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餞驟窟誌

2017-06-17


[あきやまやすし(1954〜)「船団の会」所属]


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=========仲夏 2017.06.14(水) 芒種 (近頃の世情)) ============
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記者の目 雅子さま 広がる共感=西田真季子(生活報道部)
毎日新聞 2017年6月14日 東京朝刊

ベトナムに出発される天皇皇后陛下羽田空港でお見送りする皇太子ご夫妻=東京羽田空港で2017年2月28日、猪飼健史撮影
生き方 重ねる女性たち
 天皇陛下の退位を実現する特例法が9日、成立した。陛下の退位後、次の皇后となる雅子さまについて、連載「考・皇室 社会を映す」で、雅子さまと同世代の女性たちがどう思っているかを聞いた。

 私が感じたのは「雅子さまが気になる」という女性が多いことだ。2003年から療養中という苦しい状況のなかで、なぜかくも女性たちを引きつけるのか。私自身も、皇室そのものへの関心以上に雅子さまが気になった。

 それは、女性の生き方、家族のあり方が多様化し、「正解」がないなかで、雅子さまに社会のなかでもがいている自分を重ね合わせるからだと思う。雅子さまには、公務だけでなく、生き方としても雅子さまなりの「正解」を生きているという自信にあふれた姿を見せてほしいと願う。

 皇太子さまと雅子さまが結婚されたのは1993年。男女雇用機会均等法が86年に施行され、雅子さまはその1年後に外務省に入省し、結婚まで仕事をしていた。皇太子ご夫妻の子ども愛子さま一人、誕生時は皇太子さま41歳、雅子さま37歳だった。70年代後半から徐々に変化してきた家族のあり方、女性の社会進出、晩産化、少子化の全てを一家は反映していた。

 なかでも自分で仕事を選び、主体的な生き方を願った雅子さまは、時代を忠実に映していた。「私自身も、自分でいい人生だったと振り返れる人生にできるよう努力したい」。93年1月、皇太子さまと並んで婚約記者会見に臨んだ雅子さまの言葉だ。プロポーズへの返答の一部というこの言葉を知って、私は強い共感を覚えた。転職など人生の時々で、私も常に自分の生き方にとって納得できる「選択」をしたいと思ってきたからだ。

 雅子さまのその後が会見での言葉通りなのかは定かではない。だが、雅子さまと同じように、女性の生き方にも正解はなかなか見つからなくなった。
家族も多様化、「正解」はなく
 専業主婦に加え、結婚しても仕事を続けるワーキングマザー、子どもを持たない夫婦、独身と、確かに女性の選択肢は広がった。だが、同時にそれぞれの生き方に自分だけでは解決の難しい障害があることも明らかになってきた。夫の高収入を前提とする専業主婦は、非正規社員が増え、終身雇用制が崩壊した今、なりたい女性全員がなれるわけではない。ワーキングマザーには保育所不足、仕事との両立の問題がある。

 私は36歳、独身だ。毎日新聞社入社したのが27歳と遅いため今は仕事に集中したいこと、子どもを持ちたくない事情があり、この生き方を選んだ。特に35歳になる前の数年は、周りの友人たちの結婚、出産、転職を見ながら、一つの節目と思って人に相談し、自分でいろいろと考えた。女性には出産可能な年齢に限りがある。子どもを持たずにいて一生後悔しないのか、そのためには今は何を重視して生きるべきか……。慎重に考え、今の生活に至っている。

 それでも、周囲にはさまざまな人がいる。「何で結婚しないの?」と聞かれるくらいは、何とも思わない。だが、「結婚に興味が無くて」と私が答えると、結婚の素晴らしさを力説されたり、結婚はみんながしたいものだと決めてかかって「のんびりしてちゃダメよ」と言われたりすることもある。ネット掲示板で「少子化を加速させている」などと、子どものいる女性からの書き込みを見るたび、しっかり決めたはずの自分の生き方に「これで良かったんだろうか」と迷いを持ってしまう。
社会変化に応じ皇室も変わる
 雅子さまと「迷う女性」は重なる部分もあるが、違う部分もある。今の世代は確実に変わっている。何事も仕事優先だった「男女雇用機会均等法第1世代」から、仕事も会社でのポジションも自分の生き方のなかで「できる範囲で」と考えるようになった。その結果、企業が在宅勤務など女性に働きやすい制度を整えるようになった。優秀な人材を逃さないためには企業が変わる必要があったからだ。

