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餞驟窟誌

2016-01-06

【今日は何の日】平成28年01月06日(水)旧暦11月27日(先勝)中潮  小寒 芹栄う(67候) 色の日 消防出初め式

高崎だるま市(6〜7)

二十四節気・雑節等
小寒

二十四節気の一つ 旧暦十二月節気

芹栄う 雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる 雪の下で麦が芽を出す
七十二候の一つ(67候)。

顕現日(御公現・主顕節)

キリスト教の祝日。 東方の3博士の来訪により、キリストが神の子として公に現れた事を記念する日。(Epiphany)

消防出初
1659年1月4日に旗本率いる定火消が上野東照宮前で一年の働きを誓ったのが始まり。消防の出初め式がこの日に慣例になったのは1953年昭和28年)から。

六日年越し
正月七日を「七日正月」といい、その前日を年越しとして祝う。

色の日
カラーコーディネーターなど色彩に関する職業の人たちの記念日で「1」と「6」が語呂合わせされて制定。

佐久鯉誕生の日

1746(延享3)年、信州佐久の篠澤佐吾衛門包道が伊勢神宮の神主に鯉料理を献上した日。この記録が「佐久鯉」の最古の記録とされている。包道の子孫である篠澤明剛氏が制定。

ケーキの日
1879年(明治12年)に上野の風月堂が日本初のケーキの宣伝をしたことによる。

ホリー・スリー・キングス・デー

幼いイエスの元に贈り物を持った3人の王が訪れたことを祝う日。この日がクリスマスの幕切れであり、ツリーのオーナメントなども外される。

[著名人の誕生日・命日]
良寛忌

江戸時代曹洞宗僧で、歌人であり、能書家である良寛の1831(天保2)年の命日。産まれは現在の新潟県三島郡出雲崎町

斉明天皇中大兄皇子ら、百済救済に出発(661)
式亭三馬、没。47歳(1822)
▲良寛、没。74歳(1831)
コナン・ドイルが生み出した探偵シャーロック・ホームズ登場。 「緋色の研究」(1887)
▲日本初の水上競技大会開催(1920)
▲米32代大統領F.ルーズベルト「4つの自由(言論表現の自由信教の自由、 欠乏からの自由、恐怖からの自由)」を演説(1941)
イギリス中華人民共和国を承認(1950)
ラジオ東京の連続放送劇「赤胴鈴の助」始まる。出演は横田毅一郎、 吉永小百合ほか(1957)
アメリカ軍がベトナム戦でメコンデルタに侵攻(1967)
高見山、外国人力士が初の幕内力士に(1968)

誕生:ジャンヌ・ダルク(革命家1412) 仮名垣魯文(作家1829) 
   シャーロック・ホームズ(1854) 杉村春子(女優1909)
   八千草薫(女優1931) 松原智恵子(女優1945) 中畑清(野球コーチ1954)
   CHAGE(歌手1958) 大場久美子(女優1960) 
   木村優子(キャスター1961) REINA[MAX](歌手1978)
   、
誕生花:すみれ(白) (Violet)   花言葉:無邪気な愛


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==============   2016.01.06(水) (本日の論説) ===============
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水説 南の島への道=中村秀明

毎日新聞 2016年1月6日 東京朝刊


 <sui−setsu>

 ある統計をめぐり、さまざまな反応があった。

 昨年暮れに発表された2014年の国民1人当たりGDP(国内総生産)の順位である。日本は27位だった。アジアではシンガポールブルネイ、香港が上をいく。先進国ではイタリアスペインが下にいるくらいだ。

 さっそく政権批判につなげた人がいた。「民主党政権下と比べて2割も減り、アベノミクスはやはり最低の経済政策だった」と。

 擁護論もあった。「上位のルクセンブルクノルウェースイスなど人口の少ない国と比べても意味はない」「ドル換算だから円安になって見かけの数字が小さくなっただけ」などと解説した。

 日本経済新聞は元旦の社説に取り上げた。「がくぜんとする」と驚き「高度成長期成功体験の記憶にしばられて、グローバル化とIT化という時代の流れに乗り切れない」と分析した。そして「新たな追いつき追い越せの時代がやってきている」と奮起を促した。

 こんな話を思い出す。

 世界を舞台にするビジネスマンが仕事で南の島に行った。ながめのいい静かな浜辺のヤシの木陰で、いつも昼寝する男がいた。男に尋ねた。

 「いつもそこで、昼寝ばかりしているが、働かなくていいのか?」

 男は逆に問いかけた。

 「だんなは、バリバリ働いて、たくさんお金を稼いでいるようだが、それでどうするつもりですか?」

 「稼いだ金は株やファンドで、さらに大きく増やすのさ」

 「ほぉ、それから?」

 「豪華な家を持ち、海の見える暖かい場所に別荘を建て、ヨットを買うのさ」

 「なるほど、それで?」

 「長い休みをとって別荘でぼんやりとすごし、ヤシの下で昼寝でもするかな」

 「なんだ、おれが毎日やっていることじゃないか」

 こんなに働いて27位の日本。いや15歳以上65歳未満の生産年齢人口(働ける人)の割合が、世界の下位というハンディを背負った数字だ。「生産性を上げよう」「もっと稼ぐ力を鍛えねば」と尻をたたかないでほしい。もう十分に働いているだろう。

