日常の一瞬をドラマにする 『ギフト』 原田マハ


今日も『原田マハ』だよ。通しで読んでも1時間もかからないショートストーリー集。最初は何で『ギフト』ってタイトルなのか疑問が残っていたんだけど、読み終わってみるとちょっと納得。英語は得意じゃないけど、ニュアンスは『プレゼント』はなくて、『ギフト』の方がピッタリする。


"ギフト" (原田 マハ)




原田マハの魅力の一つは言葉の使い方。変にいじらずに、感覚的な言葉を使う。例えば、こんな感じで。





どうしてこんなに好きなことがあるのに、私はそれを人生の真ん中に置こうとしないのだろう?




誰しもが平凡と思う時間の流れの中で、ある一瞬だけを切り出してみるとそれぞれドラマがある。そんな一瞬を逃さず、言葉にする。竹内まりやの詞もそうだな。





わけもなくふさぎ プチうつな自分が 嫌いになる日も

あなたの笑顔の 大きな力に 励まされるんだ




普通に会話の中で使われる単語をさり気なく散りばめるというか、まず文章や詞を書いていて思いつくところがすごい。

短い文章でストーリーを表現するには想像以上にテクニックだと思う。このブログを毎日のように書いていても文章が全然上達しない自分に腹立たしく思うこともある。まあ、その辺が今年のテーマなんだけど。




ちょうど1年前から原田マハ読んでいるけど、どれも違う表情を持っている。だから多くの人は『原田マハ』が好き、というよりも、『原田マハの作品』が好き、と思う人の方が多いかも知れない。でも考えてみれば、毎回違うテイストで書けるすごいな、とただただ感心するだけ。直接本人に聞いてみたいのは、『どうしてこんな文章が書けるようになったのか』って。で、この本は気持ちがちょっとだけ疲れ気味の人にはお勧めですよ。だから、『ギフト』なんじゃないかな。