Hatena::ブログ(Diary)

窓の向こうに このページをアンテナに追加

2014-05-31

ついに観た!「未知との遭遇」

カリコレ(新宿シネマカリテによるカリテ・シネマ・コレクション)企画の一環で5月31日一日のみ劇場上映が実現した。知らなかったが上映前にソニーエンターテイメントの田中ひでかず氏によるトークイベントがあった。時間前に行っておいて良かった!

本作はコロンビア映画(1989年にソニーが買収)の90周年ということで企画されたらしい。「ジョーズ」に次ぐスピルバーグ監督の劇場第三作。初公開の3年後に特別版が制作・公開された。これは今でいうディレクターズ・カット版。今日公開するのはこの特別編で、DVD/BDはどちらも入手できる。

その他、当時のポスターを見せてもらったり、貴重な体験をすることができた。

題名未知との遭遇(Close Encounters of the Third Kind)
監督・脚本スティーヴン・スピルバーグ
出演リチャード・ドレイファス(ロイ・ニアリー、発電所勤務)、テリー・ガー(ロニー・ニアリー、ロイの妻)、バリー・ガイラー(ケイリー・ガフィー、行方不明になった少年)、ジリアン・ガイラー(メリンダ・ディロン)、フランソワ・トリュフォー(クロード・ラコーム、UFO学者)、他
制作USA(1978年2月25日日本公開)
時間135分
劇場新宿シネマカリテ

雑感

「2001年宇宙の旅」と同じく、この作品を知らないことが小さな棘のようにずっと気になっていたのだが、劇場で鑑賞するという幸運に恵まれたことは、何物にもかえがたい貴重な体験であった。生きてて良かった。

また、こうなってみれば、なまじテレビ放映やビデオ・DVDなどで中途半端に知ることなく、白紙の状態で劇場で鑑賞できて、本当によかったと思う。

「2001年宇宙の旅」と違い、なにしろスピルバーグ監督だから、わかりやすいだろうと思ったが、実は「2001年宇宙の旅」並みとは言わないけどかなりワケのワカラナイ作品であった。まあ、意味や理由ではなく、「状況」を描くことを主にしたのか。それならそれで意義はある……

うーん、自分の中では、映画そのものに感動した、というよりは、こうした歴史的価値の高い作品にじかに接する機会が持ててよかった、という方が強い。夏目漱石の「吾輩は猫である」を最後まで読了して、ああこういう話だったのかとわかり、感慨に耽る気持ちに似ている。

タイトル

Close Encounters of the Third Kindは「第三種接近遭遇」。これは空飛ぶ円盤の搭乗員と接触することを意味する。

日本語タイトル

田中ひでかず氏によると、「第三種接近遭遇」がわかりにくいと感じた秘書の人が勝手に「未知との遭遇」とリストに書いておいたら、営業会議やマーケティング会議をそのまま通ってしまい、そのまま邦題になったとのこと。名訳と言われるこの邦題は、専門家が知恵を絞って考えたわけではなく、そもそも素人の思いつきであったとのこと。なお田中氏はトークショーの前に、当の秘書ご本人にわざわざ確認したとのことだから、事実なのだろう。

Academy Award

第50回アカデミー賞の撮影賞と特別業績賞を受賞。他に監督賞、助演女優賞(メリンダ・ディロン)、編集賞、美術賞、作曲賞(ジョン・ウィリアムズ)、録音賞、視覚効果賞でノミネートされた。なお作曲賞にノミネートされたジョン・ウィリアムズは、同年に公開された「スター・ウォーズ」でも作曲賞にノミネートされ、そちらで受賞した。

過去記事

2014-05-30

泣いた泣いた。「青天の霹靂」

題名青天の霹靂(2回目)
劇場TOHOシネマズ日本橋(スクリーン1)

雑感

前回は起爆剤がいたせいもあって、かなり笑えた印象があったが、今回は……ストーリーを、結末を知っているだけに、悦子のセリフや行動のひとつひとつが、チンの態度のひとつひとつが、泣けて、泣けて、……。

改めて観ると、全体としてやはりWet側に振れ過ぎている。Wet過ぎる映画は観るのがつらい。ペペとチンが客席を湧かせ、ぐんぐん人気が出ていく過程はもっと時間を割いて笑わせてくれればよかったのにな、と思う。逆に、入院した悦子から「私はどんな母親になっていますか」と訊かれたペペが答えるシーンは長過ぎる。

とはいえ、再び現代に戻ってきた後ひとつのギャグとひとつのセリフを言うだけでさくっと終わらせた手腕は見事。短い作品は七難隠す。

観客

2週目だけど混んでた。土曜日のせいか、日本橋のせいか、わからないけど。混んだ映画館で観るのは楽しい。

2014-05-29

彼らが帰ってきた「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」

題名キック・アス ジャスティス・フォーエバー(Kick-Ass 2)
監督ジェフ・ワドロウ
出演■ジャスティス・フォーエバー/アーロン・ジョンソン(デイヴ・リゼウスキ、キック・アス)、クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ・マクレイディ、ヒット・ガール)、ジム・キャリー(大佐)、ドナルド・フェイソン(ドクター・グラビティー/物理学者)、リンディ・ブース(ナイト・ビッチ)、クラーク・デューク(バトル・ガイ、デイヴのオタク友達)、他

■TOXIC MEGACUNTS(スーパー悪党軍団)/クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミーコ、マザー・ファッカー)、オルガ・カーカリナ(マザー・ロシア)、他

■その他/モリス・チェストナット(マーカス・ウィリアムズ、ミンディの養父)、リンジー・フォンセカ(ケイティ・ドーマ、デイブの元カノ)、ギャレット・M・ブラウン(デイブの父)、クローディア・リー(ブルック、いじめっ子)、他

公式サイト『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』7.2[WED]DVD & Blu-ray RELEASE
制作USA、イギリス(2014年2月22日日本公開)
時間103分
劇場目黒シネマ

雑感

典型的な続編。スケールアップの名のもとに、話が広がって派手なシーンも増えるけど、テーマは散逸する。

前作は、フランク・ダミーコ率いる犯罪組織、およびこれを壊滅させるため立ち上がったビッグ・ダディとヒット・ガール、という図式があった。この犯罪組織は麻薬の密売に殺人が日常的な悪虐な組織であり、一方ビッグ・ダディは元警官、ヒット・ガールは幼い頃から殺人技術を叩きこまれた超一流の殺し屋で、この対立は真面目な……というか、血で血を洗う闘争である。どちらも警察に捕まりたくないアングラな立場であることは共通している(ビッグ・ダディ/ヒット・ガールの派手な扮装をする理由は不明だが)。途中でビッグ・ダディは殺されるが、ヒット・ガールが組織を壊滅させるという大アクションがあった。

もうひとつ、ヒーローを夢見る軟弱君がいて、コスプレをして何者かになった気になるものの、強い信念もないし、喧嘩も弱い。彼が事件に巻き込まれてヒット・ガールと接点ができるが、フランク・ダミーコにもクリスというバカ息子がいて、彼の扮するレッド・ミスト VS キック・アスというお笑い路線もあった。そしてヒット・ガール最後の大アクションではキック・アスも一役買う形で、不達の物語は収斂した。

本作は、父親を殺されたクリスがキック・アスらに復讐を誓うところから始まるが、元々彼らは「組織」を持っていた。壊滅的な打撃を受けはしたが、忠実な秘書は残ったし、刑務所の中とはいえ叔父もいる。そして当たり前だが犯罪と言うのはてっとりばやく金を儲けるためにやるのであり、いくら警察に賄賂を渡しているとはいえ、コトが公になれば捕まる。だから秘密裏に行なう必要がある。

……はずなのに、クリスが新たに作った組織は、遺産を湯水のごとく使ってならず者をかき集め、派手な犯罪パフォーマンスを繰り広げてダーティー・ヒーローになるというなんとも子どもじみたもので、こんなことをしていたらあっという間に警察に捕まるはずである。警察を追い払ったら軍隊がくる。逃げ道はない。

……はずなのに、警官は一方的にやられるだけで、軍隊は出てこない。警察は「コスプレしている者を全員つかまえろ」と見当違いの命令を出すだけ、それで誤認逮捕されたデイブの父が(組織の手の者にかかって)留置所内で殺されても警察は知らん顔。ちょっと話が破綻し過ぎている。

f:id:chd:20140606224846j:image:w360:right

前作で組織を壊滅(要は皆殺し)させながらミンディが一切お咎めなしだったのは、事情を知るマーカスが、相手が犯罪集団だったこと、彼女が幼い少女だったこと、母親を殺した相手に対する復讐という事情があること、自分が彼女を引き取って育てること……などの理由から告発しなかったのだろうと思うが、今回は事件自体が派手であり、ジャスティス・フォーエバー側は一部を除いて大人が大勢おり(少年法で守られておらず)、しかも正義の味方を気取りたかっただけで情状酌量の余地があまりなく、また実際に死人も出ているのだから、一切お咎めなしはあまりにもおかしい。

ミンディがマーカスと二度とヒット・ガールにならないよう約束させられるくだりはともかく、ミンディが学校でなじめずいじめられたり、いじめの相手に仕返しをしたりするシーン、デイヴがヒーロー仲間のナイト・ビッチとそこかしこでセックスしまくるシーンなどは果たして必要であったのか。ヒーローだって人間だ、人間関係に悩むこともあるし、お年頃ならば性欲もあるだろう、ということなのかも知れないけど、これでは快哉を叫ぶほどカッコいいわけではないし、同情するほどかわいそうなわけでもない。中途半端である。

「キック・アス」と2本続けて観たので堪能したが、これ一作を単独で観たらガッカリしただろうな、と思う。ミンディのアクションシーンはずば抜けてカッコよかったけどね。

今日の英語

  1. No, definitely not. ← definitelyの使い方は難しい。でも少し慣れた気がする。

配役

  • 大佐役のジム・キャリーは「ライアー ライアー」の主人公だった人だ! 「ライアー ライアー」は長く映画を観なかった僕が再び観るようになった記念碑的作品。ようやくつながった!
  • クローディア・リーは美人だ。正直、クロエ・モレッツより美人だと思うがな。もっと別の役を見てみたい。

過去記事

クロエ・グレース・モレッツのアクションがスゴイ!「キック・アス」

「キック・アス」と「キック・アス・ジャスティス・フォーエバー」の二本立て。少し前、「キック・アス・ジャスティス・フォーエバー」が封切られた時に、観に行こうかと思ったのだけど、「キック・アス」の予習ができず断念した経緯がある。まあ下手に(DVDで)予習しなくて良かった。これは劇場で観るべき作品だ。だからこういうのは本当にありがたい。

題名キック・アス(Kick-Ass)
監督マシュー・ヴォーン
出演アーロン・ジョンソン(デイヴ・リゼウスキ、キック・アス)、クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ・マクレイディ、ヒット・ガール)、ニコラス・ケイジ(デイモン・マクレイディ、ビッグ・ダディ)、クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミーコ、レッド・ミスト)、マーク・ストロング(フランク・ダミーコ、クリスの父)、リンジー・フォンセカ(ケイティ・ドーマ、デイブの友人)、エリザベス・マクガヴァン(アリス・リゼウスキ、デイブの母)、ギャレット・M・ブラウン(デイブの父)、他
制作USA、イギリス(2010年12月18日日本公開)
時間117分
劇場目黒シネマ

雑感

「スパイダーマン」に代表されるマーベルものというか、超人ヒーローもののパロディなのかと思ったが、本作ももとはマーベルに連載されていたコミックなのだとか。

平凡な人間がヒーローになりたくてコスチュームを着て自らを鼓舞する、というのは、昔だったらバカにしたかも知れないけど、「アメイジング・スパイダーマン2」を観た今はよく理解できる。あの作品でも、小さな男の子がスパイダーマンのコスチュームを着て「ニューヨークの平和は僕が守る」と頑張っていた。ああいうことって、あるよなあと。

どこかで「主人公の影が薄い」という評を見たのだけど、どこが薄いんだよ! キャラ立ちまくりだし、カッコいいし、可愛いし、文句なしだろ! と思ったが、あとでよくよく考えてみると、一応本作の主人公はキック・アス(のはず)だよな。どうみてもヒット・ガールが主人公だと思うし、そういうつもりで見て何も違和感はなかった。

ストーリー自体は他愛もないけど(でも引き込まれる)、アクションがすごい。「アクションもの」のひとつの理想を示したのではないか(追随する作品があまり出てきているようには思えないが)。

今日の英語

  1. "I care about you." "I care a lot about you." ←バカっぷる爆発しろ。

配役

  • クロエ・グレース・モレッツは(なぜかアビゲイル・ブレスリンと混同していた)、同じ2010年に公開された「モールス(Let Me In)」のアビー役が印象に残っている。「キャリー」は悪くなかったけどイマイチかな。それにしてもあんなに身体が柔らかくて運動神経に優れているとは。

2014-05-28

アクションには見所あり。「キカイダー REBOOT」

何度も書いたけど何度でも書く。このような過去の名作漫画の実写映画化は、観ることが重要だ。観ることができただけで十分で、それ以上は何も期待しない。……しかし、この映画の制作者の方々は、何がしたくてこの映画を作ったのか、聞いてみたい気はする。

題名キカイダー REBOOT
原作石森章太郎
監督下山天
出演■原作にも登場した人物/入江甚儀(ジロー)、佐津川愛美(光明寺ミツコ)、池田優斗(光明寺マサル)、長嶋一茂(光明寺信彦)、鶴見辰吾(ギルバート神崎)、原田龍二(服部半平)、他

■映画オリジナル/高橋メアリージュン(マリ、ギルの作ったアンドロイド)、石橋蓮司(田部慎之介、総理大臣)、中村育二(椿谷、国防大臣)、本田博太郎(本田宗五郎)、伴大介(前野究治郎)、他