 働き方は身につけた。これからは生き方と考え方をもっと多様で、柔軟で、自由でいられるようにしたい。

 そうすれば仕事と生活のバランスもとれ、女性も働きやすくなり、おのずと生産性も上がる。南の島に続く道も、たくさん稼ぐだけではなく、いく筋もあることが見えてくるだろう。(論説委員


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社説 国会開会 「安倍政治」の総点検を

毎日新聞 2016年1月5日 02時40分(最終更新 1月5日 02時40分)


 第190通常国会が開会した。論戦の推移は夏の参院選の対決構図に影響する。

 安全保障関連法が成立した国会が昨年9月に閉幕してから約3カ月ぶりの開会だけに、議論すべき課題が山積している。第2次安倍内閣の発足から3年を経た「安倍政治」を総点検する場として位置づけたい。

 通常国会が1月に召集されるようになった1992年以降で最も早い開会だ。ただ、年明け国会というイメージとは裏腹に、実際は遅きに失した論戦のスタートである。

 昨年10月の第3次改造内閣発足を受け、野党は憲法53条の規定に沿い、衆参各院4分の1以上の議員署名を得て臨時国会の召集を要求した。だが、安倍内閣は結局、開会に応じなかった。この間に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)合意など国民生活に関わる動きがあり、高木毅復興相の政治資金問題のような疑惑も発覚した。開会拒否は国会軽視のあしき前例を残した。

 それだけに、内外の課題への政権の実績が改めて吟味されるべきだ。

 安倍晋三首相は年頭の記者会見で経済重視を強調し、「もはやデフレではない」と胸を張った。ところが「言うのは早すぎでは」と問われると、今度は「デフレ脱却まで来ていないのが事実」と認めた。肝心な部分の認識があやふやでは困る。

 首相はまた「国内総生産(GDP)600兆円」など「新三本の矢」について目標となる「的」だと説明した。ならば、強い経済などを実現する「矢」は何かを語るべきだ。

 消費税軽減税率導入に伴う1兆円の財源対策や、政府が今国会で承認を目指すTPPの合意内容も一層の説明が求められる。東日本大震災の発生から5年となるのを控え、なお18万人以上が避難生活を強いられている。復興の進め方も集中的に議論すべきだ。

 野党の責任は大きい。民主党は維新の党と衆院で統一会派を結成し、両党には早期の合流論もある。参院選で「1強」自民に向かうため、野党側は安保関連法廃止を掲げ、一部選挙区で候補の調整を図っている。国会での共闘は、その試金石となる。

 とりわけ民主党は単純な政権批判ではなく自ら議論の土俵を作り、参院選の争点を形成する努力がいる。格差是正などで、実現可能なビジョンを示すべきだ。

 参院選では憲法改正の発議を可能とする多数が参院で形成されるかが大きな焦点となる。首相は改憲について「これまで同様、参院選でもしっかり訴える」と語った。国会では党首討論などの機会を積極的に活用し、憲法観など骨太な議論を展開してもらいたい。


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社説 新元素の発見 日本の科学力を示した

毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊


 理化学研究所の研究チームが、原子番号113番の新元素発見者と国際学会から認定された。

 新元素の発見はアジア初の快挙だ。発見者には命名権も与えられるため、教科書でおなじみの元素周期表に日本発の新元素名が掲載される。日本の科学技術力の高さを示すものとして、喜びたい。

 原子番号92番のウランより重い元素は自然界には存在せず、人工合成することにより生み出されてきた。これまで、新元素の命名権獲得は欧米勢に限られており、113番元素をめぐっても、理研と米露の共同研究チームが獲得を争っていた。

 理研の実験は2003年9月から始まった。加速器で亜鉛(原子番号30番)の原子核を重金属ビスマス原子番号83番)の原子核に衝突させて融合する実験を繰り返し、04年9月から12年8月までに計3個の113番元素の合成に成功した。

 米露の研究チームは理研より7カ月早く113番元素の発見を報告していた。にもかかわらず、国際学会が理研を発見者と認めたのは、理研の実験の質が高かったからだ。

 理研の研究チームは113番元素そのものを作り出し、それが既知の元素へと崩壊する過程を詳細に捉えていた。研究チームは、他の元素から113番元素だけをより分ける装置を事前に開発してもいた。

