば、信長が秀吉を赦すところなんだが、できれば主役が関係しているところで見せ場がほしかった。

しかし、信長からの援軍が一向にこず、官兵衛がイライラし、他の人たちが動揺している数か月の間、毛利はいったい何をしていたんだ。今播磨を攻めてくれば、前回と違って播磨には抗戦する気力というかモチベーションがなく、あっさり播磨一国を手に入れられたであろうに。

小早川隆景が足利義昭に、「織田を破ったことで播磨の地侍が続々と毛利に寝返ってきています。あとは小寺を手中にすればそれで播磨は手に入りましょう」と告げるが、寝返ってくるのを呑気に待つだけではなく、手に入れに出向くべきだったのではないか。史実は知らぬがこのドラマでいうなら、毛利は天下を取る千載一遇のチャンスを棒に振ったことになる。

だしはキリスト教に入信。服装が地味になって村重が残念がる。

善助は姿を消そうとするお道に「女房になってほしい」と告白。お道もそれを受け入れる。

2014-03-15

何度観ても名作だわー。「ゼロ・グラビティ」

題名ゼロ・グラビティ(Gravity)(3回目)
劇場109シネマズみなとみらい 【Dolby 3D】

雑感

何度観ても飽きない作品だ。

登場人物は二人だけ、と書かれている映画評をよく目にするけど、実際には三人いた。いくらすぐに死んでしまったとはいえ、この三人目の宇宙飛行士も不遇だな、と思っていたのだが、考えてみたら顔もわからない。顔がわかった時は死んでいた。死体を見た、というだけならシャトル(エクスプローラー号)の船員も何人か登場していた。

エンドロールを注意して見ていたら、三人目の宇宙飛行士はVoiceとして紹介されていた。してみると、最初に宇宙服姿で動いていた人は、本人(声の人? 死体のモデルの人?)ではないのか。もしかしたらCGなのかも知れないな。

サンドラ・ブロックが宇宙服を脱いで露出度の高い姿を見せてくれるシーンがある。ある、というか、そのシーンは長い。ラストシーンもその格好だ。これを「セクシーな姿」とする声もちらほら目にしたが、そういう意見の持ち主には驚きを禁じ得ない。あれがセクシーか!? せっかく素脚を見せてくれるなら、せめてもう少し色気のあるパンツを穿いてくれていたらよかったのに、と自分がガッカリしていたからだ。

ソユーズの中で、ライアンが万策尽きて死を覚悟する場面、そんな彼女をマットが叱りつけ、励ますところ、そして「早く(死んだ)娘に会いたい」という気持ちから、「向こうで娘に会ったら伝えて、ママは決して諦めないと」に変わるシーンがドラマとしてのハイライト。ここでのジョージ・クルーニーの存在感は圧巻だ。

娘が死んだという設定はサンドラのアイデアだとのこと。当初は愛娘の待つ地球に帰る、という設定だったそうだが、目標があれば頑張るのは当たり前だと思って、変えるように提案したのだそうだ。なるほど、だから前半のライアン博士は向上心が強いとは言えず、諦めも早かった。

リンク

Ryan Stone : I know, we're all gonna die. Everybody knows that. But I'm going to die today. Funny that... you know, to know. But the thing is, is that I'm still scared. Really scared. Nobody will mourn for me, no one will pray for my soul. Will you mourn for me? Will you say a prayer for me? Or is it too late... ah, I mean I'd say one for myself but I've never prayed in my life. Nobody ever taught me how... nobody ever taught me how...

Matt Kowalski : I get it. It's nice up here. You can just shut down all the systems, turn out all the lights, and just close your eyes and tune out everyone. There's nobody up here that can hurt you. It's safe. I mean, what's the point of going on? What's the point of living? Your kid died. Doesn't get any rougher than that. But still, it's a matter of what you do now. If you decide to go, then you gotta just get on with it. Sit back, enjoy the ride. You gotta plant both your feet on the ground and start livin' life. Hey, Ryan? It's time to go home.

Ryan Stone: Hey, Matt? Since I had to listen to endless hours of your storytelling this week, I need you to do me a favor. You're gonna see a little girl with brown hair. Very messy, lots of knots. She doesn't like to brush it. But that's okay. Her name is Sarah. Can you please tell her that mama found her red shoe? She was so worried about that shoe, Matt. But it was just right under the bed. Give her a big hug and a big kiss from me and tell her that mama misses her. Tell her that she is my angel. And she makes me so proud. So, so proud. And you tell her that I'm not quitting. You tell her that I love her, Matt. You tell her that I love her so much. Can you do that for me? Roger that.

劇場

みなとみらいに行くのは久しぶり。Dolby 3Dで観たのだが、Dolby 3Dはとにかく暗い。できれば二度と見たくない方式だ。そもそもこの作品に関していえば、無理に3Dで観る必要はないんじゃないか。それを確認する上でも一度2Dで観てみたかったが。

過去記事

2014-03-14

なんてよくできた作品なんだ!「ラヴレース」

内容もインパクトあるけど、映画作品として極めてよくできている。アマンダの体当たりの演技にも拍手したい。実話に基づく物語。

題名ラヴレース(Lovelace)
監督ロバート・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
出演アマンダ・セイフライド(リンダ・ラヴレース)、ピーター・サースガード(チャック・トレイナー、リンダの夫)、シャロン・ストーン(ドロシー・ボアマン、リンダの母)、ロバート・パトリック(ジョン・ボアマン、リンダの父)、ジェームズ・フランコ(ヒュー・へフナー、「プレイボーイ」編集長/カメオ出演)、クロエ・セビニー(レベッカ、インタビューアー)、ハンク・アザリアジェラルド・ダミアーノ、映画監督)、クリス・ノース(アンソニー・ロマーノ、マフィア)、ジュノー・テンプル(パッツィ、リンダの親友)、他
公式サイト映画『ラヴレース』公式サイト
制作USA(2014年3月1日日本公開)
時間93分
劇場シネマート新宿

内容紹介

日本語のタイトルを見た時、漠然とlove race(愛の競争?)のことかいなと思ってしまった。人物名だということは映画が始まった時にわかった。これは、「ディープ・スロート」で一世を風靡した伝説のポルノ女優を描いた作品だったのだ。「ディープ・スロート」という映画があったことすら初めて知った。

さて、若き日のリンダは両親にかなり厳しく育てられている。本人が両親の望むような子に育っているかは別問題だが、彼女は19歳の時に妊娠してしまったことがある。その時、親からはふしだらだなんだとさんざんなじられ、出産したものの、産後すぐに母親がどこかに養子に出してしまい、以後リンダは行方を知らない。……そんな事件があったため、親が付き合う相手のことを根掘り葉掘り尋ね、厳しい門限を設定したりするのもやむを得ないとリンダは考えている。

やがてバーを経営するチャックと知り合い、愛し合うようになる。パッツィはチャックに胡散臭さを感じるものの、リンダはチャックに夢中で、リンダの両親も外面のいいチャックを気に入ったようで、かくて二人は結婚する。

楽しいはずの新婚生活だったが、ある日チャックが売春斡旋の罪で逮捕される。実はチャックは借金を抱え、困っていたのだ。相手がマフィアのため、借金を返せないと大変な事態になるという。リンダも、手持ちの金はチャックの保釈金として使ってしまい、ほとんどない。そこでチャックはリンダに映画出演を持ちかける。

それはポルノ映画だった。リンダは顔もスタイルも際立っているとはいえず、スタッフは難色を示すが、チャックが自分たちのハメ撮りビデオを見せると、リンダのフェラチオのテクニックにスタッフは驚き、即座にこの行為をフィーチャーした作品を撮ることを決意。かくて「ディープ・スロート」という作品が作られ、それは全米で空前のヒットを記録する……。

