窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(117)

第25週「ズキズキするわ」(月)

放送日

  • 2024年3月18日

登場人物

  • 吉柳咲良(水城アユミ、歌手)
  • 遠山俊也(代々木勇、プロデューサー)
  • 中村倫也(沼袋勉)

概要

東京ブギウギのヒットから9年、ブギブームも下火になりつつある中、スズ子や羽鳥善一のブギは古いという記事が書かれてしまう。同時に、若手歌手の水城アユミが新たなスターとして台頭してきていた。そんな中、スズ子は丸の内テレビのプロデューサー・代々木から、年末の歌番組にトリで出てほしいとオファーを受ける。しかし、トリ前に水城アユミを持ってきてもいいかと聞かれる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

あと二週なのに新キャストが続々と。若手歌手・水城アユミは福来スズ子を脅かす存在に。実は彼女は大和礼子の忘れ形見であり、実父・股野義夫がマネジャーを務めていた。

柴本タケシは福来人気にあやかって、やたらにイキっている。なにせ若い上に担当したことのある歌手はスズ子だけだから、致し方ない面もあるが、代々木プロデューサーらに失礼な物言いをしてもスズ子が注意しないのはいただけない。

スズ子は終わり、のような記事が雑誌に載ったことに腹を立てたタケシは、羽鳥先生のお願いして新曲を出しましょう、と言い出すが、スズ子のプロデューズはそんなに場当たり的に決めているのだろうか。新曲はこのくらいのペースで、リサイタルは年に何回、場所はどこで、映画やテレビの出演は、そして新曲は誰に作ってもらう、等々、何ヵ月も前から計画を立て、人が動いているのではないかと思うが。レコード会社との契約もあるだろうし。

初期は羽鳥がプロデュースしているかのような描かれ方をしていたが、ここまで売れっ子になれば、所属プロダクションやコロンコロンレコードも含めて巨大なプロジェクトになるはず。そのあたりは描かれていないのでよくわからないけど。

タノケンは、一世を風靡したあとも、のんびりしていたらいつ居場所がなくなるかも知れないとガツガツしていたが、スズ子は鷹揚というか呑気というか。やりたいことはやり尽くしたし、お金も稼いだし、あとはなるようになれという心境だろうか。



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(08)「招かれざる者」

題名

  • 「光る君へ」第08話「招かれざる者」

放送日

  • 2024年2月25日

登場人物

概要

倫子たちの間では、打毬の話題で持ち切り。斉信らの心ないことばを聞いたまひろは心中穏やかでない。そんな中、宮中で兼家が倒れる。安倍晴明のお祓いが行なわれるが効果はなく、道長ら兄弟が看病にあたる。一方、為時を訪ねて道兼がまひろの家に突然現れる。母の仇と対峙することになったまひろだったが……。(公式サイトより)

6話の終わりで盗賊騒ぎが起き、警備に当たっていた道長が追いかけ、矢を射ると命中した(が、致命傷ではなく、逃げられた)という事件があった。

7話では、打毬の当日になって藤原行成が体調不良で参加できなくなった。道長は直秀を「最近見つかった弟」と説明して、行成の代わりにメンバーに加えた。運動神経もよく所作も身についている直秀の活躍もあってチームは勝利する。その後、着替えの際に、道長は直秀に矢傷があるのに気付く。

道長は直秀に、家中を案内しながら、その傷はどうしたのかと訊く。彼が盗賊の一人であることを薄々察し、牽制したつもりだったのだろう。が、その夜東三条を襲った盗賊を捕らえてみたら、うち一人は直秀だった……。

***

兼家は閣僚会議の場で義懐と対立。激高した兼家は倒れ、意識を失ってしまう。安倍晴明はよし子の霊が取り憑いているとし、その旨花山天皇に報告。

道兼が為時の仕事を手伝う。そして、父は眠っているがふと正気づくと私を殴ると愚痴を漏らす。驚く道兼に、父は兄と弟は可愛がるが自分は可愛がられたことがないと。ある日、道兼が為時の家を訪ねて来る。たまには呑み交わそうと。まひろはもてなしのしるしに琵琶を弾いて聞かせる。

花山天皇は当初、右大臣が大嫌いゆえ道兼のことも遠ざけていたが、道兼がDVの被害に遭っていることを為時から聞いて知り、それは面白いと言い出す……。

今日の直秀とまひろ

「都の外はどんなところ?」
「海がある」
「海? 見たことないわ」

今日の直秀とまひろ(続き)