 一方、米露の研究チームは115番元素を人工合成し、その崩壊の過程で113番元素を確認したと主張したが、不十分だと判定された。

 113番元素そのものを作り出すという理研の研究チームの戦略と、検出装置の開発を含めた精密な観測技術が理研に朗報をもたらした。

 日本人研究者が新元素発見に迫ったことは過去にもあった。1908年、東北帝国大総長を務めた小川正孝博士が43番元素を発見したと発表したが、誤りだった。後に、実際に見つけたのは75番元素だったことが判明する。理研の仁科芳雄博士も40年に加速器で93番元素を作り出す実験をしたが、最終確認にはいたらなかった。新元素発見は日本の科学界の100年来の悲願だった。

 理研の実験期間は約9年、亜鉛の原子核の速度を光速の10%に高める加速器の電気代は約3億円に上る。

 新元素発見は私たちの暮らしに直接役立つものではない。こうした基礎研究にどれだけ投資すべきかは、議論が分かれるところだろう。だが、人類に新たな「知」をもたらすことは自然科学の大きな使命だ。基礎科学の充実は、人材育成や新たな技術開発にもつながる。

 理研の研究チームは今後も新元素探索に挑むという。新たな快挙に期待したい。


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発信箱 自転車の安全対策=北村和巳

毎日新聞 2016年1月6日 東京朝刊


 総務省に行政評価局という組織がある。各役所がきちんと政策を実行しているか評価・監視するのが仕事。ここが国の自転車安全対策について調査し、昨年4月に警察庁国土交通省などに改善を勧告した。昨年暮れには、改善措置が取られたかどうかを発表した。

 行政評価局は調査の結果、自治体間で自転車対策に温度差があることや交通ルールが十分守られていない現状、交通事故死者に占める自転車乗用中の割合が諸外国より高い状況などを指摘した。

 その上で、各省庁に求めた改善点は4点。(1)市区町村に自転車走行路の整備計画を促すための情報提供(2)警察による中高生らへの街頭指導状況を学校での安全教育に活用(3)市区町村別の自転車事故状況を積極的に提供(4)自転車事故の死傷者減少に向けた数値目標設定の検討−−。報告書では、毎日新聞が独自集計して紙面化した市区別の自転車事故発生ランキングも紹介してもらった。

 改善状況を見ると、(1)〜(3)に関しては各省庁から自治体都道府県警に依頼文書が出されるなどしており、取り組みが進んでいるようだ。ただ、(4)については内閣府の専門家による会議で、国としての具体的な目標設定は見送られることになった。地域ごとで自転車の利用実態に差があり、国全体の目標を定めることは困難との判断らしい。

 そうだろうか。行政評価局も指摘しているが、共通の目標を掲げれば、それに向かって関係する人々がそれぞれの立場で対策を進められる。実際、独自に目標を定めて自転車事故減少に努力している自治体がいくつかある。これを全国に広げ、みんなで悲惨な事故を少しでもなくす方法を考えていきたいと思うのだけれど。(社会部)


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===============   2016.01.06(水) (近頃の世情)=================
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北朝鮮 政府声明「堂々とした水素爆弾保有国になった」
毎日新聞2016年1月6日 13時24分(最終更新 1月6日 17時18分)


 北朝鮮は政府声明で「堂々とした水素爆弾保有国になり、核抑止力を持つことになった」と発表。「責任ある核保有国として、敵対勢力が我々の自主権を侵害しない限り(他国より)先に核兵器を使用することはない」と発表した。

 朝鮮中央通信によると、金第1書記が昨年12月15日に初の水爆実験の実施を命令し、今月3日に「最終命令書」にサインしたという。

水素爆弾

 放射性核物質のウランプルトニウムの核分裂の連鎖反応でエネルギーを発生させる原子爆弾に対し、水素など軽い原子核を融合させる核融合反応によって、広島・長崎級の原爆の数百倍のエネルギーを発生させることができる。水素と陽子の数が同じ同位体の重水素や三重水素トリチウム)を高温・高圧で融合させるが、技術的に原爆より製造が難しい。1954年に米国が太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で水爆実験を行い、日本の漁船「第五福竜丸」の船員が被ばくし、被害を受けたことで知られる。

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北朝鮮「水爆実験」意図は…12月「巨大な爆音」予告も

毎日新聞2016年1月6日 13時22分(最終更新 1月6日 15時03分)

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北朝鮮で地震が観測されたことを伝えるスクリーンを見る人々=ソウルで2016年1月6日、AP

 【北京・西岡省二】北朝鮮は6日、朝鮮中央テレビを通じ「水爆実験に成功した」と発表した。このことに、周辺国には当惑の声が上がっている。5月の党大会に向けて、北朝鮮国際関係改善に向けて進み出したとみられていただけに、その意図がどこにあるのか、関係当局が情報収集を急いでいる。

