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チェチェン総合情報の本サイトは http://chechennews.org/ です。

2009-07-20

No.300 殺されたのは私たちだ

* 殺されたのは私たちだ

* ナターリヤ殺害についての7月16日のメモリアルの声明の要点

*「エステミロワを殺したのは、カディロフかロシア特務機関だ」アンドレイ・バビツキーほかのコメント

* アムネスティ声明:人権活動家が暗殺される

* HRW声明:チェチェン人権活動家、殺害される ──ロシア当局は、ナタリア・エステミロバ氏の殺害の責任を追求すべき

* イベント情報

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■殺されたのは私たちだ         (大富亮/チェチェンニュース)


 こうなったのは、8年前のちょうどいまごろ、人道援助物資を運んでいたチェチェンのゲヒで、ロシア軍に撃たれ、数ヶ月の苦しみのあとで死んだ、ヴィクトル・ポプコフの死が皮切りだったような気がする。

 やがて政治家が殺された。アスランマスハードフチェチェン大統領だった。一度は軍人としてグローズヌイをロシア軍から奪回し、ロシアとの和平合意と平和条約をとりまとめた。

 次に、ジャーナリストが殺された。アンナ・ポリトコフスカヤは、第二次チェチェン戦争の最初から、チェチェンでの悲惨な虐殺を世界に伝えてきた人だった。

 その次に、スパイが殺された。アレクサンドル・リトビネンコは、99年にモスクワで相次いで起こった集合住宅の爆破事件が、ロシア政府自作自演だと暴露した。そしてロシア製の放射性物質の入ったお茶を飲まされた。

 その次に、弁護士が殺された。アンナの代理人でもあり、ロシア軍のブダーノフ大佐に強姦絞殺されたチェチェンの少女エリザの遺族の代理人も務めていた。アンナの後輩にあたる若いバブーロワ記者と一緒に、モスクワ市の中心部で銃殺された。



 ナターリヤ・エステミローワは、チェチェン人の人権活動家だった。チェチェンで猛威をふるうラムザン・カディロフ(親ロシア傀儡政権大統領)の犯罪を力の限り告発し、アムネスティはじめ、国際的な人権組織の情報源になっていた。

 その彼女に、ラムザンはこう言った。

 「そうだ、俺の腕は血で染まっている。恥ずかしいなんて思ったことはないぞ。悪い奴は殺してきたし、これからだってそうだ。俺たちは共和国の敵と闘っているんだからな」

 その言葉どおり、7月15日に彼女も落命した。

 プーチン・メドヴェージェフ政権と、カディロフ政権は一体のものだ。そこでは言葉を口にすれば殺され、座視すればもっと多くの人が消えていく。

 今度消えてしまった人は、私たちと同じような人だった。

 新聞やニュースサイトをよく読み、理不尽な出来事を知って怒り、頼まれればすすんで署名やカンパをし、心を動かす本に出会えば人に勧める。集会に参加したり、自分にもできそうな活動を見つけると、おずおずとボランティアを買って出る、そういう人の延長線上にいるのが、ナターリヤという人だったのだろう。

 私たちのほとんどは、訃報で彼女を始めて知った。悲しもうにも、思い出がない。けれども、やはり、忘れていい人ではない。この人はいなくなっても、この人を殺したラムザン・カディロフは今も生きて、人々を苦しめつづけている。

 ナターリャを失った「メモリアル」は、チェチェンでの活動を無期停止し、チェチェン人たちは不安を深めている。その一方で、オレグ・オルロフ代表は、ラムザン・カディロフを、モスクワ市内務部に告訴するという。

 モスクワチェチェンで、想像を絶する恐怖に耐えて踏みとどまる人がいる。私たちにできるのは、それを知ることだけなのだろうか。ただ恐れていてはいけないことだけは、確かだ。

 

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■ナターリヤ殺害についての7月16日のメモリアルの声明の要点

