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チェチェン総合情報 Annex このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2009-06-06

シリーズ 内戦と子どもたち チェチェン紛争 子どもたちの情景

(「メランコリーの3つの部屋」というフィンランド制作のドキュメンタリー

テレビがない我が家のために(?)あるひとが、トランスクリプションを作ってくれたので、掲載します。ご覧になっていない方はどうぞ。雰囲気のある作品のようです。

第1の部屋 クロンシュタット

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サンクト・ペテルブルクから近いクロンシュタット島。

ここには、全寮制の学校がある。孤児や恵まれない子どもが収容されているが、特にチェチェン紛争で親を失ったロシア人の子どもたちが入れられている。

早朝、まだ真っ暗なうちから起床命令の放送が流れ、軍服を着て、庭に集合する子ら。大佐に大声であいさつ。

体育館で走ったり、懸垂をする子どもら。

コーリャ、11歳。ストリート・チルドレンだった。黒海沿岸の出身。空き瓶を集めて本人が母と呼ぶ女性のために空き瓶を集めて生計を助けていたが、彼女はコーリャを孤児だと主張し、この学校に入れた。

ミーシャ、10歳。海軍の軍人だった祖父がミーシャを両親の元から引き離して、この学校に送り込んだ。

銃で狙いを定め、撃つ練習をさせられる子ら。

雪の積もった庭を「1、2、3……」との号令に合わせて行進する子どもら。「顎を上げて! 手を振って!」と号令。

授業。水兵服のような制服に着替えた子どもたち。女性の先生の授業を受ける。表情があどけない。眠そうで、悲しげな顔が多い。

廊下で、整列する子ら。

「顎を上げ、手はズボンの縫い目にぴったりつける」「よし指揮官への敬礼の仕方を見てみよう!」と教官の命令が響く。まっすぐ歩き、敬礼の手本を示す子。次は全員で行進し、敬礼の練習。

ヒゲの教官「よーし、いいぞ!」「上官が左側のときは、こうだ」「つぎは右側のとき」

行進の練習。

若い教官に「何も異常ありません!」と報告する子ども

ドミトリー。10歳。父はアフガン戦争に、お金のため従軍した兵士だった。母はアルコール依存症。面倒を見ていた祖母が亡くなり、この学校に入れられた。

音楽の時間。軍服・ヒゲのアコーデオン弾きの弾く物悲しいメロディーに合わせ、太った女先生の指示で、歌を歌う子どもら。

「この馬を自由に走らせて。私を自由にして……(途中から手拍子する子ら)」

体育館で軍事教練。迷彩服姿の教官が銃を持ち、銃床で相手を殴る方法を見せる。次にロシアの格闘技、サンボを見学する子ら。赤と青のサンボ着を着て、模範演技を見せる年長の少年を見る。

サンボ着を来て、両手にスコップを持ち、スコップで相手を殴るやり方を見せる年長の少年。

見学している子の1人、ポポフ、11歳。ロシア北部のアルハンゲリスク出身。両親ともアルコール依存症。家が火事になり、母はバルコニーから転落。ポポフ路上生活を余儀なくさせられた。

雪の庭で走り回る子どもたち。遊んでいるかに見えるが、雪合戦をしながらの、戦闘訓練。雪の中で負傷兵に見立てた仲間を運んだり。

夜、ベッドルームでじゃれあって遊ぶ子どもたち。「もう寝なさい」との命令に、毛布の中に入る。

窓際にたたずむ少年、コーリャ。軍艦が浮かぶ凍てついた海を見つめている。

「八月の生い茂る草原にとうもろこしが1本立っていた……」「あわれな者はひっそり死んでいく……」(詩の朗読がバックに流れる)

ニュース映像を見せられる子どもたち。

「武装ゲリラはチェス盤のように配列されていました。体に爆弾を巻いた女性ゲリラが……」(チェチェン・ゲリラが起こした、とされるモスクワ劇場占拠事件の映像)

特殊部隊の活躍で爆発は回避されました」(*筆者注:もちろん、特殊部隊が突入時に使用した神経ガスで人質が120人も犠牲になったことは語られない)

トルマチョフ。12歳(?) ボルゴグラード出身。母はロシア軍に入隊。そのため彼は6歳のときから親戚に預けられた。母は今もチェチェン武装勢力との戦いに加わっている。

母に手紙を書くトルマチョフ。

「誕生日を忘れてごめんなさい。休みにぬいぐるみを作りました。お母さんのために」「卓球大会で僕は…位になりました」「グロズヌイ・ハンカラ基地のお母さんへ」

(詩の朗読の続き)