「俺は鳥籠を出て、あの山を越えていく」
「山の向こうの、海があるところ……」
「一緒に行くか?」
「行っちゃおうかな」
「行かねえよな」

今日の道兼とまひろ

「琵琶は誰に倣ったのだ」
「母に習いました」
「母御はいかがされた」
「母は……七年前に身罷りました」
「それは、気の毒であったな。ご病気か」
「はい」

雑感

「招かれざる者」は、為時の家にやってきた道兼と、東三条に押し入った直秀の二人を指す。

兼家は意識を失うほどの重病なのに、道兼を痣が付くほど殴る元気があるのかと、当初は自分もすっかり騙された。また、安倍晴明がインチキ霊能者を使って兼家によし子の霊が取り憑いている演出をし、かつ、それを花山天皇に報告するのを見て、兼家を裏切ったのかと思った。が、兼家は恐らく仮病であり(少なくとも意識を失うほどではなく)、安倍晴明と結託して事態を演出。また、道兼には事情を話して協力するよう指示を出していたのだろう。

そう、為時がスパイを断わって来たから、代わりに道兼を天皇の許に送り込みたい、それで、兼家自身はさらに天皇から嫌われるように仕向けると同時に、道兼が兼家に疎まれていると思い込ませれば、側に置くだろうと考えたわけだ。そのために何も知らないためと木を利用したのだ。人のいい為時の耳に入れれば、天皇まで届くだろうと。(そしてそれは、まんまとその通りになった。)

その一環で道兼が為時の家を訪問し、まひろと対峙することになってしまう。為時がハラハラしているのは、まひろが道兼を責めたてたり、琵琶で殴りかかったりしないかと心配していたのだろうと思ったが、あとから考えると、道兼がまひろを気に入ってしまい、夜伽の相手を所望したら、断われないから、それを心配していたのだろう。

道兼が兄や弟に比べて冷遇されてきたのは事実だし、まひろの琴の音を聞いて感激したのも事実のようだ。まひろにかけたやさいい言葉は、彼の真実でもあるのだろう。道兼は本当は繊細で傷つきやすく、優しい人間なのだ。ただ、自分がかつて殺した女の身元を全く気にかけていなかったのも事実のようで、「母御はいかがされた」は演技ではなく、心から気遣っていたと思う。それはとどのつまり、虫けらのような身分の者のことなど、どうでもいいと思っているからにほかならないわけだが……

しかし、その事件の後始末をした兼家は、ちはやの身元を知っていただろうから、道兼に、為時に近づけとは、なんとも残酷な指令を出したものだ。

道長は、公任や斉信に対しては、出世第一、また女のことを遊び相手としか考えていないようなところが心底共鳴する気になれず、直秀に対しては、藤原家をからかう散楽を演じる不届き者ではあるが、案外楽しく付き合っているようだ。行成の代わりと言われて直秀を思いつくところもそうだし、「兄上」「兄上」と呼ばれてまんざらでもなさそうだった。

だから、直秀が盗賊の一味であることを半ば確信しつつも、自分の前に盗賊として現れない限りは事を荒立てるつもりはなかったのだろう。が、残念ながら、直秀はよりによって道長の屋敷に奪いに来たのだった。

まひろは直秀とも仲良くなっている。道長とこれ以上付き合ってはいけないことはわかっているから、直秀の「都を出て、外の世界へ行く」という言葉は、さぞ魅力的に感じられただろう。でも、

今日のtwitter


「ブギウギ」(116)

第24週「ものごっついええ子や」(金)

放送日

  • 2024年3月15日

概要

誘拐犯が捕まってから、愛子は三日間も学校を休んでいた。スズ子は、学校に行くようにと言うが、愛子は友だちになった一がいなければ学校には行きたくないという。大野は、そんな愛子を少しそっとしておくようにと言う。スズ子は、羽鳥善一と麻里に相談しに行く。麻里に背中を押されたスズ子は、続けて刑事の高橋を訪ね、あるお願いをする。(NHKオンデマンドの解説より)

高橋に頼んだ「お願い」とは一を家に連れてきてほしいというもので、それは高橋の計らいで実現した。

「あの日行かれなくてごめん……」
「もういいよ、4時まで待ってたんだけどな」

ようやくわだかまりの解けた愛子と一はしばしゲームなどに興じる。帰り際、「またきてね」「おじさん、また連れてきて」「それはできない。おじさんは今日だけだ。次は、お父さんと一緒に来るんだ」

感想

愛子は一に会えたし、そのため笑顔が戻り、一応の決着を見た。が、スッキリしない。

愛子は、一くんのいない学校には行きたくない、という。あの日、一との約束を破ったことで、一を傷つけたのではないかということ、そして一にもう会えないことを気にしているのだ。そんな愛子にスズ子はしゃあしゃあと「真面目に学校に通っとったら、お友だちなんてまたなんぼでもできる」と暴言を吐く。つまり、「一くんのことなんか、どうでもええやないか」と言っているのだ。

