「全思考」 北野武

全思考 (幻冬舎文庫)

全思考 (幻冬舎文庫)

最近は読んでいないから分からないけど、幻冬舎の雑誌「Papyrus」でクマさんと武さんがページがこの本の原型だったと思う。雑誌の掲載されたものをそのままではなく、エッセイとして再編集されている。雑誌の時にはクマさんとの会話形式だった。
全体は次の5つの章に分かれていて、そのぞれのテーマに合わせて武さんの哲学が話として展開されている。

  1. 生死の問題
  2. 教育の問題
  3. 関係の問題
  4. 作法の問題
  5. 映画の問題

本当に不思議なのは文章を読んでいて、まるで武さんが話しているような錯覚になること。それだけ文章がうまいということだと思う。中身的には賛否両論あると思う。僕自身も「あれ?」というか、反対意見の部分もある。もし本人と直接話ができたら、反対意見も素直に聞いてくれると感じている。つまり考え方としての反対は同じ土俵で戦うのだから認めるけど、「戦わない」あるいは「違う土俵で話をする」という人は相手にしない、という空気をすごく感じる。
全5章の中でも、「教育」、「関係」、「作法」の3つは多くの人に読んでもらいたい。きっと反対意見や否定する人も多いと思う。それでいいと思う。「思っても、意見を言わない」ことが最悪の回答。それと各章の最初にクマさんの文章があるんだけど、これが本当に感動する。ビジネス本をたくさん読んでテクニックを磨くよりも、心を磨く方が先だよね。そう思った人はご一読を。