外。昼間、港で軍艦の前を黒い軍服姿で歩く子どもたち。雪が積もっている。


学校の電話室(?)で電話をかける少年(コーリャ)。黒い帽子。

「母さん、僕だよ…僕だってば…帰宅許可をもらったんだ。帰れるよ…迎えに来てくれる? …でも月曜はムリだよ。学校があるから…迎えに来る時間は決まってるの? 9時?いいよ…6時半? それでいいよ…帰ったら、あの犬、僕に吼えるかな? …じゃ、約束だよ。6時半に来て」

電話をかけるトルマチョフ。

「シェメレフさんのオタクですか……おばさん、おねがい、同意書を書いて。そうすれば冬休みに友達に会えるんだ。……っていう名前の友達さ。僕また、ぬいぐるみを作ったよ…犬のだよ」

ミーシャ。

「誰か僕を待っててくれるの? どの駅? ……わかった……バスはまだ来てないよ…」

雪の庭を行進する子どもたち。「気をつけ!」と教官。「あごを上げて!」「まっすぐ並べ!」

上官が敬礼しながら歩いてくる。小雪の降る中、顎を上げて立っている少年たちの息が白い。

「一緒に書こうか?」なにやら囁きあう少年たち。「何を書いた?」

「こんにちは! 大佐殿!」「ウラー(万歳)!」いっせいに叫ぶ子どもたち。顎を上げて雪の中、軍服で立っている。軍楽隊が演奏しながら歩いていく。それについて行く年長の少年たち。

バスの中。毛皮の軍帽、黒い軍服の少年たち。

セルゲイ、11歳。チェチェン、グロズヌイの出身。父はチェチェンに住んでいたロシア人。しかしロシア軍がグロズヌイを爆撃したとき犠牲になった。セルゲイは学校に友達がいない。チェチェン人だと思われているから。

停留所。一般の市民も乗ってくる。あまり表情を変えないセルゲイの横顔。隣に女の人が髪をかき上げる。ちらりと見るセルゲイ。女性は彼の母ぐらいの年だろうか?

「僕は父の遺体が共同墓地から引きずり出されるのを見ました。僕はその時から自分の殻に閉じこもるようになりました。グロズヌイは破壊されたのです」

車内。セルゲイ少年のまわりで新聞を読む市民。

「僕は兵士になるつもりです。戦争がどんなものか知ってます。でも悪者は殺すべきなのです」

駅の階段を歩いていくセルゲイ。

部屋の中。老女。赤いセーターを着てソファに座っている。セルゲイが、お茶をもってくる。

「おばあちゃん、病気だったの?」

「いや、元気だよ。見えない目が少し痛むけど、それだけ。セルゲイがいつ帰ってくるかと、それだけを楽しみにしてたよ」

「寒くなかった?」毛布をかけてやるセルゲイ。

「いや、セーターもあるし、毛布もあるから大丈夫だよ」パンをわたしてやるセルゲイ。「私も、おまえにこうして食べさせてやったものさ」と祖母。

「明日は母さんとサーカスに行く。おばあちゃん、心細い?」

「こうやって人は去っていくんだ。でも1人でいることなんて、何でもないよ」

第2の部屋 息づかい

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グロズヌイ――チェチェン共和国首都。瓦礫になった街の中心部が映される。

94年、独立を求めるチェチェンロシアは軍を投入し、第一次チェチェン戦争は始まった。

戦争はいったん96年に終わるが、99年にロシア軍は再び、戦争を始め、グロズヌイを制圧。グロズヌイは徹底的に破壊された。

瓦礫の街で吼える野犬たち。あちこちに野犬。戦争で飼い主も、住んでいたアパートもなくなった犬たちなのだろう。町の通りを走る装甲車。乗用車が軍の検問所を通り抜けていく。崩れたビルの前を歩く人々。露店。

赤ん坊を抱いた若い女性が道端に座って、通行人の施しを求めている。老婆の物乞いもいる。

瓦礫の前のたたずむ老人。杖を突いている。カメラが引くと、瓦礫が元は大きなビルだったことが分かる。

家の中。テーブルで、毛糸の帽子をかぶった少年が、皿の食べ物をずっとかき回している。となりに座った女性が手を握っている。母親らしい。少年の左手は負傷しているように見える。帽子を取ると、少年は髪の毛がない。後頭部に傷跡。