愛助が死んだ時、もし誰かに、死んでしまったもんはしょうがおまへん、男なんか世間にいくらでもいまっせ、次を探しましょ、と言われたらどうだろうか。「ワテの夫は愛助さんだけだす!」と思うのではないか。なぜ、一と友だちになりたかった、という愛子の気持ちに寄り添おうとしないのだろう。また、大野はなぜそれをはっきりと指摘しないのだろう。

一の正体は判明したのだから、二人を引き合わせる手立てはいくらでもある。会わせてやれよ、と思ったら、ようやくスズ子の願いで実現。ほっとした。が、スズ子が「一くんを思う愛子の気持ち」に気付いたのだとしたら、そこをもう少しはっきりさせてほしかった。

一は別れ際にスズ子に向かって、「おばちゃん、有名人の子というのは大変らしいぜ、それが理由でいじめられたりするし」と言った。はじめ、よくぞ言った! と喝采を叫んだが、スズ子にどこまで通じたか。

母親が原因でいじめられる ➡ それを言えば母が傷つくと思って愛子は黙って耐えていた ➡ そんな事情も知らず、学校に行きたがらないのはまるで愛子が悪いと言わんばかりの態度で、友だちを作るよう強要した

スズ子が愛子に謝罪して手打ちとなったが、これを理解してのことかどうかは、怪しい。率直に言えば、わかっていないだろうと思う。

スズ子さん、愛子はあんたの思っているよりはるかにええ子でっせ。



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「ブギウギ」(115)

第24週「ものごっついええ子や」(木)

放送日

  • 2024年3月14日

概要

誘拐の電話がかかってきた翌朝、スズ子は愛子に、学校を休むようにと言う。しかし、友だちと遊ぶ約束がある愛子はどうしても学校に行きたいと駄々をこねる。しばらくして、男から再び電話がかかってくる。今日の午後3時に、日帝劇場のロビーにマネージャーに3万円を持ってこさせろという。タケシは、高橋ら刑事が張り込む中、日帝劇場のロビーに向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日で決着をつけてほしかったが、今日も愛子とスズ子はすれ違ったままだった。

まず、スズ子らは愛子になぜか事態を隠す。愛子が狙われているから大野さんまでが「今日は外出しない方がいい」と判断しているのに、単に「怪しい人さらいのオッサンが界隈をウロウロしているから」というだけでは愛子が納得するはずがない。おまけに、せっかく友だちができかけた、今日待ち合わせをしたから、約束を守りたいと言っているのに、スズ子は聴く耳を持たず、「いつも学校へ行きたないと言うてるのに、今日に限って学校へ行きたがって、人を困らせてばかりいる」などと愚痴っている。それはないなと思う。愛子は学校へ行きたいというより一くんに会いたいわけだから、大人の誰かに付き添ってもらって約束の場所に行ってみる、くらいのことはできたのではないか。

友だちを作れー作れーとうるさく言っていた割には、いざ友だちができかけると約束はブッチさせられる、よう知らん人とはあまり仲良うせんようにな、などと釘を刺される。スズ子は自分が矛盾したことを言っているとわからないのだろうか。もう少し愛子の言うことに耳を、心を傾けてやることはできないものか。愛子の心が折れてしまわないか心配だ。

一くんは転校することになるようだ。一くんとはいい友だちになれたと思うけど、もう会えないのだろうか。



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「ブギウギ」(114)

第24週「ものごっついええ子や」(水)

放送日

  • 2024年3月13日

登場人物

  • 井上一輝(一、小学生)
  • 内藤剛志(高橋、刑事)

概要

大野が受けた電話は、3万円払わなければ、愛子を誘拐するという脅しの電話だった。そして、警察には伝えないようにと言われ、電話は切れる。スズ子はすぐに学校に電話をかけるが、愛子はすでに下校しているという。急いで近所を捜し回るも、愛子を見つけることはできない。大野は、反対するスズ子を押し切り、警察に電話をする。やがて、スズ子の家に刑事の高橋らがやって来る。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

誘拐する、という脅迫電話がかかって来た日に帰宅がいつもより遅くなったら、親はさぞ心配するだろう。愛子も、自分が不在の間に何が起きたのかを知ったら、取り乱している親の姿を見て、少しは自分に対する愛情を感じたかも知れない。しかし(余計な心配をさせたくないからだろうが)スズ子は誘拐うんぬんの話は一切せず、ただ、怪しい人間が周囲をうろついている、としか言わない。