雑感

チャックにポルノ映画への出演を強制されてもリンダは嫌がる態度を見せず、撮影所でも明るく振る舞い、むしろ積極的に取り組む姿勢を見せた。また、ポルノスターとしてであれなんであれ、世間の注目を浴びることに舞い上がっているようにも見えた。このあたりはちょっと意外で、まあそうした天真爛漫さがあってこそ、スターにもなれるんだろうなと思っていたのだが、リンダが実家へ帰るシーンから急に様相が変わる。

ある日の深夜、リンダが泣きながら実家を訪ね、母親にしばらくここに置いてほしいと頼む。その時ドロシーは、「結婚した娘が家へ帰ってきたなんて近所に知られたらなんと言われるか。家に帰りなさい」と突き放すのである。「あの人が暴力を振るうの」「あなたが悪いことをしたからでしょう」「お願い、2〜3日でいいから。いえ、今晩一晩でもいいから」「さっさと家へ帰ってチャックに仕えなさい。それが妻の務めです」……いったいこの女はなんなんだ。たとえリンダに非があろうがなんだろうが、娘が泣きながら助けを求めているというのに、話も聞かないで追い返すのか。そこへチャックから電話がかかってくる。「リンダを探しているんです――」もちろんドロシーは居場所を白状してしまい、リンダはチャックに連れ戻される。

そこからの展開は驚くべきものだった。チャックはリンダを脅迫し、暴力をふるい、ポルノへ出演させただけでなく、彼が取り入りたいと考えている相手にリンダを「提供」し、映画の出演料はリンダにびた一文渡さずチャックが管理し、さらに彼女をキャンペーンガールとして性具の大々的な販売に乗り出すなど、リンダを肉体的にも性的にも酷使して金儲けに邁進していたのだ。

リンダも、逃げ出そうと思えば逃げ出せないわけではなかった。が、敬虔なカソリックである母親から、夫のいうことに従うのが妻の役目だと刷り込まれてきたリンダには、その場その場で嫌がる素振りをするのが精一杯で、本気で逆らったり逃げ出したりすることができなかったのだ。

それなのに、父親は、娘が好き好んでこんな映画に出たと思ったのか、なんでこんな娘になってしまったんだ、私たちの何が悪かったんだと泣いて訴えるシーンまである。

それほど長い作品ではないのだが、結婚から映画出演まで、最初は第三者の視点(これまで多くのアメリカ人が、漠然とそうだと思っていた視点)で眺め、一転して同じ歴史をリンダの視点で振り返り180度違う事実を描き出していくところは見事だ。

最後は、このままではダメだと決意したリンダがチャックの支配を断ち切って逃げ出したことから彼女の人生が変わる。この自立と再生のストーリーもまた視聴者に勇気を与えるものだ。

しかし、娘が実はこういう状態だったのだということがわかったあとでもなお反省せず、一言も謝罪しないのは見事だったな。

今日の英語

  1. He came in.(イッたの)

リンダのフェラテクに耐えきれなくなった男優が、うっかり射精してしまい、監督から「どうした?」と訊かれてリンダが答えたセリフ。

配役

  • ロバート・パトリックは「T2」でT-1000を演じた人。作中、チャックと会食のシーンで「前線で戦ったことがある」と言うが、これはあのことを指しているわけではあるまいな?

劇場

シネマート新宿は初めて。角川シネマ新宿と同じビルだ。

Kiss your ass hole! と叫びたいのはこんな時。「グランド・ピアノ 狙われた黒鍵」

監督も主演の役者も音楽の造詣は深いはずなのに、なぜこんなに音楽を冒涜した作品を作るのか。

題名グランド・ピアノ 狙われた黒鍵(Grand Piano)
監督エウヘニオ・ミラ
出演イライジャ・ウッド(トム・セルズニック、ピアニスト)、ケリー・ビシェ(エマ・セルズニック、トムの妻/人気女優)、ジョン・キューザック(スナイパー)、タムシン・エガートン(アシュリー、エマの知人)、アレン・リーチ(ウェイン、アシュリーの夫)、他
公式サイト映画『グランドピアノ〜狙われた黒鍵〜』オフィシャルサイト
制作スペイン、USA(2014年3月8日日本公開)
時間91分
劇場新宿シネマカリテ

内容紹介

トム・セルズニックは、かつて天才ピアニストとして脚光を浴びていたが、演奏中に大きなミスをし、ステージ恐怖症に陥ったため、以後公演を控えていた。が、人気女優の妻の励ましもあり、恩師の追悼公演で5年ぶりの復帰を決意。妻ともども、再び世間の注目を集めることになる。

演奏会当日、演奏する予定のない楽譜が用意されていた。それは5年前に致命的なミスをした曲「ラ・シンケッテ」だった。誰かの嫌がらせか? トムはその楽譜をゴミ箱に投げ捨てる。が、演奏予定の曲の楽譜を開くと、「一音でも間違えたら殺す」との脅迫の言葉が記されていた。

「ラ・シンケッテ」はトムの恩師パトリックが作曲した難曲で、弾きこなせる人は世界に二人しかいないと言われていた。一人は作曲者であるパトリック、もう一人はパトリックの愛弟子であるトム・セルズニック。パトリックが死んだ今、「ラ・シンケッテ」が弾ける人はトムしかいないのだが……というのがひとつのポイント。

追悼公演でトムが弾いたピアノは、ベーゼンドルファー社製の至高の名器インペリアル。これは通常のピアノにさらに低音部に1オクターブ追加したもので、97鍵ある。パトリックの遺品で非常に高価なもの。この楽器がもう一つのポイント。

雑感

脅迫者はトムにインカムをつけさせ、演奏中も耳元であれこれ指示を飛ばしてくる。これが猛烈に腹が立った。演奏が始まったら「音楽の時間」に没頭しなければいい演奏ができるわけがない。ましてステージ恐怖症に陥るような大きなミスをした「ラ・シンケッテ」であれば、なおさら集中しなければいけないはずなのに、うるさく指示をしてくるだけでなく、なんとくだらないおしゃべりにも付き合わさせるのである。それでいて、「集中しろ」「普段通り振る舞え」「何かあったと絶対に周囲に気づかれるな」ってアンタ……

不安に駆られたトムは、オーケストラの演奏パートはピアノの演奏がないのを幸い、勝手に舞台を降りてしまい、妻の無事を確認しようとしたり、誰かに助けを求められないか四苦八苦する。そして、ピアノのパートが始まる直前にまた舞台に駆けつけるという早業を見せるのだが、そんなことをやれば(それだけで)誰が見たっておかしいつーの。

「ラ・シンケッテ」は監督のエウヘニオ・ミラが作曲したものらしい。またトム役のイライジャ・ウッドは演奏のシーンで、エキストラを使わずに自分で弾き通したところもあったらしい。つまり音楽の素人ではないのだが、「いやぁ、演奏中に話しかけられたら、まともなピアノは弾けませんよ」とは思わなかったのだろうか。それが不思議である。

音楽ミステリーというなら、もっと音楽そのものを大事にしてほしい。観るまでは結構期待していただけに、ガッカリ感も大きかった。

今日の英語

  1. The hole is packed.(満員ですよ)
  2. 「どこに連れて行けばいいというんだ。倉庫か!」というセリフでwarehouseと言っていた。うーん、warehouseなんてそうそう使う言葉ではないと思っていたが、この単語を知ってから、やけに耳にする気がする。「知っている単語は聞き取れる」ということか。