公式サイト映画『キカイダーREBOOT』公式サイト
制作日本(2014年5月24日公開)
時間110分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン2/126席)

雑感

ストーリーに関しては全く練られていない感じで、当初はジローのライバルとしてまりが登場してテストバトルでは圧倒していたのに、途中からハカイダーが出てきてマリが何のために出てきたのかわからなかったし(マリが負けて、それより強力なハカイダーが出てきた、というならわかるのだが)、ギル博士がなぜ健康な自分の肉体を捨て、わざわざ機械なんかに自分の脳を移植したのか理由が不明。あんな大きな騒ぎを起こしてミツコとマサルを襲った理由もわからない。「光明寺博士の研究の成果がマサル君の体内に隠されているから協力してほしい」と素直に頼めばよかった。光明寺はギルから隠したかったのだろうが、ミツコらは光明寺とギルらの確執を知らないから、光明寺博士の後を継ぐものです、といえばわからなかったはず。そうなれば当然ジローの出番もなくなるわけで、つまりこの話そのものを否定することになるんだけど。

ジローとミツコとの関係も、強引に恋愛関係に持っていきたいのはわかるけど強引過ぎて不自然。まず私たちを襲ってくるのはどういう連中なのか、それはなぜなのか、私たちはどうすべきなのか、そういう情報をちゃんと収集するべきだろう。実際、データを渡してもマサルの命に別状はなかったわけで、さっさとそうしていれば良かったんじゃないの? としか思えず。

漫画またはテレビドラマの「人造人間キカイダー」を原作とする以上は、もう少しオールドファンが泣いて喜ぶシーンがほしかった。変身する時はやはり両肩を順に叩いて変身してほしい。キカイダーの脳波を狂わす電磁波は、ハカイダーの指先からではなく、笛を吹いてほしかった。そしてそして必殺技のデンジ・エンドは、腕を交差させて発しなければいけない。こうした「ポーズ」は重要で、これは踏襲してほしかったところ。

まあすべてが悪かったわけではない。アクションには一日の長があった。というか高橋メアリージュンってこのあいだウシジマくんに出てきた人だけど、あんなにアクションがこなせる人だとは思わなかった。

だけどジローのギターがアコースティック(クラシック)ギターではなくエレキギターだったのは謎。しかもアンプがないのに弾くと音が出る不思議。

配役

  • 入江甚儀は「軍師官兵衛」の別所長治だった。アイヤー。

観客

たった10人だった。寂しい。

2014-05-27

いい映画を観た。「青天の霹靂」

映画を観るのは6日ぶりである。ずいぶん久しぶりのような気がしてしまうのだから、僕も変わったものだ。ここのところいろいろな事情で時間が取れずにいたのだが、この映画だけは観たかった(それもなるべく早く)ので、無理に時間調整をして出かけた。……いい映画を観た。

題名青天の霹靂
原作劇団ひとり
脚本橋部敦子、劇団ひとり
監督劇団ひとり
出演大泉洋(轟晴夫/ぺぺ、マジシャン)、劇団ひとり(轟太郎/チン、マジシャン)、柴咲コウ(花村悦子、轟太郎の子の母)、風間杜夫(雷門ホール支配人)、笹野高史(産科医)、前野朋哉(勘太)、柄本佑(マジックバーで晴夫の同僚)、パルト小石(マジックバー店長)、黒田大輔(?)、他
公式サイト映画『青天の霹靂』| 公式サイト
制作日本(2014年5月24日公開)
時間96分
劇場名古屋ミッドランドスクエア(スクリーン2/150席)

雑感

作品の話ではなく、右側の席の人の話。顔をじろじろ見たわけではないので確信はないが、たぶん20代の前半くらいの若い女性。まず素足を前席の背もたれにどーんと投げ出していて、ペディキュアがきれいに施されているのがよく見えた。なかなか女性でこういう姿勢を取る人はいない。

ポップコーンを頬張っていたのだけど、食べる音がうるさい。よくコンビニやスーパー等で買ってきた食べ物を持ちこむ人がいて、こうしたものはレジ袋や包装紙のごそごそパリパリする音が劇場内にかなりうるさく響く。飲食物の持ち込みお断わり、としている映画館が多いが、これは単に自分のところの売店の売り上げを上げたいがために言っているのではないのだ。逆に、売店で売っているポップコーンは普通はこんなに音がしないはずなのだが、ポップコーンの入った容器の中を始終無遠慮に手でかき回していて、これが大きな音を立てるのだ。

上映中、しばしば彼女の足元がピカピカ光る。恐らく携帯の電源を切らずにマナーモードにしていて、メールかLINEが届くたびに光っているのだろう。なにしろ頻繁に光るので、こんなにいろいろ着信するのものなのか、若い子はすげえなと妙に感心したのだが、せめて鞄の中にしまっておいてくれればよかったのに、これも結構気になる。でもまあ音がしないだけましかと思っていたら、本人も気になったのだろう、途中で携帯を取り上げて中を見始めやがった。こういうことをされると辺りが明るくなるので困る。

そもそもおしゃべりがやまない。予告編を上映中に大きな声で隣の人としゃべり続けていたのは、まあ予告編はいいか、こっちも真面目に見ていないし、本編が始まればやむと思っていた、というか、やむことを期待したのだが、さすがに頻度は落ちたけど、完全にやむわけではなかった。できれば席を移りたかったが、かなり込み合っていて、空席はほぼない状態だったからそれも叶わなかった。

ところでこの彼女、どうやら笑いの沸点がかなり低いらしく、それほどのギャグでもなく、ニヤリとかクスリが適当と思われるシーンでもかなり大きな声で豪快な笑い声を立てていた。実は大きな声で笑う人というのは、僕は嫌いじゃない。シーンと静まり返っているより場が温まるというか、こちらの感情も自然に影響を受け、スイッチが入りやすくなる。こういう人が隣にいると、些細なことでもすごく面白く感じられて楽しい。こういう反応によりそえることも、劇場で観る魅力のひとつだと思う。

そして、大泉洋が劇団ひとりに、「どうせその子は産まれてもろくな人間に育ちゃしねえんだから、堕ろしちゃえよ」と詰め寄るシーん。お隣さんは「えぐっ、ぐふっ、……」と文字通りの意味で号泣を始めたのだ*1。大の大人があれほど大きな声で泣くのはちょっと記憶にない。

映画も良かったけど、隣席もいい人に恵まれたなあと、しあわせな気分で劇場をあとにしたのだった。

【注】だからといって、携帯の電源を切らず、大きな音を立てて食べ、おしゃべりをやめない人がいいと言っているわけではありませんので悪しからず。

TRICKへのオマージュか?

柴咲コウ演じる花村悦子が舞台に立った時の服装(と髪型)は、TRICKの山田奈緒子を意識しているよね!?

続きを読む

*1:「号泣」はしばしば「激しく泣く」の意味で用いられるが、本来の意味は「大きな声をあげて泣く」である。

2014-05-26

海街Diaryが実写映画化

吉田秋生の傑作漫画「海街Diary」が是枝裕和監督によって実写映画化されるらしい。

原作は単行本にして現在5巻だが話がかなり発散している。いろいろな顔、いろいろなエピソードをつなぎあわせて紡いでいく、というのが吉田秋生のやりたかったことかと感じているが、ぎりぎりの線である(自分は、父のもとで抑圧されて育ち、シャチ姉たちに引き取られて初めて「いい子」でいなくてよくなったすずと、湘南オクトパスでみぽりんや風太たちと青春している「すずと、同一人物には思えない。後者のすずは、あまりにも陰がなくて明るいから)。

尺の上からも映画はエピソードを相当絞る必要があるが、さて、どのシーンにフォーカスを充てるのか。

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

2014-05-25

母いわ、久々に登場。/「軍師官兵衛」第21話「松寿丸の命」

公式サイト

粗筋

織田軍が有岡城に総攻撃を仕掛けるが、ことごとく撥ね返される。織田軍の攻撃を読み切っている荒木軍に、信長は村重ではなく官兵衛がいると直感。秀吉に松寿丸を殺すよう指示を出す。

雑感

信長の命令と半兵衛の行動

前回、「人質の始末などあとで良い」と言い切った信長が、どういう経緯で「松寿丸を殺せ」と言い出すか興味を持っていたが、なるほど織田の軍勢を撥ね返した荒木勢に、官兵衛が助言していると感じたわけか。信頼し、頼りにしていた村重の評価が意外に低かったのは「あれ?」だが、それなりに納得のいく展開であり、これまでの中では一番面白かったかも。

しかし「手の内が読まれている」と重臣が騒いでいるが、元の仲間であれば、読まれる可能性を想定し、戦法を変えるなど工夫すべきところを、いつもと同じ攻め方をしたのだろうか? だとしたら味方の指揮官の脳みそを疑いたいところだ。秀吉は有岡城攻めには加担していないのか? といって三木城や御着城を攻めている風でもないし。何やっているんだ?

松寿を処刑するよう指示する信長に、必死で抵抗する秀吉だが、「播磨と天下とどちらが大事なのだ」と怒鳴られるともはや言い返せない。そこを竹中半兵衛が「私が処刑します」と名乗りをあげる。半兵衛が引き受けた時点で、何か企みがあると視聴者は思うわけだが(というか、松寿が半兵衛に助けられることはかなり有名な事実なので、この先の展開は想像がつくわけだが)、秀吉は気づいていたのか、どうなのか。

もし秀吉の知るところであれば、秀吉が信長に逆らったことになり、今度は秀吉が処刑される可能性が大だ。だから半兵衛は、松寿の処刑に秀吉を立ち会わせず、黙って実行した。自分はどのみち長いことはないから、それでよいと……。この時の半兵衛の行動は(谷原章介の男前な演技と相俟って)今週の白眉か。

身代わりの子を悼む

半兵衛の命懸けの行動で松寿丸は助かり、黒田側から見れば美談なのだけど、単に松寿を匿っただけで事が済むはずがない。周囲にも松寿を処刑したと思わせ、信長にも首を差し出す必要がある。というわけで、ドラマでは描かれなかったが、この時、代わりの者が処刑されているのである。

代わりに殺された子にも、将来があった。親も兄弟もいただろう。いくら理不尽な理由とはいえ、松寿もその両親も、人質に出す以上、いつかこういうことになるかも知れないとは覚悟していたはずである。が、代わりに殺された子はそんな覚悟もなく、それこそ全く理不尽な理由で殺されたのだ。そのことに思いを馳せると胸が痛む。

だしの不可思議な行動

土牢に入れられた官兵衛は、銃声から織田軍の攻め方を察知し、このやり方では有岡城は陥ちないと力を落とす。その上松寿が処刑されたという知らせに気力を失い、食欲もなくす。朦朧とした意識の中で夢に出てきたのは母のいわだったが、現実に官兵衛を必死で食べさせ、生きる気力を出させようとしていたのは村重の妻・だしだった。

このだしの行動が理解不能である。もともと村重を諌めるために文を書いて官兵衛を呼びつけたことがきっかけでこのような事態に陥ってしまったことから、罪悪感に捉われている、という説明なのだが、いくら文を書いたのがだしでも、それを受けて来たのは官兵衛の判断であり、あっさり捕まってしまったのは官兵衛の力量である。だしがそこまで罪悪感を持つ必要があるのだろうか。

また、前回脱出を助けたことで、村重はだしの行動に相当に注意を払っているはずなのに、牢内へ勝手に忍び込むことができてしまうなど、セキュリティ面でも疑問が残る。だしに監視はついていなかったのだろうか。

さらに、官兵衛を励ますのはよいとして、牢の鍵を開けて自ら中に入り、膝枕までするのは何の意図があってのことか。これら一連の行動を素直に解釈すれば、だしは官兵衛のことが好きだった、としか思えない(官兵衛にその気はなさそうだから、不倫の関係ではない)が、それでいいのだろうか。キリスト教的にも、そういう行為は無論、それを疑われるような行為も慎むべきだと思うが。

そう、だしはキリシタンなのに、その設定が全く生きていない。キリスト教的な博愛主義から、傷ついた官兵衛をほっておけなかった、とかであれば、それはそれで説得力はあるのに。

いずれにしても、村重からすれば裏切られたとの思いは強かろう。……というわけで、村重とだしの顛末は来週かな。

リンク

2014-05-21

ナタリー・ポートマンの鮮烈デビュー。「レオン(完全版)」

「バック・トゥ・ザ・シアター」企画。「午前10時の映画祭」と違って夜にも上映してくれるのでありがたい。

題名レオン(完全版)(仏題:Leon、英題:The Professional)
監督・脚本リュック・ベッソン
出演ジャン・レノ(レオン・モンタナ、殺し屋)、ナタリー・ポートマン(マチルダ・ランドー)、マイケル・バダルコ(ジョセフ・ランドー、マチルダの父)、ゲイリー・オールドマン(ノーマン・スタンスフィールド、麻薬捜査官)、ダニー・アイエロ(トニー、レオンの世話役/レストラン経営)、他
制作フランス、USA(1995年3月25日日本公開)
時間133分
劇場TOHOシネマズ日本橋(スクリーン4/119席)

内容紹介

マチルダは、父親からは虐待され、姉(腹違い)からは虐められ、母(血のつながりなし)からは無視され、弟だけを可愛がる孤独な生活を送っていた。

マチルダの父のところにスタンがやってくる。預けた麻薬を掠め取った奴がいると。当初はジョセフを疑っていたスタンだったが、ジョセフが否認すると、明日の正午までに犯人を見つけろと言いつけて帰って行く。翌日正午に再びやってきたスタンは、ランドー一家を皆殺しにし、ジョセフが隠し持っていた麻薬を押収。たまたま買い物にいっていて不在だったマチルダだけが難を逃れ、帰宅してすべての事情を察知したマチルダは機転を利かせて隣人の家に匿ってくれと頼み込む。

