はてな年間100冊読書クラブ 二期目 3冊目〜6冊目

ロック母

ロック母

一番最初の「ゆうべの神様」がなんかもう。激しい喧嘩ばかりを続ける両親、噂ばかりを追い掛ける近所の人々、そんな状況でもどこへも行けない思春期とかなんかもうね。この感覚は覚えがありすぎて痛いぐらいだ。
自分の両親も喧嘩しない日の方が珍しいぐらいに喧嘩ばかりしている夫婦で、怒鳴り合いは日常茶飯事、生身の体への暴力とかはないものの、物が飛んできたり家具が壊れたりと、暴力的なシーンを見るのは当たり前の思春期だった。どこかに逃げ出したくなっても行くところなんてどこにもない10代の頃、家にいる時間のほとんどを自室に閉じこもって過ごしていた気がする。
今は年とって両親もだいぶ落ち着いてそれなりに仲良くやっていますけれどもね。でも何か決定的なことをしてしまわなくってよかったと今になってそう思う。この話の主人公は家に火を放って逃げてしまうのだけれど。
「父のボール」は、全国のお父さんがたにぜひとも読んで頂きたいお話だわ。特に子供のことで妻ともめることが多いなんて方は、これを読んで一度自分を省みた方がいいですよ。
表題作「ロック母」。身ごもっちゃって久しぶりに実家に戻ったら、母が自分が置いていったロックのCD(ニルヴァーナ)を大音量で聴いていたという話。このお母さんは更年期障害なんだと思うのよ。ちなみにうちの母は、更年期障害のピークを越えた頃から、ビュルデサボンの常連になって「SOUP」とか読むようになりました。なんかちょっと通じるもんない?ないか…??
全体的に、普通の範囲内なんだけどちょっと困った人というか、問題行動の多い人が多く出てくる。

乳と卵

乳と卵

川上未映子さん、前回読んだ「わたくし率イン歯ー、または世界」は読むのにけっこう難儀してしまった記憶があるのですが、これはそっちよりもだいぶ読みやすかった気がする。
巻子の豊胸手術への思い入れとかが妙におかしくなってみたり、特に笑かそうっていう文章ではないと思うんだけれども、ところどころの細かい描写でおもしろい気持ちになってニヤニヤしてしまった。なんか体温とか体臭とかが漂ってきそうな生々しさがあった。
乳と卵というタイトルはやはり読了後になるほど!だった。わたくし率イン歯ーのときもそう思ったんだった。タイトルつけるのが上手な人だなー。

ひな菊とペパーミント

ひな菊とペパーミント

軽い感じですぐ読めた。ポップで可愛らしい少女マンガ的な一冊。離婚したけど未だに親交のある両親、いつか復縁するんじゃないかと期待している中学生の娘。そんな矢先、一緒に暮らしている父が再婚すると言い出した!あげくその再婚相手の息子は、同じ中学で有名な美少年だった!っていう。少女漫画丸出しじゃないか!少女漫画は好きなので、楽しく読みましたけれども。特に残るものはないけれども、微笑ましい気持ちで本を閉じることができました。

縫製人間ヌイグルマー (ダ・ヴィンチ ブックス)

縫製人間ヌイグルマー (ダ・ヴィンチ ブックス)

オーケンの妄想パワーすげええええ!これぞオーケンワールド!てかんじでした。宇宙からきた綿状生命体・中野サンプラザに巣くう悪の組織・機械の体の独裁者・くまのぬいぐるみとあみぐるみが死闘を繰り広げたりとか、片腕のないロリータにサーカス団出身の大富豪の小人、極めつけは赤ちゃん人間!赤ちゃん人間出しちゃったかー。けっこうグロいのになんかポップなんだよな。オーケンの妄想世界に紛れ込んだかのような気持ちになりましたよ。
まるきりB級映画なんだけれども、いい話風にまとまっているところがまた。しかし大槻さん、これ書いてるときにアドレナリン出てたでしょー。私も読みながらアドレナリン出てたもの。映画化すればいいと思う。特撮希望かな?でも個人的にはアニメがいいです。
オーケンワールドが楽しすぎたので、図書館にこいつら返すついでにロッキンホースバレリーナ借りてきちゃったよ。