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2017-07-09

TV「みをつくし料理帖」総論

テレビドラマを滅多に見ない自分が、このドラマを見る気になったのは、原作を愛読していたこと、黒木華が好きな女優で、こうした役に合っているのではと思えたこともあるが、何より脚本が藤本有紀だと知ったからだ。大河ドラマ「平清盛」を見た時、神脚本だと思い、この作家の作品をもっと見てみたいと思ったのだ。

結論を言えば、本作は、面白くないことはなかったが、別段、感心もしなかった。原作は全10巻の長編だから、全8回のドラマで描けるのはわずかなのはわかるが、佐兵衛は生きていたとわかったところで終わる、というのはハッピーエンドといえなくもないが、そのあとが気になるし、あさひ太夫との関係も、小松原や源斉先生との恋愛(?)も、中途半端なまま。なまじ原作を知っているからそう感じてしまうのかも知れないが、消化不良の感を拭えない。天満一兆庵のことなどはばっさり削って、つる家の女料理人が江戸一番を目指す、という話でもいいように思うが、それでは「みをづくし」にはならないのだろう。それにしてももう少しうまい料理の仕方はなかったのか?(それとも続編を作りますというフラグか?)

芳や種市、おりょうら澪の周囲の人の澪に対する好意がわかりやす過ぎて、少々おおげさに感じられるし、単調。采女宗馬の性格の悪さもわかりやす過ぎて、単調。ついでにいえば、永田源斉先生の澪への慕情も、わかりやす過ぎ。周囲の人は(澪自身も)なぜか気づかないのだけど。

ひとは、あそこまで自分の考えを顔に書いたりしないし、そもそも人間の感情は複雑で、良いことも考えれば悪いことも考えるもの。そうした複雑な内面を描いてこそ深みのあるドラマになると思うのだが、そんなわけで、「これ本当にあの藤本有紀が書いたの?」と思ってしまった、というのが正直なところだ。

ただし、黒木華が「美人枠」で登場していたのは嬉しかった。黒木華は美人だと思うが、「まほろ駅前番外地」「小さいおうち」「銀の匙」「真田丸」など「不美人枠」で存在感を発揮してしまい、ご本人が不美人だと思われているのが不憫でならなかったのだ。

一方、あさひ太夫に成海璃子は失礼ながらミス・キャストだろう。美人には違いないが、声と所作が、とても「吉原一の花魁」にふさわしいとは思えない。もっとも、誰なら相応しいのかといわれると難問ではある。美人で、上品で、江戸時代の所作がきちんとできて、声がきれいな人。2013年のテレビ朝日版(北川景子が澪役、未視聴)では貫地谷しほりが演じたそうだ。なるほど、貫地谷しほりなら納得だ。

(2017/11/13 記)

2017-07-08

TV「みをつくし料理帖」最終回「寒鰆の昆布締め」

粗筋

毎年料理番付を発表している版元が、今年は登龍楼とつる家が甲乙つけがたいことから、直接対決を依頼してきた。お題は「寒鰆(さわら)」を使った料理。

その頃、御膳奉行の中に将軍の食べ物を横流ししている人がいるとの噂が立つ。外出の自粛令が出され、小松原はつる家に来られなくなってしまった。澪は小松原が疑われているのではと案じるが……

本日の献立はタイトルそのまま、寒鰆の昆布締め。

雑感

因縁のある登龍楼が相手だから、絶対に負けたくないという思いが強いのだろうが、大関の座は登龍楼に譲るべきだよなあ、と思った。ここで登龍楼に勝ってしまうと、面子を潰された相手がどんな攻撃を仕掛けてくるかわかったものではない。事実、一度は放火までされているわけだし。関脇でも立派なものではないか。十分店の宣伝にはなるだろう。商売安泰を第一に考えるなら、こういう喧嘩は買わないことだ。

(2017/9/6 記)

2017-07-01

TV「みをつくし料理帖」第七回「ふっくら鱧の葛叩き」

粗筋

源斉が澪に一緒に吉原に来てくれという。あさひ太夫宛てに大坂から鱧が届いたが、どう料理すればいいのか誰も知らないため、翁屋から相談を受けた源斉が、上方料理を知っている澪を推薦した次第。澪も、あさひ太夫のためならと引き受ける。しかし源斉の連れてきた料理人が女と知った翁屋主人は、受け付けない。急遽有名料亭から板前を連れてきて任せることに。しかし鱧は獰猛な生き物で、取り扱いを知らない料理人は大けがを負ってしまう。やむなく澪に任せることに……

本日の献立はタイトルそのまま、ふっくら鱧の葛叩き。

雑感

鱧は確かに凶暴で、見ているだけで怖かったが、あれは一体どうやって撮影したのだろう。

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))

(2017/9/6 記)

2017-06-24

TV「みをつくし料理帖」第六回「う尽くし」

粗筋

富三は佐兵衛の行方を調べるという名目で芳からかんざしを預かり、それを売った金で遊ぶ。富三の嘘を暴いたのは又次だった。佐兵衛が店の金を遊女に貢ぎ、その遊女を殺して失踪したというのは富三の作り話で、店の金を使い込んでいたのは富三本人だった。芳は、佐兵衛が人殺しでないこと、生きている(かも知れない)ことを知り安堵する。

本日の献立は卯の花和え。土用の料理なのだから素直にうなぎを使えばよいのにと思っていたが、当時のうなぎは非常に高価で庶民がおいそれと食べられるものではなかったらしい(原作者によるとうなぎの蒲焼きは200文で、ざっと6000円ほど。現代もあまり変わらないな)。そこで、代用として「う」のつく料理を食べる習慣があったということらしい。

心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)

心星ひとつ みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 時代小説文庫)

(2017/9/6 記)

2017-06-17

TV「みをつくし料理帖」第五回「ひとくち宝珠」

粗筋

つる家が全焼した。種市や澪らは茫然自失となるが、あさひ太夫が又次を通じて10両を託してきた。あさひ太夫は澪の幼馴染で生き別れた野江ちゃんだったのだ。このお金でつる家を再建、再び繁昌するようになる。

坂村堂が富三をつる家に連れてくる。富三は、現在は坂村堂で働いているが、かつて天満一兆庵の料理人であり、芳が(澪も)必死で探している佐兵衛が失踪した事情を知っていた。

雑感

小松原がやくざ者をボコボコにし、「これ以上つる家に手を出すなと土圭の間の小野寺が言っていたと、宗馬に伝えよ」という。その場面を、永田源斉先生がそっと眺めている。短いシーンだが、つる家の火事は采女宗馬の指図であること、小松原は浪人ではなく身分の高い武士だったこと、奉行所へ捕えず個人的に暴力を振るったのは、正義感からではなく、澪に好意を抱いているからであろうこと、これらのことを永田源斉先生が知ってしまったこと。その源斉先生の顔は、彼もまた澪に好意を抱いていること。そうしたことを視聴者に悟らせる、うまいシーンだった。

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)

(2017/7/22 記)