窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

おいおい4回目だよおい。「女子ーズ」

題名女子ーズ(4回目)
劇場シネクイント(227席)

雑感

こんなに何度も観返してしまうのは、結局、5人(および佐藤二朗)の演技がうまいからなんだな。

桐谷美玲はこれまで「荒川アンダーザブリッジ」「100回泣くこと」「チームバチスタFINAL」テレビでは「ガリレオ」のゲスト、「軍師官兵衛」といろいろ見てきたが、今回が一番の嵌まり役だろう。まさかこんな役に嵌まるとは思わなかったが、インタビュー記事などを見ると、本人も楽しんで演じていたようで、まんざら嘘でもないように思われる。

変身した時のヒーロー口調というかリーダー口調は、赤木直子が「作っている」という設定だが、これが見事に嵌まっている。グリーンが「レッドさん」と呼んだ時に、「ゴルゴなんとかの……みたいな呼び方はやめろ!」(覚えてない)という、このリズムを無視した妙な長ゼリフがきちんと言えたのはすごいと思う。

呼び出しを食らった時に、課長に向かって「みなまで言うな! 地球のためだ」と言い放ち、去っていく場面がカッコいい。

藤井美菜は、あんなわざとらしいセリフをあれだけ自然に喋れるのはすごい。例の「怪人倒すのとまつエクと、どっちが大事なの!?」とレッドに言われた時、「それは……」と憤りを込めて反論しようとして、一瞬の間のあと「ごめん、まつエク?」と言う呼吸は本当に見事だ。レッドに詰め寄られ、「バカなこと言わないでよ! そんなの決まっているじゃない!!」とでも言いたげに「それは……」と言っておいてのあの脱力セリフ。このコントラストが素晴らしいのだ。どこまで台本に書いてあったのかはつまびらかではないが、「それは……」がなければここまで笑えないと思う。

印象に残るセリフは、飲み会で「レッド、お父さんみたい」とブツブツ言うシーン。家でも父親にこんな風に言われているんだろうな、とその場面が目に浮かぶようであり、またいい年して他人に向かって自分の父親を「お父さん」と言ってしまうあたりの社会性、そのあたりをひっくるめて、あ、かわいい、と思ってしまう。

ぴか一は有村架純。下手な役者を演じるというのは、「鍵泥棒のメソッド」での堺雅人もそうだったけど、一番難しいことなんじゃないかと思う。とにかくグリーンは普段の言動から芝居がかっている。が、それは極端なものではなく、最初は気にならないが、後半で演出家からそれを指摘された時に、初めて「そうそう、この子、何を言うにも大げさなんだよな」と気づくというもので、その匙加減は見事というほかない。

劇団の練習中に「突撃」したレッド、ブルー、イエローに対して「私はお芝居に命を懸けてるの」と睨み付けるところも決まっていたし、演出に対して常に敬愛の態度を示していたものの、「だってお前の演技、くせえじゃん」と言われた途端にガラリと態度が変わり、「おまえの服の方が気持ち悪いんだよ! こんな劇団つぶしてやる!」と叫ぶあたりのギャップは、本当に萌える。

ちなみにこのセリフは脚本にはなかったそうで、「相手が一番嫌がることを捨て台詞で言う」という指示に対し有村が自分で考えて言ったものだそうだ。この言語感覚もすごい。

高畑充希の突っ込みは多くがアドリブだったらしい。そのせいか、藤井美菜と並びセリフの言い回しが自然だ。とにかく最初から最後まで一度も笑わない(ニコリともしない)、一人だけ変身シーンがある等、この子も存在が際立っている。「おいおいおい、……だぜおい」のような(乱暴な)台詞が妙にかわいい。

山本美月は他の4人に比べるとキャラ設定が中途半端だったように思われる。色がブルーとかぶっていたように、このあたりは意図的かも知れないが。そんな難しい役をよく対応していた。ただし、彼氏と別れるシーンはちょっといただけない。彼女が悪いわけではないが。

映画の冒頭でも流れる漫画版は、誰が描いているんだろう?

劇場

パルコパート3内。初めて訪れた。

観客

前方や両サイドは空席が目立っていたため、混んでいた、という言い方は適当ではないが、中央から後ろにかけて、両サイドを除いたエリアは相当に混み合っていた。年配の人が多かったような気がしたが、女性も多い。そして、受けていた。