イングーシ大統領は重傷、しかし病状は安定(6/24 Moscow Times アレクサンドラ・オズノーワ)

 イングーシ共和国のユヌースベク・エフクロフ大統領は、今日現在、モスクワの病院で闘病を続けており、現地では当局が自動車を爆破した犯人を探している。

 事件当時、エフクロフらは、4台の自動車で車列を作って、イングーシの街ナズランを走行していた。そこにモスクワナンバーのトヨタのセダンが突入し、車列のそばで爆発した。このため、エフクロフと、同乗していたその兄弟は重傷を負い、ボディガードと運転手は死亡した。

 捜査本部は25日、犯人の遺留品からのDNA鑑定を行っていることを明らかにしたが、結果を得るにはまだ時間がかかるとの見通しを示した。
 コメルサント紙は、匿名の専門家の証言として、「遺留品から犯人の性別や年齢を特定する鑑定はうまくいっていない。しかし現場で見つかった指(死体の一部)は、女性か、あるいは子どものものだった」という談話を掲載した。

 インターファックス通信は、同じく匿名の行政当局者の話として、2月にナズランで行われた、連邦軍による掃討作戦で兄弟を失ったある女性が、犯人として浮上していると伝えた。しかし捜査本部は、その女性が現在も生きており、事件との関係について捜査側の事情聴取を受けているとした。(こうした情報の錯綜について)捜査本部は、「メディアによる犯人特定の先走りは捜査の妨害になる」と指摘。

 女性の自爆攻撃は、第二次チェチェンの際、イスラム急進派の戦術としてとられるようになった。メディアでは「黒い未亡人たち」と呼ばれることもあり、大きな所ではモスクワ劇場占拠事件や、ベスラン学校占拠人質事件などでも発生している。今のところ、どの組織も犯行声明は出していない。

 すでに10人の容疑者が事件に関係して拘束されているという報道もあるが、捜査当局は否定している。

 チェチェンのカディロフ大統領(親ロシア派)は、ロシアのメドヴェージェフ大統領から、事件の後で「イングーシの反乱に対処せよ」との指示を受け取っていることを明らかにした。これによると、「大統領は、こちらの活動を活発化させろと言っている・・・イングーシも含めてだ。俺が直接指揮したっていい。近いうちにいい結果が出せるだろう」と、ロイターの記者に答えた。

http://www.moscowtimes.ru/article/1010/42/379007.htm