 7月16日のメモリアルの声明の要点。

  • 真実を述べ、政府を批判するものは、暗殺される。
  • ナターリヤ・エステミローワの死は、そのような政策の結果である。
  • コーカサスで、10年にわたってメモリアルの活動を率いてきたナターリヤ・エステミローワを誰が殺したか、それを知らない人権活動家はいない。彼女の活動は、チェチェンで起こっている真実を伝えることであり、殺人者の目的は、その情報が外部に流れることを阻止するためだった。
  • ナターリヤは、さまざまなレベルの当局者によって、常に脅迫されていた。しかし、彼女は自分の母国であるチェチェンで葬られるとは、決して考えようとしなかった。
  • ナターリヤの最近の仕事は、チェチェン(親ロシア派)当局の怒りを買ったある村落で起こった、誘拐、非合法処刑、公開処刑の報告だった。
  • 事件前、チェチェン政府人権オンブズマンのナルディ・ヌハジエフ氏は、メモリアルのスタッフを呼び、「今後はメモリアルを非難せざるを得ない」と通告していた。
  • メモリアルのオレグ・オルロフ代表は、チェチェンラムザン・カディロフが、エステミローワ殺害の背後にいると名指しした。彼によると:
  • ラムザンはこれまでもずっとナターリヤを敵呼ばわりし、侮辱し、脅迫していた。彼自身が命令したのか、あるいは周囲の人間がラムザンを喜ばせるためにしたかはわからないが。メドヴェージェフ大統領殺人者を許すだろう」という。
  • ナターリヤは過去に、公共の場所で女性たちが強制的にスカーフを被らされている件について批判的に発言した際、カディロフに次のように脅迫されていた:
  • 「そうだ、俺の腕は血で染まっている。恥ずかしいなんて思ったことはないぞ。悪い奴は殺してきたし、これからだってそうだ。俺たちは共和国の敵と闘っているんだからな」
  • その任務とは、ナターリヤが、チェチェンでの戦争犯罪を暴き、また、女性と子どもを含む平和な市民に対して行われている弾圧を明るみに出してきたことだった。彼女は無数の誘拐と、超法規的処刑の事実を公表してきた。以下はこの声明から:
  • サンクトの声明は、この政策の変更を要求するとともに、ナターリヤ・エステミローワ殺害事件について、徹底的な捜査と、犯罪者の処罰を要求した。

http://www.eng.kavkaz-uzel.ru/articles/10659


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■「エステミロワを殺したのは、カディロフかロシア特務機関だ」

アンドレイ・バビツキーほかのコメント

 グローズヌイで誘拐をできるのはそうたくさんいない、カディロフの許可なしにそんなことはできない、となるとカディロフの手の者か ロシアの特務機関かどちらかの仕業でしかありえない。チェチェンロシアの当局をはっきりわけてみることはなく、チェチェンロシアの欠かすことのできない一部をなしており、この二つは一国のなかで行動している。今まで、当局は人権活動家には手を出さないできた。

 今回の殺害事件は状況を根本的に変えてしまう。チェチェンで行われている犯罪行為についての最後の情報源だった、人権活動家が殺されたのだ。国際社会はこのことに目を向けるべき。おそろしい犯罪について伝えるものがいなくなる。 チェチェンで人がさらわれず、拷問にかけられず、殺されないよう訴えたたかうものがいなくなる。超えてはならない一線を越えてしまう事件が起きてしまった。

続きを読む: http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090717/1247789519


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アムネスティ声明:人権活動家が暗殺される

 「ナタリア・エステミロワは、いかなるときも他者の人権を守ろうとした、最も勇気ある、素晴らしい女性だった。エステミロワは私たちにとってかけがえのない人であり、友人だった」と、アイリーン・カーンは語った。

 チェチェンのグロズヌイで活動するロシア人権NGO「メモリアル」の中心的な活動家の一人だったナタリア・エステミロワは、現地時間の15日午前8時半に誘拐された。彼女は白い車(VAZ-2107)の中に引きずり込まれ、車はどこかに走り去った。目撃者によると、ナタリア・エステミロワは誘拐されたときに大声で叫ぼうとしていたという。

 ナタリア・エステミロワの殺害は、ロシアで活動する人権擁護活動家が危険にさらされている状況にさらなる注目を集めた。今回の事件は、今年初めに人権派弁護士のスタニスラフ・マルケロフとジャーナリストアナスタシア・バブローワが暗殺されたことに続くものである。両者はいずれも2006年に殺されたジャーナリストアンナ・ポリトコフスカヤの親しい友人だった。

