木地雅映子 『マイナークラブハウスへようこそ!』 ピュアフル文庫

マイナークラブハウスへようこそ!―minor club house〈1〉 (ピュアフル文庫)

マイナークラブハウスへようこそ!―minor club house〈1〉 (ピュアフル文庫)

 おもしろかったーーー!
 舞台は、県下一の有名私立大学付属の中高一貫校。敷地内の一角にある古ぼけた建物は、設備が整っているぴっかぴかの校舎に部室がない弱小文化部、ふきだまりになっている、のです。その建物が、通称「マイナークラブハウス」。そこに集うのは「学校」という場所では奇人変人扱いされる人たちが多め、という……こう書き出してみると、ちょっとマンガ的な設定なのかもな。
 マイナークラブハウスに集う男の子に、女の子に、あるいは保護者に……視点は話ごとに移り変わるけれど、この物語の主役はたぶん、今回は一度も語り手にならなかったけれどすべての話に登場した「ぴりか」という女の子なのではないかと思います。学校という場所ではひときわ「変な子」で、見つめる人によっては、ひときわ「つらそうなひと」である、彼女。
 これまでの木地雅映子の作品は、「変な子」扱いされる子どもが語り手だったり、その子どもを見守る誰かの視点から書かれていたり……「変な子」視点、あるいは「変な子」の味方視点、という印象がありました。
 でも今回は、「変な子」側に視点があるんじゃなく、「変な子」の周囲を視点が転々としている感じがします。それによって「変な子」像が浮かび上がってくる、というか。