愛子は、一、という少年とようやく話をすることができた。母親の愚痴を言い、聞いてもらえた。明日もここへ来れば遊んでやる、と言われた。だから明日は絶対に行かなけれなならない。それなのにスズ子は「明日は一日家にいろ」と言う。「明日は絶対に学校へ行く!」と言い張る愛子に「いつもは学校へ行きたがらないくせに、マミーを困らせようとしているのか!」と怒鳴るスズ子。事情を知っている視聴者は、スズ子の言動はわからなくもないのだが、愛子の立場からしたら、普段から友達を作れ、友だちと遊べと言っているくせに、その友だちらしき人とおしゃべりをして少し遅くなっただけで怒り狂う母親は、理不尽の塊りにしか見えないだろう。

誘拐犯は、本気で誘拐する気はなく、誘拐すると脅して小金を巻き上げようとしているだけだろう。3万円なら、福来スズ子にとってはさしたる騒ぎにはならず、あっさり差し出すだろうと思っているようだ。スズ子にとっては金額より、愛子の安全を人質に取っていることが問題だ。

それにどうやら、この犯人は一の父親のようだ……



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「ブギウギ」(113)

第24週「ものごっついええ子や」(火)

放送日

  • 2024年3月12日

登場人物

  • このか(愛子)
  • 水澤紳吾(電話の男)

概要

昭和30年、新しい家に越してから5年。スズ子は、近所の人たちを招待し、愛子の8歳の誕生会を開く。しかし、愛子は誰とも話さず一人ぼっちでいる。スズ子はそんな友達のいない愛子のことを心配に思っていた。スズ子は子育てのことについて大野や麻里に相談する……。しかし、スズ子に友だちと遊ぶよう言われた愛子は、スズ子の言うことは聞かずに部屋にこもってしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

初めての子育てである上、相談・分担する相手(夫)もいないスズ子には同情の余地はあるが、それにしても今日のスズ子はツッコミどころ満載だった。

大野さんではなくたまには自分で愛子のための朝食を用意する、それはええけど、「さっ、それ食べたら元気よう学校行ってお友だちと遊んで来るんやで」なんて余計なことを言うから、食欲をなくしてしまう。

愛子のことを相談しようと羽鳥家を訪ねるのはいいけれど、愛子と遊ぶ約束をすっぽかしてしまう。どっちが大事なんや! 約束を一方的に破っておいて「愛子のため」などと言っても伝わるわけがない。

スズ子は大野さんやタケシ、羽鳥先生、麻里子ら次々に相談をするが、結局、背中を押してくれる人を探しているだけで、彼らの忠告に耳を貸す気がハナから内容に見える。子育ての経験のあるベテランの大野さんや麻里さんが、「自分の考えを押し付けず、焦らず、信じて見守ることが必要」といくら言っても、「それはワテのやり方やない」と言うのなら、初めから相談する必要はない。

愛子は単に内気で殻に籠ってしまう性分で友達ができない、というのではなく、軽いいじめに遭っている様子。しかもその要因は「有名人の子」「大阪弁を使う」といったもので、これを母に話したら母を傷つけると思って、黙って家で過ごしているのだ。これ以上スズ子がうるさくすると、家でも居場所を失ってしまう。せめて暖かく包んであげてほしい。

ところで、愛子を誘拐したと言う人物から電話がかかってくるが、誘拐する前に脅迫状が届いたり(愛子が親に見せず捨てた)、「福来スズ子」ではなく「花田鈴子」と呼んだりしている。真相はいったい……?



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「ブギウギ」(112)

第24週「ものごっついええ子や」(月)

放送日

  • 2024年3月11日

概要

羽鳥善一作曲二千曲記念ビッグパーティーの日が近づいてくる。羽鳥はスズ子たちに、パーティーで余興をしてほしいとお願いする。スズ子がりつ子に相談すると、羽鳥があっと驚くようなことをしたいと言われ、スズ子が内容を考えることになる。そこでスズ子が考えた余興は……。パーティー当日、まずはスズ子が「東京ブギウギ」を披露。しかし、りつ子は余興をするかどうかまだ迷っていた。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

服部良一の二千曲記念パーティー笠置シヅ子淡谷のり子が何をしたか知っていたので、どこまでそれを再現するのかに興味があった。残念ながら? 生足ではなく、スラックスを穿いての踊りだったが、梅丸歌劇団出身のスズ子はともかく、りつ子の足が高く上がっていたのは驚いた。調子に乗って舞台へ上がった羽鳥先生が、足を挙げようとして派手にすっ転んだのも。転ぶのは草彅からの提案だったらしいが、元SMAPで踊りは踊れるはずの草彅が転ぶところがいい。