瓦礫のような、砲撃で崩れかけたアパート。

その中の階段を上っていく女性。部屋に入ると、崩れた壁やガラス、靴、壊れた家財道具が散乱している。

女性の名はハディザト。廃墟となったグロズヌイで困っている子どもたちを捜し、保護している。

(後編)瓦礫の街の映像

94年、独立を求めるチェチェンロシアは軍を投入し、第一次チェチェン戦争は始まった。

戦争はいったん96年に終わるが、99年に再びロシアは大規模な軍隊を投入し、グロズヌイを制圧。ロシア軍の圧倒的な攻撃にグロズヌイは壊滅した。

半ば崩れ落ち、廃墟と化したビルの階段を登る中年女性。アパートのドアをノックし、中に入る。砲撃で破壊された部屋。窓や壁が崩れた残骸が室内に散乱する。テレビなど家財道具や片方の靴……

ハディザトという女性。チェチェン紛争で廃墟となったグロズヌイの街で困っている子どもたちを見つけ保護している。

ドアをノックして回るハディザト。

あるドアをノックすると、少年が出てくる。4歳くらい。

「お母さんはいる?」尋ねるハディザト。室内に入っていくと、3人の子どもたちと寝たきりの母がいた。母はまだ若く見える。

「この子どもたちを手元に置いておくのはムリよ」とハディザト。

しきりに頭をかく子どもたち。女の子の頭を見るハディザト。

「シラミがいるのかしら? いないわね。フケのせいかな」

「ご主人の親戚と連絡はついてるの?」尋ねるハディザト。

「いいえ、夫が死んでからはまったく音沙汰ないの」

「あきれたわ。こんなかわいい子どもたちがいるのに」

(もしかしたら、その家族も死んでいるのかもしれないが……)

お母さんに食べ物を食べさせる子どもたち。

ファイルをめくるハディザト。

「あなたの方から会いに来てね」

「よくなったら、行くわ」と母。

「サインして」とハディザト。

子どもらは男の子2人と、女の子1人。5、4、3歳くらい?

「お母さんにキスして」

泣く子ども

「アイスを買うの」と一番小さな女の子。

部屋を出ようとするが、母と離れるのがいやで、母に抱きついて泣く子どもたち。

ハディザトがなだめ、連れて行く。

ひとりベッドに残った母。ガランとした室内。テーブルには水の入ったボトル。

車から、道のようす。廃墟の町。ロシア軍の装甲車が車の前を横切る。

車内の子どもたち。固い表情……トラック、乗用車、装甲車

窓外をすぎていくアパートメント・ビル群。瓦礫になっていないビルも、窓からガラスがなくなり半壊している。そうした光景が延々と続く。外を見つめる子どもたち。子どものひとりをヒザに抱いているハディザト。

戦車が時折見える。時には砲撃音も。やがて、ハディザトのヒザの上や、シートの上で寝てしまう子どもら。

ロシア軍の検問所。

車はやがて郊外へ。子どもを抱いたままハディザトも眠る……いつしか少年が目を覚まし、また外を見つめる。

***

第3の部屋 記憶

テロップ】

イングーシ共和国にて(チェチェン共和国から4キロメートル)

美しい緑の山肌。草をはむ羊たちの群れ。羊飼いと共にゆっくり移動する羊。のどかな景色。やがて、画面は引きになり、蛇行する川を越えて、その向こうの山が移る。

ヘリの音。テントが並んだ村が映る。チェチェンを逃れてきた難民たちのキャンプだ。

ハディザトはここで子どもたちの世話をしている。

泣く少女。

テレビのニュースを見る子どもたち。

02年10月の、チェチェン・ゲリラによるモスクワ劇場占拠事件のニュース。

アスラン11歳。両親は行方不明。凍えるような寒い夜、ダンボールの中にいるのを見つけられた。彼はロシア兵に性的虐待を受けた。

(*筆者注:ロシア軍は、チェチェンに住む人々に対し、その人がロシア人でも、強姦、強奪、暴行、殺戮を行なったとことがさまざまな人によって報告されている。モスクワで何者かに暗殺されたノーバヤ・ガゼータ紙の記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんもそうしたレポートをしている)

ハディザトは、アスランロシア人だと思っている。だがアスラン本人はチェチェン人に、そしてイスラム教徒になりたいと思っている。

「アイス買って」という女の子。

彼女の頭のシラミをチェックするハディザト。

アダム、12歳。グロズヌイからやってきた。父は第1次チェチェン戦争で亡くなり、母はアラビア語教師だったが、度重なる爆撃で精神に失調を来たし、アダムを9階のバルコニーから突き落とそうとした。