ランドー家の隣に住むレオンは、実は腕っこきの殺し屋だった。当初レオンは少し休んだら出て行けとマチルダに言うが、今出て行ったら確実に殺される、せっかく助けてくれたんだから最後まで助けろと言い寄り、同居を強引に認めさせる。また、レオンが殺し屋であることを見抜いたマチルダは、弟の仇を討つためにその技術を教えてくれと請う。レオンは拒否し続けるが、ついに根負けして拳銃の扱い方から殺し屋の心構えまでを教授することに。一方、英語の読み書きのできないレオンはマチルダから読み書きを教わって行く。

これまで孤独に生きてきた二人が、初めて互いの存在を愛しいと思うようになっていく。こうして、親子とも恋人ともつかない不思議な関係がはじまる……

雑感

これが「レオン」か……。初回封切時は、映画を全く観ない「空白の10年」の時代だったが、話題になったからタイトルだけは知っていた。こんな話だったとはね。

とにかくナタリー・ポートマン! ナタリー・ポートマンといえばもちろん、「スター・ウォーズ」新三部作のパドメ・アミダラで世界中を席巻し、「Vフォー・ヴェンデッタ」で髪を剃りあげ、「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞を獲得したあの彼女である。これが映画デビュー作で、米国プレミアの時点で13歳だが、なんといっても芸達者。見事な演技で、これが新人かと驚く。その上、この年齢なのにとにかく美人なのだ*1

身の回りのものを鞄ひとつに詰めて取るものも取り敢えず逃亡する時に、鉢植えの植木をひとつ抱えていくのでなにかと思ったら、これはレオンの唯一の趣味なのだった。大地に根を張っていないところが自分にそっくりだと言い、毎日朝は日向に出し、夕方は部屋にしまう。そして水をやったりていねいに育てる様子がていねいに描かれる。ラスト、マチルダがその植木を学校の校庭に埋めるシーンはちょっとやられた。秀逸なエンドだ。

ただし、ストーリーにはいくつも疑問がある。

  1. スタンがジョセフを疑い、明日の昼までに真犯人を見つけろ、と言って去って行った場面。ここでは翌日までにスタンの目を盗んで夜逃げをする以外に選択肢はなかったはずなのに、何もせずのほほんとしていたのはなぜか。仕事に行く新妻(恐らく)を引き留め、今日は休めと言ってセックスを始めるあたりは、特別な何かを感じていたのかも知れないが……。実際、彼自身が真犯人だったわけで、家宅捜査をされればすぐにバレることなんだから、何を呑気にしていたのかと思う。
  2. マチルダがスタンを襲いに行ってレオンが助けに行き、スタンの部下を殺してマチルダを奪回する場面。スタンは生きて帰れないと思ったがなぜあっさり脱出できたのか不思議。いずれにしてもスタンの目の前で部下を殺しているのだから、スタンが復讐にやってくるのは明らかなのに、なぜ引っ越ししようともせず、のんびり構えていたのか。上記ジョセフには見張りがついていたかも知れない(から夜逃げを企んでも失敗したかも知れない)が、この時点でスタンはレオンが誰か特定できていなかったから、素早く行動に移せば逃げ切れるチャンスはあったのに……
  3. そもそもマチルダがスタンを襲撃に行った時、ピザの宅配を装ったのはいいが、行き先(スタンの部屋番号)を素直に告げたのはマチルダらしくない。そんなことをしたら相手に連絡が行って警戒されるだけなのに……。まっすぐ部屋へ行く前に、袋の中の拳銃を装備する必要があるが、なぜ男子トイレに入ったのかも謎。女子トイレなら、スタンも簡単に入って来れなかっただろうに……。これまで大人顔負けの知能を発揮していたマチルダが、なぜ肝心要のところで子供に戻ってしまったのか。

今日の英語

  1. "You mean a hitman?" "Yeah." "Cool."

観客

混んでた。

*1:小野花梨もデビュー時の広末涼子も、かわいいーっ!! と思う(思った)けど美人とは言わない、と思う。

2014-05-20

フリーパスポートを利用して

2013年5月1日にTOHOシネマズのシネマイレージ会員になり、以来約11ヶ月で53本の映画を有料で観て(その間に鑑賞ポイントによる無料サービスで7本を観て)晴れてマイレージが6000を超え、一ヶ月のフリーパスポートを取得した。

4月4日から5月3日までの1ヶ月。途中、4月24日の夜にカードを紛失するというアクシデントが発生し、これで終わりかと思われたが、見つかって29日に手許に戻ってきた。30日から残りの期間で4本を無償鑑賞し、結局、このパスポートのおかげで15本を無償で観たことになる。仮に有料鑑賞の場合の価格を平均1,600円とすると、24,000円分ということになり、かなりお得なサービスであったのは間違いない。この期間中は、せっかくだから1本でも多くと思い、仕事や私生活はかなり犠牲にしてTOHOシネマズ通いを続けた結果でもあるのだが。(もし紛失しなければ、この期間中にあと2〜3本は観ただろう。ちょっと残念。)

ただしフリーパスポートも万能ではなく、たとえばバック・トゥ・ザ・シアター企画の作品は対象外。プレミアムシートも、差額を払うのではなく全額払う必要がある。これはセコイ。

普段、映画館で飲み食いはしないのだが(高いから)、映画を無料で見せてもらっているのでそのくらいは協力しましょうと思って一度、コーラとポップコーンを頼んでみたが、遅い! 時間がかかり過ぎ! 普通は映画を観ながら飲んだり食べたりしたいわけで、映画が始まる30分も前に買う人はいない。これから始まるという時に買うのである。だから、思ったより時間がかかると始まってしまうのである。もっと効率的に動いて、一客当たりの時間を減らす努力をしないと、これは厳しいと思った(担当してくれた人がたまたまノロマなのではなく、全体の動きが非効率的)。

無料で観たうち、「サンブンノイチ」「チーム・バチスタFINAL」(2回目)「クローズEXPLODE」「ネイチャー」などは、恐らく無料でなければ観なかったと思う。しかし、「ネイチャー」はともかく、他の作品は結果的に面白かったから、このフリーパスポートは単に「安く観られた」以上の恩恵があったことになる。

一方、封切られる映画がすべてTOHOシネマズで上映されるわけではない。が、この時期はTOHOシネマズで観ることを最優先し、他の映画館での上映を気に留めなかったため、おかしなことになった(TOHOの映画館で見せられる予告編や、置いてあるパンフレットは、TOHOで上映予定のものに限られるため、情報がすごく偏っているのだが、偏っていることに当初は気づかなかった)。そのため、うっかり「ある過去の行方」「おとなの恋には嘘がある」を見逃すところだったし、「リベンジ・マッチ」は見損なった。これは悩ましいところだ。

2014-05-19

意味がわかんない。「ニューヨーク 冬物語」

題名ニューヨーク 冬物語(Winter's Tale)
原作マーク・ヘルプリン「Winter's Tale」
監督・脚本アキヴァ・ゴールズマン
出演■1916年/コリン・ファレル(ピーター・レイク)、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ(ベバリー・ペン、令嬢)、ウィリアム・ハート(アイザック・ペン、ベバリーの父)、マッケイラ・トウィッグス(ウィラ・ペン、ベバリーの妹)、マット・ボマー(ピーターの父)、ルーシー・グリフィス(ピーターの母)、ラッセル・クロウ(パーリー・ソームズ、ピーターの育ての親)、ウィル・スミス(ルシファー)、他

■2014年/エヴァ・マリー・セイント(ウィラ・ペン)、ジェニファー・コネリー(バージニア・ゲームリー、シングルマザー)、リプリー・ソーボ(アビー、バージニアの娘)、他

公式サイト映画『ニューヨーク 冬物語』オフィシャルサイト
制作USA(2014年5月16日日本公開)
時間118分
劇場新宿ピカデリー(シアター9/127席)

内容紹介

20世紀初頭のニューヨーク。幼い頃に両親と生き別れたピーター・レイク(コリン・ファレル)は、裏社会を支配するパーリー(ラッセル・クロウ)のもとで悪に手を染める日々を送っていた。だがある日、ピーターはパーリーを裏切り、パーリーから執拗に追われることになる。そんな中、強盗に押し入った家で不治の病に侵された余命わずかの美しい女性・ベバリー(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と出会ったピーター。二人は身分を越えて恋に落ちるが、二人の時間は長くは続かなかった……。ベバリーの早すぎる死はピーターの生きる目的をも奪い、やがてパーリーに捕らわれたピーターはマンハッタン橋から突き落とされてしまう。命からがら川から這い上がったピーターであったが、彼は記憶を無くし、生きる意味さえも分からず街をさまよう。しかし、ピーターはある運命の力によって100年に亘り生き続けるのだった……。2014年のニューヨーク。自らの謎を探し続けるピーターはある親子と偶然出会い、生きる証となる使命を知ることになるが……。(Movie Walkerより)

雑感

始めから終わりまでよくわからなかった。よく理解できなかったので粗筋を紹介することもできない。

ジェシカ・ブラウンはすごくきれいな人だったので、彼女を眺めているのはまあ楽しかったけど、ラッセル・クロウは無駄な熱演という感じだし、ウィル・スミスに到っては、ハリウッドを代表する役者のはずなのに、なんでこんな端役で出演しているのか。彼が登場した時は、このルシファーが後半のキーになる存在なのかと思ったよ。そうはならなかったけど。

原作は現代アメリカ文学の最高峰と讃えられているそうだが、まあ、こういう映画もあるということだ。

今日の英語

  1. Proceed.(続けて)
  2. We consider.(考え直せ):We'll ... だったかも知れない。we、と言っていたのが新鮮に響いた。なるほど。

観客

20人。遅い時間とはいえ、この週末に封切られたばかりの作品なのに。

劇場

松竹共通の新しいサービスが始まった。僕はMOVIXの映画館に行くことはまずないけれど、可能性はゼロではないのだから、共通の方がいい。知っていたら加入したかったが、知ったのはチケットを買ったあと。そりゃないだろう。チケットを買う時に案内してくれたっていいんじゃないか!?

リンク

期待通り(?)詳しく怒ってくれているので、僕の感想もあながち間違っていなかったことがわかった(笑)。

2014-05-18

ついに官兵衛つかまる/「軍師官兵衛」第20話「囚われの軍師」

公式サイト

粗筋

官兵衛は村重に捕えられ、村重は御着に「官兵衛を殺した」と連絡する。その報は姫路にも届く。動揺する黒田家。

村重は官兵衛を味方につけたいと思っており、説得するも、官兵衛は屈しない。同情(?)しただしは官兵衛の脱獄に協力するが、村重は気づいていて、官兵衛を再捕縛。狭くて汚い土牢に入れてしまう。

信長はバテレン宣教師を通じて高山右近を説得、再び味方につけることに成功。それを見て中川清秀も「毛利については勝ち目がない」と織田陣営に。この中川を通じて、官兵衛は生きており、村重の味方につくよう説得されていることを知らされる。信長の目が光る。

黒田家では官兵衛が生きていたことを喜ぶが、事態は予断を許さない。なんといっても松寿が人質に取られているのだ……。善助以下、金魚の糞の三人が官兵衛救出のため有岡城に向かう。

雑感

前半最大の山場のはずで、はらはらドキドキするシーンの連続になるはずだが、どうも今ひとつ盛り上がらない。粗筋を説明されているだけのような気がするのは、要は、事実は述べてくれるが、理由の説明がないからだ。高山右近が戻ってきた、中川清秀も再び織田についた、それはわかった。しかしなぜ、彼らは織田につくことにしたのか。その理由がわからない。キリシタンを皆殺しにすると言われたから、織田の方が有利だと思ったから、……それは結構だが、それだけなのか。しかもそれを、内面の葛藤とかではなく言葉で説明しちゃっているから、はいそうですか、わかりましたで終わってしまう。

だしが夫・村重を裏切って官兵衛の脱獄に手を貸す理由もわからないし、官兵衛が、毛利に未来はない、織田につくしかないと頑なに信じ込んでいる理由もわからない。だから村重を説得できないのだ。

姫路では、小寺につく郎党衆が城を出ていく。後藤又兵衛も出ていく。これが信じられないのだが、なぜ行かせてしまうのだろう。黒田に味方するか、さもなければ殺す、となぜきっぱりとした態度を取らないのだろう。少しでも織田に疑われたら松寿の命がないとわかっていながら、なぜ敵に塩を送るような真似をするのか。黒田が織田につくのが変わらないなら、御着とは一戦交えるしかないのである。敵方の戦力が増えたら困るし、こちらの情報が筒抜けになってしまうのはもっと困る。どうせ戦場で相まみえたら殺し合うしかないのだ。だったら今殺すべきだ。殺すのがしのびないなら、牢にでも入れて監禁するしかなかろう。

こういう生ぬるさも、面白くなさに拍車をかけている。

リンク

2014-05-17

がっかり……。「ライヴ」

当初、どこかのアイドルタレントのライブビューイングかと思ってリストから外していた。小説の実写化、しかも角川文庫創刊65周年企画と知って慌てて観に行った次第。なんせ角川映画で育ってきた人間なので、「往年の“角川映画”の魂にオマージュ捧げた映画、それが新生KADOKAWA映画『ライヴ』だ!」と言われたら行くしかないでしょう。