 「なぜこのタイミングで水爆実験なのか。北朝鮮の意図が理解できない。1日の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による新年の辞で核に言及しなかったのに」。北京の外交関係者は4回目の核実験、初の水爆実験に当惑の表情をみせた。

 北朝鮮は5月に36年ぶりの朝鮮労働党大会を控える。党大会を前に、国内では経済を中心に大きな成果を上げるよう住民を鼓舞している状況だ。その前提となるのが、国際社会との協調といえる。金第1書記も1日の新年の辞で、核と経済の並進路線には言及せず、人民生活向上や南北関係改善を前面に押し出した。

 今回、北朝鮮核実験に踏み切った意図として、まず考えられるのは、米国の注意をひきつけることだ。最近、北朝鮮当局は米国に対話推進を要求してきたにもかかわらず、米国から十分な回答がなかった模様だ。

 加えて、過去3回の核実験で確認できていなかった核兵器の性能を、新たな実験によって検証する狙いもあったと考えられる。

 ただ、核実験を強行すれば、北朝鮮は国連安全保障理事会によるさらなる制裁は避けられない。また、最大の支援国・中国との関係が険悪化する見通しで、国際的孤立が深まるのは間違いない。この状況が十分に予想される中だけに、核実験強行の意図をどう推し量ればよいか、各国で分析が続けられる。

 北朝鮮は昨年9月、原子力研究院院長が「米国と敵対勢力が無分別な敵視政策を今後も続けるならば、いつでも核の雷声で応える万端の準備ができている」と述べたと伝え、4回目の核実験を示唆していた。北西部・寧辺(ニョンビョン)地区でウラン濃縮施設や5000キロワットの黒鉛減速炉を含むすべての核施設が正常に稼働しているとも強調していた。

 また、昨年12月には金第1書記が「わが国は自衛の核爆弾水素爆弾の巨大な爆音を響かせることができる強大な核保有国になった」と発言したと報じられており、核実験実施の準備ができているとの見方も出ていた。

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クローズアップ2016 参院選シミュレーション 改憲巡り攻防
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊

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参院本会議で発言する安倍晋三首相=国会内で2016年1月4日午後2時39分、徳野仁子撮影

 安倍晋三首相は、今夏の参院選憲法改正を争点とし、改憲に向けた前哨戦と位置づけて戦う構えだ。改憲発議に必要な3分の2以上の議席を獲得できるかが最大の焦点。参院自民党には、27年ぶりの単独過半数回復を目標に掲げる声もある。【高橋克哉、横田愛】

 ◆「発議」へ3分の2

一部野党を加え到達

 「参院選での訴えを通じて国民的な議論を深めていきたい」。安倍首相は4日の年頭記者会見でこう述べ、改めて参院選後の憲法改正に意欲を示した。

 憲法改正には、衆参両院それぞれで3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得る必要がある。衆院は既に自公で3分の2以上の議席を確保している。参院では現在、自公の会派は計134議席(議長を除く)で、参院定数(242議席)の3分の2超(162議席)には達していないが、参院選の結果次第では現実味を帯びる。

 自公両党だけで非改選議員を含め、3分の2超を占めるには、改選数121のうち86議席の獲得が必要となる。これは大勝した2013年の前回選挙(76議席を獲得)をさらに上回る必要があり、「現実的には厳しい数字」との見方が多い。

 そこで焦点となるのが、改憲に前向きなおおさか維新の会や日本のこころを大切にする党を含めた「改憲勢力」で3分の2超を占めるかどうかだ。自公にこの2党を加えた4党の非改選議席数は84議席。改憲勢力で「78議席」が改憲への目標ラインとなる。さらに自民会派入りした井上義行氏(非改選)や新党改革荒井広幸氏(改選)らも改憲派とみられており、ハードルは更に下がる。

 官邸は既に布石を打っている。改憲に慎重な公明党の協力を確かなものにするため、17年4月の消費増税と同時に導入する軽減税率制度を巡り、官邸主導で公明党に大きく譲歩した。首相周辺は「大きな貸しは、憲法改正でしっかり返してもらいたい」と語る。

 菅義偉官房長官は、橋下徹大阪市長を中心に結成したおおさか維新の会との連携を念頭に、橋下氏を評価する発言を繰り返している。橋下氏もツイッター軽減税率の与党合意を「完全に憲法改正プロセスは詰んだ」と絶賛するなど、改憲への協力姿勢を鮮明にしている。おおさか維新が躍進すれば、公明へのけん制になる可能性もある。

 ただ、改憲は「非常に大きな事柄で、今まで経験したことがほとんどない」(自民党谷垣禎一幹事長)ことであり、自民党内には「最初の改憲で失敗すれば二度と改憲に着手できなくなる」との懸念がある。さらに9条改正は「平和の党」を掲げる公明党が強く抵抗するとみられる。