余興は一日で終わり。愛子役の小野美音も今回がクランクアップらしい。

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左から山本和子(毬谷友子の母)、山本照子、淡谷のり子渡辺はま子、小川静江、笠置シヅ子服部富子服部良一の妹)



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「ブギウギ」(111)

第23週「マミーのマミーや」(金)

放送日

  • 2024年3月8日

概要

梅吉が亡くなった。葬儀では、松吉が号泣しながら、遺影の自慢をする。そんな中、スズ子は、葬儀に参列していた杖をつきながら歩く初老の女性と目が合う。それは、およそ15年前に一度だけ話をしたことがあるスズ子の生みの親、キヌだった。あのときは幼かった二人の息子たちも、今では立派な青年となっていた。スズ子は、キヌと二人で話をすることになる。(NHKオンデマンドの解説より)

香川から東京へ戻ってきた後、スズ子はかつてキヌからもらった金時計を愛子に託す。

今日の愛子とスズ子とキヌ

愛子「マミーのお友だち?」
スズ「そうやなあ……、マミーのマミーや」
キヌ「……」

今日の愛子

「おじいちゃんどこ行ったんやろ?」

感想

香川で梅吉は、キヌやその子らといい関係を保っていたらしい。写真を撮ったり可愛がったりして。周囲の目もあるから本当のことは言えないが、そうやって気にかけていたんだろう。だから梅吉の葬儀にキヌが来て、スズ子と会うことになり、話をすることができた。キヌの子らは「福来さんのような有名人と知り合いなんて、母ちゃんもやるやん」と呑気に言っていたから、知らないのだ。

だから愛子にキヌのことを聞かれたスズ子が「マミーのマミーや」と答えた時は焦った。今ここで言わなくてもと思ったのだ。それで愛子がキヌに向かって「おばあちゃん!」と叫んで近寄って行ったりしたら、子らに気付かれるではないか。もっとも、キヌの子ももう大きいから、事実を知っても動じることなく、「天下の福来スズ子が実の姉だとは!」と喜ぶ(だけ)かも知れないが。

スズ子にとっては親のことはずっとわだかまりがあったが、最後に梅吉と、自分は知っていたことを伝え、知っていたのに知らないふりをし続けたことを梅吉から感謝され、ようやく解放されたのだろう。

金時計を「発見」したのも面白い。実の両親のいわば形見だが、受け取ってからこれまで、恐らく見たり触ったりしたことはほとんどないはずだ。今回も、鐘を鳴らすアレを探していてうっかり見つけてしまったのだ。が、わだかまりも解けた今、隠すことなく堂々とそれを愛子に見せることができた。

それにしても、こんなことならもっと早く梅吉が香川へ帰って来ていたら、と思う。大阪で独りにしておけないと、半ば強引に東京へ連れて来たが、東京での梅吉は明らかに病んでいたし、スズ子とはお互いに悪影響しか与えていなかった。映画監督にも脚本家にもなれなかったが、カメラマンとしては大成した。その方面の才能は確かにあったのだ。

なお、タケシの「仕事詰まってますよ、予想外に香川が長引いちゃったから」はいくらなんでも無神経過ぎるセリフだ。これでは「梅吉がさっさと死んでくれないから」というように聞こえる。梅吉が予想より数日生き延びてくれたおかげで、スズ子はきちんと向き合うことができ、愛子はおじいちゃんと仲良くなることができたのだ。ドラマ内では誰も気にしていなかったけど、自分はこれまでのタケシのセリフや態度で一番気になった。

さて、過去編は終わり(だろう、さすがに)。残り三週間。どう展開する!?



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「ブギウギ」(110)

第23週「マミーのマミーや」(木)

放送日

  • 2024年3月7日

概要

久しぶりに香川に戻ったスズ子は、梅吉が写真館を切り盛りし、繁盛していたとの話を聞く。梅吉が大切にしていた写真が倉庫にあると言われ、スズ子が倉庫にあったアルバムを見ていくと……。一方、愛子は、はじめは梅吉に近寄らずにいたが、一人でこっそりと梅吉の部屋を訪れる……。やがて、医者から今夜が山だと聞かされる。スズ子は、寝ている梅吉に、昔を思い出しながら話しかける。(NHKオンデマンドの解説より)

昏睡する梅吉の枕元でスズ子は、「なんで血がつながっていないことを話してくれないのか、いつか話してくれるのか、と思ったこともあった……」と呟くと、「話す必要がなかったからや」と返事が返って来る。スズ子の言葉を聞いていたのだ。「ワシらは血よりももっと濃いもんでつながっているから、話す必要がなかったんや」「知っていたのに黙っていてくれたんやな、わしとツヤちゃんを親にしてくれて、ありがとな」