題名ライヴ
原作山田悠介
監督・監督井口昇
出演山田裕貴(田村直人)、大野いと(宝田ルミ、福岡弁)、森永悠希(金澤伸介、お調子者)、入来茉里(水野アカリ、新体操が特技)、津田寛治(東野賢吾、アスリート)、森下能幸(緒形新一、窓際族サラリーマン)、生稲晃子(直人の母、直人が幼い頃に離婚)、諏訪太郎(ルミの父、ルミにDVを続けてきた)、志垣太郎(アカリの父、アカリを鍛えることに生きがいを感じている)、他
公式サイト映画『ライヴ』オフィシャルサイト
制作日本(2014年5月10日公開)
時間105分
劇場ヒューマントラストシネマ渋谷(劇場2/173席)

雑感

なるほど「おとーさーん、おとーさーん」と叫ぶのは「野性の証明」のオマージュなのかも知れない。他にもそうしたネタが仕込まれていたのかも知れない。しかし、「人間の証明」の興奮も、「野性の証明」の展開も、「時をかける少女」の胸キュン感も、かけらもなかった。

山田悠介の小説を原作にしながら、小説版とはかなり違う作りになっていて、その工夫は評価してもいい。いつのころからかエンタメのいちジャンルを築いている「デス・ゲーム」は、ある日突然理不尽に始まり、その背景とか理由とかを問うてはいけないことになっている。これだけ多くの「参加者」の身内をつかまえ、監禁しておくには相当の人数の協力者が必要だが、「主催者」にそんなことができたとは思えない。が、そういうことに疑問を持ってはいけないのだろう。

それにしても現実性に乏しい。このような集め方でほぼ同時刻に「参加者」が集まってきたとは思えない。本がヒントになっているなら、僕だったらまず本を読む(それで半日は出遅れるだろう)。また、全員がインカムを着けているからといって、たったひとりの「主催者」がこれだけの人数の「参加者」の言動に個別に注意を払うのは至難のわざだろう。

電動ノコギリを腕に当てて押し付けても傷ひとつつかないとか、タンクトップにホットパンツ姿で頭から塩酸をかぶっても火傷ひとつしないとか、CG処理もお粗末なら、アクションシーンもお粗末。ボウガンで狙われたらバック転や側転をするより走って逃げた方がいいと思うのだが……

いろいろな事情があったとは思うが、これが角川映画の新しい1ページになったのかと思うと、寂しい思い出帰途についたのだった。

配役

  • 大野いとは「愛と誠」の高原由紀、「偉大なるしゅららぼん」の速水沙月。おおー、そうか。
  • 森下能幸は「チーム・バチスタの栄光」で愚痴外来の患者、「モンスター」で和子の父、「週刊真木よう子」のなまはげ、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」の犯人。いろいろ見ているなあ。
  • 志垣太郎で僕が知っているのは「エリア88」のサキ・ヴァシュタール(の声)。あれはよかった。

劇場

ハッピーフライデーで1000円で鑑賞。これでとりあえず初年度の年会費分は取り返したか?

2014-05-16

面白れーじゃん。「闇金ウシジマくん Part2」

題名闇金ウシジマくん Part2
原作真鍋昌平
監督山口雅俊
出演■カウカワ・ファイナンス/山田孝之(丑嶋馨)、やべきょうすけ(柄崎)、崎本大海(高田)、久保寺瑞紀(摩耶)、菅田将暉(加賀マサル)、綾野剛(戌亥、情報屋)、バカリズム(下村、債務者、妻に返済してもらうが……)、平田実(丸山満男、父の年金で風俗通い)、希崎ジェシカ(葉山朋子/モコ、風俗嬢)、他

■若虎会/光石研(熊倉)、本仮屋ユイカ(ユキミ、熊倉が贔屓にしているホステス/丑嶋の客)、高橋メアリージュン(犀原茜、闇金融ライノー・ローンの経営者)、マキタスポーツ(村井、犀原茜の部下)、他

■愛沢連合/中尾明慶(愛沢浩司)、木南晴夏(愛沢明美、浩司の妻)、他

■ホストクラブ/窪田正孝(神咲麗)、相葉裕樹(希崎大成、No.1ホスト)、キムラ緑子(日野牧子、太客)、大久保佳代子(里中美奈子、常連客)、門脇麦(藤枝彩香、麗に食い物にされる女)、柳楽優弥(蝦沼、藤枝彩香のストーカー)、他

公式サイト5/16公開 映画『闇金ウシジマくん Part2』公式サイト
制作日本(2014年5月16日公開)
時間133分
劇場ヒューマントラストシネマ渋谷(劇場2/173席)

雑感

原作の人気漫画は存在は知っていたが読んだことがない。実写ドラマも、テレビ編はシーズン2まで終了し、映画もpart1が制作されている。ずいぶん過去作品があるため、いきなり見ても面白くないのではないかと思ったが、そんなことはない。過去作品を知らなくても十分面白かった(「悪夢ちゃん The 夢ovie」の制作者、聞いているか)。

それぞれの役者がそれぞれに熱演していたが、なんといっても山田孝之に尽きる。最初から最後まで一度も笑わない。抜群の存在感である。実は、闇金などにお金を借りにくる人……こんなところで借りるしかない人の生活とはどういうものなのかを追いかけるのが主眼で、貸借や取り立ての場面自体が重要なわけではない。だから山田の登場時間はそれほど長くないのだが、全体を始めから終わりまで山田の……丑嶋の影が蔽っている。

配役

  • 木南晴夏は「眠りの森」以来。
  • 菅田将暉は「そこのみにて光輝く」での熱演は記憶に新しいが、「陽だまりの彼女」では松潤の弟役、「麒麟の翼」でも青柳の水泳部の後輩役で登場している。「共喰い」の遠馬役だけはどうしても一致しないが。

劇場

ハッピーフライデーで1000円で鑑賞。

観客

たった3人!

リンク

2014-05-15

北川景子のうまさが際立っていた。「悪夢ちゃん The 夢ovie」

題名悪夢ちゃん The 夢ovie
監督佐久間紀佳
出演■明恵小学校/北川景子(武戸井彩未、明恵小学校6年2組担任)、優香(平島琴葉、明恵小学校養護教諭)、濱田マリ(貝原聡子、ベテラン教師)、キムラ緑子(甘澤龍子、教師)、木村真那月(古藤結衣子、悪夢ちゃん)、若山耀人(佐藤卓弥)、鍋本凪々美(井上あおい)、他

■その他/小日向文世(古藤万之介、帝都工科大学教授/結衣子の祖父)、GACKT(志岐貴、夢研究分室准教授/結衣子の父?)、阿南健治(中込真也)、他

■映画ゲスト/マリウス葉(渋井完司、転校生)、佐藤隆太(渋井幸介、完司の養父)、本上まなみ(斉藤美保、完司の生母)、六角精児(井上達彦、あおいの父親)、他

公式サイト映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』公式サイト
制作日本(2014年5月3日公開)
時間119分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン2/126席)

雑感

2012年に放映されたテレビドラマの続編らしい。予習が間に合わないから観るのはやめようかと思ったのだが、どこぞの映画評で、テレビドラマを知らない人でもわかるように配慮されている……的なことが書いてあったため、それではと思って観ることにした。ところが!!

これまでに観たどのテレビドラマ発の映画と比べても、テレビ編を知らないとわからない作りになっているではないか。「トリック」……は僕がテレビ編を全部知っているからフェアな比較はできないが、「チームバチスタ」だって「相棒」だって「クローズ」だって、これまでの作品を全然知らずに臨んだけどちゃんとストーリーはわかったのに。

設定も世界観もわからないまま観、結局よくわからないまま終わった。

しかし、北川景子がうまいことだけはよくわかった。あんな風にきちんと「見栄を切る」ことはなかなかできない。声も凛と通るし、役者としては文句なしだ。

思い起こせば「ルームメイト」で気弱な女の子を演じ、「ジャッジ!」でコメディエンヌの才能を発揮し、「抱きしめたい」で純情な子を、本作では腹黒い役を、見事に演じ分けている。すごい役者だ(全部観ているオレもすごいな)。「真夏のオリオン」(2009)の時は全く印象に残らなかったし、「謎解きはディナーのあとで」の宝生麗子役は感心せず、北川にコメディは無理だと思ったのだが……

小学生の子の「お習字」で書かせた言葉にギャグを仕込む、というのは「トリック」の追従だなあ。そういう風に受け継がれているのに気付いたのは面白かったなあ。

井上達彦のパン屋の経営がうまくいかなかったのは、小学生に店の手伝いをさせたこと。完全に労働基準法、児童福祉法違反だろう。だからこういう事故も起きるのだ。

配役

  • 眼鏡っ子優香たんカワイイ。
  • 濱田マリがオバサンになっていた。オバサンの年齢か。
  • 松寿……ではなく若山耀人クンの存在が小さくて不満。でもちゃんとわかったゾ。

観客

たった3人!

リンク

これは文句なし。「ブルージャスミン」

題名ブルージャスミン(Blue Jasmine)
監督・脚本ウディ・アレン
出演ケイト・ブランシェット(ジャスミン)、アレック・ボールドウィン(ハル、ジャスミンの夫)、サリー・ホーキンス(ジンジャー、ジャスミンの義妹)、アンドリュー・ダイス・クレイ(オーギー、ジンジャーの元夫)、ボビー・カナヴェイル(チリ、ジンジャーのボーイフレンド)、ピーター・サースガード(ドワイト、ジャスミンの新しい彼氏)、他
公式サイト映画『ブルージャスミン』公式サイト
制作USA(2014年5月10日日本公開)
時間98分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン10/105席)

内容紹介

ジャスミンは大学を中退し金持ちのハルと結婚。セレブな生活を満喫していたが、実はハルは投資詐欺を行なっていた。行為が明るみに出て、ハルは逮捕され、ジャスミンは資産を押さえられ一文無しに。里親のところで一緒に育ったジンジャーを頼ってニューヨークからサンフランシスコに行く。が、セレブ時代の癖が抜けず、一文なしであるにも関わらず、飛行機はファーストクラス、鞄はヴィトン。そして妹の暮らしを「ひどい暮らし」と決めつけ、「いつまでこんな生活を続けるつもりなの!?」「私はスーパーのレジ打ちなんかやりたくない」などとぬけぬけと言い放つ……

雑感

サンドラ・ブロックが主演女優賞を逃したのは納得がいかず、オスカーを射止めたケイト・ブランシェットがどんな女優なのか見定めるつもりで鑑賞に臨んだのだが、観てみて納得。これは文句なしだ。とにかく現実を見つめない高慢なセレブっぷりと、後半の壊れっぷりがお見事! というしかない。

映画自体もよい出来で、作品賞にノミネートされていてもよかったのでは、と思ったくらい。

夫が何をやっていたか全く知らない、無邪気な(無知で世間知らずな)奥様ということになっていたけど、夫の浮気に腹を立てた挙句に通報したのはジャスミンなのだから、ハルが不正なことをしていたことは知っていたはず。それでいてジンジャーにも投資を進めたわけか。そういう女なんだな。

Academy Award

第86回アカデミー賞において、助演女優賞(サリー・ホーキンス)、脚本賞(ウディ・アレン)がノミネートされ、ケイト・ブランシェットが主演女優賞を受賞。

観客

10人。ちょっとさびしい。

リンク

2014-05-14

脚本がよくできている「最近、蝶々は……」

題名最近、蝶々は……
原作内田春菊
監督・脚本友松直之
出演後藤理沙(篠崎瑠可/蝶おんな)、黒木歩(野本佳子、篠崎瑠可の先輩OL)、川又シュウキ(間宮和也、篠崎瑠可の先輩・既婚)、徳元裕矢(萩本、出版社社員記者)、希咲あや(越川樹里、萩本の同僚・出版社契約社員)、金子弘幸(土間/ドマックス、バーテン)、朝霧涼(針谷、精神科医/萩本の学生時代からの友人)、内田春菊(克子、タクシー運転手)、あん(コマ子、克子の娘)、稲葉凌一(高原、克子の夫)、衣緒菜(看護師)、他
公式サイト映画『最近、蝶々は…』主演:後藤理沙×原作:内田春菊 5/10(土)より2週間限定レイトショー
制作日本(2014年5月10日公開)
時間96分
劇場ヒューマントラストシネマ渋谷(劇場2)

内容

篠崎瑠可は目を覚ました時に身体に異変を感じた。トイレで確認すると、膣から精液とおぼしきものが大量に出てきた……。寝ている間にレイプされたのか? しかしドアも窓も内側から鍵がかかっている。まさか幽霊に犯された? 幽霊も射精するのか? 寝るたびにそのような「事件」が起きるため、怖くて眠れなくなってしまった……

雑感

ホラー&スプラッタ。ちょっぴりエロあり。

内田春菊原作なので、話は面白いのだろうと思っていたが、脚本が期待以上によくできていた。話の展開にも無理がなく、引き込まれる。ただ、残念ながら後藤さん徳元さん内田さん以外の役者さんは、もう少し演技に工夫できなかったか……少々残念だった。恐らく低予算で作られたと思われ、CGが簡易だったりするのはそれなりに納得できるので気にならなかったが……。

裸になるシーンがあるせいか、女優さんの多くはAV女優だそうで、なんとなく納得はいったのだが、それより公式サイトでもキャストは後藤理沙しか紹介していないし、誰がどの役なのかわからない! 友松監督のブログでも紹介があるが、女優さんの名前だけではく役名も併記してほしい。何人か出演された方のブログも見つけたが、どの役をやったのか書いていない! ネタバレを避けているのかな? この部分で苦労したんですよーみたいな記事があれば、とても興味深いのに。(黒木歩さんが篠崎瑠可の職場の先輩で、希咲あやさんが出版社の派遣社員だろうか?)

