ヒップでファンキーなeBOOK

「図書館政策フォーラム2011 図書館で電子書籍を使いこなす−知の拡大生産に向けて−」レポート
図書館総合展2011サイト)
を読む。
おもしろかったのは、パネルディスカッションで会場から紀伊國屋さん丸善さんと代理店が次々と話に加わっているところ。

湯浅/
ネットライブラリーを運営している紀伊国屋の方

紀伊国屋の方/
ネットライブラリーの責任者ではないが…
ネットライブラリーは学術系の情報をオンラインで提供するシステムなので、大学や学術機関
コンテンツは約3000、基本は学術資料を収集している
一般の出版社さんはB to C(個人の利用者向けに)で電子化しており、大学や機関については慎重である
学術系の方は、大学などへの提供に積極的なので、コンテンツを得やすい

井上/
ネットライブラリー、実際の利用がなかなか進まない
他の大学はどうなっているのか?
エルゼビア社が、各大学でどのようにe-bookを利用しているのか発表会を開催している。提供側もどのように使われているか知りたがっている

湯浅/
丸善さんが個人対象で6万2千タイトルイーブックフォアパーソナルユーズシステムを提供し始めたが…

丸善の方/
丸善電子書籍と現物の図書を両方合わせて、提供できるように動いている
どちらか一方ではなく、総量を大きくする目的で。そのなかで、専門書を中心に提供するシステムを立ち上げたところ

湯浅/
学校や大学で電子書籍がどのように利用されているか?
今まで出版物とみなされていなかった情報もある
利用者の視点にたって、井上さんにコメントを求めたい

井上/
電子書籍っていうのは、誰がどう読んでいるかわかりにくい
自分にとっては、大学で、高いコストがかかっているのになぜあまり使われないか?が悩み
千葉大学で新しい情報源の活性化を狙って活動しているが、まだみんながどう使っているか分からない
慶応義塾大学も、テストされて統計をたっている途中でないか
スキマ時間で電子書籍の利用を促す→京都では利用できない?
それぞれいろんなオプションがある。まだそれがはっきりみえていないのではないか

湯浅/
ぜひ立命館大学の方にもお答えいただきたい

立命館大学の方/
ネットライブラリーに所蔵データを渡して、書誌情報から直接見れるようにしている
英語版から始まり、当初は利用が伸びていなかった
昨年、和書の電子書籍OPACに導入しており、まだまだこれからという段階
授業での活用も、今現在協働して取り組んでいる最中
大事なところは、先生方がどう活用してくれるか。学生が利用してくれるか

井上/
「図書館に訊け!」の紙媒体の図書は8刷までいってるが、電子書籍は一冊も売れていない
授業で購入するように課してみてもいいかもね。

システムごと業者ごとに話を聞くことは結構あるけど、
こうやって複数巻き込んだ流れは初めてみた。
こういうのが一堂に会する意味なのかなぁ。


ところで、『図書館に訊け!』が電子書籍になっていたとは知らなかった。

図書館に訊け! (ちくま新書)

図書館に訊け! (ちくま新書)

だがどうやって買うのか。
amazonを見ても電子版はなさそうなので、
筑摩書房のサイトで検索してみるが、冊子のデータしか見つからない。
トップに戻ってよく見ると、「デジタルコンテンツ」の文字。
そこから筑摩eブックスのページへ飛んでようやく見つけた(プラットフォームは電子文庫パブリ)。
「一冊も売れていない」というのもわかる。
しかも提供されているのはPC版だけで、ipadiphoneでは読めない。
例えば、新書を読むためにノートPCを持ち歩くとしたら、
それは音楽を聞くためにラジカセを持ち歩くヒップでファンキーなギャグである(別に止めないが)。


さて、ネットライブラリーは被災研究者向けにコンテンツの一部を無料公開している
5月にやっと始めて5月いっぱいだけかよとか(6月いっぱいに延長)、
タイトル一覧がエクセルファイルだけかよとか、
ぶつぶつ言いながら活用していただければと思う。