 このため、政府は大規模災害を想定した「緊急事態条項」の追加に最初に着手する方針だ。衆院選が災害と重なった場合、国会に議員の「空白」が生じるなどの問題があるため、与野党を超えて合意を得られやすいという期待もある。谷垣氏は4日の記者会見で「野党第1党も『そういう点は今の憲法に欠けている点だ』と合意するプロセスが必要だ」と述べ、緊急事態条項から取り組む方針を示唆した。

 公明党幹部は「国民の理解を得るため、民主も入れた形でいかないと憲法改正は難しい。『自公維で3分の2超』を掲げて進めれば失敗する」と指摘した。


 ◆与党で過半数確保

反発避け控えめ目標

 安倍首相は4日の記者会見参院選の目標議席を問われ「自民党公明党連立政権は風雪に耐えた強固な連立政権だ。安定した政治を前に進めるため、自公で過半数を確保したい」と語った。

 自民党の非改選議席は65議席で、公明党の非改選議席11と合わせれば76議席。参院の過半数122議席に達するには、今度の参院選で両党合わせて46議席獲得すればよい計算だ。改選議席は自民が50、公明が9であることを考えると、かなり控えめな目標だ。

 ただ、首相が掲げた「自公で過半数確保」の目標は、実際の目標ではなく、反発を招くことを避けるための発言との受け止めが大半だ。

 自民党幹部は「最初から高い目標を掲げると調子に乗るなという声が出てくる」と述べ、妥当な目標表明との考えを示した。

 別の与党幹部も「大風呂敷を広げておごっていると見られれば、おきゅうを据えられる」と解説。さらに、第1次安倍内閣で戦った07年参院選で獲得議席37にとどまる歴史的な惨敗を喫したことを念頭に「首相には参院選トラウマがある」とも指摘した。

 ただ、経済政策に明るい自民党幹部は「中国経済は今後失速していく。日本の株価が7月までにどこまで下がるか分からないが、株価が下がれば選挙は厳しくなる」と指摘し、「与党で過半数は妥当な線。3分の2なんて絵空事だ」との見方を示した。

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 ◆自民が単独過半数

対公明で発言力強化

 参院自民党を中心に議席獲得目標を「自民党単独での過半数」に置くべきだとの意見がある。参院幹部は「首相は自公で過半数と言うしかないが、実際の目標は自民党単独過半数だ」と明言する。その理由を「単独過半数がないと軽減税率の議論や参院選挙制度改革のように公明党に押し込まれるから」と説明する。

 来年4月の消費増税とともに導入される軽減税率を巡っては、加工食品も対象に含めるよう求めた公明党の意向を自民党側がほぼ受け入れる形で妥結。参院選挙制度改革では、公明党都道府県を境としていた選挙区をまたぐ合区の受け入れを主張し、自民党が受け入れを強いられた経緯がある。こうした事情を受け、参院自民党内にたまった不満を解消するためにも、単独過半数を確保し、自民党の発言力を強めようという思惑だ。

 自民党の非改選の65議席に57議席を上乗せすれば過半数の122議席に達する。しかし、改選議席の50から自民党だけで7議席増やすのは容易ではなさそうだ。

 また、自民党内からは「単独過半数を掲げてしまうと、連立解消の可能性が指摘され公明党との関係がぎくしゃくする」(幹部)と懸念する声が上がっている。



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記者の目 日本の太陽系探査=西川拓(東京科学環境部)
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊
知への貢献、これからも

 近年、太陽系の天体の探査が花盛りだ。2014年に欧州宇宙機関(ESA)の探査機が彗星(すいせい)に着陸したのに続き、15年は米航空宇宙局(NASA)の探査機が史上初めて冥王星を接近観測し、世界中を驚かせた。日本も先月、探査機「あかつき」を金星周回軌道に送り込み、小惑星探査機「はやぶさ2」も順調に飛行を続ける。こうした探査はわれわれの住む太陽系の成り立ちへの理解を深め、人類の知を広げる意義がある。国家財政は借金大国の日本だが、「太陽系大航海」に挑戦し続けることは、真に世界から尊敬される道でもある。

常識覆す発見で新たな謎生じる

 下の写真は、15年7月にNASAの「ニューホライズンズ」が撮影した冥王星の表面だ。のっぺりした平らな部分は氷で、ごつごつした山岳地帯に迫っている。これが科学者の常識を覆した。

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米探査機が撮影した冥王星の表面。予想外に活動的な地質活動を示し、研究者を驚かせた=NASA提供


 冥王星といえば、長らく太陽系最果ての惑星(現在は準惑星に分類)だった。凍りついた「死の星」で、地質的な活動も既に停止していると考えられていた。ところが、この写真は冥王星に最近まで、もしかしたら今も地質的な活動が存在する可能性を示す。何らかの熱源が地下にあり、それが氷を解かして地表にあふれさせ、クレーターを消して平らな地表をつくったり、氷を流動させたりしていると考えられるという。「では、その熱源は何か?」という新しい謎を研究者に突きつけた。