【追記】(2014/05/19)

この記事を読んだ友松監督が、出演・役について、ご自身のブログで詳細に書かれました。恐縮です&ありがとうございます。それに合わせて本記事も加筆しました。配役について詳しくわかると、もう一回観たくなる。ヒューマントラスト渋谷では23日まで上映しているから、今週、もう一回行かれないかな。

劇場

久々のヒューマントラスト渋谷。しかし本日は水曜サービスデーで、会員・非会員を問わず1000円。安く観られるのはありがたいけど、TCGメンバーになって以来、いまだ会員のメリットを享受できていない気がする。

リンク

2014-05-13

「アナと雪の女王」の魅力(3)予告編のミスリード

「アナと雪の女王」の魅力(1)ストーリーの意外性』(2014/05/08)で二つの意外性と一つの伏線について述べた。が、意外性という点では実はもうひとつ大きく意表を衝かれることがある。それは、予告編との違いだ。

エルサが「LET IT GO」を高らかに歌いながら雪山の上に氷の城を築く。なかなかに印象的なシーンである。僕はこの予告編を見て、こんな一番いいシーンを、しかもフルコーラスがっつり予告編で見せてどうするんだよ……と呆れていた。しかも何度も何度も見せられたから、すっかり映画を見た気になってしまい、それが理由のすべてではないが、当初、この映画には食指が動かなかった。

映画を観たら、始まったばかりでいきなりこの歌が歌われることに驚き、さらに、この歌が、当初思っていたのとは真逆の意味で使われていたことに気付き、心底驚いたのである。予告編を作った人がどこまで計算していたのかはわからないけれど、予告編を見てなにがしかのイメージを持って本作を見た時の「やられた」感は半端ではなく、それも魅力のひとつなんだろうと思う。

この「LET IT GO(れりごー)」という歌は、世間のしがらみや、周囲の雑音を気にすることなく、自分は自分らしく生きればいいんだ、という応援歌のように思われていて、昨今ではそのような文脈で引き合いに出されることが多い。いや、歌自体はそういう意味の内容だから間違ってはいないが、本作の中では、それは否定的に扱われた。たとえてみれば、こんな感じである。引き籠りのニート君に対して、親が、「あなたも少しは世間とつながりを持たないと……」みたいに言うのに対し、その子が逆切れして、

「うるせーなクソババァ、俺はそんな世間なんか気にしないでありのままに生きたいんだよ。部屋に籠って一人でゲームしたりネットしたりするのが俺らしいってことなんだよっ」

と怒鳴っているようなものである。

エルサは、ありのままに生きると言いながら、それは結局、世間で起きていることに頬かむりをし、他人の意見に耳を傾けず、一人、自分の殻に閉じ籠って暮らしているだけである。それが自分らしく生きることなのだと自分で自分に言い聞かせているだけで、結局のところ、結局、自分も含めて誰一人しあわせにしていない。それじゃだめなんだ、というのがこの映画の主張なのだ。

そんなエルサも、最後は自分の間違いに気づき、現実と向き合う覚悟を決めた。周囲の人もきちんと受け入れることにした。エルサが変わったところで物語は終わりを告げる。エンドロールでもう一度「LET IT GO」が流れるが、だからエルサはもうこの歌を歌わない。

2014-05-12

期待通りの面白さ。「WOOD JOB!」

題名WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜
原作三浦しをん
監督・脚本矢口史靖
出演染谷将太(平野勇気、緑の研修生)、光石研(中村清一、中村林業社長)、西田尚美(中村祐子、清一の妻)、伊藤英明(飯田ヨキ、中村林業の従業員/勇気の指導役)、優香(飯田ミキ、ヨキの妻/妊活中)、長澤まさみ(石井直紀、中村祐子の妹)、マキタスポーツ(田辺巌、中村林業の従業員)、有福正志(小山三郎、中村林業の従業員)、近藤芳正(林業組合専務)、柄本明(山根利郎、組合会長)、古川雄輝(大学生)、谷澤恵里香(「ニューヨーク」の女)、他
公式サイト映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜』公式サイト
制作日本(2014年5月10日公開)
時間116分
劇場TOHOシネマズ 川崎(スクリーン4/150席)

内容

大学受験に落ち、彼女にも振られてしまった平野勇気は、「緑の研修生」というパンフレットの表紙の美女に惹かれて一年間の林業体験を志望する。

当初は林業に対するモチベーションもなく、ちゃらんぽらんで集中力のない勇気は早々に挫折するかと思われ、実際、一度は脱走を企むが、結局一年やり通してしまった。が、そこに到る道は決して平坦ではなかった。

雑感(ちょっとネタバレあり)

ユーモラスに描かれてはいるが、林業や、そこに従事する人の生活についてはかなりきちんと書き込まれていた印象を受ける。染谷将太や伊藤英明は、クランクインの前に実際に林業体験を積み、高い木の上の方(30m以上だそうだ)に登って枝を落としたりするシーンはスタント・CGなしで実際に登ったという。

今年観た映画では「銀の匙」と同根の作品。あちらは酪農でこちらは林業の違いはあるが、一般にはキツイ・汚いというイメージのある(というより、どういう仕事なのか普通の人はほとんど知らない)業種を紹介し、その仕事の魅力を語りかけてくれる。

f:id:chd:20140515034520j:image:w360:right

ただし酪農と違い、林業は一代で完結しない。木が高値で売れることを知った勇気が「山にある木を全部売ったら億万長者ですね!」と言った時に、中村清一が怒鳴るのである。「全部いっぺんに売ってしまったら、わしらの子は、孫は、どうなるんだ」と。「今日売った木は、曾爺さんが植えた木だ。高く売れたのは、ご先祖様がきちんと世話をしてきてくれたからだ。わしらが植えた木を、ちゃんと世話できているかどうか、わしらが生きているうちにはわからない」。

こういう長期的な視点は、現代に決定的に欠けていると思うので、こういう作品がエンターテイメントとして作られることには大きな意義があると思う。

乱暴で、何かにつけて勇気につらく当たってきたヨキが、山根会長が勇気をよそ者呼ばわりした時に「こいつは山男だ!」と言い返したり、一年間の研修を終えて帰る時に号泣したりするシーンは、ベタだが泣ける。

しかし一年間の林業生活で大きく成長したかに見えた勇気だが、変わっていない部分もある。林業を自分の本職にする決意を固めたのはいいが、そういう時はまず親に報告し、事前に親から連絡を入れてもらうのだ。いきなり訪ねて行くのは、子供のすることだなあ。中村林業の面々は、歓迎してくれたと思うけど……

石井直紀と恋愛関係に陥るのかと思ったがそういうわけではなかった。これはこれで(ドラマとしては)良かったけど、長澤まさみの魅力が十全に発揮されていたとは言えなかったのが残念だった。どちらかというと長澤まさみが理由でこの映画を観ようと思ったので。どちらかというと優香の方が目立っていた。それはそれで良かったが、いやー優香が伊藤英明とあんなエロいキスをするとは……

配役

  • 主要な登場人物は全員知っている役者だった。珍しい。というか、ようやくこの域に達したか、とひとしきり感慨。

観客

11人。150人入れるシアターなのに……。

過去記事

リンク

確かに予告は面白そうなんだけど、ちょっと残念でもあった。予告で見せ過ぎだよ……。

いつもながらの見事な解説なのだが、今回はちょっと納得できない。確かに山根利郎は勇気をよそ者扱いするし、あの打ち合わせの席では多くの人は山根に同調する雰囲気があった。ヨキが「こいつはもう既に山男なんだよ!」と言ってもしらけた雰囲気が漂っていた。神隠しにあった子を一人で探し出してからようやく認めてもらえるようになったのだが、その祭りには勇気と同期の研修生が他にも参加していた。えっ、彼らは排除されなかったの?山根のじーさん、彼らが参加するのには文句を言わないのか? なんかそのあたりがなあなあだったなあ、と思う。中村夫妻や飯田ヨキミキ勇気を暖かく迎えるのは、後継者不在という切実な背景があるからかも知れないが、表面的には親切にしつつも、根っこのところではもっと排他的でもよかったように思う。普通はそうだろう。

それから、勇気が突然林業を目指すのは「緑の研修生」の直紀の写真に釣られたからである。それはいいとして、現実に林業生活を送り始めたら、辛くて厳しくて嫌なことが次々と起きる。それを撥ね退けるほどの動機としては弱い。写真と、つんけんした実物の直紀だけでは、下心に発展しないのだ。もし実際に会った直紀が、優しく親切で、勇気に心を寄せてくれたら。少なくとも勇気がそう勘違いするような事件があれば。あるいは、うっかり直紀が風呂に入っているシーンを見てしまったとか。そんなことがあってこそ、直紀に対する恋心が何倍にも膨れ上がるのである。下心が何十倍にも膨れ上がるのである。

もし排他的な社会とそれに対する下心という点に重きを置くなら、もう少し手直しの必要があるのでは、と思った。僕は、そういったこともスパイスとして入れてはいるけれど、そこが重要というわけではなかったんだろうなあ、と思っている。

リンクありがとうございます。

田舎の生活はノーサンキューだけど「もし長澤まさみさんが1つ屋根の下で暮らしてくれるのならばこの限りではない」部分は激しく同意(笑)。

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

またドキュメンタリーか!「マドモアゼルC」

題名マドモアゼルC(Mademoiselle C)
監督ファビアン・コンスタン
出演カリーヌ・ロワトフェルド(本人)、他
公式サイト映画『マドモアゼルC ファッションに愛されたミューズ』公式サイト
制作フランス(2014年5月9日日本公開)
時間93分
劇場TOHOシネマズ 川崎(スクリーン8/112席)

内容紹介

カリーヌ・ロワトフェルドが「VOGUE」誌の編集長を辞め、新雑誌「CR」の立ち上げ準備から発刊直前までを追いかけたドキュメンタリー。

雑感

「マリリン・モンロー 瞳の中の秘密」や「愛しのフリーダ」と違い、映画、コンサート、テレビ出演といった「絵」はないが、「CR」の製作過程にはカメラを持ち込んで何ヶ月も密着取材をしたらしい。

以前も書いたが何度でも言う。これって、映画として映画館で上映するような内容なのか? 特別ドキュメンタリーとしてテレビの1時間番組に仕立てれば済む話では? 何か「事件」でもあったのであれば……たとえば火山が爆発したとかビルが倒壊したとか、それを撮影したフィルムでもあるなら、下手な特撮やCGなどより何倍も価値があるだろうが、だらだらと会議をしている風景を写して何が面白いのか。ああ、こんな話をしていたんだね、この時はこういう服を着ていたのね、という「記録」として関係者には価値があろうが、少なくとも僕には全く興味がない。

マドモアゼルCの生涯を、ちゃんと脚本を書いて、きちんとドラマとして役者に演じてもらいたかったと思う。

今日の英語

  1. Fashion beyond clothes.(ファッションは服を超える)〔CRのキャッチフレーズ〕

観客

たった3人! 

CR Fashion Book [US] No. 1 2012 (単号)

CR Fashion Book [US] No. 1 2012 (単号)

2014-05-11

小寺正職までが織田に反旗を/「軍師官兵衛」第19話「非情の罠」

公式サイト

粗筋

荒木村重に続き、小寺正職が織田に反旗を翻したとの報が入る。驚いた黒田職隆が御着へ行くが会ってくれない。それどころか「本当はこの場で殺してもよいが、無事に帰すのは殿の厚意だ」とまで言われてしまう。

次に官兵衛が会いに行くとさすがに追い返すことはせず、会ってくれたが、取りつく島がない。「村重にそそのかされているだけだ」と言い、「私が村重を説得したらお考え直しいただけますか?」と訊くと「もちろん。村重が織田につくというなら、わしも織田につく」と言う。

周囲の「危険だ」との声にも耳を貸さず、今度は村重の説得に有岡城に向かう。そこで見せられたのは小寺正職から村重への手紙。官兵衛はそちらに行ったら殺してくれと……。殿に裏切られた官兵衛は蒼白になり、村重に捕えられる。

雑感

前半の山場、官兵衛が村重に捕えられるところにようやく差し掛かった。

戦国時代の史実を詳しく知らないのだが、ドラマを見る限り、彼らにはセキュリティという概念がないようである。村重も小寺正職も、反旗を翻した瞬間、織田に味方するすべての軍の敵になる。なぜ光秀や官兵衛はのこのこ会いに行くのか? なぜ彼らを無事に帰してしまうのか? 恵瓊のような交渉専門の人物であればまた別だろうが、戦闘状態に入ったあと、大将同士が顔を合わせたら殺し合う以外にない。

正職から村重への「官兵衛を殺せ」の手紙を見て蒼白になるのは遅過ぎる。正職が毛利につくと言った瞬間に官兵衛は裏切られたのである。人質となった松寿が殺されても俺は知らんと言われたのである。蒼白になるとしたらこの瞬間でなければならない。のこのこ御着にやってくる官兵衛も官兵衛なら、呑気に対面した正職も正職である。この時官兵衛が取る策はただひとつ、正職に飛びかかって斬りつける以外になかったはずではないか。

公式サイト

昨年の「八重の桜」では、テレビが終わって公式サイトの「登場人物」のページを見ると、さっき死んだ人がもう「死亡」と書かれていて、うわ、仕事早っ、と思ったが、今年の公式サイトは対象的である。ドラマの中では続々と人が死んでいるが、サイトでは記載されない。母のいわも幼馴染のおたつも、まだ生きていることになっている。

というか、この人物相関図、もう19話なのに初回からほとんど変わらない(わずかに人が増えたようだが)。どんどん人は入れ替わっているのだから、10話ぐらいを目途に書き換えるべきだろうに。例年に増してやる気の感じられないサイトである。

2014-05-10

「タイムスクープハンター」シーズン6 第6話「鎌倉 不都合な真実」

公式サイト

出演(レギュラー)

  • 要潤(沢嶋雄一)
  • 杏(古橋ミナミ)

