陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

おもしろい!もう何も考えずに読んで笑って気分爽快な小説です。

人が嘘をついていれば必ずわかる、人間嘘発見器の成瀬。演説大好き、でも嘘ばかり言ってる男、響野。動物愛好家にしてスリの達人、久遠。精密な体内時計を持った紅一点、雪野。「世の中には犯罪らしい犯罪が必要だ」というわけで、彼らの職業(?)は銀行強盗。最強のチームタッグで成功をおさめてきた四人組ですが、あるときアクシデントが発生して…。

謎解きがどうこうというより、彼らの会話がもう最高。響野と奥さんの会話も最高。伊坂さんの書くキャラクターは皆なんて魅力的なんだろう!と感心しきり。だってパッとページを開いてそこをいきなり読んでも、誰が言っているセリフかちゃんとわかるんです!

展開はスピーディーだし、小ネタもびしばし満載だし、伏線もばっちり最後に生きていて愉快痛快、どんどん読めちゃいます。彼らもどんどん行っちゃいます。このままどこまでも行っちゃってほしい!私は何の役にもたたないだろうけど、このギャング団に入れてほしいなぁ…。

そして伊坂さんのあとがきによると、彼ら四人は伊坂さんが「サントリーミステリー大賞」の佳作を受賞したときの作品にすでに登場しているそうです。というわけで調べてみました。「悪党たちが目にしみる」という作品でした。これが全面改稿の後刊行されたのがこの作品、と。ふむふむ。出版されてないんだ…でもそれも読みたいなぁ。