 誰も行ったことのないところに行き、誰も見たことのないものを見ることで、常識を覆す発見があり、新たな謎が生まれる。これこそ探査の真骨頂だ。人類は大昔からこうして少しずつ足を延ばし、活動範囲を広げて、この世界や宇宙を理解してきた。

 私は大学院生時代、日本の火星探査機「のぞみ」に搭載された観測装置の開発にかかわった。日本初の惑星探査機として計画され、私は自ら作った装置で火星から水が失われた過程を探ろうと、先輩の実験を手伝った。だが、1998年に打ち上げたのぞみは、03年暮れに火星軌道投入を断念することになった。

 のぞみの軌道投入断念の記事は新聞記者になった自分が書くことになった。探査機を失ったかつての仲間を取材するのはつらく、何と言葉をかければいいか分からなかった。あかつきプロジェクトチームには、のぞみの失敗を経験しているメンバーも少なくない。それだけに、主エンジンのトラブルによる軌道投入失敗を乗り越え、先月、5年ぶりの再挑戦で軌道投入に成功したときには安堵(あんど)した。

限られる機会 学会が目標絞れ

 しかし、今後の日本の探査を思うと、喜んでばかりはいられない。まず、あかつき中村正人プロジェクトマネジャーが「(惑星周回軌道への投入の)ノウハウがなく、失敗してみないと気付かないこともあった」と語ったように、米露に比べれば、まだ日本は経験不足だ。

 昨年閣議決定した宇宙基本計画では、安全保障や産業振興重視を打ち出す一方、宇宙科学・探査について「人類の知的資産の創出に寄与する観点から(中略)今後も一定規模の資金を確保し、推進する」と記載された。科学観測衛星も含めて10年間に中型計画(300億円規模)を三つ、小型計画(100億〜150億円規模)を五つ実施することも盛り込んだ。具体的な計画が示されたことは、経験を積むという点では前進だ。

 しかし、計画の中身の決定過程には疑問が残る。中型第1号の候補として、火星の衛星から試料を持ち帰る計画が選ばれたが、これは現場が出した案ではなく政府の宇宙政策委員会文部科学省の意向を受けた内容だ。ある研究者は「決定過程が不透明すぎる」と不満を漏らした。人類の知を広げる学術研究にトップダウンはそぐわない。

 一方、研究者側も意識を改める必要がある。太陽系探査を志す研究者の興味は、鉱物や地質、大気、生命など多岐にわたり、探査したい天体もばらばらだ。小惑星から初めて試料を持ち帰ることに成功した「はやぶさ」の後継機はやぶさ2ですら、研究者の足並みがそろわず予算獲得に苦労することになった。厳しい国家財政で探査の機会が限られる以上、日本が当面の太陽系探査で何を目指すのか、という大目標を関係学会が一致して打ち出してはどうか。

 「太陽系探査が何の役に立つのか」と疑問を持つ人もおられようが、私は「知る」ことそのものが価値であり、人類を進歩させてきた原動力だと考える。研究者たちが大目標に沿って魅力的な計画を提案することによって、国民の理解を得られれば、政策委も認めざるを得ないだろう。国民をわくわくさせ、人類に新しい光景を見せてくれる日本発の探査を待っている。


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外為・株式 東証 大発会、582円安 NY急落、中国で取引強制停止
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊

 今年最初の取引となる大発会(だいはっかい)で東京株式市場は4日、日経平均株価の終値が昨年最後の取引日(12月30日)と比べて582円73銭安の1万8450円98銭と、約2カ月半ぶりの安値で取引を終えた。大発会での日経平均の下落は3年連続。この日はアジアや欧州、米国などの株式市場でも軒並み株価が下落し、2016年は世界同時株安の様相で幕を開けた。

 日経平均は昨年末の米株安を嫌気し、取引開始から売りが広がった。午前に発表された中国製造業の景況感を表す指数が市場予想に反して悪化し、中国の代表的な株価指数である上海総合指数が急落すると、投資家の間に中国経済の先行きを警戒する雰囲気が再燃した。日経平均も全面安の展開となり、下げ幅は一時、600円を超えた。東京外国為替市場も安全資産とされる円を買う動きが広がり、午後5時時点の円相場は昨年12月30日と比べ、1円44銭円高の1ドル=118円97銭まで上昇した。

 上海証券取引所深セン証券取引所ではこの日から、株価の急変を防止するため取引を強制的に中止する「サーキットブレーカー」制度が導入されたが、導入初日から制限幅を超えて下落し、制度を発動して取引を停止する事態となった。株安はアジア、欧州などその後市場を開いた各国にも飛び火した。4日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、昨年最後の取引日12月31日の終値から一時400ドル超下落し、1万7000ドルを割り込んだ。