出演(ゲスト)

  • 加藤英雄(落合将監)
  • 山端零(青砥三郎)
  • 高橋佑一郎(市河左近太夫)
  • 土屋舞(若竹)

雑感

テレビ編がまだ続いているとは知らなかった。映画を観て興味があって、機会があればテレビ編を見たいと思っていた。映画はいろいろひねってあったが、テレビは短くまとめてあって、こちらの方が後味がいい気がする。

1253年4月17日。ストーリーは架空だが、お勉強臭なくお勉強になっている。今回の主眼は

  • 鎌倉は三方が山、一方が海に囲まれた自然の要塞。それ幕府開設の地としたひとつの理由。出入りはいくつかの狭くて険しい切り通しを通るしかない(テレビでは6ヵ所と言われていたが、鎌倉は「七切り通し」では?)
  • 1232年に制定された御成敗式目は武家社会での初めての成文法。これまでは慣例や判例を元にその都度判断していたため、人によって判断が食い違うこともあり、また被告の身分によって判決を変える裁判官もいた
  • 御成敗式目には人妻が不倫した場合の処分も定められている。従来は寝取られた夫は間男を殺していい風潮があったが、式目では財産没収となっている
  • 当時は酒の売買も禁止されていた(これは1252年の沽酒の禁のことと思われる)

沢嶋はジャーナリストを名乗っているが、番組内では黒子に徹しており、存在感は希薄。インタビューアだから、むしろそれでいいのだ。一方古橋は、沢嶋が疑問に感じた点をサポートする役割で、かなり重要な役どころである。

御成敗式目で不倫は財産没収だと古橋から説明を聞いた沢嶋が「不倫ぐらいで厳し過ぎじゃないですか」とうっかり漏らしてしまい、「不倫……ぐらい?」とジロリと睨まれてビビるところがオカシかった。

過去記事

リンク

ついに荒木村重立つ!/「軍師官兵衛」第18話「裏切る理由」

世界卓球を見ていたため、5月4日には見られず、録画を見た。

公式サイト

出演

粗筋

官兵衛は三木城を攻めるにあたり、隙なく囲い込んで兵糧を断つ戦法を進言。無駄に兵の血を流さずに済むというのがその理由。さらに宇喜多直家も再び調略にかかる。宇喜多は説得には応じないが、背後に気を付けろと忠告してくれる。が、官兵衛には思い当たる節はない。

信長の命に叛いたことを仙千代にチクられた村重は、申し開きのために安土を訪れる。信長から許され、一安心した矢先に、配下から本願寺に通じていた者がいたことが発覚。中川清秀から「一度疑われたら、生涯許されない」と言われ、ついに決起する決意を固める。

雑感

結局、信忠が明智光秀他織田重臣を連れて播磨に来て、上月は見捨て三木城攻略に力を入れるとほざいていたが、何もせずほったらかしで帰って行ったことが判明。そんなアホな。そうしたら村重の命令違反を糾弾するどころの話ではない。全員切腹ものだろう。史実がどうなっているのか知らないが、ちゃんと説明してほしい。

村重が織田に反旗を翻した背景はいろいろあるのだろうが、決め手になったのは中川清秀からの進言のようである。しかしこの中川の見立ては正しかったのか。中川自身が恐怖に駆られてそう思い込んでいただけのようにも見える。結局、殺すか殺されるかの戦国時代に、ある時針が向こう側に振れてしまったということなのだろう。

毛利のバックアップがあれば織田を倒すのは容易い。しかし毛利には天下を収める欲はない。織田を倒したあとはどうぞ村重殿が天下をお取りなされ……という手紙を恵瓊からもらってニヤニヤする村重には、フラグがいくつも立っていた。

2014-05-09

「アナと雪の女王」の魅力(2)アナの魅力

登場人物の中で最も魅力を感じたのはアナである。いやもう、アナの言動のひとつひとつがattractiveで、「また観たい」と思わせる大きな理由になっている。が、他の人の感想の中には、アナは空気が読めない、自分の意見を押し付けるだけ、……という声もあって驚いている。人によって好みはさまざまだとは思うが、ここではアナの魅力について述べてみたい。

アナの決断力と行動力は清々しく、やられた、と思わされる。まあ、この素早い決断力と行動力は、拙速になることもあり、ハンスとの婚約というような問題も生んではいる。しかし、いつまでもぐずぐずと決められず、決めてもなかなか行動に移せない凡人から見ると羨ましいし、人の上に立つ者としては欠かせない資質のようにも思われる。

f:id:chd:20140511212717j:image:w360:right

エルサが戴冠式の場を去った時、即座に追いかける決心をしたこと、ついていくと言ったハンスに、あなたはここに残ってアレンデールを守ってください、と即答したこと。これまで城の外に一歩もでたことがないアナにとって、道中は不安もあったろうし、一目惚れしたハンスがついてきてくれればこの上なく頼もしかっただろう。が、彼女は王女として、ずっとハンスと一緒にいたいという気持ちと、エルサと自分が不在のアレンデールのことを考え、一瞬でこのように決めたのである。この判断力は見事で、僕は王女にはエルサよりむしろアナの方が相応しいのではと思ったほどである。

クリストフとともに北の山に向かう途中で狼に襲われた時も、臆せず一緒に闘う。この時の奮闘ぶりも素晴らしい。クリストフは「あった日に結婚を決めるような人は信用できない」などと格好つけるが、はっきり言ってアナが協力しなかったら狼を追い払えていたかどうかは怪しい。そして目の前に谷が迫ると、これまたアナは躊躇せず「跳ぶのよ!」とスベンに指示。

この時は実はクリストフの行動も素晴らしくて、スベンに命令するのは俺だ! と言いながらアナをスベンの背に乗り移らせると、橇の紐を外してしまうのだ。二人を乗せた橇を引いたままジャンプしても、向こう側の崖に全員が移れるとは思えない。しかしアナを背に乗せた状態なら飛び移れる可能性が高い、と咄嗟に判断しての行動である。目立たないが、これはクリストフの「真実の愛」である。自分も橇からジャンプして飛び移るつもりで、我が身を犠牲にするつもりではなかっただろうが……

で、スベンとアナは無事に飛び移る。クリストフはかろうじて飛び移るが、そのままずるずると深い谷底に吸い込まれそうだ。と、その瞬間、紐付きのピッケルが投げつけられた。もう少しでクリストフに当たるところで、万が一顔にでも当たればただでは済まなかったであろうが、クリストフは落ちる寸前、落ちたら命はない。ここはリスクを考えずピッケルを投げるしかないわけで、このアナの躊躇のない行動によって命拾いをしたのである。もっとも、アナがクリストフに北の山へ案内するよう頼まなければ、そもそもこんな目に遭うこともなかった、とも言えるが……

とにかく、この時の一連のアナの行動はカッコよく、こんな行為を目の当りにしたら、そりゃ惚れてまうやろー、と言いたくなる。

話を飛ばして、ラストである。アナの危機を感じてクリストフが城に駆け付ける。もはや虫の息のアナも、クリストフが来ていることを知り、瀕死の身体で立ち上がる。自分の命はあとほんのわずかだが、それまでにクリストフに会って、抱きしめてもらえば、回復するかも知れない。オラフに付き添われて歩き出すが、もう何の余裕もない場面である。ところが、目と鼻の先でハンスがエルサを殺そうとするのを目撃してしまった。この時、アナはいささかも躊躇することなくエルサのもとに駆け寄り、エルサの盾となって、ハンスの振るう剣に身を差し出すのだ。

自分が助けなければ、確実にエルサは殺される。でも自分も瀕死の状態で、行けば命が危ない。行かなければ助かる可能性がある。このような状況ではどのような勇者でも躊躇をするものである(これを「モロボシ・ダンの葛藤」と呼ぶ)。トニー・メンデスも一晩悩んだ。モロボシ・ダンもウルトラアイを取り出して、すぐに変身する決心がつかなかった。しかしアナは迷わず行動している。お姉さんのためとか、アレンデールのためとかいうより、身体が反応してしまうのだろうが、これほどの「勇者」は他に思い出せない。

しかし日常のアナは可愛いのである。可愛いけど、三の線である。その意味で、神田沙也加の声はちょっと美人過ぎるかも知れない。

過去記事

「モロボシ・ダンの葛藤」について説明あり。

2014-05-08

「アナと雪の女王」の魅力(1)ストーリーの意外性

「アナと雪の女王」については既に何度も言及しており、今後もまだ書く可能性があるため、新たに「Frozen」というカテゴリーを作った。

公開から2ヶ月経つのに一向に人気の衰える気配がない。「アバター」の時もすごい盛り上がりを肌で感じたが、数字ではアバターを上回ったんだとか。僕が感じているこの映画の魅力について述べてみたいと思う。1がストーリーで2がキャラクタ。本当は音楽が最大の魅力だけど、それは世界中の人が認めていることなので敢えて言及しない。

二つの意外性と一つの伏線

対象年齢を考慮してか、ストーリーは一本調子で比較的シンプルである。わかりやすいが、しかし単調に陥っていないのは一つの伏線と二つの意外性があるためと考える。

伏線というのは、冒頭に登場したクリストフおよびスベンである。この時彼らは何をしているわけではないから、見過ごしやすい。しかし、振り返ってみるとここでの登場は重要である。こんな幼い頃から氷売りとして経験を積んでいたこと、クリストフとスベンは当時から仲良くしていたこと、そして、エルサによって傷つけられたアナをトロールが救うシーンを目撃したこと。またトロールに見つかって、恐らくは身寄りのない彼らの親代わりをトロールが務めるようになったこと。

クリストフが、身寄りがないのにひねくれたりせず、純朴で優しい青年に育ったのはトロールに育てられたからだろうし、傷ついたアナをトロールに会わせようと即座に思いついたのも、かつてトロールが治すのを目撃して知っていたからだ。そして何より、アナとハンスは初対面だがクリストフはアナが幼い頃から知っていたことになる。物語的にはこのアドバンテージは大きい。

初対面でアナと意気投合したハンスは、エルサ・アナ不在の間は代理として国民の信頼を得る働きをし、彼こそアナの運命の人かと思わされるが、後半の豹変ぶりは誰もが驚くところだ。もっとも、ハンスが本当に運命の人であれば、クリストフはなんのために出てきたのかということになるので、ここは、あーなるほど、そういうことかと一応納得できる。

その後、いったんアナをハンスに預けて身を引いたクリストフがアナの危機に城に引き返し、クリストフの気持ちに気づいたアナが瀕死の身体をおしてクリストフに会いに行く、こうなれば誰がどう考えたって、二人は再会して抱き合うはずである。しかし物語はそうはならない。この肩透かしを食らった感は強烈で、結末を知っていても、観返すたびに、アナの元へ駆けつけるクリストフにハラハラし、思いを遂げられなかった時に「ああー」とため息をついてしまう。

ウェーゼルトン公爵が何かやらかすのかと思ったのに単なる「イヤな奴」で終わった点も、意外といえば意外だったが、初めから小物感がぷんぷんしていたから、これはカウントしなくてもいいだろう。

わかりやすいが練られたよいストーリー展開であると思う。

余談だが、トナカイの寿命は野生で10年、飼われているもので15年だそうである。エルサとアナの「事件」が起きてから戴冠式まで約15年の時が経過しているとすると、スベンは既に寿命をかなり超えていることになる。クリストフやアナを乗せた橇を引いて雪山を登ったり、クリストフをまたがらせて全速力で城まで走ったり、老骨にはかなり厳しいことで、既に二代目だった可能性もある。

2014-05-07

とにかく笑える「大空港2013」

題名大空港2013
原作三谷幸喜
監督・脚本三谷幸喜
出演竹内結子(大河内千草、グランドスタッフ)、甲本雅裕(村木繁、主任/大河内の上司)、青木さやか(砂田かおる、空港案内係)、香川照之(田野倉守男、客)、神野三鈴(田野倉美代子、守男の妻)、池松壮亮(田野倉睦夫、守男の息子)、石橋杏奈(田野倉真弓、守男の娘)、生瀬勝久(鶴橋蔵之介、美代子の兄)、綾田俊樹(鶴橋清正、蔵之介と美代子の父)、オダギリジョー(国木田修、偽パイロット)、戸田恵梨香(倉科百合子、謎の女)、梶原善(犬山寅男、怪しい男)、他
公式サイトドラマW 三谷幸喜「大空港2013」|WOWOWオンライン
制作日本(2013年12月29日TV放映/2014年5月2日劇場公開)
時間100分
劇場TOHOシネマズ 日劇(スクリーン 3/522席)

背景

2013年12月29日、WOWOWにて放映されたドラマ。映画館で観たいという要望に応える形で劇場公開された。もっとも今のところ4館だけだが。

完全ワンシーン・ワンカットで撮影された。

内容

大河内がグランドスタッフとして働く松本空港に、ある日、悪天候のために羽田に行かれないフジドリームエアラインズの飛行機が急遽着陸することになった。乗客は予定通りに羽田に行かれないことに苛立っているが、特に大河内が対応した田野倉家の面々は一筋縄ではいかず……

雑感

面白い。とにかく笑える。三谷喜劇の真骨頂ともいえるが、よくもまあこんな話を考えるものである。妙なテーマだとかなんだとかを考えず、笑える作品、というのは貴重である。

事前にどんな作品か調べた時に、既にテレビで放映済と知って驚いた。ドラマが劇場で再映されるなんていうことがあるのだ。こういうことはもっと行なわれていいのではないかと思う。竹内結子は少し前に、格安航空会社のフライト・アテンダントを演じる単発ドラマに出演したことが話題になっていたから、それかと思ったら違った(全く関係なかった)。