 毎日新聞社でも、女性記者が増え、育児休業から復帰して活躍する記者も多い。支局時代には、保育所にいる子どもの体調不良で、男性記者が仕事を休むこともあった。24時間動いている新聞社でも、中にいる人の感覚が変われば少しずつ変わる。

 皇室が社会に応じて変化できなければ、国民との関係にどんな影響があるのか。宗教学者山折哲雄さん(86)は「日本人が天皇制に無関心になる」と危惧する。皇室が社会の現実とあまりにもかけ離れてしまえば、皇室危機に直結する。

 療養しながら公務をこなす雅子さま皇后像は、国民に長く親しまれた今の皇后さまとは全く同じではないかもしれない。しかし、皇室はこれまでもそうだったように、社会の変化に応じて変わることができる。

 私は雅子さまには外務省時代のキャリアを生かすことも含めて、自分の生き方を貫く、自分なりの新しい皇后像を期待したい。雅子さまから、いつか「自分でいい人生を送っていると思っています」という言葉を聞きたいと思っている。



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経済観測 農業に関心を持つ若者の心をどうつかむか=農業ジャーナリスト・青山浩子
毎日新聞 2017年6月14日 東京朝刊

 いろり、GOBO、FaVoなど。いずれも農業に関心を持つ関東地方の大学生でつくる組織だ。農学系のみならず商学法学経済を学ぶ学生やOBも加わり、畑を借りて農業をしたり、農家の仕事を手伝ったりしている。これほど農業に関心のある若者がいるとは驚きだ。

 先日、各組織の主要メンバーによる座談会がおこなわれた。活動が活発化したのは東日本大震災以降。命や暮らしの根本である農業の価値を見直そうという機運が高まり、組織の誕生につながったという。経済や教育、医療などへの関心を持つようになった先に、「農業に行き着いた」という若者も多かった。

 彼らは職業として農業にあまり関心がなく、「暮らしの一部に農業をとりいれたい」「非日常的な農業に触れたい」と考えている。座談会の主催者で、農家や漁師の生の声をウェブサイトで紹介するメディア「日本食べるタイムス」の小野寺萌編集長は「7割は仕事、3割が農業という形態もありうる」と提案した。兼業農家とはもともと、専業から兼業化した農家を言うが、ゼロから兼業化する新たな兼業農家が誕生する可能性がある。こうした若者に農業、農村はどう応えていけばよいか。生産現場は後継者不足解消のため、職業として農業を選ぶ、いわゆる“十割農業”をめざす若者の輩出に集中しているが、それだけでは多様な考えを持つ若者の受け皿にならない。

 農業により得られる体験、思い出、人間関係などを商品化して、若者に提供してはどうか。彼らが自分の言葉で魅力を発信すれば、いままで農業に無関心だった人にも影響を及ぼすだろう。これまで、いかにして農産物(モノ)を販売するかを考えてきた農業に、コト消費という考え方を取り入れる時代になった。

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熱血!与良政談 もくろみ外れた印象操作与良正男
毎日新聞 2017年6月14日 東京夕刊

 出演しているTBSの報道番組「Nスタ」で先週、安倍晋三首相が最近、国会で連発する「印象操作」という言葉がテーマとなった。

 私は「以前、多用していた『レッテル貼り』と同じで、聞かれたことにまともに答えず時間稼ぎをすると同時に、そこで議論シャットアウトしてしまう捨てゼリフだ」とコメントして、こう続けた。

 「安倍首相は『今の野党の質問は印象操作だ』と逆に印象づけることで、メディアに対して『だからあまり報道するな』とけん制しているのではないか」

 安倍政権は露骨なまでにテレビへの介入を続けてきた。実際、それは功を奏してテレビは国内政治を扱うこと自体、減ってきていたと思う。

 だが、このところどうだろう。

 「森友」問題から「加計」問題へ−−。テレビは連日のように報じている。「ヤジはやめてくださいよ」と言いながら、首相は自ら閣僚席でヤジを飛ばし、「くだらない質問だったね」などと大人げない言葉を口にする。そんな姿も映し出す。取り上げれば視聴率は上がるという。

 かねて指摘している通り、テレビが恐れるのは政治介入よりも視聴率なのだ。視聴率万能ではいけないと思うが、高視聴率であることは国民の関心の高さを表しているのは確かだろう。それを大事にするのは、ある種、民主的だとさえ思う。

 政権に反旗を翻した前川喜平・前文部科学事務次官記者会見の直前、同氏が現職中に「出会い系バー」に通っていたと報じた読売新聞への批判をさまざまな場で聞くようになった。