 サウジアラビアイランの外交関係断絶が伝わったことで原油価格も先行き不透明感が強まっている。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは「国内の企業業績は堅調だが、日本株は今年も海外リスクに大きく影響されそうだ」と指摘する。【土屋渓、北京・井出晋平、ワシントン清水憲司】

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東証 続落、終値76円安 世界的株安の流れ引き継ぐ

毎日新聞2016年1月5日 15時41分(最終更新 1月5日 15時41分)


 5日の東京株式市場は中国景気の失速や中東情勢緊迫化の懸念による世界的な株安の流れを引き継ぎ、日経平均株価(225種)は続落した。

 終値は前日比76円98銭安の1万8374円00銭。東証株価指数(TOPIX)は4.96ポイント安の1504.71。出来高は約19億2300万株だった。(共同)


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自動運転車 政府がテストコース メーカーの開発支援
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊


 政府は2016年度中に、自動運転車を開発するメーカーや研究機関などが利用できる、複雑な交通環境を再現したテストコースを整備する方針を決めた。自動車や部品メーカーなどでつくる日本自動車研究所がある茨城県内に設ける案が有力で、経済産業省通常国会で議論が始まる16年度予算案に関連費用15億円を計上した。

 自動運転の実験は、運転手が同乗した保安基準を満たした自動車でなければ公道では行えず、制約も多い。自動車大手は自前のテストコースを持っているが、自動運転車の開発は電子部品メーカーや通信事業者、ITベンチャーなど業界の垣根を越えた競争になることが見込まれており、政府として整備する必要があると判断した。

 テストコースでは信号機を連続して設置し、自動運転車に搭載したセンサーや画像処理技術などで認識すべき信号を判断できるかなどを検証できるようにする。また、見通しの悪い交差点や前方が見えにくい上り坂なども再現し、歩行者の飛び出しなどの潜在的な危険性を先読みする技術の向上なども図る。自然現象による悪条件も再現する。「人間なら簡単に判断できることでも、今の自動運転技術では難しい場合もある」(経産省幹部)と言い、テストコースを活用して自動運転技術の安全性向上につなげる考えだ。【横山三加子】


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知りたいTPP 地方産品も関税撤廃 品質、ブランド力向上が必要
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊

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TPP 地方産品も関税撤廃

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)では、タオルなどの地方産品や陶磁器などの伝統工芸品を輸出する際にかかる関税も撤廃される。関税を撤廃しても安価な中国製品と価格で張り合えるわけではないが、政府は関税撤廃をきっかけに北米などへの輸出拡大を後押ししたい考え。品質の高さへの理解や、製品のブランド力を高める工夫が一層必要になりそうだ。

 国産タオルは中国製など安価な外国製品に押され、1998年に約6万トンだった国内の年間生産量が2014年に約2万トンまで減少し、輸出も低迷している。今治タオル(愛媛県今治市)など国内生産量の半分を占める四国地方では、四国タオル工業組合が吸水性の高さなどを訴え、国内だけでなく海外の見本市への出展などを強化してきた。TPPが発効すれば、カナダ(現行関税率17%)は関税が即時撤廃され、米国(同9・1%)は発効後5年目、豪州(同10%)は同4年目に撤廃される。同工業組合の近藤聖司代表理事は「輸出する時のハードルのひとつである関税がなくなるのはプラス」と語る。

 メガネフレームの関税も米国(同2・5%)が同5年目に撤廃されるほか、カナダ(同2・5%)では即時撤廃される。国産メガネフレームの輸出額は90年代の300億円超から13年は128億円まで縮小した。福井県鯖江市は国産のメガネフレームの9割以上を生産するが、職人が多数の工程を手仕事でする数万円の鯖江製メガネは1万円程度の中国製メガネに押され気味だ。生産は中小企業が多く「海外に輸出する際の事務手続きなどをしやすくする工夫が必要」(通商関係者)といった課題もある。このほか、陶磁器や南部鉄器といった伝統工芸品の分野でも関税撤廃が進む。【横山三加子】


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経済観測 原油価格の低迷と金融の不安定化 国際公共政策研究センター理事長・田中直毅
毎日新聞 2016年1月5日 東京朝刊

 2016年の世界経済の展望軸のひとつは間違いなく原油価格動向だ。中長期の原油価格想定において、わずか4年前までは次の三つが前提だった。

 (1)ピークオイル説からの供給量懸念 世界の石油生産のピーク年が近づいたという供給限界の打破には、探査でも代替エネルギーの開発でも、原油の高価格持続が不可欠とされた。変化はシェールオイル開発において画期的な新技術が登場したことだ。