ワンシーン・ワンカットがさかんに喧伝されている。すごいと思うけど、カメラワークに関しては、光が入ってハレーションを起こしたり、ブレたり、ボケたりといったところが何箇所かあった。場面があちこちに飛ばず、時間軸も過去と現在を行ったり来たりすることなく、一本で進んでいくのはわかりやすくてよいが、それははじめからそういう脚本を書けばいいだけのこと。少しずつ撮影するのではなく、全編のリハーサルを重ねて一気に撮影する、というやり方もいいと思うが、ワンシーン・ワンカットにこだわることはなかったように思う。

フジドリームエアラインズは実在する航空会社。

配役

  • 神野三鈴は初めて見る顔だが、すごくいい役者だ。「存在感のないちょっといいとこのお母さん」という役を存在感たっぶりに演じていた。調べてみると舞台がほとんどでテレビドラマや映画にはあまり出演しないようだが。
  • 池松壮亮は……えーっ、彼が池松壮亮だったの!? 「愛の渦」のニート君とは全然違うじゃん。写真を見比べても、とても同一人物には思えない。いや、顔は確かに似ているんだけど、雰囲気が……。プロの役者とはすごいものだ。
  • 石橋杏奈は名前に覚えがあるのだが、調べた限りでは作品は見ていない。どこで見たんだろう。「L・DK」では彼女が登場する前に席を立ってしまったが、だからか……?
  • 戸田恵梨香もわからなかった。もっとも、戸田は「アマルフィ 女神の報酬」「アンダルシア 女神の報復」の安達香苗しか知らない。存在感がなかった。でも本作を見る限りは結構な役者である。「LIAR GAME」見てみようかな……

2014-05-06

日本の青春ドラマとはだいぶ違う。「ウォールフラワー」

観ようかと思っていて観そびれた映画。観る機会は何度かあったのだが、プライオリティを考慮して切り捨てた作品、と言った方が適当か。その後、青春映画の傑作の呼び声高く、気になっていたところ、下高井戸で上映していることがわかったため、駆け付けた。

題名ウォールフラワー(The Perks of Being a Wallflower)
監督スティーブン・チョボスキー
原作スティーブン・チョボスキー
出演ローガン・ラーマン(チャーリー)、エズラ・ミラー(パトリック、陽気な先輩)、エマ・ワトソン(サム、パトリックの義妹)、メイ・ホイットマン(メアリー、チャーリーの彼女)、ポール・ラッド(ミスター・アンダーソン、国語教師)、ディラン・マクダーモット(チャーリーの父親)、メラニー・リンスキー(ヘレン、チャーリーの叔母)、他
公式サイト映画『ウォールフラワー』公式サイト 大ヒット公開中!2014年6月3日(火)ブルーレイ&DVD発売
制作USA(2013年11月22日日本公開)
時間103分
劇場下高井戸シネマ

内容紹介

舞台は1991年のピッツバーグ。内気なチャーリー君は高校3年間をぼっちで過ごすことに決め、できるだけ目立たないようにしていたが、ある日、パトリックに思い切って話しかけ、パトリックとその妹のサムと仲良くなってから彼の高校生活は一変する。仲間が増え、楽しく過ごす日々。サムとも初キスを済ませ、サムの親友のメアリーと付き合うことに。

しかしチャーリーは以前、精神的な病気で入院していたことがあり、今でもふとしたきっかけで頭痛や幻覚に悩まされることがある。原因は親友の自殺と、さらに遡って可愛がってくれた叔母の死があった。チャーリーは叔母の死の原因は自分にあると思い込んでいて、それはなぜかというと……

雑感(ちょっとネタバレ)

自分にとって高校青春ドラマというのは、学生服とクラブ活動と恋愛、この三要素が欠かせない。恋愛というのは、初デート、初キスのときめき的なものを指し、セックスは含まれない。舞台はアメリカだから制服がないのは致し方ないが、自動車(の運転)、酒(途中でドラッグが登場)、そしてセックスを連想させる恋愛となると、ちょっと青春ドラマとは範疇が違うような気がする。

しかしそうした中で孤独を味わったり、調子こいたり、将来のことを考えて夢を抱いたり不安になったり、そしてやっぱり異性に関心を持ったりするのは青春そのもので、そこで話を終わらせればよかったように思うが、サムは小学生の時に父親の職場の同僚(?)にレイプされ、以後もたびたび父親の仲間たちに弄ばれ、そのため性に対して奔放になったという。その設定は結構「引く」が、仲間ができて楽しくやっていた時は大人しかったチャーリーの「病気」が現われ、原因は彼自身が幼い頃に受けた性的虐待のせい、ということになると、いかにもアメリカ的だなとは思うが、感情移入からは遠くなる。

まあ、劇場で観ることができてよかったとは思う。

配役

  • エマ・ワトソンは確かに美人だし、「ブリンクリング」での頭の中がパッパラパーの女よりよほど魅力的な役柄だったけど、なんであんな厚化粧をするのかな。何もしなくても一番肌が輝く年代だろうに。すっぴんがそれほどひどいのかと訝ってしまう。
  • エズラ・ミラーは「少年は残酷な弓を射る」に出ていた人か。何度か観ようと思いつつ、観る機会を逸した作品だが、観ておくべきだった。
  • ディラン・マクダーモットは「エンド・オブ・ホワイトハウス」で元シークレット・サービスのデイヴ・フォーブス役。
  • メラニー・リンスキーは「マイレージ、マイライフ」にも出演しているが、どの役柄か不明。

今日の英語

  1. Why don't you read first?(読んで)
  2. You safe my brother.(私の兄を助けたの):最初の方でもsafeがhelp的な意味で使われていたセリフがあり、その時は聞き違いかと思ったが、ここではっきりわかった。辞書にはないけどこういう使い方も(口語では)するのだろう。

タイトル

「一人ぼっちの特権」という意味か。公式サイトの「ストーリー」には「(チャーリーは)ひっそりと息を潜めてやり過ごすことに注力していた。ところが、そんな彼の生活は、周囲の学生たちとは関係のない“特別席”で……」とある。そういう風には映画では描かれていなかったと思うので、ちょっとよくわからない。

リンク

2014-05-05

絵本「アナと雪の女王」

「アナと雪の女王」の絵本があったので手に取ってみる。カタカナにまで振り仮名がついているので、対象年齢はかなり下のようだが、ストーリーは一応ちゃんと追いかけられていて変な省略はなかったし、絵がふんだんに盛り込まれているため、映画の余韻を味わうためのものとしては大人でも十分に読める内容になっている。

ところで、物語の最後の一文が、「みんな もえがおに なりました」というもので、へー萌え顔って今では普通に使うんだーと感心して読んだのだが、よく考えてみれば「みんな萌え顔に」ではなく「みんなも笑顔に」だね。

アナと雪の女王 角川アニメ絵本

アナと雪の女王 角川アニメ絵本

2014-05-04

こういう映画が面白い「おとなの恋には嘘がある」

タイトルがアレだし、知っている役者は誰も出ないし、直前に観た「ある過去の行方」がアレだったしで、観るのをやめようかとも思ったが、やはり観て良かった。こういう映画が好きなんだ。

主演男優のジェームズ・ギャンドルフィーニは、封切直前の2013年6月13日に亡くなられたそうだ。

題名おとなの恋には嘘がある(Enough Said)
監督ニコール・ホロフセナー
出演ジュリア・ルイス=ドレイファス(エヴァ、マッサージ師)、トビー・ハス(ピーター、エヴァの元夫)、トレイシー・フェアラウェイ(エレン、エヴァの娘)、タヴィ・ゲヴィンソン(クロエ、エレンの親友/エヴァの家に入り浸る)、エイミー・ランデッカー(デビー、クロエの母)、トニ・コレット(サラ、セラピスト/部屋の模様替えが好き)、ベン・ファルコーン(ウィル、サラの夫)、アンジェラ・ジョンソン=レイエス(キャシー、サラの家の家政婦)、ジェームズ・ギャンドルフィーニ(アルバート、テレビ番組のデータベース作成の仕事)、イヴ・ヒューソン(テス、アルバートの娘)、キャサリン・キーナー(マリアンヌ、詩人)、他
公式サイトEnough Said〔英語版公式サイト。日本語版のサイトはないようだ〕
制作USA(2014年4月4日日本公開)
時間93分
劇場新宿シネマカリテ

内容紹介

エヴァは離婚歴あり、娘と二人暮らし。仕事は固定客もいてそこそこ順調。娘とも仲良く過ごしている。娘にはクロエという親友がいて、しばしばエヴァの家に入り浸っている。ただし娘は高校を卒業したら家を出て遠くの大学へ進学することが決まっており、そのことに一抹の寂しさを感じている。

そんな矢先、友人のサラと一緒に出席したパーティーで、アルバートと知り合う。アルバートも離婚歴があり、一人娘がいる。パーティーのあとデートに誘われ、ユーモラスで話の面白いアルバートにエヴァは次第に惹かれていく。

同じパーティーでマリアンヌとも知り合う。マッサージの常連客になってくれたが、エヴァに対して単なる顧客ではなく、友人として付き合ってほしいという。高名な詩人であり、住まいはセンスに満ち溢れ、エヴァはマリアンヌに憧れの念を抱く。彼女も離婚歴があり、エヴァの新しいボーイフレンドとの付き合いを応援してくれるが、元夫に対する悪感情は消えることがなく、エヴァに対して未だに愚痴を言い続ける。

ある時、マリアンヌの元・夫がアルバートであると知ってしまい……

雑感(若干ネタバレあり)

ストーリーはシンプルでわかりやすいが、大変に考えさせる問題である。新しく知り合った友人が、自分の恋人のことをよく知っていて、しかもその人が今は自分の恋人だと相手は知らず、その人に関する強烈な評価を並べ立てる、というのはありそうなことである。その時、聞いた方はどういう態度を取ればいいのか? その人は今は自分と付き合っているのだ、と伝え、辛辣な評価を控えてもらうのも一つの方法。また、恋人に、○○さんからこんな話を聞いたんだけど、本当? と打ち明ける方法もある。

アルバートは、エヴァが後者の態度を取ってくれなかったことに怒り、傷ついたという。しかし、このアルバートの気持ちには共感できない。教えてもらったらどうだというのか? マリアンヌとは付き合わないでくれとでも言うのか? エヴァの上客なのに? 仮にマリアンヌから自分の悪口を吹き込まれているとしても、それでもエヴァは自分と付き合ってくれている(ちゃんとセックスもしている)。そのことで、むしろエヴァの気持ちは明らかだと思う。アルバートこそ、エヴァを信じられないのだろうか。もしエヴァがマリアンヌの話を聞いて、それだけでアルバートと縁を切ったのだとしたら、アルバートが怒るのはわかるのだが。

むしろ僕は疑問なのだが、結婚を考えている相手に離婚歴がある、というのは世の中よくあることだが、そのような時、離婚の理由を、相手の元の配偶者に会って聞きたい、と普通の人は思わないのだろうか。

本作で興味深いのは、もうひとつ、娘との関係だ。クロエの存在がキーになる。クロエは、母親と今ひとつうまくいっていないためか、エヴァの家に入り浸っている。そんなクロエをエヴァは娘と同様可愛く思い、受け入れている。クロエはエヴァになつき、エレンがいない時でも訪ねてきて、入り浸るようになる。

最初はそのような関係を微笑ましく見ていたのだが、後半、エレンが怒るのだ。ママは、クロエを居候でもさせる気なの? と。「クロエは寂しいの。傷ついているのよ」と説明するエヴァにエレンが言う。「寂しいのはママでしょ。いい加減に子離れしてよ! 私だって親離れしなくちゃいけないと、家を出る決心をしたのに……」

そう、エレンが家から離れた大学へ進学するのは、親離れ(同時にエヴァの子離れも)するために決断したことだったのだ。そしてエヴァがクロエに優しくする理由も、エレンは見抜いていたのだ。言われてみれば冒頭からエヴァがクロエらに過剰に干渉することを嫌がるシーンが描かれている。

大人だって寂しい。これは、一人の人間が、心の隙間をどう埋めていくか苦悩する物語でもある。

今日の英語

  1. That's a deal.(問題ないわ)
  2. I think you are very healthy.
  3. Yeah, I'm starving.(ペコペコよ)

日本語タイトル

いくらなんでもちょっとアレでしょー。このタイトルで「どんな話? 観てみようかな」と思う人が果たしてどれだけいるか。

タイトル

Enough said.は「これ以上何も言わなくていい、もう分かったから」というような意味。辞書の例文を見る限りでは「うんざりだ」という否定的なニュアンスで用いられるのが専らの印象を受ける。

アルバートはマリアンヌの批判に「もううんざりだ」と思っていただろうし、言い訳を始めるエヴァに対しても「もう結構」と思っただろう。しかし、縒りを取り戻した時に、謝罪するエヴァに対して、そんなに言わなくても、君の気持ちは十分わかっているよ、という気持ちだったに違いない。そのダブルミーニングか? と思うのだがどうだろう・

リンク

2014-05-03

4月に観た映画・これから観たい映画

TOHOシネマズのフリーパスポートを入手したため、いろいろ観ようと思ったが、結局23本(17作品)に終わった。それでも過去最多を(大幅に)更新。

前半は「ザ・エージェント」に「ジ・エクストリーム・スキヤキ」「もらとりあむタマ子」「利休にたずねよ」と落穂拾いが出来、後半は「アメイジング・スパイダーマン2」「相棒」「テルマエ・ロマエII」と話題作が相次いだが、「アナと雪の女王」を5回観たのがハイライト。

作品とは別にTOHOシネマズ日本橋がオープンし、TCXという新しいシステムを体験できたのは大きかった。TCX+DOLBY ATMOSはIMAXを超えるのではないかと思った。