梅吉はスズ子に歌を歌ってくれとせがむ。何の曲がいいかと問うスズ子に、梅吉は「父ちゃんブギ」。なにゃそれ、というスズ子に、梅吉は「東京ブギ」の「東京」を「父ちゃん」に入れ替えた替え歌を歌う。

感想

昨日は、愛子が梅吉を「嫌がるのも無理はない」と書いたが、今日はすっかり仲良くなって亀の話で盛り上がったりしていた。梅吉の人柄によるものか。

枕元でのスズ子と梅吉のシーンは少々くどい。いくら危篤だとはいえ、まだ生きて、話もしている相手に、泣くものだろうか。田中好子が危篤状態に陥った時、伊藤蘭藤村美樹が呼ばれ、約7時間、ずっとそばについていたそうだ。この時、彼女らはスーが息を引き取る前に泣いたりしたのだろうか? ちょっと過剰な演出のように思われる。

週タイトルは「マミーのマミーや」だがまだ「マミーのマミー」は登場しない。



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「ブギウギ」(109)

第23週「マミーのマミーや」(水)

放送日

  • 2024年3月6日

概要

スズ子は四か月間におよぶアメリカ公演から帰国し、留守中に完成した新居を訪れる。スズ子は、愛子が自分を受け入れてくれるのか心配していたが……。スズ子が日本に戻ってから一年。スズ子はすっかりご近所さんと馴染みになっていた。そんなある日、香川の松吉から電報が届く。がんで闘病していた梅吉が危篤になったという。スズ子は愛子を連れて香川へと向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

ドラマでは、スズ子が出産直後に梅吉が会いに来て以来だが、描かれなかったところで何度か香川に来たりしたのか? 忙しくはあっただろうが、その気になれば、地方公演のついでに立ち寄ることもできただろう。もしそうでなければ、愛子にとっては今回が祖父との初対面になる。

「なかなか来れなくて堪忍やで」と梅吉に謝罪するスズ子。梅吉は「こうして帰って来てくれて嬉しい。おかげで寿命が二時間延びたわ」と言うが、「堪忍やで」は愛子にも向けられなければならない。実の祖父が元気なうちに会わせてあげられなかったこと。だから、せっかくこうして香川まで来ても、愛子は梅吉を一目見て、「遊びに行く~」と言い出す。知らないおじいさんに向かってお話しろと言われても話すことなどない。第一、退屈だ。嫌がるのも無理はない。

梅吉の写真館は流行っていたのだそうだ。当時の写真はしかめっ面をして写るのが普通だったが、梅吉は被写体をリラックスさせ、笑顔にしてそれを撮っていた。なるほど人気が出るのは頷ける。また、これまで何度もドラマ内で映って来たツヤの遺影が、妙にはしゃいでいる感じに違和感を持っていたが、これが梅吉流なのだと納得。

水着のおねーさんの写真が大量に出て来たのは、ご愛敬。



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「ブギウギ」(108)

第23週「マミーのマミーや」(火)

放送日

  • 2024年3月5日

概要

アメリカ行きを決めたスズ子だったが、愛子は、置いていかれることに拗ねてしまう。旅立ちの直前に開催された「お見送りショー」には、おミネたちも応援に訪れ、最後に披露された「東京ブギウギ」で会場は大盛りあがりとなる。しかし、客席で大野と一緒に見ていた愛子は相変わらずの様子でいる。出発の日、泣き叫ぶ愛子を残し、スズ子は胸が引き裂かれる思いで家を後にする。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日はすべてを小野美音が持って行った。拗ねる仕草も、泣いたり甘えたりする態度も。お見送りショーに愛子も見に来て、「こんなに大勢の人から応援されているんだね! マミー、頑張ってね!」と安易にならない脚本は素晴らしいが、笑顔にはならずとも拗ねている顔に微妙に変化あり、マミーの人気が誇らしくはあるのだな、と感じさせる。出発当日も、「行ってらっしゃい」と言いたい、言わなくちゃいけないということは本人もわかっているようなのだが、「行って来ます」と言われたらつい「いやあー」と声が出てしまい、言い出したら止まらなくなってしまうところなど。

小野美音は本当にすごいが、朝ドラを見ていると、とにかく子役がみな素晴らしい。失礼ながら、中には本役の人よりずっとよかったと言いたくなる人もいる。NHKは何処からあんな子たちを見つけて来るんだろう?