2014-03-13

よくできた芝居だ。役者の好演が光る。「愛の渦」

「123分のうち105分が裸」とかなんとかいう宣伝文句だけは事前に聞いていた。しかし、「八重の桜」で時栄の娘・久栄を好演した門脇麦が主役で、滝藤賢一、新井浩文などが脇を固めるとなると、ポルノではなかろう。一体どういう話なのか? と不安と好奇心が半々であった。

気になる人もいるだろうから、あらかじめ書いておく。女優さん、脱ぎます。次に、これ基本的にコメディです。あ、コメディだと思わないで観た方がいいのかな? コメディだと思って見ると笑いの閾値が上がるから。そして、真面目な人間ドラマでもある。驚いたといっては制作者に失礼だが、かなりしっかりした話で、正直言って驚いた。

題名愛の渦
原作三浦大輔(岸田國士戯曲賞受賞作)
監督三浦大輔
出演門脇麦(女子大生)、中村映里子(保育士)、三津谷葉子(OL)、赤澤セリ(常連)、池松壮亮(ニート)、滝藤賢一(サラリーマン)、新井浩文(フリーター)、駒木根隆介(童貞)、柄本時生(カップル)、信江勇(カップル)、田中哲司(店長)、窪塚洋介(店員)、他
公式サイト映画「愛の渦」公式サイト
制作日本(2014年3月1日公開)
時間123分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜

内容紹介

そこはセックスをしたくてしたくてたまらない人が集まる場所。朝までいて、男は2万円、女は1000円、カップルは5000円。要は乱交のための場ということだ。ある日ある夜、8人の男女が訪れる。最初はぎこちなく会話を始めるが、やがてカップルができて事に及ぶ。一戦終了してもまだ硬さは取れないが、少しずつ会話も弾むようになり、下ネタも出て打ち解けてくる……

雑感

なんというか、最初は「嘘くさい」と思った。このような場所に僕は出入りしたこともなければ、出入りした経験のある人の話を訊いたこともないのだが、お見合いパブみたいなのはそれこそあちこちにあって、夕刊紙などによく紹介記事が載る。その類推で考えると、第一に男女が同じ人数になることがあり得ない。希望者をそのまま受け付けていたら圧倒的に男が多くなるはず。それだと商売として成り立たなくなるから、さくらの女性を混ぜるのだ。つまり、風俗嬢を複数雇って常時待機してもらうわけだ。

店の側がそういう努力をしても、たいていは男の方の人数が多くなる。そうなると、男の間に競争原理が働く。人数差があると、ぐずぐずしていたら、高い金を払って最後まで誰にも相手をしてもらえないまま帰る羽目になりかねない。それが嫌ならどんどん声をかけて話を進めようとするはずだ。本作のように、みんなが緊張して何を話していいかわからないまま時間が経っていく……のは、男女同数で、とりあえず好き嫌いを言わなければあぶれることはない、という安心感があるからだろう。店の側がそのように乳客数をコントロールしているなら、別だが。

それから、女性陣がみな若くてきれい過ぎる。あんな子ばかりが集まる場所なら、僕だって行きたいけど(爆)、そんなはずないでしょ。まあ、これは映画としてのクオリティを保つためだろうから、ここに突っ込んではいけないな。もっとも、門脇麦がブスい表情をしていて、一応ブスっぽく見えたからすげえなと思った。この子は、こういう場所にくる以外に相手を見つけるのは難しいかも知れない。そういう子をきちんと演じていた。

さて、一見してこのくらい嘘くさい設定で話が進むのだが、その進行が、各人のやり取りが、これまた意外なほどリアリティがあるのだ。最初はおっかなびっくり、そしてコトをいたせて嬉しいな感があり、次にパートナーを交代していたすカップルと、同じ相手と再び……というカップルに分かれ、同じ相手と二回する頃には情が湧いてしまって嫉妬が渦巻いたり、この人とはやりたくないとはっきり口に出す人がでてきたりして険悪なムードが漂い……。文章にすると「ただそれだけのこと」にも思えるが、一人一人の感情の起伏が、役者陣の好演もあって、実に見事なリアリティを持って伝わってくるのである。

閉じられた部屋の中で、人の出入りもほとんどなく、セックスするシーン以外は会話で劇を成り立たせるしかなく、要はこのある種の極限状況の中での感情の行ったり来たりを見せる作品だということになる。本作はもともと芝居として上演されたものだそうだが、これはまさに芝居だ。(「おとなのけんか」を思い出した。)

さて、ちょっとネタバレになるが、最後に店員が女子大生に電話する時、自分の携帯を使わないでニートの携帯を使ったのはなぜだろう。また、なぜ履歴を消さずにその携帯をニートに返したのだろう。最初は、ニートが女子大生を好きになったことに気づいた店員が、何気なさを装って電話番号を教えてあげる作戦なのかと思った。が、女子大生が帰ったあと、「さっきの履歴消せよ」「やだ」「ふざけるな! 消せ!」というやりとりがあったのは解せない。まあ、そのあとの(最後の)一芝居に続けるための、強引な布石だったということか。

配役

  • 中村映里子の名前に覚えがあるなあ、と思ったら、先週の軍師官兵衛に出ていた。どっちの侍女はわからんけど(怪我した方らしい)

2014-03-12

深田恭子の衣装が残念「偉大なるしゅららぼん」

題名偉大なるしゅららぼん
原作万城目学
監督水落豊
出演■日出一族/濱田岳(日出淡十郎、日出家当主)、深田恭子(日出清子、淡十郎の兄)、岡田将生(日出涼介、淡十郎の従兄弟)、佐野史郎(日出淡九郎)、津川雅彦(日出淡八郎)、田口浩正(日出洋介、涼介の父)、貫地谷しほり(藤宮濤子、涼介の師匠)、他

■棗一族/渡辺大(棗広海)、郄田延彦(棗永海、広海の父)、柏木ひなた(棗潮音、広海の妹)、他

■その他/笹野高史(源治郎、日出家の使用人)、村上弘明(速水義治、石走高校校長)、大野いと(速水沙月、義治の娘/淡十郎のクラスメ−ト)、浜村淳(通行人、カメオ出演)、他

公式サイト映画『偉大なる、しゅららぼん』公式サイト
制作日本(2014年3月8日公開)
時間114分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜

雑感

万城目学原作作品の映画化というと「プリンセス トヨトミ」という苦い思い出がある。あの映画はストーリーがどうしようもなくアレで、綾瀬はるかの揺れる胸しか覚えていない。逆にいうと、綾瀬はるかの胸が見られただけでも映画を観た価値はあったのかも知れないが。

今回も、たとえストーリーがコレでも深田恭子が見られればそれはそれでいっかー、ぐらいのつもりで観たのだが、案に相違し、話はなかなか面白かった。しかし、深田恭子はさほど魅力的ではなかった。

演技が悪かったわけではない。意外にといっては失礼だが、かなりのものだった。こういう性格的にねじが一本飛んでしまったようなキャラは嵌まるのかも知れない。残念なのは、清子が来ている服が、毎日毎日、ジャージみたいな赤い服だけで、全く変化がなかったことだ。せっかく素地がよくても衣裳がこれでは映えない。

「夜明けの街で」を観た時はこのように書いた。

深田恭子は確かに可愛かった。オフィスで仕事をする時の、眼鏡をかけてOL然とした姿も良かったし、デートのたびの服装や髪形が、ある時はドレスアップして、ある時はカジュアルに、そのどれもがそれぞれに可愛かった。この七変化は楽しめた。