以下のリストは4月30日の時点のもので、5月に入って観たものは含めていない。

観た(4月)

題名観た日評価
ザ・エージェント       04/01笑えた
ウォルト・ディズニーの約束  04/03ちょっとディズニー側に都合の良い展開かな
アナと雪の女王(日本語)   04/04こんな素晴らしい作品だったとは!
サンブンノイチ        04/04こんな面白い作品だったとは!
チームバチスタFINAL(2)    04/04仲村トオルに引き込まれる
ジ・エクストリーム・スキヤキ 04/0730代後半のリアル
もらとりあむタマ子      04/0720代のリアル
オール・イズ・ロスト     04/08こんな映画アリか!?
アナと雪の女王(英語)【TCX】 04/11オリジナルの方が自然
ワンチャンス         04/11この話知ってる
利休にたずねよ        04/12なんと品の良さ
アナと雪の女王(日本語)【TCX】(2)04/16プレミアムシート
クローズ EXPLODE       04/16意外や意外
アナと雪の女王(英語)【TCX】(2)04/18最も聞き取れた英語作品
ドラゴン怒りの鉄拳      04/18これがブルース・リーか
アナと雪の女王(英語)(3)   04/19アナの決断力を尊敬
8月の家族たち         04/21崩壊していく家族を描いて何が楽しいのか
ワールズ・エンド       04/22まさか本当に宇宙人とは
L・DK             04/23くだらねー!!
そこのみにて光輝く      04/23池脇千鶴の体当たりの演技
アメイジング・スパイダーマン2【TCX Dolby 3D】04/26死んじゃうの!?
相棒 劇場版III        04/30殺すことないのに
テルマエ・ロマエII 【TCX】  04/30面白いけど何も残らない

観たい(公開済み)

題名公開日備考
おとなの恋には嘘がある04/04-
リベンジ・マッチ   04/04スタローン vs デ・ニーロ
大人ドロップ     04/04橋本愛
ある過去の行方    04/19ベレニス・ベジョ

観たい(2014年4月以降公開予定)

題名公開日備考
とらわれて夏     05/01ケイト・ウィンスレット
ネイチャー      05/02-
悪夢ちゃん      05/03北川景子
プリズナーズ     05/03日常にひそむ狂気
マドモワゼルC     05/09-
WOOD JOB!       05/10長澤まさみ
ブルージャスミン   05/10アカデミー主演女優賞
百瀬、こっちを向いて。05/10早見あかり(元ももクロ)
ウシジマくん 2    05/16山田孝之、綾野剛、窪田正孝
青天の霹靂      05/24柴崎コウ
キカイダーTRBOOT   05/24-
マンデラ       05/24-
サケボム       05/24濱田岳
モンスターズ     05/30石原さとみ
万能鑑定士      05/31綾瀬はるか
ターニング・タイド  05/31フランス
グランド・ブタペスト・ホテル06/06ミステリー?
ゴジラ デジタルリマスター06/07-
ノア 約束の舟    06/13エマ・ワトソン
円卓 ひと夏のイマジン06/21芦田愛菜
her 世界でひとつの彼女06/28アカデミー脚本賞
トランセンデス    06/28ジョニー・デップ
奴隷区 僕と23人の奴隷06/28秋元才加

2014-05-02

後半ぐんぐん面白くなる。「ある過去の行方」

ずっと気になっていたのだが、ようやく観る時間を取ることができた。

題名ある過去の行方(英題:The Past)
監督アスガル・ファルハーディー
出演ベレニス・ベジョ(マリー・アンヌ)、タハール・ラヒム(サミール、マリーの恋人)、アリ・モッサファ(アーマド、マリーの前夫)、ポリーヌ・ビュルレ(リュシー、マリーの長女)、他
公式サイト映画『ある過去の行方』公式サイト
制作フランス、イタリア、イラン(2014年4月19日日本公開)
時間130分
劇場新宿シネマカリテ

内容紹介

アーマドがパリにやってくる。それを迎えるマリー。アーマドは現在テヘランに住んでいる。マリーに会うのは4年ぶり。二人は以前夫婦だった。マリーは現在、二人の娘と恋人のサミール、サミールの息子の5人で暮らしている。マリーの娘はアーマドの子ではない。もちろんサミールの子でもない。リシューは、自分が生まれてからサミールは3人目の夫だと(特定の男性と長続きしない母を)嘆く。

マリーのお腹の中にはサミールの子が宿っている。サミールとの結婚を考えているマリーは、アーマドと正式な離婚手続きのために呼んだのだ。しかしサミールも独身ではない。サミールの妻は数か月前に自殺をはかり(未遂に終わり)現在植物状態である。

マリーとリュシーはうまくいっていない。リシューは、マリーがサミールと結婚するなら家を出ていくと言っている。サミールの妻が自殺を図ったのは夫の不倫行為のためであり、相手の妻を自殺に追い込んでまで結婚する母が許せないのだ。マリーはアーマドに、リュシーと話をするよう依頼する……

雑感

登場人物の関係性が明確に説明されない。断片的なシーンの積み重ねから徐々にわかるように描かれる。少しずつ霧が晴れるように飲み込めてくる描き方は、とにかくわかりにくい。前半は退屈で、眠気を堪えるのに相当な努力を要した。

しかし、それらが理解できた頃、サミールの妻はなぜ自殺を図ったのか? という謎が提示され、それがために非常にスピーディーかつサスペンスフルに展開される後半は、息つく間もないほどだ。前半が我慢できれば後半は抜群に面白い。

誰が誰をどのように思っているのか。それを考えさせるのは本作の主題だろうと思う。「好き」という気持ちに嘘がなくても、その感じ方や意味付けは人によってかなりの違いがある。ラストシーンは賛否両論あるだろうが、僕はいいシーンだったと思う。ただ、まだ離婚が成立しておらず、というか、離婚するかどうかも決めていないのに、別の女に妊娠させるなよ、とは思った。

フランス映画

英米以外の外国映画を観ることも大切ではあろうが、とにかく言葉がわからないため、すべてを字幕に頼らないといけないので、のんびり画面を眺めたり、妄想に耽ったりする余裕がない。だから疲れる割に「わかりにくい」という感想になりがちだ。とにかく疲れる。

リンク

CGではなく実写だそうで。「ネイチャー」

封切初日に駈けつける。

題名ネイチャー(Enchanted Kingdom 3D)【3D】
監督パトリック・モリス、ニール・ナイチンゲール
出演滝川クリステル(ナレーション)
公式サイト映画『ネイチャー』大ヒット上映中
制作イギリス(2014年5月2日日本公開)
時間87分
劇場TOHOシネマズ渋谷(スクリーン2)

内容紹介

アフリカの森林・砂漠・地下・海中における生物の生態を描いたドキュメンタリー。

雑感

「謎めいた森」「燃え盛る地下世界」「異国の砂」「灼熱の平原」「魅惑の海中都市」「凍てつく山脈」「荒れ狂う激流」という7つの自然の領域を旅する映像は驚異的。大まかな話の流れはあるのだが、ドラマのような明解な展開があるわけではないので、長くなると飽きる。87分は長かった。70分ぐらいでよかったのではないか。

エンドロールの後で4分半のメイキングがある。確かにこの作品はメイキングも見せたいだろう。すべて実写のようだ。ただ申し訳ないが自分にはCGと実写の区別がつかない。正確な生態調査のためには実地観察が欠かせないだろうが、それを観賞用の映像にするに際して、撮影はこんなに大変でしたと苦労話を並べられると、だったらCGで作っちゃえばよかったのに、という感想しか出てこない。

日本語タイトル

カタカナ言葉にした理由が不明。原題は「魅惑の世界」といった意味か。

3D方式

前回、TOHOシネマズ日本橋で使った3D眼鏡が再利用できたから、同じ方式だと思うが、前回ほど眼前に迫ってくる感じがなかった。サイトを見ても3D方式に関する解説がない。あれこれ調べていたら、下記のページを見つけた。

これによると、TOHOシネマズの大部分はMaster Image方式だが、渋谷はSony Digital Cinema方式、そして日本橋はなんとRealD方式らしい。そして、どうやらどの方式でも共通で使えるTOHOシネマズオリジナルの3D眼鏡を開発した、ということらしい。

RealDといえばイオンシネマが全面的に採用しており、過去に何度か観たが、チャチで、これだったら2Dで観た方がまだマシとしか言いようのない代物だった。これと、IMAXを越えたと思わせた日本橋の3Dシステムが同じ方式とは信じられない。それとも、これはTCX ATMOS以外の3Dということなのだろうか(TOHOシネマズ日本橋の中には3Dが上映できるスクリーンは複数ある。TCX ATMOSとそれ以外のスクリーンで方式が違う可能性はある)。

2014-05-01

恋愛+サスペンスの融合。傑作だ。「とらわれて夏」

封切初日に駈けつける。期待に違わぬ作品。こういう映画が観たかった。

題名とらわれて夏(Labour Day)
原作ジョイス・メイナード
監督ジェイソン・ライトマン
出演ケイト・ウィンスレット(アデル・ウィーラー)、ジョシュ・ブローリン(フランク・チェンバース、脱獄犯)、ガトリン・グリフィス(ヘンリー・ウィーラー、アデルの子)、トビー・マグワイア(成人後のヘンリー・ウィーラー)、他
公式サイト映画『とらわれて夏』公式サイト
制作USA(2014年5月1日日本公開)
時間111分
劇場TOHOシネマズ シャンテ(スクリーン2)

内容紹介

心に傷を負い、引きこもりがちな生活を送るアデルと、子供心に彼女を必死で支える少年の家に、突然、脱獄囚が転がり込んできた。しかし殺人を犯した人とは思えない誠実な人柄に、アデルは心を開いていく……

雑感(ネタバレ……あるかも?)

この作品にはふたつの要素がある。ひとつはアデルとフランクの恋愛物語。もうひとつは、逃亡犯であるフランクが、捕まるのか?逃げ切るのか? というサスペンス。両方が高いレベルで結びついていて、ものすごく引き込まれた。デートで観るには最高の作品だと思う。ハラハラして思わず隣の人の手を握りたくなるし。見終ったあとにお互いの恋愛観を語り合えば、有意義なのではないでしょうか。

フランクは脱獄囚であり、アデルは人質である。そのような関係の中、わずか1〜2日で恋に落ちるのはいささか早いが、必然性もある。アデルはヘンリーを生んだ後、立て続けに4回も流産してしまった。出来た子出来た子すべてを流してしまうというのは、肉体的にも精神的にも深く傷ついたであろう。その上(それが原因で)離婚されたため、鬱状態に陥り、買い物に出かけるのも月一回がやっと、友人もなく、話し相手はヘンリーだけという状態を続けていた。

これでは新たな出会いもないし、仮にあったとしてもアデルは拒否したであろう。しかしフランクが(物理的に、家の中に)入ってきてしまった。子供に手を出されたら困るから、拒否はできない。こうして、男と生活を共にすることになり、男の体温を、息吹を、間近に感じることになってしまったわけである。

ただしフランクは、殺人罪に問われたものの、殺すつもりはなく、実際には事故に近いものだったようで、だからこそ刑に服することに耐えられず脱獄を計ったわけだが、本人はもともと誠実で、正直で、その上家事にも堪能な人物であった。そして、迷惑をかける代わりと言って家の補修やら料理やら、はてはヘンリーのキャッチボールの相手まで務め、その存在がアデルの心の中に入っていくのに時間はかからなかった。

ただし、フランクがアデルを愛していたか、といえば、そうではないのではないかと僕は考えている。(このあたりからちょっとネタバレあり)

脱獄という目的のためには、本当はアデルとヘンリーは縄で縛りつけ、猿轡もかましておくべきであろうが、一方、買い物や誰かが訪ねてきた時の対応も必要である。また自分のケガの手当など、いろいろ働いてもらう必要があり、いくら「言うことを聞かなければ殺す」などと脅していたとしても、コントロールするのは難しい。一番いいのは、相手が自分に好意を示し、進んで協力しようという気になることである。おまけに刑務所暮らしで女には飢えていたであろう。

となれば、本心はともかく、アデルを愛しているように振る舞うのは当然だと思える。そして、この演技は絶対にバレてはいけないのだから、渾身の演技をしただろう。とにかく逃げおおせられさえすれば、もともと男子レベルは高いのだし、こんな半病人で妥協しなくても、もっといい女に出会える可能性はあるのではないか。

最後のエピソードと合わせて考えると、この二人は愛し合っていたと解釈するのが自然であり、ひねくれた見方かも知れないが、長い刑期を務めてようやく娑婆の土を踏んだフランクにとっては、もはや選択の余地はなかったから、とも考えられる。恐らく財産もろくになく、若くもなく、そんな刑務所帰りの男を誰が相手にするだろう。

このようにいろいろ考えさせるのも、名作ゆえといえるのではないだろうか。

配役

  • ジョシュ・ブローリンは最初は全くわからなかったのだが、髭をそったらわかった。「L.A.ギャングストーリー」のはぐれ部隊隊長と、「メン・イン・ブラック3」のヤング・エージェントK。
  • ガトリン・グリフィスは「チェンジリング」で映画デビュー。あの時の子か。あれから6年経つんだなー。
  • トビー・マグワイアはもちろんサム・ライミ版「スパイダーマン」のピーター・パーカー。現在38歳。まあ、もうピーター役は無理だな。

今日の英語

  1. You have to try on.(食べてみてよ)
  2. You should stay.(ここにいて)
  3. Have you sleep?(よく眠れた?)← have の使い方が面白いなと思ってメモしておいたのだが、変である。Did you sleep? あるいは Have you slept? を聞き間違えたか。
  4. I can't give your family.(あなたの子どもは産めない)
とらわれて夏

とらわれて夏

リンク