出発まで大騒ぎとなった渡米だが、今日一回で四ヵ月のアメリカ公演は終わりのようだ。アメリカロケができるわけはないから簡単に済ませるのだろうとは思ったが、今日出発してそれで終わりとは思わなかった。

ところで、この渡米中に引っ越しも行なわれたと知って驚愕した。そこまで大野に押し付けたのか? スズ子は鬼やなあ。そもそも引っ越しに際して、何を捨て何を持っていくのか、新しい家具の購入や配置など、家主がいなければ決められないことはゴマンとあるはず。仮に家が完成したとしても、帰国を待って引っ越しをすればいいではないかと思うが……

「お見送りショー」での「東京ブギウギ」。さらなる成長を見せるスズ子などSNSでも評判がよいが、挨拶は肉声なのに歌に入ると突然、録音演奏になるのが不思議。急に声が変わって戸惑うし、ライブ感がブチっと切れる。演出上の理由があるのだろうが、ライブでやってほしいなあ……。



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「ブギウギ」(107)

第23週「マミーのマミーや」(月)

放送日

  • 2024年3月4日

概要

タケシがスズ子のマネージャーになって二か月。タケシはすっかり馴染んでいた。そんなある日、羽鳥善一からアメリカの公演に行かないかとの話が出る。スズ子は、本場の客の前で挑戦してみたいという気持ちがある一方、愛子を連れて行くことはできないと聞き、迷ってしまう。スズ子が結論をなかなか出せないでいると、タケシが先に愛子にアメリカ行きのことを話してしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

愛子の面倒を見ているのは、大野さん(主に昼間)とスズ子(主に夜)、今はタケシも結構遊び相手になってくれて、愛子も懐いている。そのスズ子とタケシが約四ヵ月、日本を離れる。愛子が母親を恋しがるだろうという問題はさて措き、これをスズ子は大野さん一人に押し付けるつもりなのか?

若いスズ子だって、出産してしばらくはワンオペで相当苦労したはず。それも(あまり頼りにならなかったとはいえ)山下などが頻繁に顔を出してくれていた。大野一人では気の休まる暇がない。もし愛子が病気になったらどうするのだろう。買い物行くにも愛子を連れて行くわけにはいかず、さりとて病人の愛子を一人置いて出かけられるわけがないではないか。大野に何かあった時はどうするのか。

ドラマ内では描かれなかっただけで、家政婦協会に連絡し、期間中はあと2~3人は派遣してもらう手はずを取ったのだと思いたい。が、小夜や山下の時にそうだったように、スズ子は無茶振りを平気でするから心配だ。



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(07)「おかしきことこそ」

題名

  • 「光る君へ」第07話「おかしきことこそ」

放送日

  • 2024年2月18日

登場人物

概要

道長への想いを断ち切れないまひろは、没頭できる何かを模索し始める。散楽の台本を作ろうと思い立ち、直秀に直談判。まひろの演目は辻で披露され、次第に評判を呼び大盛況に。噂を聞きつけた藤原家の武者たちが辻に駆けつけ大騒動に。一方、道長や公任ら若者たちはポロに似た球技・打毬(だきゅう)に参加する。招待されたまひろは倫子たちと見物に行くことになるが……。(公式サイトより)

985年、よしこ亡くなる。

為時は帝に、何もかも義懐(よしちか)にお任せするのはいかがなものか、と苦言を呈すると、信用できる者が義懐とお前しかいないのだから仕方がないと言う。それを聞いた為時は、兼家の間者でいることが耐えられなくなり、兼家に解任を願い出る。それが認められ、晴れ晴れと帰宅すると、まひろは喜んだが、宣孝は、次の帝は右大臣の孫だ、右大臣の側にいなくてどうすると叱り、いとは、以前のようなみじめな暮らしはもう嫌だ、右大臣の引き立てがなければ太郎もどうなるかと言って為時に泣きつく。

打毬に道長が出ることを知ったまひろは、観戦を躊躇するが、結局見に行くことに。倫子、茅子、しおり、赤染衛門のほか、ききょうも来ていた。まひろはこまろを抱き、なるべく下を向いているが、ついつい目は道長を追ってしまう。試合後、逃げ出したこまろをおいかけたまひろは、斉信らがまひろのことを「あれは地味でつまらぬ」「あれは身分が低いからダメだ」「女こそ家柄が大事」などと言っているのを聞いてしまう……。

今日の藤原兼家

「人の命を操り、奪うは卑しき者のすることだ」(どの口が言うか……)

今日の桐子

「あなたそれ、私に言わないで、日記に書きなさいよ」

今日の道隆と道兼

「父上に無理させられて、疲れておらぬか。お前は気が回る。その分、父上にいいように使われてしまう。そうではないか」
「……」
「わしはわかっておるゆえ、お前を置いてはゆかぬ」