 (2)中国などの新興国の高成長持続 エネルギー需要の高まりが経済発展の若い段階の国々で観察され、しかも世界経済の成長増分に占める彼らの比重が半分を超えた。しかし中国経済の大停滞への移行がこの経路を断った。

 (3)炭素税導入などの温暖化ガスの発生抑止措置の導入困難性 例えば米国における石炭消費抑制策は、中小企業の競争力喪失に直結するため、政治的に困難とされた。ところがパリでの気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での合意は省エネルギーの優先順位を飛躍的に高めた−−。

 複合要因によりわずか1年余で原油価格は半減以下になった。

 結果は甚大な影響をもたらす。エネルギー掘削企業のみならず、高価格原油を前提とした事業分野や産油国において、融資返済の困難化は不可避だ。貸し倒れ引当金の積み増しは銀行の自己資本を減少させる。貸し出し増によるリスク負担の拡大に二の足を踏むというメカニズムが働くことが考えられる。

 このため、融資から投資型資金への成長金融の形態変化が生ずるだろう。

 融資に比べて投資型資金は機動力はあるが逃げ足も速い。今後の金融情勢は金融資産価格の急変を特徴とすることになろう。


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牧太郎の大きな声では言えないが… 今年は「解体屋」の出番?
毎日新聞 2016年1月4日 東京夕刊


 明けましておめでとう−−と書き始めたが、この「愉快な運転手」に出会ったのは年末渋滞の時だ。

運転手「ナビ通りに行きますか?」

私「任せるよ」

 「ナビって便利ですね。運転手になって半年なんでナビが神様ですよ」

 「これまで何をしていたの?」

 「カイタイヤですよ。30年やってました」

 「解体屋? 何を壊すの?」

 「年寄りが入院するでしょう。そのまま、おだぶつ。遠くの家族が家を壊してくれって。要するに1人暮らしの後始末ですよ」

 「もうかるの?」

 「会社も、我々、社員の方ももうかる。家にあるもの全部、持って帰っていい。テレビ、冷蔵庫……たまに現金もあるし。面白い商売ですよ」

 「………」

 「最後は廃材運び。ちょっと前までは風呂屋に運んだもんですよ。銭湯には“マジックミラー”があって、材木を届けると女風呂を見せてくれるオヤジもいたし……面白かったなあ」と大笑い。明るい運転手に「罪の意識」なんてまるでない。

 「解体」とは「あっけらかん」とした行為なのだろう。

 昨今、政界のリーダーも、いとも簡単に「解体」を口にする。3年前(正確には2013年7月24日)赤坂エクセルホテル東急「赤坂ジパング」で、参院選に大勝した安倍晋三首相が親しい記者たちを前に(ちょっと酔っ払って)「野党なんてみんな解体だ!」と言ったとか、言わなかったとか。(オフレコという約束の会食だったので、真偽は確かめようもないが)この頃から「解体」がキーワードになった。

 15年、安倍さんは憲法違反?の安保関連法を強行採決して「自由と民主主義」を“解体”した、と僕は思う。そして、ダブル選挙まで予想される16年。政界の「解体」は引き続きキーワードだ。

 「われわれが中心になって政権を目指す」と民主党岡田克也代表は「解党→新党設立」を否定しているが、小選挙区制である。野党乱立では安倍政権に勝てそうもない。

 あっけらかんと「革命的解体→平和国民連合」を選択するのも必要な気もするのだが……。今年も、各方面から“お叱り”を受けそうな「本音のコラム」ですが、ご愛顧のほど、お願い申し上げます!(客員編集委員


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憂楽帳 思いを致す

毎日新聞2016年1月5日 大阪夕刊


 その銭湯に行ったのは5回目だったか。タイル画のニシキゴイを眺めながら湯船につかると、外から「ガッコンガッコン」と復旧工事のパワーショベルの音が響いてくる。宮城県気仙沼市の港近く。5年ほど前、津波は2階まで達し、湯船もボイラーも、がれきと泥に埋まった。

 再開への苦労は言い尽くせないほどだったろう。でも、温まった私に牛乳を勧めてくれたおかみさんは、「家族を亡くした人も多いのに、私は自宅を失っただけだから」と明るく語ってくれた。

 被災地では、こんな「私よりもっとつらい人がいる」との言葉を何度も聞いた。遺族ですらそうだ。父親を失った主婦は「子供を亡くされた方に比べれば」、小学生の息子が犠牲になった母親は「うちはまだ(子供が)1人残っている。お子さんをみんな流された親もいる」と。

 常にそんな心で居られるはずはないだろう。それでも、少なからぬ人が、自分より更につらい人にどこかで思いを致しながら、自分のつらさと相対していた。

 私たちはそんな彼らに、どれだけ思いを致せているか。この国が美しいかどうかの物差しの一つだろう。【藤田文亮】

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