 その後、同紙は独自取材と判断に基づいた報道だと紙面で反論している。しかし、いずれにしても菅義偉官房長官がしきりとこの報道を引用する形で「出会い系バー」の話を強調することこそ「印象操作」の極みだろう。そして政権のもくろみ通りには進んでいないと言うべきだ。与党がもう国会審議はしたくないと考えるのも当然かもしれない。

 菅氏の記者会見では、加計問題に関して厳しく、そしてしつこく質問する新聞記者も出てきた。これも久しくなかった光景だ。

 それが新聞やテレビの本来の姿であり、やはり私たちは権力に利用されてはいけないとの思いを改めて強くしている。(専門編集委員

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水説 何を言っているんだ=中村秀明
毎日新聞 2017年6月14日 東京朝刊
 <sui−setsu>

 混雑している朝の通勤電車に男の声が響いた。

 「お前らは何の役にも立たない」

 声の先には2人の少女がいた。1人は黒人で、もう1人はスカーフで髪を隠していた。イスラム教徒である。おびえる2人に大柄な男はひどい言葉を浴びせ続けた。

 「死んでしまえばいい」

 米オレゴン州ポートランドで先月末に起きた事件の発端だった。サンフランシスコの北約900キロ、人口60万人のポートランド米国人が住みたい街の上位にあがる。

 路面電車自転車を市民の足とし、「環境と人に優しい街」を掲げる。その魅力にひかれ、音楽や絵画、デザイン、食などさまざまな分野の人、多様な人種が移り住んで活気をもたらしている。日本の自治体市民団体なども多く視察に訪れる。

 人種や宗教への憎悪と差別意識をまき散らす言動は、そんな街にふさわしくない。「何を言っているんだ、やめないか」。互いに面識のない男性3人が割って入った。

 しかし、たしなめられた男は逆上し、持っていたナイフで次々に切りつけた。

 退役軍人で市職員のベストさん(53)と会社員のメシェさん(23)が亡くなり、1人が重傷を負った。

 その朝、メシェさんの外出を見送った恋人の話を現地の報道が伝えている。

 彼はだれにでも親切で、間違ったことを見すごせないような人だった。夜に公園で会ったホームレスを自宅に泊めたこともあった。この朝はなぜか、「ありがとう」と口にして出かけた。

 現場で息を引き取る時、こんな言葉を残したという。

 「この電車にいるみんなに愛していると伝えて」

 逮捕された男は白人至上主義者のようだ。出廷した裁判所で「言論の自由が嫌なら出て行けばいい。これはテロではなく、愛国的な行動だ」などと叫んだ。

 日本で起きた事件ではない。しかし、インターネット空間では、憎悪や差別意識に満ちた言葉が飛びかっている。路上や電車で、見知らぬだれかがひどい言葉を浴びせられている場面に、いつ出くわすかわからない。

 その時、自分が居合わせたらどうするだろう。ひるまずに止めに入れるか。見て見ぬふりをするか。身の危険を冒さずに、やめさせるいい方法はないか。

 自分の家族や友人がその場にいたら、こうしたらいいと助言できるだろうか。

 答えを見つけられず、考え続けている。(論説委員

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憂楽帳 分身の術
毎日新聞 2017年6月14日 大阪夕刊 【濱弘明】

 「痛い 痛い」。30代の男性が、体に触れられてもいないのに叫び始める。重度の自閉症だという男性は滋賀県内の施設で日々、創作活動に取り組む。

 陶製オブジェを作る時、男性にとって欠かせない儀式が存在する。自らの体毛や大好きな木の実を紙で優しく包み、粘着テープでぐるぐる巻きにした「芯」を作品の内部に据えるのだ。窯で焼く際に不規則な燃え方をしないようにと、周囲の人が芯を外そうとしたその時、男性は痛みを訴え始めたそうだ。

 「創作を通じて、分身を生み出しているのでしょう」。作品を展示するボーダレス・アートミュージアムNO−MAの学芸員、横井悠さん(34)は推測する。孫悟空が自分の体毛から分身を作る光景が思い浮かんだ。男性の作品からは底知れぬエネルギーが放射されている。

 滋賀県近江八幡市町家を活用したこの美術館は13年にわたり、名もなき芸術家たちの作品を紹介してきた。鑑賞者の姿など眼中にない孤独な活動を掘り起こし、最初の光を当て、世に知らしめたい。そんな思いに突き動かされ、横井さんらスタッフは全国を歩き回る。【濱弘明】

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