今日の為時と兼家

「右大臣さまの御恩は生涯忘れませぬ。しかし、このお役目は、お許しくださいませ。……これ以上帝を偽り続けますことは……」

雑感

いくら斉信らの話を聞いて傷ついたからといって、こまろの捜索を打ち切って帰宅してしまったのはいただけない。視聴者は「帰るのかよ!」と叫んだに違いない。

斉信はききょうに首ったけ。しかしききょうは人妻だ(知らなかったがこの時点で子持ちのようだ)。

兄からの温かい(?)言葉に泣き出す道兼。本当は素直な、いい奴なのかも知れない。だんだん道兼が哀れに思えて来た。

花山天皇は為時が右大臣とはつながっていないと思い込んでいて、そんな帝の様子を兼家に伝えるのは気が咎めるのかも知れないが、別に為時は帝を騙しているわけではない。まして何か陥れたりしているわけでもない。ただ「報告」をしているだけだ。そこは割り切ってもいいんじゃないか、とは思う。世渡り下手は、悪いことではないが。

今日のtwitter

「ブギウギ」(106)

第22週「あ~しんど♪」(金)

放送日

  • 2024年3月1日

概要

ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子は新しいマネージャーのタケシの様子を見て不安を感じていた。スズ子が大野にタケシのことを相談すると……。そして迎えたショー当日、タケシは寝坊して遅刻してしまう。楽屋にやってきたタケシに、スズ子は自分のステージをよく見とくようにと伝える。山下が側にいない中で臨む舞台、新曲「買物ブギ」が会場を席巻する!(NHKオンデマンドの解説より)

感想

ついに「買物ブギ」のお披露目。これまでのたくさんの歌の中で一番いい歌だし一番難しい歌。この歌が聞きたいがために今回の朝ドラを見始めたようなもの。twitterでも絶賛されていた。

悪くはなかったけど、礼によって口パクだったため、歌と踊りがバラバラ。特に今回は周囲の大勢の人も含めての踊りというか演技がコミカルでリズミカルで素晴らしいものだったからこそ、いっそう残念だった。

タケシは、やる気があるが知識と経験が浅いためにできることがあまりなく、失態を演じてばかりいる……というのではなかった。もともと好きなものもやりたいこともなく、仕事にも打ち込めず、一方で叱られるのはイヤだという若者なのだな。だから嘘を尽くし、すぐに言い訳をする。ワンマンショー当日に寝坊して遅刻してしまうのだが、こんなんではクビにされる、その前に自分から辞めると言おう……と考えてしまう。そういうのはわかるなあ。こういう「身体は健康だけど、物事に情熱的になれない人」が戦後は大勢登場したのだろう。

遅刻してきたタケシにスズ子の第一声が「来たな。逃げたかと思うた」だったのはいいな。



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「ブギウギ」(105)

第22週「あ~しんど♪」(木)

放送日

  • 2024年2月29日

登場人物

  • 三浦獠太(柴本タケシ、山下の甥)

概要

スズ子のマネージャーを辞めるという山下は、新たなマネージャーとして自分の甥の柴本タケシを連れてくる。初めは拒むスズ子だったが、どうしても辞めるという山下に押され、渋々タケシをマネージャーとして受け入れることにする。翌日、スズ子はタケシを連れて、完成した新曲「買物ブギ」を受け取りに、羽鳥善一を訪ねる。しかし、タケシの頼りなさが露呈してしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

業界経験の長いベテラン山下の後任が、業界経験ゼロどころか社会人経験なしの若者とは、いくらなんでも無茶だ。その上ろくな引継ぎ期間もなく、入れ替わってしまう。せめて数ヵ月くらい一緒について回らなければ、仕事は覚えられないだろう。そもそもマネージャー職は顔つながりが命ではないのか。未経験者に務まるとは思えないが……

スズ子が練習中に居眠りをしていたことでスズ子の怒りが爆発する。スズ子がワンマンショーを控え、ピリピリするのはわかるが、本来歌の稽古相手はマネージャーの仕事ではなかろう。慣れない仕事で気を遣い、走り回って、やっと座ってほっとして、ついウトウトしてしまった、そこを咎められるのはかわいそうだ。

スズ子は自分を支えてほしいのであって、自分が育てる気はないのだろうが、柴本を受け入れた以上は、もっとうまく使わないと潰れてしまう。それにしても山下は、「タケシのことは自分が保証します!」と威勢のいい啖呵を切ったが、ボンのことでわかるように、この人、身内には甘いのだ。



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