ベッドで眠っている子どもたち。話しかけるハディザト

馬に乗った男が馬小屋に。羊たちが小屋から出てくる。牛を連れて歩く年長の少年。

それを見つめるアスラン。顔つきはたしかにチェチェン人というより、ロシア人のようだ。険しい表情。

羊たちと一緒に歩くアスラン

運てい(梯子状の遊具)にぶらさがってどんどん進む子どもたち。アスランも楽しそうだ。

白いシャツに着替える子どもたち。アスランが自分でボタンをとめ、後ろの少年が襟にヒモ(ループタイのようなもの?)を巻いてやる。

「早くして。リューバが怒ってる」

野原。立ち枯れの木々。馬が木につないである。人々が集まって立っている。祈りを唱える男の声。

テロップ】イスラム教では髪に感謝し、羊をいけにえとして捧げる。

その血を子どもたちの額につける。儀式を見つめる人々。アスランもいる。

羊をさばく男。木につながれた馬。少し霧が出てきた。

カメラがパンして、もう1頭の馬がつながれた木の方へ。

何か雷鳴に似たものが、遠くから響いてくる。

小さなモスク入っていく人々。モスクのまわりに集まった人々。

祈りの声がモスク内で響く。

中心に、食べ物をおいて、そのまわりに円を描く人々。祈りを唱和しながら、ぐるぐる回る人たち。

少年たちがすわり、両手の平を上に向けてくっつけ、祈りのことばを唱えている。

アスランもいる。真剣な表情で祈りを唱え、ヒザをついて、土下座に似た拝む姿勢をとる。

祈りながら、涙を流すアダム。何を思い出しているのだろう。

祈りを唱和しながら、ぐるぐる回る男たち。

見つめる子どもたちと、女たち。女たちの頭にはカラフルなスカーフ。

山の風景。雨が降り出した。雷鳴のような音。やがて、それが砲撃音、爆弾の炸裂する音だとわかる。

小さな白いモスク。まわりの立ち枯れの木々。

憂鬱な顔の若い女性。

ミラーナ、19歳。頭に薄緑のスカーフ。ペイズリーに似た柄。

チェチェンに侵攻したロシア兵が12歳だったミラーナをグロズヌイの通りでレイプした。妊娠したが7ヶ月目に流産。ハディザトに保護されたとき、ミラーナは13歳だった。

幼い子どもを抱いているミラーナ。耳にはピアス。黒い眉、赤い唇。

祈りを聞きながら、目のまわりは涙でぬれている。

祈るミラーナ。

「ああ、アラーよ。慈悲ぶかい主よ……わが祈りを聞き届けてください。私たちを悪魔から遠ざけてください。私たちを不名誉からお守りください。ハディザトを不名誉からお守りください。すべての孤児たちをお守りください。祝福を与え、不名誉からお守りください…」

「キキ、あなたも祈ってる? 私のために歌ってちょうだい」小さな女の子の頭を撫でながら話しかける。

***

うっすらとオレンジ色に染まった空と雲、太陽。鶏の声。

眠る少年。

「アダム、起きなさい」とやさしく起こす女性の声。なかなか起きない。

アスラン、起きなさい」

「アダム…」

目をこすって少しずつ起きるアスラン

「アダム…、起きて」

アダムは寝返りを打つがなかなか起きない。

アスランは起きたが、また顔を布団に埋める。

やがて起きるが、険しい顔をしている。

アダムはやっと目をさまし、笑う。

金色に染まる空。空気を切り裂くジェット機の音。ロシア軍の戦闘機か。

空を見つめ、何かを思うアスラン

また、空気を切り裂く音。ミサイルか?

じっと空を見続けるアスラン

やがて爆発音が聞こえる。それが雷鳴のように何度も続く。ダダダ、ダダダッという発射音が断続的に響いてくる。

じっと見つめるアスラン

山や谷の美しい景色。しかし、その向こうのチェチェンには、攻撃が続いているのだろう。

草原で草をはむ羊たち。群れの間を羊飼いが歩く。


テロップ】

チェチェン紛争が引き起こした戦闘やテロにより、多くの人が犠牲になり、今もそれは続いている。

山の下、遠くを列車が進んでいく。とても長い車列。ロシア軍の軍需物資なのか……


フィンランド 2004年)

祐輔18祐輔18 2013/12/15 10:11 寂しいね…

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