続きを読む:

http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=684


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■HRW声明:チェチェン人権活動家、殺害される

──ロシア当局は、ナタリア・エステミロバ氏の殺害の責任を追求すべき

 チェチェンの著名な人権活動家であるナタリア・エステミロバ氏が、7月15日にイングーシで射殺され発見された、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。チェチェンで続く、深刻な人権侵害を明らかにしてきた人権活動家の殺害は、2009年に入りエステミロバ氏が2人目となる。ヒューマン・ライツ・ウォッチはロシア当局に対し、独立した、透明性のある捜査を包括的に行うよう求めた。

 エステミロバ氏の殺害は、特にチェチェンで起きている、人権侵害の責任を追求する弁護士に対しての、相次ぐ攻撃や殺害の中で最も最近の事件である。今年の1月、カディロフ大統領から拷問を受けたと主張していたチェチェン人のウマール・イスライロフが、亡命先のウィーンにて、白昼公然と射殺された。この事件から1週間も経たないうちに、著名な人権弁護士であり、チェチェンでの人権侵害の被害者の弁護をしていたスタニスラフ・マルケロフが、モスクワでの記者会見を終えた直後に射殺された。一緒にいたジャーナリストアナスタシア・バブロワも殺害された。これらの事件で逮捕された者はまだいない。

続きを読む: http://www.hrw.org/ja/news/2009/07/15-0


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■イベント情報

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7/25 文京:ブルース・ギャグノン・スピーキングツアー

      「夜空を眺め、宇宙と地上の平和を考える夏」

元米空軍パイロットにして、核と宇宙戦争に徹底して反対する活動家

ギャグノンさんとともに、宇宙の軍事利用と北東アジアの平和の課題を

考えよう。カンパもぜひお願いします。

郵便振替00120-8-567940 「スピーキングツアー実行委員会

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090622/1245685605


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7/25 神保町:死刑異議あり! キャンペーン1周年記念イベント

昨年10月、福岡拘置所久間三千年さんの死刑が執行された。

足利事件同様、公判では一貫して無実を主張し、物的証拠もなかった。

人が人を裁き、冤罪の可能性をなくせない以上、死刑を廃止しなくては。

http://www.abolish-dp.jca.apc.org/content/event09061597


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8/1 文京:新たな出発(たびだち)へ!

ピースネットニュースの21年間を振り返り、青山正さんを送り出す集い

21年間、市民活動の情報・交流の場となってきた

  月刊『ピースネットニュース』が休刊し、

発行人の青山正さんは8月から長野農業の仕事につく。

これからの新しいネットワークの出発点とするために。

http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090709/1247097518


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10/3 明治公園:NO NUKES FESTA 2009 -放射能を出さないエネルギーへ-

エネルギー政策の転換に向けて、全国から集まろう!

http://www.nonukesfesta2009.com/


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■映画・写真展・連続講座

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『沈黙を破る』

考えるのをやめたとき、僕は怪物になったーー

2002年、イスラエル軍ヨルダン川西岸に侵攻。

その頃、「祖国への裏切り」と非難されながらも、

みずからの加害行為を告白する、若いイスラエル兵士たちがいた。

土井敏邦氏が13年間にわたって撮りつづけたシリーズ第四作。

http://www.cine.co.jp/chinmoku/


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MediR講座

『制作者との対話〜TVドキュメンタリーを通して社会を考える』

5/10-8/9 高田馬場

優れたドキュメンター番組を見、

制作者との討論を通してメディアリテラシーの養成をめざす。

http://medir.jp/2009first_08


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チェチェンへ アレクサンドラの旅』

孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン

http://www.chechen.jp/


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 『ビリン・闘いの村』

パレスチナ暫定自治区ヨルダン川西岸のビリン村。

若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった。

http://www.hamsafilms.com/bilin/


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*1:科学情報センター「メモリアル」、ロシア連合民主党「ヤブロコ」サンクト支部、「シビリアン・コントロール」、「平和と非暴力のための家」、環境平和団体「ベローナ」

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