せっかく深田恭子をキャスティングしながら、あの野暮ったい服はいただけない。赤を基調としたおしゃれな服はいくらでも考えられたはずだ。

配役

  • 濱田岳は「宇宙兄弟」の古谷やすし、ドラマ「ストロベリーナイト」の「ソウルケイジ」で石黒に可愛がられる耕介、「謝罪の王様」の怪しげな通訳ワクバルと、印象的な役が目立つ(彼が演じると印象に残る、と言った方が適切か)。今回は初の主演だが、彼は何より声がいい。
  • 貫地谷しほりが好演。天然ぶっとび女をコミカルに演じていた。貫地谷しほりってこんなに演技派だったっけ?
  • 日出淡十郎、日出涼介、棗広海、速水沙月は高校一年生で同じクラスの設定だが、18歳の大野いとはともかく、濱田岳は25歳、岡田将生は24歳、渡辺大に到っては29歳。いくらなんでもこれはおかしいだろう。学生服がコスプレにしか見えない。役者を変えるわけにはいかないのなら、高校ではなくせめて大学にするとか、工夫をすべきだったのではないか。

過去記事

2014-03-11

第37回日本アカデミー賞

3月7日、日本アカデミー賞の発表があった。

最優秀賞

  • 作品賞:舟を編む
  • アニメーション作品賞:風立ちぬ
  • 監督賞:石井裕也(舟を編む)
  • 脚本賞:渡辺謙作(舟を編む)
  • 主演男優賞:松田龍平(舟を編む)
  • 主演女優賞:真木よう子(さよなら渓谷)
  • 助演男優賞:リリー・フランキー(そして父になる)
  • 助演女優賞:真木よう子(そして父になる)
  • 音楽賞:久石譲(風立ちぬ)
  • 撮影賞:笠松則通(許されざる者)
  • 照明賞:渡邊孝一(許されざる者)
  • 美術賞:吉田孝(利休にたずねよ
  • 録音賞:加藤大和(舟を編む)
  • 編集賞:普嶋信一(舟を編む)
  • 外国作品賞:レ・ミゼラブル
  • 新人俳優賞:忽那汐里、黒木華、壇蜜、濱田ここね、綾野剛、菅田将暉、星野源、吉岡竜輝

主要部門の優秀賞

  • 作品賞:「凶悪」「少年H」「そして父になる」「東京家族」「利休にたずねよ」
  • アニメーション作品賞:「かぐや姫の物語」「キャプテンハーロック」「劇場版魔法少女まどか☆マギカ」「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」
  • 優秀監督賞:是枝裕和(そして父になる)、白石和彌(凶悪)、三谷幸喜(清須会議)、山田洋次(東京家族)
  • 優秀脚本賞:是枝裕和(そして父になる)、高橋泉/白石和彌(凶悪)、三谷幸喜(清須会議)、山田洋次/平松恵美子(東京家族)
  • 主演男優賞:市川海老蔵(利休にたずねよ)、橋爪功(東京家族)、福山雅治(そして父になる)、渡辺謙(許されざる者)
  • 主演女優賞:上戸彩(武士の献立)、尾野真千子(そして父になる)、宮粼あおい(舟を編む)、吉行和子(東京家族)
  • 助演男優賞:オダギリジョー(舟を編む)、妻夫木聡(東京家族)、ピエール瀧(凶悪)、松田龍平(探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点)、リリー・フランキー(凶悪)
  • 助演女優賞:蒼井優(東京家族)、尾野真千子(探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点)、中谷美紀(利休にたずねよ)、余貴美子(武士の献立)

雑感

作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞で、優秀賞以上に選ばれた作品のうち、観ていないのは「利休にたずねよ」のみ。おかげで賞レースについてもあれこれ意見が言える。このぐらいのペースが映画ファンを名乗る最低ラインということだろうか。それにしても、こうなってみるとなおさら「利休にたずねよ」を見逃したのは惜しかった(観たいとはずっと思っていたのだ)。

今年は何しろ「舟を編む」が鉄板だったようだ。作品賞を含む6部門獲得。アカデミー賞以外の映画賞でも作品賞、監督賞、主演男優賞に相当する賞はだいたいこの作品が選ばれていた。しかし……よくできた作品だとは思う。僕も2回観に行ったし。しかし、ここまでone and onlyな作品だろうか。

作品賞は他に強力な対抗馬がいないから是としても、脚本賞は三谷幸喜(清須会議)か宮藤官九郎(謝罪の王様)でしょ。主演男優賞は福山雅治か渡辺謙だ。松田龍平が悪いわけではないが、彼は助演でこそ輝く役者。もっとも、今年の助演男優賞はちょっと無理だが。

主演女優賞と助演男優賞は、今年は文句なし。誰が見ても真木よう子とリリー・フランキーしかいないだろう。しかし、真木よう子の主演&助演ダブル受賞はどうなのか。助演女優賞は他の映画賞では票が割れるところだ。いろいろ候補はいるだろうが、「そして父になる」から助演女優を選ぶなら尾野真千子だろうし、尾野真千子を選ぶなら「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」の方だろう。

「モンスター」や「ストロベリーナイト」「謝罪の王様」が全く候補にあがっていないのも、少々納得がいかない。

(2014/3/17 記)

2014-03-10

やっぱ名作だわー「ゼロ・グラビティ」

アカデミー賞に輝いたおかげで上映館が増えたようだが、それもここ1〜2週間で終わりだろう。悔いを残さないようにと、観に行くことにした。今回は2Dで十分と思ったが、さすがに3Dが話題になった作品だけに、2D上映館はないようだ。

題名ゼロ・グラビティ(Gravity)(2回目)
劇場ユナイテッド・シネマ浦和 【IMAX 3D】

雑感

前回はカット割りのことは気にしていなかったが、改めて注意して見ると、確かに冒頭から延々と長カットが続いている。これは確かに撮影するのは大変だっただろう。これが臨場感を生むひとつの要因になっているのか?

仲間の犠牲の上に、苦労してISSからソユーズに移動するが、燃料がなく、飛行できない。通信機は地球のどこかの誰かが発した声や犬の鳴き声を拾っているが、言葉が通じず、意思疎通ができない。万策尽きたライアンが死を覚悟し、死んだ娘のことを思い出しながら、静かに眠りに就こうとするシーンは圧巻。そして、そんなライアンに喝を入れるマットもまた凄い人だ。

とかく撮影技術などの方にばかり話題が集中する傾向にあるが、この映画が面白いのは、なんといってもドラマがよくできているからであり、そのドラマを動かしているのはサンドラ・ブロックである。なんといったって、途中から登場人物は一人になってしまうのだから。彼女が不安になり、怯え、自信を取り戻し、絶望し、再び生に執着を見せ、……とその起伏を激しく表現してくれるから、観客は惹きつけられるのだ。

ブルージャスミン」はまだ観ていないから、ケイト・ブランシェットがどういう演技をしたのかはわからない。しかし、本作を観る限りでは、主演女優賞はサンドラに贈られるべきではなかったか。

Academy Award

第86回アカデミー賞で監督賞、撮影賞、作曲賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞、編集賞の7部門獲得。

劇場

この劇場は初めて。IMAXで観られるというので、湘南新宿ラインに乗ってはるばるやってきた。いい劇場だ。

過去記事

リンク

宇宙開発の専門家から30の指摘。

2014-03-09

官兵衛の策略で毛利に勝った!?/「軍師官兵衛」第十話「毛利来襲」

公式サイト

出演

  • 阿知波悟美(おふく、光の侍女)←以前から出ていたが、これまで書いていなかったので

粗筋

織田と手を組んだことに怒った毛利の船団が襲ってきたでござる。でも5000の毛利勢を官兵衛の知恵で1000の小寺勢が打ち破ったよ!

