新幹線のなかに閉じ込められた

今日は静岡市の大雨のために新幹線に長時間閉じ込められた。大雨にあった人は大変だったことは想像できるが、僕には思わぬ休息。たとえ新幹線のなかであっても。
ところで、朝9時ぐらいの新幹線の車内放送で「午前中に運転を再開する目処は立っておりません。旅行の方は取りやめられることをお勧めします」というような内容が流れていたのには驚いた。仕事目的の移動の方は取りやめをお勧めされなかったのだが、そっちもお勧めすればおもしろいのに。「本日の商談は取りやめられることをお勧めします」とか(笑)。

目的の曖昧さ

クライアントの要望を聞いていると、目的が曖昧であるため、自身で列挙してみせるアイデアも何がしたいのか訳が分からなくなってしまっているケースが少なくない。
その場合、当然、目的の整理・明確化から取り組むことになる。だが、これを先方に納得させることが存外に難しい。なぜか。理由は簡単で、効果をあれもこれもと求めてしまうからだ。限られた経営資源の効率配分を説明し、納得させるまでの労力といったら並大抵のものではない…。

いま聴いている音楽 Dulce Pontes

ドゥルス・ポンテス / プリメイロ・カント
ポルトガルの新世代ファドの歌姫による1999年のアルバム。これ以前のドゥルスの作品はたいして好きではない。世界的に大ヒットした「ラグリマス」ですら、ただのウェルメイドなポップス以上のものではないと思う。
だが、このアルバムはすばらしい。ファドから距離を置き、ポルトガルの伝統音楽への傾斜を強めており、メロディも新鮮だ。こんな変化を遂げるとは想像すらできなかった。このアルバムを聴くや、彼女のファンになってしまった。
バックの演奏は控えめに留めており、メロディラインは彼女の声が前面に立って紡ぎだしている。そのメロディはトライバルな伝統を取り込むことによって、繊細で豊かだ。だが、決して奇をてらったメロディではない。むしろ非常にキャッチーで聴きやすい。だが、聴きやすいにも関わらず、聴いていてメロディの先が読みづらい。これはかなりのものだと思う。先が読める音楽は皆が知っている既存のフォーマットをなぞっているだけにすぎない。
自由闊達で変幻自在なボーカルもお見事。アルバムコンセプトである「火水風土」を見事に歌い上げ、スピリチュアルな想像力を飛翔させている。1曲目の「戦士の魂(火)」もすばらしいが、歌詞がなく叫んでいるだけの、声がまさに波そのものであるかような最後の「どこまでも波(水)」も圧巻だ。
4曲目のアルバムタイトルにもなっている「プリメイロ・カント」はジョゼ・アフォンソに捧げられている。ジョゼ・アフォンソはポルトガルの伝説的なミュージシャンであり、彼の音楽はポルトガルを無血革命へと導き、軍事政権を倒壊させた。残念ながら彼のCDはいまの日本では入手困難だと思うが、ポルトガルの人々にとっては精神的支柱となっているほど有名。ドゥルスはその精神を引き継ごうとしており、頼もしい。
ドゥルスは2000年に来日し、文化村でコンサートもおこなっている。日本語で「春よ、こい」を歌っていたことが印象的だった。