「アンダンテ日記:ガラスの山」より

だいぶ前のことですが、顕微鏡下の、卵子精子の結合の瞬間を、TVの映像で見ました。最終目的地に達することができず、力尽きる多くの精子も印象的でした。

『きいろの童話集』(アンドルー・ラング世界童話集第4巻 東京創元社)を手にとって、タイトルに憶えのある「ガラスの山」を真っ先に読みました。残念ながら、記憶していた話とは別のものでしたが。もっとも、つるつるのガラスの山の頂上に、美しいお姫様がいて、最初に頂上にたどり着いた者が、彼女と結婚できるという、このモチーフはいくつもの昔話でつかわれているものです。 しかし、主人公の若者が山登りに挑戦するとき、まわりには、山を転げ落ちて死んだ求婚者の死がいがいっぱい……というくだりを読んだら、急に、先の卵子精子の映像を思い出しました。 昔の人は、顕微鏡でしか見えないプロセスを知るはずがないのに、つまりはこのことを指していますよね。こういうものが、神話的な智慧なのだろうと思います。

 今日、大学の授業で「いばら姫」がとりあげられていて、ふとこのエントリを思い出しました。 いばらで覆われたお城に美しいお姫様が眠っていて、噂を聞きつけた王子様たちがいく人もお城に入ろうと挑戦するけれど失敗してしまって、ちょうどいいタイミングでやって来た、たった一人の王子様だけがお姫様の元にたどり着ける……というくだりで。