雑感

先週書いた通りなのだが、1000の兵力で5000の軍勢を破った! というより、毛利に対する備えを全くしていなかったことに呆れる。加勢がきたと見せかけるため、城の女性陣総動員で一夜で旗をたくさん縫うのだが、そんな準備は織田と同盟を結ぶと決めた時からやっておけよ! 試験の日程が決まっているのに試験勉強をせず、焦って徹夜で一夜漬けをしたら、たまたま山が当たって点が取れた! と喜んでいるようなもので、とても評価する気にはなれない。

毛利があっさり引き下がったのは、今回は「脅し」が目的だったからだろう。いつでもこの軍勢を率いて播磨に来れるのだということを示せばよく、ここで死傷者を出すのは得策ではないと判断して引き上げたから助かったのであって、勝ったわけではないのだ。

勝った官兵衛が帰宅し、光の膝枕で「実は怖かったのだ……今度ばかりはダメかと思った……」と弱音を吐くシーンはちょっと良かったなと思ったけど。

ただ、赤松も別所も、織田も、援軍を出してくれなかった。これは重大な問題だ。こうした外交上の問題をどう解決していくのかがカギになるような気がするが、このあたりをそれほど重視している感じでもなかった。

別所長治は、織田と同盟を結ぶ時は、両叔父(ベンガルと佐戸井けん太)が反対しても「主君はわしじゃ!」と言い切って株を上げたが、今回は「同盟を結んだ以上、援軍を出さないといけないのでは」と言うも両叔父に反対されると引っ込めてしまった。こんな風に優柔不断だから子ども扱いされるんだよ?

先週、織田にはつきたくないといって光の元を3人の侍女が去る。そのうちの一人を福島リラが演じていたので、彼女が演じるということはこの侍女(お道)がのちの伏線になるのだろうがなんだろう、と思っていたら、彼女らはいったん毛利方についたものの、形勢不利と見た毛利が引き上げる時に彼女らを置いてきぼりにしたため、行き場がなくなり、恥を忍んで姫路に戻ってきた。これのどこにどんな伏線があるのかと思ったら、善助が彼女に惚れてしまったようだ。そういう話かい。

傷ついた侍女(おゆう? おたけ?)に官兵衛自ら膏薬を塗っているところを盗み見たおふくが、抱き合っているものと勘違いし、光に進言する、のちに誤解が解けて大笑い、というのは江を思い出させる寒いギャグだ。こういう下ネタはやめてもらいたい。

2014-03-08

確かにオスカーだ「それでも夜は明ける」

アカデミー作品賞受賞。絶妙なタイミングで封切になったので、さっそく観に行く。なるほど確かにこれはオスカーだ。

題名それでも夜は明ける(12 Years a Slave
監督スティーブ・マックィーン
原作ソロモン・ノーサップ「12 Years a Slave」
出演キウェテル・イジョフォー(ソロモン・ノーサップ)、ベネディクト・カンバーバッチ(ウィリアム・フォード、聖職者)、マイケル・ファスベンダー(エドウィン・エップス、プランテーションの支配人)、サラ・ポールソン(メアリー・エップス、エドウィンの妻)、ポール・ダノ(ジョン・ティビーツ、奴隷のまとめ役)、ルピタ・ニョンゴ(パッツィー、エップスの奴隷にして愛人)、ブラッド・ピット(サミュエル・バス、カナダ人大工)、他
公式サイト映画『それでも夜は明ける』公式サイト 大ヒット上映中!
制作USA、イギリス(2014年3月7日日本公開)
時間134分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜

内容紹介

1941年(南北戦争の起きる20年前)、アメリカ・ニューヨーク州サラトガ。ソロモン・ノーサップは自由証明書を持つ自由黒人のバイオリニストで、妻子とともに幸福な生活を送っていた。が、奴隷商人に騙されて拉致され、黒人奴隷として南部に売り飛ばされてしまう。最初の主人はウィリアム・フォード、次の買い主はエドウィン・エップス。南部ゆえ助けてくれる人もないまま、11年以上も奴隷生活を送ることになる……

雑感

一言で述べれば、実に力の入った力作であり、話もよくできていて、役者もみな好演していた。オスカーは当然といえよう。初めから終わりまで、ずっと緊張したまま画面を凝視し続けた。ただし昨年の「アルゴ」や一昨年の「アーティスト」のように何度も見に行きたいかといえば、それは別。内容が内容なので、もう二度と観たくない、というのが正直なところ。

当初、1800年代にアフリカ大陸から大量の黒人を奴隷として連れ来るところから描いた作品かと勘違いしていた。しかし、ソロモンが11年以上も不当な立場を強いられていたことには同情するが、彼は身許を証明してくれる人が登場して元の自由人に戻れたからよい。が、彼と一緒に働いていた大勢の黒人は何も救われなかった。彼らだって不当に隷属させられていることに変わりはない。生まれた時からその状態で、解放される当てもない彼らの方が、ずっとかわいそうだ。黒人奴隷の存在自体が救われない話なので、それを描いた話が救われないのは仕方ないのだが、もう少しなんとかできなかったのだろうか。

黒人差別はアメリカの恥ずべき歴史だが、こうした恥部にもふたをせず、きちんと向き合っているのがアメリカのいいところだ……というように評する人がいたが、アメリカが自らの恥部に向き合ったというより、北部(民主党)による南部(共和党)批判のように見えた。お前らが黒人を奴隷としてこき使ってきた時、北部では黒人は自由を手にし、白人と対等に付き合っていたんだぞ、と。ほんの何十年か違うだけで、現代人から見れば目くそ鼻くその類ではあるが、その差は大きかったと思う人も多いだろう。

このような状態で長生きしたいと思ったら、とにかく健康であることが必須だなあとしみじみ感じた。少々風邪をひいたところで、仕事を休ませてくれるとは思えないし、高額な医療費がかかる病気にかかっても、治療してもらえる可能性は少なそうだ。健康に気を付けるといっても、休養時間は少なく、さほど栄養価の高い食事が与えられているわけでもなさそうだから、できることは限られているだろうが。何かにつけて医者に通っている自分は、あのような環境で生活せざるを得なくなったら真っ先に死ぬだろうな。

今日の英語

  1. One left.(残り一本)

Academy Award

第86回アカデミー賞で作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門獲得。

その他

この作品も実話に基づく話なのだそうだ。

2014-03-07

余命30日と言われ7年生きた男「ダラス・バイヤーズクラブ」

シネマートに移動して「ラヴレース」を観るつもりでいたが、劇場で「ダラス・バイヤーズクラブ」を上映していることを知り、急遽変更。

題名ダラス・バイヤーズクラブ(Dallas Buyers Club)
監督ジャン=マルク・ヴァレ
脚本ザル・バトマングリ、ブリット・マーリング
出演マシュー・マコノヒー(ロン・ウッドルーフ)、ジェニファー・ガーナー(イヴ・サックス、医師)、ジャレッド・レト(レイヨン、ロンのパートナー/トランスジェンダー)、他
公式サイト映画「ダラス・バイヤーズクラブ」公式サイト
制作USA(2014年2月22日日本公開)
時間117分
劇場新宿シネマカリテ

内容紹介

ロンはロデオと酒と女を愛する(そして同性愛者を忌み嫌う)テキサス男。ある日突然倒れ、病院へ収容されると、HIVに感染していること、余命が一ヶ月であることを告げられる。

生きたい、と強く願ったロンは、自力で病気について猛勉強を始め、未承認薬を処方してもらうよう頼み、断わられると、自らメキシコへ出かけ、直接購入するという行動力を示した。

その頃、アメリカではAZTという薬が推奨されるようになる。が、この薬は副作用が強い。ロンが持ち込んだ薬はアメリカでは未承認だが効果が高い。そこでその薬をほしがるHIV患者に配布するためのシステムを構築する。それが「ダラス・バイヤーズクラブ」だった。

しかし、AZTを推奨する医師、製薬会社、そして政府が、さまざまな形でロンの妨害を始める……

雑感

丸山ワクチンの話を思い出した。丸山ワクチンに本当に薬効があるのかどうか、僕は知らない。が、現在一般的な抗癌剤に比べると少なくとも副作用がはるかに少ないと言われる。が、さまざまな政治的な理由で丸山博士は疎外され、いつまでたっても薬として認められない……

医師から余命数ヶ月と告げられても、その後数年生きる例はいくらでもあるので、「医師の宣告した余命を大幅に超えて生きた」ことをもって、医師の言う通りにしていたらあっさり死んでしまった、自分で薬を探し、生きる道を探したから何年も生きられたのだ、とただちに結論づけるのはどうかという気はする。また、HIVは新しい病気であり、医師の診断や薬などに不十分な点があっても、責めることはできない。

それでも、主人公の「生きたい」とするバイタリティと、HIV感染が明らかになってからも変わらない無頼の日々が魅力、ということになるか。

「7年も生きた」というが、たった7年しか生きられなかったんだなあ。

今日の英語

  1. One left.(残り一本)

Academy Award

第86回アカデミー賞で主演男優賞、助演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の3部門獲得。

その他

この作品も実話に基づく話なのだそうだ。最近は実話ベースの作品が多い。それ自体は悪くないが、実話だから感動する、実話だから説得力があるなどと殊更に強調するのは空想物語の否定につながるわけで、あまり面白くない。

それにしても、日本の映画会社は「A true story」をなんで「感動の実話」と訳すのかね?

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仕事か正義か……「ザ・イースト」

題名ザ・イースト(THE EAST)
監督ザル・バトマングリ
脚本ザル・バトマングリ、ブリット・マーリング
出演ブリット・マーリング(ジェーン/サラ)、アレキサンダー・スカルスガルド(ベンジー)、エレン・ペイジ(イジー)、他
公式サイト映画『ザ・イースト』2014年1月31日[金]より全国順次ロードショー
制作USA(2014年1月31日日本公開)
時間116分
劇場新宿シネマカリテ

内容紹介

テロからクライアント企業を守る会社に採用された元FBIエージェントのジェーンは、環境テロリスト集団「イースト」への潜入捜査を命じられる。が、彼らと行動をともにし、大企業の不正と被害者の悲劇的な実情を知るうちに、彼らの信念に共感を抱き始める……。

雑感

今までにないタイプの社会派作品。スパイとして行動するうちに少しずつ彼らに共感し、仲間意識を持つようになっていく過程を緻密に描いている。

個人的な思想信条と会社の業務が対立するケースは、僕の場合も少なくない。そうした場合にどういう行動を取るか、これはなかなか難しいところだ。特に今回のように「イースト」の行動が反社会的である場合はなおさらだ。が、が、単なる署名活動などではどうにもならないほど酷いことをしているのは企業の側なのだ。

ラスト、名簿を手にしたジェーンが、ベンジーとも別れ、一人で何をしているのか意味がわからなかった。恐らくこの作品の肝と思える部分なのだが。

今日の英語

  1. Mackeben Gray is not my client.(マケーブ・グレイは顧客じゃないわ)

潜入捜査中のジェーンから、現在テロ活動中でマケーブ・グレイが危ない、と報告を受けた上司が答える場面。顧客じゃないからテロ阻止に動かなくていい、という理屈。ビジネスマンとしてはかくあるべきかも知れないが、こうした上司の態度もジェーンの「イースト」への傾倒を後押ししたような……

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何度も泣かされた。「銀の匙」

題名銀の匙 Silver Spoon
原作荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」(漫画)
監督吉田恵輔
出演中島健人(八軒勇吾)、広瀬アリス(御影アキ)、市川知宏(駒場一郎、アキの幼馴染)、中村獅童(中島、教師・馬術部顧問)、吹石一恵(富士、教師・豚舎棟管理)、上島竜兵(校長)、吹越満(勇吾の父)、竹内力(アキの父)、石橋蓮司(アキの祖父)、哀川翔(アキの叔父、調教師)、西田尚美(一郎の母)、黒木華(南九条あやめ、アキの幼馴染)、安田カナ(タマコ、勇吾・アキのクラスメート)、前野朋哉(小野寺)、他
公式サイト映画『銀の匙 Silver Spoon』公式サイト 2014年3月7日公開
制作日本(2014年3月7日公開)
時間110分
劇場TOHOシネマズ渋谷

内容

中高一貫の進学校に進学した八軒勇吾は、競争についていかれず落ちこぼれ、両親(父親)との関係もうまくいかず、全寮制だ(家を出られる)というだけで大蝦夷農業高等学校(エゾ高)への進学を決める。が、エゾ高の生徒は酪農業の家の子がほとんどで、農業経験皆無で将来の夢もない八軒は、エゾ高の中でも浮いた存在になってしまう……

雑感

農業のことを何も知らない八軒が、当初は「農家の子どもは就職に困らないから楽でいいな」などと人の神経を逆なでするような発言(と態度)を連発して反感を買うものの、実習や友人との付き合いを通じて徐々に世間を知り、成長していくという鉄板ともいえる展開だが、結構泣かされた。

学校が飼っている豚に名前をつけようとしたり、特定の豚を可愛がったりする態度には、周囲が「産業動物はペットじゃない」「いい加減にしろ」と腹を立てるが、八軒は単純に友人や先生の言うことに従わず、自分の気持ちに折り合いをつけるため、最後まで自分のやり方を通す。可愛がっていた豚の肉を小遣いをはたいて自分で買占め、一人でそれをベーコンにし、完成したところでクラスメートに振る舞う、という決着のつけ方は最終的に周囲からも受け入れられる。

高いお金と手間をかけてベーコンを作ったのだから、このバーベキューでは会費を取るか、せめて寄付を集めればよかったのに、とその時は思ったが、このベーコン(の投資)が最後に大きく利子をつけて返ってくることになる。こういうストーリーも青春もの、学園ものでは鉄板だが、やはり泣かされた。

僕を含め、世の中の多くの人は酪農の実態を知らないと思うが、そういう様子を割に克明に映してくれたのも興味深かった。映画の魅力のひとつは「知らない世界を知る」ことになると思うので。記録映画ではないから、あまりグロなシーンはなかったものの、豚の解体シーン(つまりは殺される場面ということだ)や牛の出産シーン、それから牛の肛門に手を突っ込んで(検査のため?)牛のウンチを浴びる場面とか、役者もスタッフもかなり真面目に酪農に向き合っていることが窺われた。撮影はたいへんだっただろう。

配役

  • 中島健人、19歳。広瀬アリス、19歳。市川知宏、22歳。黒木華、23歳。主役の二人はともかく、市川や黒木が高校生役で出てくるのはちょっと無理がありはしないか。
  • 石橋蓮司って、ヤクザ以外の役もできるのね。優しそうなお爺さんで。いいじゃないか、石橋に合っている。
  • 西田尚美が最後までわからなかった。「赤い指」でわが子の殺人を隠ぺいしようとする母とか、「真夏の方程式」でユスリを企むホステスとか、性格の歪んだ女のイメージが強かったが、本作では全然違う。苦労を重ねて(借金も重ねて)農業経営を営むが、ついに破産。家が人手にわたるも、息子が親孝行に育ったから「私は幸せだ」とつぶやく……。顔中に苦労がにじみ出ていたあのオバサンが西田尚美だったとは。
  • 広瀬アリスは新人かと思ったが、映画もテレビドラマもかなり出演経験がある。ちょっと長澤まさみに雰囲気が似ているが演技力は比較にならない。将来に期待。

その他

本日封切。高校生の観客が多いのが目立った。

リンク

2014-03-05

これも三度目!「トリック劇場版 ラストステージ」

題名トリック劇場版 ラストステージ(3回目)
劇場新宿ピカデリー

雑感

1月20日の感想で、ラストシーンは下記の解釈が成り立つと書いた。「視聴者に解釈が委ねられ、制作者側は明示しなかった」とも。

  1. 奈緒子は死んだが、約束を守って、なんらかの方法を使い生きている上田にコンタクトを取った。
  2. 奈緒子に会いたいと願っていた上田の妄想。
  3. 奈緒子は生きていて、上田に会いに日本に戻ってきた。
  4. 奈緒子は生きていたが、記憶喪失になってしまった。たまたま賞金をせしめようと、上田だとは知らずにやってきた。

今は、4番目の解釈しか成り立たないな、と思っている。まず、冒頭のドッキリマジックが「爆発しても脱出できる」という前振り(ただし、島が爆発した時山田が海に投げ出されるのが見えた、という感想を目にしたが、自分にはそれは確認できなかった)。記憶喪失の日本人が見つかったという情報。山田里見の「一度や二度死んだって、人間、そうそう性格が変わるものじゃありません」という言葉、つまり14年前と絵に描いたように同じ行動を取ることは十分考えられるという示唆。素直に考えたら4番しかないだろう。

里見も上田も、奈緒子が生きていて嬉しかっただろうが、記憶を失っているということは、奈緒子であって奈緒子ではない。治るかどうかもわからない。ある意味、最も残酷な結末かも知れない。それでも、これはハッピー・エンドなのだと信じたい。

その他

彼らが向かったのは「赤道スンガイ共和国」だった。こうした重要な地名が、公式サイトのどこにも記載されていない点に強い不満を持つ。この作品に限らないが、いったいに公式サイトの情報量は少な過ぎる。せめてエンドロールでアナウンスしている内容はすべて公式サイトにも置くべきだ。

過去記事

太田クンの演説はちょっとくどいかな「ジャッジ!」

題名ジャッジ!(3回目)
劇場新宿ピカデリー

雑感

3回目だけどきっちり楽しませてもらった。こういう映画は珍しい。2010年に、のだめカンタービレの前編を6回、後編を7回観たことはあるが、それ以降、3回観た作品といえば、アバター、アーティスト、アルゴぐらいのもので、邦画はない。いろいろ細かいことを確認したいので、DVDがリリースされたら買おうかどうか迷っている。

審査会最終日、太田君が演説をぶるが、あれは長くて少々くどい。「レストランの英会話集」の例文を使って理想を語るシーンはうまいと思ったが、そのあと、英語が出てこなくて日本語で語るシーンはいらなかった。すぐにジャックの話に移った方がスピード感が出てよかったのではないか。

個人的には、最後のパーティーで、ひかりがはるかに「馬は騎手で変わるのよ〜」と言われて「そういうの、嫌いじゃないかも」と、喜一郎に対する心情を語ってしまうのは不要だった。この場では「つん」に徹して「冗談じゃありません」と言い切る。そのあとはるかが喜一郎にハグし、ひかりが焼き餅を焼く、そこで初めてわかる、ということにした方が良かったように思う。でも喜一郎の元カノの作ったアクセサリーを勝手にあげてしまったのは、もちろん一票がほしいからでもあるけど、元カノからのプレゼントはいらない、と判断した時点でひかりは既に……とわかるのだから。

喜一郎はひかりに、さんざん罵られたりビンタされたりしたが、せっかく両想いになっても、キスはもちろんハグもなし。報われない男だ。

しかし報われないといえば竜也というのはなんなんだ。ひかりに付き合ってサンタモニカ〜ラスベガスを往復したり、振り回されたが、結局振られるわけで。「陽だまりの彼女」でもそうだったけど、昨年の大河であれほどの存在感を示してくれた玉山鉄二が、こうした間抜けな三の線を演じるのはいささか残念だ。

今日の英語。「レストランの英会話集」から

  1. I have come here to eat most delicious food in the world.
  2. I will trust what you tell me because you are the best of the best.

過去記事

2014-03-03

第86回アカデミー賞

アカデミー賞が発表になった。受賞結果を記す。

  • 作品賞:「それでも夜は明ける」
  • 監督賞:アルフォンソ・キュアロン(「ゼロ・グラビティ」)
  • 主演男優賞:マシュー・マコノヒー(「ダラス・バイヤーズクラブ」)
  • 主演女優賞:ケイト・ブランシェット(「ブルージャスミン」)
  • 助演男優賞:ジャレッド・レト(「ダラス・バイヤーズクラブ」)
  • 助演女優賞:ルピタ・ニョンゴ(「それでも夜は明ける」)
  • 脚本賞:スパイク・ジョーンズ(「her 世界でひとつの彼女」)
  • 脚色賞:ジョン・リドリー(「それでも夜は明ける」)
  • 衣装デザイン賞:キャサリン・マーティン(「華麗なるギャツビー」)
  • 長編アニメーション賞:「アナと雪の女王」
  • 短編アニメーション賞:「Mr. Hublot」
  • 外国語映画賞:「追憶のローマ」(イタリア)
  • 主題歌賞:「Let It Go」(「アナと雪の女王」)
  • 撮影賞:エマニュエル・ルベツキ「ゼロ・グラビティ」
  • 作曲賞:スティーブン・プライス「ゼロ・グラビティ」
  • 美術賞:「華麗なるギャツビー」
  • メイクアップ&ヘアスタイリング賞:「ダラス・バイヤーズクラブ」
  • 視覚効果賞:「ゼロ・グラビティ」
  • 音響編集賞:「ゼロ・グラビティ」
  • 音響録音賞:「ゼロ・グラビティ」
  • 編集賞:アルフォンソ・キュアロン、マーク・サンガー(「ゼロ・グラビティ」)
  • 長編ドキュメンタリー賞:「「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」
  • 短編ドキュメンタリー賞:「The Lady in Number 6: Music Saved My Life」
  • 短編実写映画賞:「Helium」

「それでも夜は明ける」は作品賞、助演女優賞、脚色賞の3部門獲得。前評判が高かった作品で、7日から公開予定である。さっそく観に行こう。

「ゼロ・グラビティ」は、サンドラ・ブロックが主演女優賞を取れなかったのは残念だったが、監督賞、撮影賞、作曲賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞、編集賞と7部門獲得。受賞部門も納得のいくところ。

「ダラス・バイヤーズクラブ」は主演男優賞、助演男優賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の3部門獲得。作品タイトルを初めて知った。全くのノーマーク。先月末から公開されているから、観てみよう。

「ブルージャスミン」は5月10日公開、「her 世界でひとつの彼女」は6月28日公開。忘れずにチェック。

昨年の歌曲賞がなくなって主題歌賞ができたのだろうか(翻訳の違いかも知れないが、そこまで確認していない)。その主題歌賞の「Let It Go」は納得。予告編しか見ていないが、この歌の印象度は群を抜いている。日本語版では松たか子が歌っていて、思ったよりずっとうまくて驚いたが(松たか子さん、ごめん)、この歌は……たとえ歌詞が英語でもそのまま流すべきだ。

10部門ノミネートの「アメリカン・ハッスル」、5部門ノミネートの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は、いずれも何も受賞できず。残念がる声も多いようだが、僕はどちらもアカデミー賞にふさわしい作品だとは思えなかったので、順当な結果に思える。

いつも思うことだが、「日米同時公開!」などと騒がれる作品も多く、ヒットが予想される作品はあまり時差なく公開されているように感じるのだけど、こうして受賞作品を見てみると、日本ではまだ公開されていない作品が多い。作品賞の候補にあがった9作品のうち、「ダラス・バイヤーズクラブ」「her 世界でひとつの彼女」「あなたを抱きしめる日まで」が未公開で「ネブラスカ」も2月末に公開されたばかり。これでは賞レースを楽しめない。もっと早めに公開して、そして主要部門の受賞作は、短期でよいから再上映してほしい。

2014-03-02

播磨がひとつになった/「軍師官兵衛」第九話「官兵衛試される」

公式サイト

出演

  • 眞島秀和(顕如、石山本願寺の法王)
  • 福島リラ(お道、光の侍女)
  • 中村映里子(おゆう、光の侍女)
  • 野杁俊希(赤松広秀、赤松政秀の嗣子)
  • 入江甚儀(別所長治、三木城主)
  • ベンガル(別所賀相、別所長治の叔父)
  • 佐戸井けん太(別所重棟、別所長治の叔父、賀相の弟)

粗筋

織田と同盟を結ぶ際に、播磨一国をまとめてみせると大見得を切った官兵衛だったが、竹中半兵衛から「具体的にどうするつもりか」と訊かれ、「小寺政職、赤松広秀、別所長治の名門三家を信長さまに拝謁させる。さすれば他の地侍もみな織田につく」と約束してしまう。実はこの三家は播磨国の中で長い間勢力争いを繰り返してきた間柄で、和議を結び一緒に信長公の元に行かせるというのは至難の業だ。

政職は「他の二人がうんといえばわしも従う」と言い、赤松と別所を見事に説き伏せることに成功。が、政職は前言を翻し承諾しない。そこへ荒木村重が脅しに来る。政職は慌てて信長拝謁を約束する。実は半兵衛は播磨に密偵を放っており、話が進んでいないことを察知して手を打ったのだ。官兵衛には厳しいことを言ったが、ここまでできれば上出来だと評価。事情をあとで知った官兵衛は、ありがたかったが、主君の説得は自分がやりたかったと半兵衛に告げる。

そんな折、毛利の大群が播磨へ攻めてくる……

雑感

「軍師」官兵衛と謳っておきながら、別所、赤松を説得する様子はさらりと流す。別所を説得できたのは事前に手紙を送っておいたから。赤松に到っては話をするシーンすらなし。しかしまあ、まだまだ若い官兵衛が、官兵衛なりに頑張ったこと、老獪な半兵衛は遠隔地からも事情を把握し、さりげなくサポートしたこと、これが今回の主眼であろう。

小寺政職はのんびり屋を装ってはいるが、実は意外に老獪で、悪知恵が働く人……のように当初は描かれていたと思うのだが、前回あたりから、単なるバカ殿っぽくなった。特に今回は、信長拝謁を嫌がるのは、生まれてこの方播磨を出たことがないため、怖いのだとか、官兵衛が自分よりも信長を大切にしているように見えるから嫉妬したとか。歳をとってから子供が出来たため、冒険ができなくなったのかも知れないが、情けない。そしてドラマとしては底が浅い。

盛り上がりに欠け、粗筋を紹介しているだけのようにみえると、今年の大河を批判する声も多く、自分もその通りだという気持ちもないではないが、それについては別の機会に触れる。

今回一番がっかりしたのは……

播磨というのは毛利の治める地の隣国である。だから、織田にとって播磨を手に入れることは重要であった。官兵衛も、毛利攻めの際はわれらの力が必要になりましょうと説いた。逆に、毛利にとっては、播磨が織田と結ばれては困るのである。だからこそ安国寺恵瓊を使って籠絡しようとしたのだし、実際、上月城をはじめ、毛利と結んでいた家も多かったのである。

そこへ一斉に織田につくということになれば、毛利が真っ先に播磨を叩きにくることは必定である。だから、織田と結ぶということは、毛利にどう対抗していくか、具体策を練ることに他ならない。毛利が攻めてきたら織田はどのように援護してくれるのか、それとも攻められる前にこちらから攻めるのか。中国攻めの大将・羽柴秀吉とよろしくやれと信長が官兵衛にいったのは、そういうことを話し合えという意味であり、一緒に飲んだり、女郎屋へ行ったりせよという意味ではないだろう。

しかし、どうもそのあたりの緊迫感がないまま架空の同盟を結び、突然の毛利の来週を受けて大騒ぎをしているだけのように見えたのが、なんとも残念だ。小寺、赤松、別所が信長に会いに行けば、間髪をいれずに毛利が攻めてくることぐらい、僕でもわかる。官兵衛にはわからなかったのか。わかっていて、備えをしなかったのか。

ところで、別所長治って、秀吉に滅ぼされたのではなかったっけ? 最初は信長についたんだな……。

2014-03-01

2月に観た映画・これから観たい映画

最後の週に5本観て、トータル6本。まあいろいろ忙しかった。

観た(2月)

題名観た日評価
小さいおうち2/01吉岡秀隆はミスキャスト
バイロケーション 裏2/26違いってそこだけかよ!
地球防衛未亡人2/26笑えたからよしとする
抱きしめたい2/26死ぬところがあっさりしていたのはよかった
エージェント・ライアン2/27あのバカ女はなんだ
スノーピアサー2/27シンプルで面白い

観たい(公開済み)

題名公開日備考
メイジーの瞳   01/31-
ザ・イースト   01/31伝統か正義か
エヴァの告白     02/14ただ生きようとした
大統領執事の涙    02/15ホワイトハウスの知られざる物語
神さまがくれた娘   02/15-
17歳         02/15フランソワ・オゾン
ダラス・バイヤーズクラブ02/22アカデミー3部門獲得
東京難民       02/22山本美月
ネブラスカ      02/28ふたつの心をつなぐ旅

観たい(2014年3月以降公開予定)

愛の渦        03/01門脇麦
銀の匙        03/07黒木華
それでも夜は明ける  03/07アカデミー作品賞
グランド・ピアノ   03/08ねらわれた黒鍵
偉大なるしゅららぼん 03/08深田恭子、貫地谷しほり
シネマトラベル    03/08期間限定公開
ロボコップ      03/14-
オール・イズ・ロスト 03/14ロバート・レッドフォード
アナと雪の女王    03/14アカデミー主題歌賞
LIFE!         03/19この映画には「!」がある
白ゆき姫殺人事件   03/21湊かなえ
ローン・サバイバー  03/21-
神様のカルテ2     03/21-
ウォルト・ディズニーの約束03/27トム・ハンクス
サンブンノイチ    04/01中島美嘉
おとなの恋には嘘がある04/04-
リベンジ・マッチ   04/04スタローン vs デ・ニーロ
8月の家族たち     04/18メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ
ある過去の行方    04/19ベレニス・ベジョ
アメイジング・スパイダーマン204/25-
テルマエ・ロマエII  04/26-
とらわれて夏     05/01ケイト・ウィンスレット
悪夢ちゃん      05/03北川景子
プリズナーズ     05/03日常にひそむ狂気
WOOD JOB!       05/10長澤まさみ
ブルージャスミン   05/10アカデミー主演女優賞
青天の霹靂      05/24-
万能鑑定士      05/31綾瀬はるか
her 世界でひとつの彼女06/28アカデミー脚本賞